
- NFT作品を巡る誤解と敬遠
- よくある誤解 その1
- よくある誤解 その2
- NFTの本当の姿
- NFTと作品の関係を喩えると?
- 見落とされやすい事実
- クリエイターがNFTに取り組む意義
- ファンから見たNFTのメリット
- NFTは「作品を売る技術」ではなく「関係を創る入口」
- NFT作品による関係構築の失敗と適切な取り組み方
- NFTで一番やってはいけないこと
- NFTの寿命について
- NFTが消滅・凍結するとはどういうことか?
- NFTが消滅する・凍結する主なケース
- クリエイターが知っておくべきポイント
- 「寿命がある」ことは、必ずしも欠点ではない
- もしNFTが消えてしまっても
- NFTを入口とした前提の整理
NFT作品を巡る誤解と敬遠
「NFT(Non-fungible token=非代替性トークン)がクリエイターにとって新しい収益モデルのデジタル資産になります」と聞いて、直ぐに理解できる人はいますでしょうか。
ネット上にはクリエイター向けの解説記事などが、あるにはあります。
ところが、NFTの技術的仕様やNFTアートと呼ばれる投機的売買の仕組みを解説するだけで、クリエイターが一番知りたいと思っている肝心な部分が全然伝わってこないばかりか、逆に誤解を広めてしまっているような節すらあります。
もしかして、今この記事を読み始めたあなたも、NFTに対してこんな印象を抱いたことはありませんか。
-
「作品そのものを売る仕組みなの?」
-
「唯一無二の本物である証明?」
-
「なんだか難しそう、怪しそう」
悲しいことに、これがNFT作品に対する一般的な反応だと思います。
特にイラストレーターやクリエイターなどデジタルメディア分野で創作活動をしている人ほど、「自分の作品や権利がどう扱われるのか」が気になって、仕組みがよくわからない取り引きを敬遠してしまいがちです。
この記事では、NFTに関するよくある誤解を整理しつつ、実際にNFTが何をしてくれる仕組みなのかを、できるだけ噛み砕いて解説します。
本記事は、仮想通貨を持たない人でも参加が容易なNFTマーケット(HEXA)の取り引きモデルを参考にして解説していますが、異なるNFTマーケットでも基本となる考え方は変わりません。
よくある誤解 その1
❌ 「NFTは作品そのものや著作権を売買するもの」
これは非常によくある誤解です。 実際はNFTが売れたからといって、
が自動的に譲渡されるわけではありません。
NFTは、あくまで「NFTというデジタルデータ」を売買しているだけであって、作品の権利関係は、発行者(クリエイター)が別途定めない限り何も性質が変わらないというのが基本なのです。
つまり、イラストを描いた人が作者であって、著作権を持っているのも作者、という事実はNFTを売買しても一切変わることがありません。
よくある誤解 その2
❌ 「NFTは唯一無二の“本物の作品”を証明するもの」
これも半分は合っていて、半分は違います。
確かにNFTは「唯一性」を持ちますが、それは「画像そのものが世界で一つ」なのではなくて、
✅ NFTマーケット内で、そのNFTが一つしか存在しない
という意味です。
事実、同じ画像データはインターネット上でいくらでも複製できますし、NFTだからといって「この画像が本物かどうか」を保証するものではありません。
NFTの本当の姿
NFTとは何なのか?という疑問に対して簡潔に述べるとすれば、「特定のNFTマーケット(ブロックチェーン)の中で、唯一無二として管理されるデジタルデータ」ということになります。
そして最も重要な事は、NFTが持つ役割がイラストなどの画像データそのものを保持することではなくて、
-
誰が発行したか
-
今、誰が保有しているか
-
過去に誰から誰へ移動したか
といった関係性の履歴(台帳記録)に過ぎないことです。
要するに、NFTはクリエイター(発行者)とファン(保有者)の関係を、第三者にも検証できる形で示すための仕組みだと考えると、かなり実態を正確に捉えることができるようになります。
NFTと作品の関係を喩えると?
