仕事が長引き……

やっと深夜の帰途につく
わたし…………

時計の針は
長針がⅫ
短針がⅡを刺して居た
……………………

こんな時間にみつけた人だかりに
わたしは一瞬驚いた

……が……
その驚きは……
すぐに
背骨が凍り付くような………………
寒気へと変わった………………

あんな数の
死霊や怨霊を…………
一度に見たのは…
初めてだった………………
しかも皆……
女の霊だ………………
果ての無い
漆黒の恨み…………
憎悪の透明度は
ゼロよりも低く…………
殺意と思われる色は
無限に永遠を掛け合わせても足りない濃度で……
どんどん空気に浸潤してゆき……
辺り一面を
速いのか
遅いのか
その判別も付かない
曖昧な時間認識の中……
染上げてゆく………………

……………
凄まじい数の怨霊に取り憑かれ……
今正に
その怨霊達に
命を摘まれようとして居る奴と
目が合った………………

そいつのくちが開こうとした瞬間

わたしは
全力でそいつに近付きながら……
口を閉じろ
と
言うつもりだった……………………

今くちを開けば
悪霊達が一気に体内へと入り込み……
肺や食道
胃や小腸
そして大腸までをも
破裂させてしまうことが……
目に見えて居たからだ………………

しかし……
声が全く出ない……

私の声が
何故か全く出ないのだ…………………
……………………
気付くのが遅かった……
3~4体の怨霊が……
私の首上部に
巻き付いて居る………………
首の下部から全身に彫った
魔除けの刺青のお陰で

軀は動くが…………
言葉を発することが出来ないので
仕方なく
実力行使でアイツのくちを塞ごうと思ったが……

いきなり知らない女に
くちを手で塞がれたら……
不快に思うかも知れないし…………
まして
《いきなり!ステーキ》
みたいな荒技で
口内に手を突っ込まれれば……
怒ってしまうかも知れない………………
因みに先日
部長に
《いきなり!ステーキ》
をカマしたところ……
思いの外
喉の奥まで入ってしまい……
……………………
普通に嘔吐させてしまった…………

勿論
かなり怒らせてもしまったが…………
部長のヌルリとした
口蓋垂の感触が……
今この瞬間も
わたしの手から離れて居ない………………
………………………………
あれ程怒らせてしまいはしたが……
わたしは懲りず
次の機会を……
………………
虎視眈々と狙って居る……………………

…………
しまった………………

意識を現実に戻すと
アイツのくちは…
もう開きかけて居る…………

……………………………………
仕方が無いので
わたしはアイツのくちを
自分のくちで塞いだ………………………………
TO BE COMUGIKO

今までに
何回くらいありますか?