かなりの人気作で、最初は図書館で予約したが、僕の番まで相当かかりそうだったので、手元にあったJPXからの株主優待(QUOカード)で買った。佐藤の本を読むのは初めてだ。もっとも、テレビや週刊誌では接していたので、目次を見て、大体どんな本か察しはついた。読了して思うのは、おおかた予想通りの本だったということ。新鮮さがないとか、面白みがないと言えなくもないが、本書のメインターゲットは60歳台だろう。この年齢層の実利という観点からすれば、参考になる部分が多くある本だと思う。
本書は次の章立てから成る。
まえがきーー「自分が本当に幸せだ」と感じる条件が揃う日本
1章 定年後のマインド「リセット」
2章 定年後のおカネ
3章 定年後の勉強
4章 定年後の仕事
5章 定年後の交友関係
6章 定年後の隠れ家
7章 定年後の家族関係
8章 定年後の恋愛・趣味・健康
あとがきーー他人と比較してものを考えるのは致命的な習慣
「まえがき」にいきなり、おそらく著者が本書を執筆することになった大きなきっかけが書かれている。2023年6月に受けた、妻からの腎臓移植手術だ。これによって「現代医学の素晴らしさを、まさに体感した」。そして「こうした高度医療を、一定額を超えずに受けられる、日本という国」が、著者と同年代の定年退職者にとって、いかに「楽園」であるかを、上記のような切口で書いている。僕も著者とは同年代なので、全てではないにしても、共感できる部分は多かった。
そのことを以下に書いて行こう。
「定年後の人たちは、嫌いな人たちにまで交友範囲を広げて、それを維持する必要はない」(1章 P26)
「億万長者になることはできないだろうが、人間として名誉と尊厳を維持できる生活を送る‐‐これを現在の日本で確保することは難しくない」(2章 P51)
「(定年後に読むべき本として)さらに私が勧める意外な本は、大学時代の教科書だ」(3章 P77)
「定年後の仕事は、楽しくなかったらすぐに辞めるべき」(4章 P99)
「(ロシア人やイスラエル人の世界では)私には友人が100人います、などと言うような人は、全く信用されない」(5章 P120)
「夫も妻も互いの目から離れる時間と空間を」(6章 P141)
「定年後の人たちは、二拠点生活<隠れ家>を真剣に考えてみるべき。」(6章 P149~152)
「60代以上の男性が家庭で孤立するケースが多いようだ」(7章 P155)
「(「ノビシロハウス」に関して)非常に意欲的な取り組みだと思う」(7章 P161~2)
「(1回目の結婚には失敗した、その経験から)離婚は極力経験しない方がいい。離婚は、結婚の3倍くらいのエネルギーがかかる」(8章 P176)
「(定期的に人間ドックに行き、自分の健康をチェックすれば)誰もが、病気で人生設計が崩壊するのを防ぐことができる」(8章 P183)
「人間の努力は必ず報われるわけではない。だからこそ「自分の世界」を築くべき」(あとがき)
以上、各章ごとに共感できる部分について、その一部を抽出してみたが、全編を読んで思うのは、ビジネスマンとして長く生きてきた者なら、意識的あるいは無意識的に、本書に書いてあることのかなりの部分についてすでに理解しているのではないのか、ということだ。しかし、そのことと実際に実現出来ることは別だしな。その意味では定年後を生きる者のガイドブックとして一定の役割を果たせる本だと思う。