NFTと作品の関係が分かりにくい場合、こんな風に置き換えて考えると理解しやすくなります。
NFT=会員番号
作品=会員証のデザイン
NFTが「会員番号」だとすれば、作品(イラスト)は、その会員番号を視覚的に表現したデザインということになります。
NFTの技術仕様で唯一性を謳っているのは、単に「成りすましができない」というだけであって、NFT(会員番号)のデジタルデータを複製したとしても正規保有者としての地位がブロックチェーン(台帳記録)に載ってなければ、すぐに偽物とバレることを意味しています。
見落とされやすい事実
NFT(会員番号)は同じマーケット内で必ず「一つしか存在しない」ものとして扱われますが、実は
同じ作品に対して複数のNFTを発行することは可能
なのです。
NFTは、発行者が作品と紐づけて発行するものに変わりありませんが、必ず「1作品に対して1つ限りのNFT」とは限らないからです。
つまり、作品そのものはNFT発行者とNFT保有者のあいだで共有される“目印”となるもので、NFTは「誰がその関係に参加しているか」を示す証明書という位置づけになります。
クリエイターがNFTに取り組む意義
では、イラストレーターなどのクリエイターにとって、NFTは何が嬉しいのでしょうか。 現実的な運用上の利点を次のように整理することができます。
① 透明性のある「支援の形」を提供できる
NFTは、
-
誰が支援してくれたか
-
どの作品をきっかけに関係が生まれたか
が可視化されます。
「よく分からない投げ銭」ではなく、関係性が残る支援としてファンに提示できる点が大きな特徴です。
② NFT保有者限定の企画で関係性を深められる
たとえばNFTを保有している人だけに「袋とじ」などの機能を使って、
-
原寸大イラストの限定配布
-
メイキングのカットまたは動画の限定公開
-
Discordやイベントへの招待(参加権)
などを提供することで、「作品をきっかけにしたコミュニティ」を作り、ファンとの関係性をさらに高められる可能性があります。
これは単なるフォロワー数とは違う、濃いファンとの接点になります。
このような、NFT自体の売買とは別にNFTのプラットフォーム上に実装されている「袋とじ」のような付加サービスの提供機能をユーティリティーと呼ぶことがあります。
③ 転売されてもロイヤルティが入る
多くのNFTマーケットでは、NFTが二次流通(転売)されるたびに発行者に一定割合のロイヤルティが入る仕組みがあります。
描いた作品を入口として一度販売したNFTが、時間をかけて資産的に価値を持つ可能性がある点は、従来のデジタルイラスト販売などの概念にはなかった特徴です。
同一のNFTマーケット(プラットフォーム)内で二次流通が盛んになると、ロイヤルティもそれだけ永続的に発生し続けることになり、発行者にとっては資産形成にもつながります。
ファンから見たNFTのメリット
NFTは、ファン側にとっても独特の利点があります。
① 継続課金ではないので心理的に楽
NFTは、ファンクラブ会費やサブスク型支援のように「毎月払う」という義務的な負担が生じません。
つまり、「気に入ったタイミングで、気に入った作品を支援する」という単発支援がしやすいのが特徴です。
しかも、二次流通を前提としたNFTならではの特徴として、需要さえあれば、いつでも気兼ね無く自由に二次流通(転売)に出品して手放すこともできます。
これは完全にファンや購入者の自由裁量に委ねられたクリエイター支援の新しい形といえます。
② 擬似的な「買い切り」感覚でコレクションできる
NFTは、応援の証や思い出の記念品を買い集めるのと同じような感覚でNFT作品を保有することができます。
保有しているNFTは誰にでも検証可能な形で記録に残されますので、ホルダーのステータスになるという側面もあります。
単なる「消費」ではなく、「持っている」(=保有者)という感覚が得られる点は、ファンにとっても満足度を高められやすい要素になり得ます。
③ NFTが移動しても特典は引き継がれる
NFTに紐づいた特典やサービスは、NFTが転売されても新しい保有者に引き継がれるという特徴があります。
これは、ファンにとっては「価値が失われにくい」、クリエイターにとっては「仕組みとして公平」という、双方にメリットのある設計です。
NFTは「作品を売る技術」ではなく「関係を創る入口」
