
カルボナーラやペペロンチーノがコンビニやスーパーで買える今から遡ること30年前。90年代の家庭でパスタといえば「ミートソース」か「ナポリタン」の2択だった。初めてイタリアン(昔はイタメシと呼んでいた)を食べたのは社会人になってから。ポルチーニ茸のクリームパスタなんて得体の知れないパスタの味に触れたときは衝撃だった。今日は「ミートソース」か「ナポリタン」のMN時代に「トマトとニンニクのスパゲティ」を広めて三国志を作ったカプリチョーザのパスタを再現したい。
- パスタの伝道師「カプリチョーザ」
- トマトとニンニクのスパゲティ【元シェフ公開】
- リュウジ流トマトとニンニクのスパゲティ
- リュウジさんカプリチョーザごめんねパスタ
- 【おまけ】セブンイレブン「カプリチョーザのトマトとニンニクのスパゲッティ」
パスタの伝道師「カプリチョーザ」

カプリチョーザはイタリア料理のチェーン店。先輩のサイゼリアに比べると知名度は落ちるが全国に100店舗以上ある。店名の由来は、イタリア語で「気まぐれな」

1978年に東京の渋谷に1号店がオープン。今では北海道から沖縄まであり、サイゼリアと同じく誰でも気軽に入れるイタ飯屋さん。
名物「トマトとニンニクのスパゲティ」

カプリチョーザの看板メニューが「トマトとニンニクのスパゲティ」。チュートリアルの徳井義実は90年代に父親に連れられて食べ衝撃を受けたという。パスタに詳しい人は「アーリオ・オーリオ・コン・ポモドーロでしょ?」と言うだろう。

その通り。要はアーリオ・オーリオ・コン・ポモドーロ。ただし、カプリチョーザはニンニクの匂いは強烈だが食べてみるとクセがなく、トマトソースの味が強くてチーズのコクも合わさってお子様でも食べやすい大衆の味。飾らない「トマトとニンニクのスパゲティ」という名前が相応しい。個人的にはアーリオ・オーリオ・コン・ポモドーロ派だが、多くの人にパスタの美味しさを味わってもらえる味付けに賞賛を惜しまない。ぜひ、両方つくって比べて欲しい。
トマトとニンニクのスパゲティ【元シェフ公開】

カプリチョーザのトマトとニンニクのスパゲティは元従業員を名乗る人たちがネットでレシピを公開している。ただし、人によってバラバラ。まったく同じ味を再現するのは難しい。今回はいろんな情報を集積して、カプリチョーザに近い味を再現してみた。
トマトとニンニクのスパゲティの材料

- バリラ1.6mm:100g
- ニンニク:5片
- サラダ油:大さじ3
- トマトソース:150g(トマトピューレで可)
- 味の素:15振り
- カラブリア唐辛子:1本
- グラナ・パダーノ:15g
元カプリチョーザを名乗るレシピに共通しているのがサラダ油と味の素(もしくはダシの素)を使うこと。カプリチョーザはニンニクの香りを引き出すためにオリーブオイルではなくサラダ油を使うらしい。正直ピュアオリーブオイルで良い気がするが、ここはレシピ通りにサラダ油を使おう。
トマトソースは酸味が多いトマト缶は向かない。理想は玉ねぎで炒めたトマトソース、もしくはトマトピューレ。トマト缶を使う場合はみじん切りした玉ねぎを炒めてからトマト缶を入れるのがおすすめ。

今回ニンニクはスペイン産を使った。でも結論なんでもよし。最初は3片でやったが少なかった。あとでレシピを公開するので5片くらい使って欲しい。あとカプリチョーザはトマトソースに"魔法の粉"なるものを1パック加えるらしい。中身は公開されていないが、味の素にかなり近いとか。トマトの旨みもグルタミン酸なので、グルタミン酸の界王拳をやることになる。麺はなんでもよろし。チーズも必須。
トマトとニンニクのスパゲティのレシピ
- ニンニクをスライス
- サラダ油で炒める
- 唐辛子とトマトソースを入れる
- パスタを茹ではじめる
- トマトソースに塩と味の素を入れる
- 茹でたパスタを混ぜる
- 火を止めてチーズを混ぜる
- 皿にもって完成

ニンニクはスライス。香りを強調するには半分くらい、みじん切りにしても良い。

スライスしたニンニクをサラダ油で炒める。カプリチョーザは雪平鍋を使うらしい。最初は強火で、沸騰したら弱火にして、じっくりとニンニクの香りを引き出す。火力が強すぎると一瞬の夏で焦げてしまい、ニンニクの風味が出ない。

ニンニクの一部がボディビルダー色になってきたらOK。一度、火を止めてニンニクを休ませてあげる。すぐにトマトソースを入れると一気にトマトの味に飲み込まれる。少し休ませたら唐辛子を入れる。唐辛子は先に入れると辛味が飛んでしまうのでトマトソースを入れる直前に入れる。

