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【雨のクリスマス】
「福さん寒いね。リュウジさんは何処に行ったのかな?」
「其のうち現れますよ。自分がどんな所に来たのか探してるのでしょう」
「そんなもんかね」
「そんなモノですよ。一当たり感じて回れば帰って来ます」
「来た来た。来ましたよ」
「ココ ハジメテ オモシロイ トコロ」
「リュウジ オチツイタ?」
「アネサン オチツイタヨ」
「ソウ ヨカッタ」
「タツオ イッショ ハジメテ ヨロシク」
「此れで彫辰三羽烏が揃ったって訳だ」
「サンバ カラス?」
「おっと失礼しやした。三頭龍ってか?」
「外は雨だね。雨のクリスカスですね大将」
「仕方あるまい。此処んとこ天気が続いてたからな」
「乾燥してますね」
「カサカサでよ。痒くてしょうがない」
「で、贅沢にも温泉に浸かってカサカサ解消って訳ですね」
「罰が当たらないかな」
「当たりたいですか?」
「そんな訳無いがな。今日は大変だよ。タツオとリュウジそしてタツミで
その親が一緒に来てるんだから」
「彫辰大集合ですね」
「福寿司の皆さん恒例の大浴場露天風呂貸し切り準備出来ました。ご希望
の方は貸し切り券を取りに来てください」
そら、又始まった。
「何で貸し切りなんですか?」
「それは皆さんと一緒に入りたいフクガセンムさんが一般の方とご一緒出
来ないモノを背中に持っていらっしゃるからです。無理にとは云っており
ません。一般のお客さんとご一緒されたい方は特に貸し切り券の必要はい
りません」
「良く解りました。私も貸し切り券をいただきます」
「私にも貸し切り券をください」
「今日はフクガセンムさんと同じ方がお二人いらっしゃいます。その他に
その背中にいらっしゃる方もご一諸です。この様な事は当館初めって以来
初めてです」
そうでしょう。
此処に書くのも初めてだから。
だから此の話はこの位にして・・・。
先に進めよう。
「貸し切りは女風呂から始めます。その後10分ずらして男風呂を貸し切
りにいたします。その都度お知らせにあがります」
「よろしくお願いします」
女風呂は福寿司の女将が仕切り、男風呂は福寿司の大将が仕切る。
「皆さん浴室に入ったら手拭を一本持って洗い場で軽く身体を洗い、湯船
に浸かる時に手拭は湯船の淵に丸めて置いて後ろ向きにお互い適度な間隔
を開けましょう。フクガセンムさんが皆さんと男女機会均等をイメージさ
れて入って来られます。眼を瞑って待ちましょう」
その時が来た。
「失礼します」
湯船を右に回り込んで掛け湯をして湯船の浸かった。
「お久し振りです。今日は八代目彫辰さんと七代目彫辰さんの背中のタツミ
さんが初めての参加ですね。私の背中には五代目彫辰さんのタツオが居ます
が今は男組に行ってるので只の絵になっていますが泳がせます」
云った途端に福賀は身を翻して温泉の中に身を投げ出した。
抜き手を切ってゆっくりと気持ち良さそうに湯面に波打ち乍ら往復を泳いで
帰ってきた。
「では、これで失礼して男湯に行って来ます。五階の宴会場でお待ちくださ
い。美味しい地魚の料理が皆さんを待っていますから」
そう云い残して後ろ向きに去って行った。
女性達は無言で湯船から上がり無言で五階の宴会場に向かった。
「お湯が乳白色で良かったです」
誰かがホッとした感じで独り言のようにつぶやいた。
「そうね。助かったわ」
誰かがぽつんと答えた。
「でも、フクガセンムさんってローマ彫刻みたいだったとは」
「お釈迦様でも、キリストさまでもご存じないでしょうね」
「フ~~~ぅしあわせぇ」
男湯からも宴会場に帰って来た。
「ふ~~~ぅ良い湯でした」
「寒くて雨じゃクリスマスもしぼんじゃうが、福さんと一緒だと生き返るっ
てもんだ」
「タツオさん どうだった?」
「背中に乗ってる時と前から見る福さん?」
「イイ カンジ デ ウレシ カッタ」
「そうだろうな」
「私も六代目の生の身体見るの初めてでした」
「どうでした?」
「凄かったです」
「何だろうな。あの感じ?」
「鬼気迫る」
「圧倒される気迫ってもんですか」
「鍛えてるからな。そして百戦練磨だし」
「やはり、ぼさーっとしてちゃ駄目ですね」
「ここに来るたびにそう感じます」
「事の初めが五代目死なせたく゚なくて六代目を継いだんだから」
「そうでした。父に聞かされました。福賀さんに申し訳ないと」
「でもな。それを逆に生かして自分の個性の一部にしちゃった」
「プラス思考ですね」
「簡単に云うが中々出来るもんじゃありませんよ」
と云っているところに、何時の間にか伊東の芸妓たちが檜舞台の袖に控えて
福賀を待っている。
「皆さん。お久振りです。お元気でなによりです」
「おねいさん達も益々お若くお綺麗で」
既に、舞台の上には福賀が浴衣姿で尻は緒って頭に捩じり鉢巻き姿で構えて
いた。
「では、先ずはカッポレから行きますかおねいさん方よろしく」
♪よ~ぉ カッポレ カッポレ よういとな・・・♪
おいおいタツオやタツミとリュウジどうするの?
福賀がおさらいをしてるのに舞台に上がって踊りだして・・・。
こんな風景なんて見た事ないぞ。
ま、良いかな。
雨のクリスマスだから。
つづく
いつも n i c e やコメントをいただき感謝、感謝 です。
今年も、もう何日もありません。
気候の変動など様々な事がおこりました。
良くもあれ、悪しくもあれ、それも世の常でしょう。
2025年今暫く見守りましょう。
ご自愛ください。
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点字絵本「テルミ」12・1月号の紹介です。
余り良く知られていません。
一般の書店に置かれていません。
創刊号に関わって編集とイラスト(全ページ)37年続けた関係で
毎号出来上がり見本として送って頂いています。
実際に、手で触る機会の無い絵本です。
ユニークな本屋さんが京王線仙川駅近くにあります。
センイチブックスです。
非売品なので各号一冊限り無料で差し上げています。
袋も無料です。
どうぞお立ちより、お持ち帰りください。
購読を希望される方は日本児童教育振興財団 TEL(03)5280-1501
電話で申し込みになっています。