ここまでの話を一旦整理すると、NFTというのは作品そのものを売る技術ではなくて、作品を中心にした関係性を設計・証明する技術である、ということができます。
したがって、クリエイターが抱く冒頭の懸念点というものは実は誤解から生まれるもので、基本的には次のように至ってシンプルなものです。
-
作品は今まで通りクリエイターの自由意志で公開できる
-
オリジナルデータの所有も権利も基本的には何も変わることがない
-
作品をきっかけに「支援」「参加」「つながり」を形にできる
NFTは、クリエイターが自分の活動スタイルに合わせて使うための選択肢の一つに過ぎません。
無理に取り組む必要はありませんが、「何を売っているのか」「何が起きているのか」を正しく理解すると、過度な期待も、不必要な不安も減らせるはずです。
NFT作品による関係構築の失敗と適切な取り組み方
NFTは「発行すれば価値が生まれる魔法の仕組み」ではありません。 むしろ、取り組み方を間違えるとファンとの信頼関係を壊しかねない、繊細なツールです。
ということは、クリエイターがNFTでやってはいけない取り組み方についても考えてみる必要があります。
ここでは、NFTに不慣れなクリエイターがやらかしてしまいそうな取り組み方を「設計ミス」と表現することにします。
その設計ミスを取り上げながら、その理由を回避策と併せて解説します。
設計ミス その1
「NFT=作品や権利の売却」だと誤解させる表現を使ってしまう
何が問題か
NFT作品の説明文や告知で、
-
「この作品を購入できます」
-
「所有権を手に入れよう」
といった表現を使うと、作品そのものや著作権が譲渡されると誤解されやすくなります。 結果として、
-
クリエイターと購入者の間で認識に隔たりが生まれる
-
後からトラブルに発展して相互に不信感を抱く
という不幸なことが起きてしまいます。
回避策
-
NFTを保有することで何が得られるのか
-
何は含まれないのか
を明確に示しておくことを心がけます。 たとえば、
-
限定特典(袋とじ)あり
-
著作権は作者に帰属する
-
商用利用は不可(または可)
加えて、二次創作の可否やガイドラインなども示しておくと、より親切かもしれません。
実際の作品を取り引きする場合と同じように、様々な先行事例や想定事例の知見を活かして、曖昧になりがちな事柄を洗い出して明確にしておくことがトラブルの予防策になります。
設計ミス その2
NFT作品に「意味」や「役割」を与えずに発行してしまう
何が問題か
「とりあえずNFTを出してみた」という状態では、なぜそのNFTが存在するのか、何を象徴しているのか、何も輪郭が見えてこないのでファンは価値を感じにくくなります。
回避策
NFT作品はコンセプトや意味づけが最も重要です。
NFTごとに最低限、次のようなコンセプトを決めておくと購入者にとっても明確な動機付けにつながるはずです。
-
これは何の記念・証明なのか
-
どんな関係性の入口なのか
-
持っていることで何が変わるのか
たとえば、「初個展記念NFT」「このシリーズを応援してくれた証」「保有者限定サプライズ企画への優待」「保有期間に応じた特典や段階的なステータスの付与」など、適切な文脈を与えるだけで理解度が大きく変わります。
設計ミス その3
発行数を深く考えずに決めてしまう
何が問題か
発行数はNFTの印象を大きく左右します。
少なすぎると一部の人しか参加できないことになり、逆に多すぎると価値が希薄に感じられるものです。
同じ作品に対して、あとから次々と気まぐれに新しいNFTを発行したりすると、その作品に紐づけられるNFT全体の価値がどんどん目減りしていくように受け止められてしまうこともあります。
ある作品に限定1個の発行だと信じていたものが、あっさりと裏切られて後から何十個も発行されていたら気持ちが離れてしまうものです。
しっかりとした意味づけをしないで、「なんとなくキリのいい数字」で決めるのも心証がよくありません。
回避策
発行数は、次の視点で考えるのが良さそうです。
-
想定しているファン層の規模
-
NFTの役割(記念/会員証/支援など)
-
将来的に特典やステータスなどの充実を図る予定があるかどうか
最初は少なめでも追加発行の余地を残しておくという設計が無難です。
設計ミス その4
NFT保有者へのリターンを曖昧にしすぎる
何が問題か
「今後なにか考えます」という状態は、
