
千葉寺、千葉中央駅から一駅先にある京成線の駅。JRの場合は千葉駅で京成線に乗り換えれば2駅で着く。と、いえば近い駅に思えるだろう。しかし、千葉中央駅から先は線路が単線になり、10分に1本走る京成線の電車の本数は半分になる。そんな近くて遠い場所、それが千葉寺である。

駅舎の外見は新幹線の駅かと思うほど綺麗なデザインであり、使われない逆側のホームはこの路線の複線化をいつまでも待ち続けている。それが千葉寺駅だ。
私はこのたび、野暮用があって千葉寺駅に降り立った。野暮用が何なのかは言えないが、青葉の森公園に用があったわけではないことだけは言っておこう。千葉市民は小中学校のスポーツ大会とか遠足とかで青葉の森公園に行くが、その後自主的に青葉の森公園に行くことはない*1。
そんな、千葉寺という街である店を見つけた私は吸い込まれるように入っていった。

リサイクルショップレインボーである。先ほどの写真には写り込んでいないが、私を吸い込んだのはこの看板。

そう、コストコでは箱で売っている商品をバラ売りしているのである。いいのか、そんなことして。…でも、よく考えたら普通のスーパーも問屋で買ったものを転売しているので別に悪いことではないか。たまたま仕入れ先が問屋じゃなくてコストコだっただけのことだもんな。それって転売ヤーの常套句では?と思うかもしれないが、店内ではサンホイル(アルミホイル)が1箱60円で売られていた。洗剤も明らかに相場より安かった。つまり、転売ヤーと違って不当に値段を釣り上げているわけではない。そうなるといよいよ悪いことはないのかもしれない。少なくともそういった指摘ができる隙を私は見つけられなかった。ただ、それでも、コストコ側が「やめろ〜!」といったらやめなくてはならないと思うが。

店内はこんな感じ。もちろん、オーブントースター屋さんではないので冷蔵庫、将棋盤(駒なし)、禁煙パイポ、ズボンプレッサー、ダービースタリオンなどの初代PSソフト、幼稚園のお楽しみ会で使うようなスポンジ製でカラフルなサイコロなど様々な商品が売られていた。昨今のコンビニエンスストアの品揃えやサービスの拡充には目を見張るものがあり、その分だけアルバイトに対する負荷も大きくなっていると聞く。しかし、そんなにもアルバイトが頑張っているコンビニエンスストアに冷蔵庫が、将棋盤(駒なし)が、禁煙パイポが、ズボンプレッサーが、ダービースタリオンが、そして幼稚園のお楽しみ会で使うようなスポンジ製でカラフルなサイコロがあるだろうか?コンビニには日々の生活を満足させ、なおもありあまるほどの品揃えがあるが、この店には日々の生活に必要なく、それゆえに見失っていたものが沢山ある。私はそう思った。

先ほどの写真で奥に映り込んでいるのがこの部分。そう、オーブントースターを載せているラック自体もまた「レンジラック」という商品だったのである。このラックはリサイクルショップで第二の人生を始めようとしている間にすでに第二の人生が始まっている。陳列されながら消費されている。

このポップの古さも、この店を語る上で外せない。いや、この方が古いっていうんじゃないですよ?ただ、この方本人も、もうこの服装でこのギャグをやっていないんじゃないでしょうか?そういう古さです。じゃあこの方が今どういう服装で何やっているかというと……………ややラフな服装でまどマギを見てます。

そんな店内で見つけたのが、ごちうさのジグソーパズルである。500円。吸い込まれるようにこの店に入った私は、吸い込まれるように「買おう」と思ってしまった。
ごちうさ(ご注文はうさぎですか?)は、見ていた時期こそあるが、今は見れていない。というかここ数年あるいはそれ以上の間、見れていない。他に見たいコンテンツ(バラエティ番組)が多すぎるためだ。だから、ごちうさが嫌いになったわけではない。ただ、今の自分がごちうさのファンかっていうとそれも違う。明らかに違う。
それなのに、いやそれだからこそ、私は「買おう」と思ってしまった。妙な雰囲気の店でごちうさのジグソーパズルを500円で買う、めちゃくちゃ面白い。どうですか?面白いと思わなかったら、特にその思いを私にぶつけないで静かにこのブログを閉じてください。このとき、私は面白いと思ってしまったのだ。
家に誰かが来て、「あれ?ごちうさのパズルじゃん?こんなの持ってたの?」と聞かれて、答えが「千葉寺でコストコの日用品バラ売りしてるってリサイクルショップがあってさ……そこで見つけてさ、なんか買っちゃったんだよ。500円だったし」という会話ができる。これは、同じごちうさのジグソーパズルでも秋葉原のアニメイトに仕入れられたごちうさのジグソーパズルにはない機能だ。そう思うと500円ってめちゃくちゃ安いし、あのジグソーパズルもめちゃくちゃ面白くなってきた。絵に線が入ってるのすら面白くなってきた。いいぞいいぞ。あと何でマヤいねえんだよ。
ただ、家に来る誰かとは誰なのか、そんな予定はあるのか。ないのである。ないから私はブログに書いているのである。
ごちうさのジグソーパズルをレジへ持って行く。店員さんは500円を支払う。このとき、撮影許可とかネット掲載許可とかもらうべきだったのだが言い出せなかった。店員さんは、何らかの帳簿にチェックをつけていた。じゃあツラ割れてんじゃねえか。あのごちうさのジグソーパズル、俺で最後だったけど、売れすぎて最後なんじゃなくて最初で最後のやつだろうから。陳列され方からしておそらくそうだったから。ツラが割れているから大丈夫とかそういうことでもない気はするが、とにかくツラは割れている。
そんなわけでごちうさのジグソーパズルを持ってリサイクルショップをあとにすると、野晒しのワゴンで10円のガラス食器が売られていた。