トマトソースを入れる。火力は中火で水分を飛ばす。ここからパスタを茹ではじめる。

水分が飛んできたら塩ふたつまみと味の素を15振りフリフリする。遠慮しちゃダメ。フリオ・フランコくらい振り振りする。

こんな感じでトマトの水分を飛ばすことで酸味を抑えられる。

茹でたパスタを入れて火力を最大に。トマトソースとよく混ぜる。水分が少なくてパサパサになったら茹で汁を足す。水分飛ばした意味ないやんけ!と思うなかれ。パスタの茹で汁はデンプンと塩が詰まった美味しい出汁。トマトソースの水分とは次元が違う。

トマトソースとパスタを混ぜたら火を止めてチーズをかける。火を通すとチーズのコクが飛んじゃうので火を止めてから。

お皿に盛って完成。刺激が欲しい方は胡椒をヌートバーすると良い。ひと口目から、ニンニクの香りが前に出てくる。鋭いのに下品じゃない、サラダ油ならではの輪郭。
トマトの酸味は抑えられ、旨味は極端に太い。味の素とチーズが土台を支え、ジャンク寸前で踏みとどまる。家庭料理なのに外食の説得力。これは「再現」ではなく、ちゃんと一つの完成形だ。
| アネックス(ANEX) ピンセット 250mm | ||||
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リュウジ流トマトとニンニクのスパゲティ

リュウジさんもカプリチョーザが好きらしい。全然材料は違うし、まったく違うのに不思議な親和性がある。偽物と言ってしまえばそれで終わりだが、愛は事実を超える。
リュウジ流カプリチョーザのパスタ材料

- バリラの1.4mm:100g
- ニンニク:2片
- 玉ねぎ…1/4個
- ベーコン:35g
- トマト缶:200g
- 豆板醤:小さじ1
- 味の素:6振り
- 水:350cc
バリラは1.4mmのフェデリーニだが、個人的には1.6mmのスパゲッティーニがおすすめ。濃厚なトマトソースには太麺が合う。ニンニクは完全にすりおろすが、カプリチョーザに近づけるなら1個はスライスしていい鴨南蛮。
カプリチョーザはベーコン、豆板醤を使わないが、ここがリュウジさんの凄さ。ちなみにリュウジさんは豆板醤を小さじ2/3にする。まずはリュウジ流を真似してから自分でアレンジするとよし。
カプリチョーザのパスタのレシピ
- 玉ねぎをみじん切り
- ベーコンをスライス
- ニンニクをすりおろして炒める
- 玉ねぎ、ベーコンを炒める
- トマト缶を完全に煮詰める
- 水、塩、豆板醤、味の素を入れる
- パスタを茹でる
- ニンニクをすりおろす
- オリーブオイルを回しかける

玉ねぎは細かくみじん切り。ベーコンはスライスする。

ニンニクをすりおろしてオリーブオイルを弱火で炒める。最後にもニンニクをすりおろすので、これはスライスのほうがいいかもしれないと思ったりして。今度はスライスでやってみよう。

すぐに玉ねぎとベーコンも入れて弱火で炒める。ちなみに本家のカプリチョーザはサラダ油。ベーコンは使わない。

ベーコンから出汁(脂)が出てニンニクが色づき始めたらトマト缶を入れる。火力を強火にしてトマト缶の水分(酸味)を飛ばす。写真は量多すぎた。

ちょっとオイルが多すぎたけど、水分が飛び切るまでトマト缶を煮詰める。

水350cc、塩ひとつまみ、豆板醤 小さじ1、味の素6振りして沸かす。

パスタを入れて茹でる。水の量は少なめにして、あとから足すほうが良い。多すぎるとシャバシャバになってパスタの腰がなくなるから。

水分を吸収して良い硬さになれば、またニンニクをすりおろす。これが強烈。火を止めてオリーブオイルを回しかける。

お皿に盛って完成。カプリチョーザはチーズたっぷりなので、チーズをかけたらグッと近づく。
一口目はトマトの甘みとコク、直後に豆板醤とニンニクの刺激が追いかけてくる。方向性は違うのに、着地はなぜかカプリチョーザ圏内。ベーコンの脂と味の素が旨味の下支えをし、家庭料理の枠を軽々と超える説得力がある。これは再現ではない、翻案の成功例。愛とロジックで組み直した、リュウジ流トマトパスタの完成形。
| アネックス(ANEX) ピンセット 250mm | ||||
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リュウジさんカプリチョーザごめんねパスタ

