カナダと日本のことばへの態度の違いを思う

カナダ首相が「イギリス英語を使っている」、言語学者らが指摘 - BBCニュース

ということで、カナダではびっくりなことにカナダで定められた英語つづりがあるとのことです。日本では英国と米国の違いはよく教えられますが、カナダについてはこれまで聞いたことがなかったので驚きました。

それにひきかえ日本ではローマ字の綴りを米国語に合わせることを閣議決定したそうだ。これをNHKなどもどちらかというと嬉しそうに報道している。NHKがです。

どうしてもひとは交流すればことばも交わるけれども、独自性をどこに求めるか。おそらくお互いにわかるところは独自でいいのではないかというのがカナダ英語なのか。または、英国の支配下にありながら、米国に接しているし影響も受けやすいという地理的な条件にあってのことなのか。どちらにしても、英国と米国の間、また、フランス語の影響も受けたつづり字のようです。

それに引き換え日本はこれまで先人が作ってきたローマ字つづりを簡単に放棄して、米国に寄せていくというなんともな、今の日本を現したような状況です。

ことばの綴り方は本当に民族のアイデンティティーだとおもいますが、これを簡単に放棄してどうしようというのか。いくら頑張っても、相変わらず、YAMAMOTOはどう聞いても意識しないと米国人は”やまもろー”(母音のオのあとすぐ強く”と”というのが難しくてよわくなると”ろー”に聞こえるのか?)としか聞こえないような発音になるようです。また、そもそもが日本語の長音は難しいようです。さらに小生が何回もいってしまいますがchiはシとよまれる運命のようですが、これは意識的にchicagoなどからの類推でそうよむのでしょう。なぜこれを閣議のあと、町で結構訓令式ヘボン式の代表のようにして聞くメディアなどがいるのかわかりません。

また、地名にしても、東北地方のアイヌ語由来といわれるような地名の発音はおそらくヘボン式でも正確ではなく、アイヌ語の発音を学ばないともともとの発音はわからないし、綴りもそれを反映したものにしないといけないのでしょう。

結局カナダの英語の話を読むと、逆につづり字が違っていても言葉は同じとわかれば、実用上の不便はなく、むしろ、綴りというのはアイデンティティを示すものであるということで。そうなると、日本の長年の訓令式からヘボン式を国定にしたことの重みがわかろうというものです。単に便利などということばでは片づけられないものがあるはずです。

これだけ米国や諸外国のテレビや放送が生で入ってきて、サッカー選手やバスケットボール選手など米国外で活躍する選手も増えてきて、日本語の名前の読み方にしても、それぞれの国で、米国も含めてヘボン式にすれば日本の発音に近く読んでもらえることはないということは皆さんよくわかっていると思うのですが、メディアはそういうことを面白がるだけであまり、真剣に取り上げて、今回のローマ字改定のときに持ち出そうという人はいませんでした。もちろんこれは日本の中の言葉にも影響して、ケセン語の綴りをローマ字で行う方法を考案した山浦氏のような努力をしようとするひとはほとんどほかにはなく、現在朝日新聞の夕刊で連載されている各地のことばについても記事もひらがなで表すわけですが、おそらくは実際はひらがなではあらわしきれないでしょう。でもそのちいきの発音を現す表記法を考えようというひとは出てこない。どういうことかなと思います。このような決定に東大の古田徹氏のような立派な哲学者も関与したことは小生にとって非常に残念でした。

小生をこのような発想に導いた田中克彦氏の著作がひさびさに読めるようなので待ちつつの文章です。

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