わくわく親子鉄・乗り鉄ブログ

親子での乗り鉄、大人の乗り鉄、秋田や東北の鉄道情報

【乗り鉄】平成の豪華車両、最後の力走。秋田内陸縦貫鉄道「AN8901」ラストラン乗車記(2018/9/23)

1. 🍂 時代の節目に立ち会う「お別れ」の旅

2018年9月23日。秋の気配が少しずつ近づくこの日、私は一つの大きな時代の節目を見届けるため、秋田県北秋田市阿仁合駅へと向かいました。目的は、秋田内陸縦貫鉄道の急行「もりよし」号として長年親しまれてきた豪華車両・AN8901のラストランに乗車することです。

1989年(平成元年)の全線開業に合わせて導入されたAN8900系は、当時としては画期的な前面展望が楽しめるパノラマ窓や、ゆったりとした回転リクライニングシートを備えた「内陸線の看板娘」でした。しかし、30年近くの歳月が流れ、老朽化には勝てず、ついにこの日をもってAN8901が引退することとなったのです。

今回は阿仁合駅まで車で向かい、そこから角館駅までを往復乗車するプランを立てました。秋田内陸線の美しい里山風景を、この豪華列車の窓から眺めることができるのも、これが最後です。

2. ✨ 鉄道会社の粋な計らい!「2両編成」の復活

今回のラストランには、ファンにとって涙が出るほど嬉しい演出がありました。実は近年、経費削減の影響もあり、急行「もりよし」号は通常AN8800形の1両編成で運行されるのが日常となっていました。

しかし、このラストランの2日間だけは違いました。AN8900系の最後を華々しく飾るため、当時の全盛期を彷彿とさせる**「AN8900形・2両編成」での特別運行**が実現したのです。

阿仁合駅のホームに並んだ2両の豪華車両。白地に紫とオレンジのラインが入った凛々しい車体が2つ連なる姿は、まさに内陸線の黄金時代そのもの。

本来のAN8900系同士が手を取り合って走る姿を見られるのは、これが本当に最後です。この「2両編成」での力走に、鉄道会社の車両への愛と、ファンへの感謝の気持ちを感じずにはいられませんでした。

3. 🚉 阿仁合駅に響く、旅立ちの鼓動

出発を待つAN8901の正面、大きなパノラマ窓からは、乗務員さんがこれから始まる最後の旅路に向けて準備を進めている姿が見えます。この車両の特徴は何と言っても、客室から前面展望が楽しめる贅沢な造り。

運転士さんの背中越しに、線路がどこまでも続いていく様子を眺められるこの席は、いつも子供たちや鉄道ファンの特等席でした。

車内に入ると、そこには平成初期の「豪華さ」がそのまま残っていました。落ち着いたトーンのシート、広々とした車内レイアウト。この空間が今日で最後だなんて信じられないほど、清掃が行き届き、大切に使われてきたことが伝わってきます。

4. ⛰️ 里山を駆け抜ける、最後の急行「もりよし」

阿仁合を出発した急行「もりよし」は、秋田内陸線自慢の絶景ポイントを次々と通過していきます。

車窓からは、清流・阿仁川の美しい流れや

黄金色に色づき始めた田んぼが広がります。特にこの日は天候に恵まれ、青空と色づく稲穂のコントラストが、引退を惜しむファンの心を優しく包んでくれるようでした。

途中駅の「阿仁マタギ駅」や「上桧木内駅」の素朴な駅名標

を見送るたびに、この車両がどれだけ多くの乗客や地域の人々の想いを運んできたのかと、感慨深い気持ちになります。

上桧木内駅付近では、この時期恒例の**「田んぼアート」**も鮮やかに見えました。

車窓の額縁の中に収まる里山の風景は、まるで一枚の完成された絵画のようです。AN8901は、最後の力を振り絞るように、力強いディーゼル音を響かせながら、2両の重みを感じさせない快調な走りで、美しい秋田の風景の中を颯爽と駆け抜けていきました。

5. 🏘️ 賑わいを見せた角館からの復路

終点の角館駅に到着し、折り返しの出発を待ちます。ホームにはその勇姿を収めようと、多くのファンや観光客が集まり、急行列車らしい活気と賑わいに溢れていました。

復路の角館から阿仁合間では、さらに乗客が増え、車内はお別れを惜しむ温かい熱気に包まれました。皆、スマートフォンのカメラを向けたり、静かに車窓を眺めたりと、思い思いの形でAN8901との最後の時間を共有していました。2両編成という特別なゆとりがあるからこそ、この最後のお祭りのような賑わいも、どこか優雅に感じられました。

豪華列車として華々しくデビューしたあの日から、地域の大切な足として走り続けた日々。平成という時代を駆け抜けたこの車両の「最後の走り」は、決して寂しいものではなく、やり遂げた誇らしさに満ちているように見えました。

6. ✨ 旅を終えて—受け継がれる想い

阿仁合駅に戻り、静かにホームを去っていくAN8901を見送りました。老朽化による引退は鉄道車両の宿命ですが、やはり慣れ親しんだ「内陸線の顔」がいなくなるのは寂しいものです。

その後、最後のAN8900系であるAN8904も2021年に引退を迎え、内陸線の景色は少しずつ変わっていきます。しかし、この日AN8901が特別に見せてくれた「2両編成」での力強い走りと、車窓から見た秋田の美しい風景は、乗車した全ての人の心の中に、鮮やかな記憶として残り続けるでしょう。

平成の豪華列車、本当にお疲れ様。 そして、特別な2日間を用意してくれた秋田内陸縦貫鉄道に、心からの感謝を。

鉄道コム