料理研究家・リュウジさんが再挑戦した「カプリチョーザのトマトとニンニクのパスタ」。以前のレシピは美味しかったものの、「これは全然カプリチョーザじゃない」と謝罪。そんな“ごめんね”パスタを、さらにアレンジ。リュウジさん、ごめんねパスタ。
カプリチョーザごめんねパスタの材料

- バリラ1.6mm:100g
- ニンニク:5片
- 玉ねぎ:1/2個(小)
- ホールトマト缶:200g(半分)
- コンソメ:小さじ1
- 砂糖:小さじ1
- 味の素:6振り
- 七味唐辛子 3振り
リュウジさんとは材料や分量が違う。
- リュウジさんはコンソメではなく「鶏がらスープ」を使用
- 砂糖は小さじ2/3だが、計量が面倒なので小さじ1に
- 味の素の代わりに、リュウジさんは「ハイミー」
- 唐辛子は、リュウジさんが「一味」、今回は「七味」を使用
カプリチョーザには入っていない玉ねぎを使うのは、トマト缶の酸味が強いため。玉ねぎを入れることで旨味と甘味を足す。リュウジさんは、さらに砂糖も使う。
カプリチョーザごめんねパスタのレシピ
リュウジさんはニンニクをみじん切りしたが、カプリチョーザはスライス。作り方も少しアレンジしているので、リュウジさんを完コピしたい方は動画を参考に。
- 玉ねぎをみじん切り、ニンニクをスライス
- ニンニクが完全に色づくまで炒める
- 玉ねぎ、塩を入れて、しんなり炒める
- トマト缶、コンソメ、砂糖、味の素、唐辛子を入れて水分を飛ばす
- 茹でたパスタを絡めて火を止めオリーブオイル
- お皿に盛り、味変はチーズやタバスコ


玉ねぎをみじん切り、ニンニクをスライスにする。玉ねぎは、ブンブンチョッパーで細かくしてもOK。

ニンニクが完全に色づくまで炒める。最初は強火、沸騰したら弱火でじっくり炒める。ちなみにカプリチョーザでは、サラダ油を使っているので、オリーブオイルじゃなくてOK。

ニンニクが完全にボディビルダー色になるまで炒める。

玉ねぎ、塩ひとつまみを入れて、玉ねぎがしんなりするまで炒める。時間がかかるので、まだパスタは茹でない。

トマト缶200ml(半分)、コンソメ小さじ1、砂糖を小さじ1、味の素6振り、、唐辛子3振りを入れて水分を飛ばす。火力は中火から強火。ここからパスタを茹ではじめる。

できるだけ水分を飛ばして、トマト本来の旨味を引き出す。ちなみに、水分を飛ばしても酸味は飛ばない。酸味を抑えるには玉ねぎや砂糖などを加えるしかない。

茹でたパスタを絡めて、水分が足りなければ茹で汁を足す。火を止めオリーブオイルを回しかける。

お皿に盛って完成。味変はチーズやタバスコ。個人的にはタバスコがおすすめ。

ニンニクの量と火入れが支配的で、立ち上がりの香りはかなり本家寄り。そこに玉ねぎの甘みと砂糖が入り、トマトの角が丸くなる。
コンソメと味の素で旨味は一直線、わかりやすく強い。迷いがなく、食べ進めるほどに中毒性が増す。これは謝罪作ではなく、着地点を見つけた一皿。カプリチョーザへの未練と家庭料理の現実が、いいところで手を打っている。
| アネックス(ANEX) ピンセット 250mm | ||||
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【おまけ】セブンイレブン「カプリチョーザのトマトとニンニクのスパゲッティ」

セブンイレブンの冷凍食品コーナーにはカプリチョーザのトマトとニンニクのスパゲッティが売っている。

348円。玉ねぎの甘みやチーズのコクが企業努力。ニンニクというよりチーズパスタ。お店とは違う。レンチン5分でアーリオ・コン・ポモドーロができるから凄い。オリーブオイルを回しかけたら味がグッとアップする。
玉ねぎの甘みとチーズのコクが前に出て、ニンニク感はかなり穏やか。方向性は別物だが、完成度は高い。店の再現というより「チーズ寄りのトマトパスタ」として成立しているのが企業力。オリーブオイルをひと回しで輪郭が締まり、348円・5分という事実込みで評価すべき一皿。
その他の有名店の再現パスタ
最後までご覧いただき、あリガトーニ。


































































リュウジさんがイタリアン勤務時代に作っていたペペロンチーノ。本人曰く「普通のペペロンチーノの160倍うまい」という、昆布茶を使った完全邪道レシピである。






鶏肉と野菜を牛乳とだし汁で煮込む奈良県の郷土料理「飛鳥鍋」。やさしく滋味深い味わいを、パスタと合わせたスープパスタに仕立てる。
























































































水600mlを入れて強火で沸かす。沸騰したらニンニクを擦りおろす。





