-
ファンに期待だけを持たせてしまう
-
後から自分の首を絞める
という二重のリスクを生みます。 NFTは約束の可視化でもあるので、着地点を描かないまま無闇に発行してしまうと関係性が不安定になって、お互いが不幸になりかねません。
回避策
最初は大きな特典を用意する必要はありませんが、ファンにとって保有している意味を感じられるような演出があると納得感が得られます。 たとえば、
-
制作過程の限定公開
-
先行公開
-
クレジット掲載
など、無理なく続けられることを付加価値的に提示しておくのが良いと思います。
設計ミス その5
転売(二次流通)を敵視する、または禁止する前提で考えてしまう
何が問題か
NFTは構造上、
-
保有者が変わる
-
市場で流通する
ことを前提とした仕組みです。 転売を「悪」と捉えすぎると、
-
NFTの流動性が下がる
-
ファンが参加しづらくなる
という結果になりがちです。
回避策
考えるべきなのは、
-
転売されても価値が壊れにくい設計
-
保有者が変わっても成り立つ特典
です。
「NFTは人から人へ引き継がれるもの」という前提に立てば、運用と質の面で設計が安定します。
同一のNFTマーケット内で流通している限りは発行者と保有者の間でNFTプラットフォームの共通サービスが有効に機能するので、他のファンクラブサイトやサブスク型の支援サイトと並んで、新しいタイプのファン層やコミュニティの形成にも役立ちます。
設計ミス その6
ロイヤルティを高く設定しすぎる
何が問題か
ロイヤルティを高く設定しすぎると、
-
転売されにくくなる
-
結果的に収益機会が減る
という資産形成とは真逆の効果が生じやすくなります。
回避策
一般的には、5〜10%程度が現実的な相場と考えられます。
ロイヤルティは「罰」ではなく、長く付き合うための設計だと考えましょう。
設計ミス その7
NFTを「儲け話」として前面に出してしまう
何が問題か
NFTの価値を、
-
将来値上がりする
-
転売益が出る
といった文脈で強調すると、投機目的の人が集まりやすくなります。 結果として、
-
短期的な価格変動
-
ファンコミュニティの不安定化
につながりやすくなります。
NFTアートが健全性を欠いているとよく指摘されるのは、このケースが当てはまりやすいからです。
回避策
NFTはあくまで応援の証であり、関係性へのコミット(参加チケット)として位置づける方が、クリエイター活動とは相性が良くなります。
設計ミス その8
すべてをNFTで解決しようとする
何が問題か
NFTは万能ではありません。
作品をファンへ届ける手段としては、通常のイラスト販売、Skeb、PixivやBOOTH、Patreon的な仕組みと役割が被る場合もあります。
NFTアートという言葉が投機的売買という偏った認識で語られることが多いためか、もっぱら作品を売るための市場(マーケット)という誤った捉え方に足を取られて、ファンとのコミュニケーションが疎かになるという弊害も起こります。
回避策
NFTは、ファンクラブやサブスク支援のような継続的なクリエイター支援とは別立てのアプローチだということを念頭に取り組むのが肝心です。
NFTは補助輪であって、活動の中心である必要はありません。
NFTで一番やってはいけないこと
ここまで述べてきた設計ミスを総括すると、NFTで一番やってはいけないことはこの一言に尽きます。
ファンよりも仕組みを見てしまうこと
NFTは技術ですが、使っているのは人です。
どう感じるか、誤解しないか、無理なく続けられるか、この視点を持って取り組めば、NFTはクリエイターにとって静かに効く道具になるはずです。
NFTの寿命について
NFT(会員番号)は永遠ではないということにも触れておきます。
この記事ではNFTを「複製できない会員番号」に喩えて説明しましたが、この比喩を使うと、NFTの寿命についても理解しやすくなります。
結論から言うと、
NFTは、発行されたNFTマーケット(正確にはブロックチェーンとその管理システム)の中でのみ有効な会員番号であり、必ずしも永久に存在し続けるわけではありません。
NFTは基本的に、発行されたNFTマーケット内では保有者間を自由に移動できるように設計されていますが、条件次第では「消滅」や「凍結」という状態になることもあります。
NFTが消滅・凍結するとはどういうことか?