10円のガラス食器が野晒して。しかも、中にはなぜか定期的にTwitterでバズる「人を殺すための灰皿」も売られていた。うーむ。

うーむ、そういえばこの店では酒も売られていた*2。ということはこの食器にテキーラを入れて飲むほうが面白かったかもな……うーむ……
いや、違うな。
吸い込まれるように入ったこの店で、俺がやりたいユーモアは、「ネットで定期的にバズる」とか「灰皿も食器なのかよ」とか「今更になって古の芸能ニュースをイジる」とかそういう先人たちの方程式に則ったユーモアじゃないんだよな。もっと、純粋な無意味なんだよな。あと、「職場の給湯室で誰のでもない公共のコップ使うんじゃなくて自分のコップ使ったほうがいいんだろうな、公共のコップだと思ったら誰かの名前が思いっきり書いてあってビビるときあるしな…」という悩みを10円で解決できるのだが、そういう実用的なことしたい店ではないんだよな…いや、コストコで売っている日用品のバラ売りをやっている店なのでそういう使い方をしている人々を否定するわけではありませんが…。ガラス食器が10円(陶器は30円)で買いたい人にはオススメです。
ちなみに、「ガラス食器が野晒しで10円」という状況は面白い。ただ、私が10円でガラス食器を買って持ち帰ってしまうとその面白はなくなってしまう。他にも色々なものがあったが、俺の中でこの店で買いたくなった面白商品は「ごちうさのジグソーパズル」であった。色々物色したが、そうなった。「けいおん!の秋山澪の腕時計」もあったが、最後は「ごちうさのジグソーパズル」だった。腕時計はわずかに実用的だったのが惜敗の原因かもしれない。

かくして、ごちうさのジグソーパズルが我が家にやってきた。「やってきたんじゃなくてお前が買ったんだろ」とみんなが思うだろう。しかし、私がこの写真を撮った時に間違いなく「やってきた」と思っていた。めちゃくちゃデカくてめちゃくちゃピースが多い。ああ、私はごちうさが好きでもないのに、ごちうさのジグソーパズルの所有者になってしまった。石炭や石油や鉄鉱石など、地球上のあらゆる資源、物質は有限である。それはごちうさのジグソーパズルにおいても同様である。それなのに、私はごちうさのジグソーパズルの所有者の一人になってしまった。まさか、これ限定100枚とかでプレミアついていたりしないだろうか。世の中にはこれを5万10万で買いたい人がいるとかそんな、純粋無垢な出発点から無自覚にせどることにならないだろうか。もし、これを5万10万で買いたい人がいたら、私はその人に売るだろう。なぜなら、こんな面白で買った人が持っているより、これを5万10万出すほどに価値を思っている人が持っていたほうが絶対健全な状態だからだ。あれ?でも店員さん「そのごちうさのジグソーパズルは絶対に誰にも売らないでくださいね。売ったらとんでもないことになりますから」とか言ってたっけな。言ってないか。言ってるわけないよな、そんな黒ィ店員さんじゃなかっただろ!いい加減なこと言うな!ツラ割れてるんだから!
そんなわけで、ごちうさのジグソーパズルを買った日が終わった。私がブログを更新するのはTwitterに収まらないと思ったこと書くときである。それで言うとこの記事は「千葉寺で妙な雰囲気のリサイクルショップを見つけて、ごちうさのジグソーパズルを買った」というだけ、Twitterに収まる話である。しかし、それだけなのにそれだけでない何かがリサイクルショップレインボーにはあったのである。皆さんもぜひこういうリサイクルショップに行ってみてください。見つからなかったら千葉寺まで足を運んでみてください。
(おしまい)