「NFTが消える」と聞くと、ブロックチェーンは永続だから消えないのでは?と疑問に思うかもしれません。
ここで重要なのは、NFTは「ブロックチェーン上のデータ」であると同時に
NFTマーケット(プラットフォーム)の管理ルールの中で意味を持つ存在
だという点です。 会員番号で喩えるなら、番号そのものが存在していても
会員名簿を管理している組織がなくなれば、意味を失う
という状態です。
NFTが消滅する・凍結する主なケース
① NFTマーケットそのものが消失した場合
NFTは、
-
特定のブロックチェーン
-
特定のNFTマーケット(サービス)
を前提に管理されています。 そのため、
-
NFTを管理・表示・取引しているNFTマーケットが終了
-
サービス停止や運営破綻
といった事態が起きると、
-
NFTが事実上扱えなくなる
-
マーケット上で凍結された状態になる
-
場合によっては消滅扱いになる
ことがあります。 これは、会員番号は存在しているけれども、それを認識・照合する名簿システムが消えてしまった状態だと考えれば分かりやすいでしょう。
② 別のNFTマーケットへブリッジする際に消滅するケース
NFTは異なるブロックチェーンやNFTマーケットへブリッジ(移動)されることがあります。
このときの実装方法によっては、
-
元のNFTを「焼却(バーン)」して消滅させ
-
新しいマーケット側で別のNFTを発行する
という処理が行われることがあります。 これは、元の会員番号を無効化して新しい会員番号を発行するのと同じです。
見た目や意味は引き継がれていても、同一のNFTが生き続けているわけではない点には注意が必要です。
通常、異なるNFTマーケットに移動したあとは、そのNFTマーケットにおける二次流通にロイヤルティは発生しなくなるので、元々の発行者(クリエイター)にとってはデメリットになります。
これは、もはやクリエイターの手を離れて投機対象として独り歩きを始めた状態とでもいうことができます。
③ ラップ(wrapped)されて凍結されるケース
もう一つ、少し複雑ですが重要なケースがあります。
NFTを別のNFTマーケットへ移動する際に、
-
元のNFTを「ラップ(包む)」という形で出庫し
-
元のマーケット側では凍結状態にする
-
移動先では「ラップされたNFT」を使う
という方式が取られることがあります。 この場合、
-
元のNFTは消滅していない
-
ただし一時的に使えない(凍結)状態になる
そして、再び元のNFTマーケットに戻すと
-
凍結が解除され、元のNFTが回復する
という挙動になります。
会員番号で喩えるなら、本部の会員番号を一時的に預けて支部用の仮会員証を使っている状態に近いイメージです。
クリエイターが知っておくべきポイント
ここまでの話を踏まえると、NFTについて次のように理解しておくと安全です。
-
NFTは「永遠不滅の証明書」ではない
-
有効範囲は発行されたNFTマーケットの文脈内
-
マーケット選び、ブロックチェーン選びは重要
-
会員番号(NFT)に意味を与えているのは、最終的には「運営と設計」
つまり、
NFTは技術的に存在していても、
それを“意味のある会員番号”として機能させ続けるのは人間側の設計
だということです。
「寿命がある」ことは、必ずしも欠点ではない
最後に大切な視点を一つ。 NFTに寿命や消滅の可能性があることは、必ずしも悪いことではありません。
-
期間限定の会員証
-
特定イベント専用の参加証
-
今この時期を共有した証
といった設計も可能だからです。 NFTを、永久保存の金庫ではなく、関係性を一時的に形にする会員番号として捉えると、クリエイターにとっては、むしろ柔軟な道具になります。
もしNFTが消えてしまっても
NFTには寿命があります。 マーケットの終了、ブリッジ、凍結などによって、NFT(会員番号)が機能しなくなる可能性はゼロではありません。
では、NFTが消えたら、そこにあった関係性もすべて消えてしまうのか?というと、答えは NO です。
大切なのは、関係性をNFTに「閉じ込めない」という緩やかな枠組みを設計することです。
NFTを入口とした前提の整理
まず、NFTは「関係性そのもの」ではないことを前提にしておく必要があります。 ここまでの比喩を使うなら、NFT=会員番号であって、本質的な関係性はNFT保有者(会員)とクリエイター(発行者)の信頼関係です。
NFT(=会員番号)はあくまで入会のきっかけ(作品との紐づけ)や参加資格の確認手段、関係性を可視化するための裏付けに過ぎません。
つまり、会員番号が失効しても、会員だったという事実や、築いた信頼までが消えてなくなるわけではありません。
枠組みのアイデア その1
「NFTがある間だけ有効」な関係にしない
悪い枠組み
-
NFTを失った瞬間、完全に関係が断ち切られる
-
それまでの貢献や参加履歴がすべてリセットされる
これではまるで、会員番号をなくした瞬間に「あなたは存在しなかったことになります」と言っているのと同じです。
良い枠組みの方向性
-
NFTは入口や証明として使う
-
関係性の記録は、別の場所(クリエイターの公式サイトなど)にも残す
NFTは入口の「ドア」であって、建物そのものではない、という考え方です。
枠組みのアイデア その2
オフチェーンの接点を必ず持つ
NFTはオンチェーン(ブロックチェーン)上の存在です。 一方で、関係性はオンチェーンに閉じる必要はありません。
具体例
これらは、
-
NFT保有を「参加条件」にしてもよい
-
ただし、参加後の関係性は別管理
にするのがポイントです。
NFTで入場してもらったあとは、クリエイターとファンという、人としての関係が続くという導線を作る。 これだけで、耐久性が大きく変わります。
枠組みのアイデア その3
「履歴」を残す仕組みを用意する
NFTは現在の保有者を判別することはできますが、過去に誰が関わってくれたか、どのタイミングで参加したか、といった文脈は、NFTだけでは十分に伝えきれません。
たとえば、
-
初期支援者リスト(ウォレット or ハンドルネーム)
-
参加時期ごとのロール付与
-
特定イベントへの参加記録
こうした履歴があると、NFTが消えても「あなたは最初から関わってくれた人」「あなたはこの期間に貢献してくれた人」という位置づけを保つことができます。
枠組みのアイデア その4
特典を「NFTそのもの」に紐づけすぎない
危険な枠組み
-
「このNFTを持っている限りにおいてのみ価値がある」
-
NFTがなくなった瞬間、すべて失う
これは、会員証をなくしたら過去の参加実績や貢献実績も全部消えるという設計です。
望ましい枠組み
-
NFTは「確認用キー」
-
実際の特典は段階的・蓄積型
たとえば、
-
初回NFT ⇒ コミュニティ参加
-
一定期間参加 ⇒ 恒久的ロール
-
貢献度に応じた認定
こうすることで、NFTが失効しても、それまでの関係性は残る構造になります。
枠組みのアイデア その5
NFTが「記念碑」になる瞬間を作る
NFTが消えたとしても、
-
「あのとき、あのNFTを出した」
-
「あのシリーズが始まりだった」
という物語が残れば、関係性は途切れません。
具体例
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初期NFT保有者限定のクレジット表記
-
制作年表・活動史への名前掲載
-
記念イラストや特設ページへの名前掲載
NFTは、
-
価値が続く必要はない
-
意味が残れば役目を果たす
という設計も、十分に成立します。
枠組みのアイデア その6
「NFTがなくなった場合」の方針を最初から示す
これは非常に重要ですが、見落とされがちなポイントです。
明示しておくと良いこと
-
マーケット終了時の対応方針
-
NFTが使えなくなった場合の代替手段
-
関係性や特典をどう引き継ぐか
これを最初から書いておくだけでファンの不安が減り、クリエイターへの信頼が上がるという効果があります。
最初に明示していなくても、NFTマーケットの運営状況や見通しなどから判断して、適切な時期に代替コミュニティへの移行手段を提供できるように努めるていることなどがアナウンスできれば十分かもしれません。
◆ ◇ ◆
本記事は以上でおわりです。
どうでしたか。 改めて「NFTがクリエイターにとって新しい収益モデルのデジタル資産になります」と言われても、違った景色で見えるようになったのではないでしょうか。
この記事がNFT作品や取り組みの意義について、少しでも理解の助けになれば幸いです。 日々の創作活動に勤しむクリエイターの皆さんが、ファンクラブやサブスク型サービスと並んでNFTの仕組みをもっと有効活用できるよう願っています。