
年末の駅には、独特の雰囲気がある。
車内は年始の広告に切り替わり、
相変わらずせわしなさは残っていて、キャリーケースを持つ人の流れは速い。
けれど、空気が少しだけ緩んでいる気がする。
寒さによるストレスや、年末のイライラが抜けたのだろうか。
大宮駅のホームで、人の流れを少し脇に避けてベンチに腰かける。
NewDaysで買ったホットコーヒーで、手のひらを温める。
今年はよく移動した一年だった。
けれど移動を続けるうちに、それは遠くへ行くための冒険から、
自分自身を回復するための「処方箋」に変わっていった気がする。
年内最後の更新になりそうなので、今年一年の旅とブログを棚卸ししてみたい。
今年の旅、3つのキーワード
今年の自分の動きを振り返ると、無意識のうちに選んでいたテーマが見えてくる。
派手な観光地ではなく、地味だが確かな手触りのある場所。
そんな今年の旅を3語で表すなら、こうなる。
「近場」「電車」「回復」
遠くへ行くこともあったが、主戦場はむしろ都心の延長線上だった。
電車に乗る時間そのものが旅で、降りる駅を変えるだけで気分が変わることに気づく。
そして、旅は冒険のような「攻め」ではなく日常からの「回復」になった。
体力が余っている人の娯楽ではなく、私のように体力が足りない人の生活技術としての旅、みたいなもの。
それがこのブログの輪郭になっていった。
印象に残った旅3選
先日まとめた「日帰り旅7選」には入れなかったが、自分の中に残った旅が3つある。
1. 小田原の風と、東海道線のグリーン車
まず思い出すのは、熱海へ向かった日のことだ。
目的地に一直線に向かうと、移動が作業っぽくなる。
でも途中下車すると、日常からのグラデーションを感じるような「発見」になる。
途中で降りて、歩いて、食べて、また乗る。
目的地に着いたことよりも、途中立ち寄りや移動そのものが楽しかった。
都心のビル群が少しずつ低くなり、やがて窓の向こうに相模湾が広がった瞬間の開放感。
「安く行く」という実用的なテーマで動いた旅だったが、何よりも記憶に残ったのは、
小田原駅で食べた小鯵押寿司のおいしさや、根府川駅を過ぎるあたりで見える海の景色。
そして、「これでいいんだよ」という肯定感だった。
2. 父に任された長野、栗ご飯の湯気
ブログのデータを見返すと、意外にも読まれていたのが長野への家族旅行の話だ。
一人旅の気楽さとは対極にある、家族のアテンドというミッション。
正直なところ気疲れもしたが、その分、食べた栗ご飯の湯気や、スーパーで買った刺し身の味が、妙に鮮明に記憶に残っていた。
そんなふうに、いつまでも記憶に残る旅がある。
旅は旅情だ。そう思えたのは収穫だった。
3. 東京から富山へ日帰り
日帰りは、節約のイメージが強い。
でも富山への日帰りは、節約よりも、旅の「密度」の高さが印象深かった。
行って、見て、食べて、帰る。日帰りだとやることが絞られる。
それでも、帰り道の電車で「もう一泊しても、情報は増えるけど幸福は増えないかも」と思った。
旅の価値は、滞在時間に比例しない。
むしろ、長くいるほど、後から振り返ると、どうでもいい出費が増える。
それを自覚した。
ブログを書いて分かったこと
今年はブログを通じても、いくつかの気づきがあった。
① 「困りごと」の共有は強い
年末にかけて書いたカーシェアの料金改定や仕組みについての記事が、想像以上に多くの人に読んでいただけた。
旅の記事を書くつもりで始めたブログが、意外なところで検索に拾われ驚いた。
私も含めてみんな、生活の中のちょっとした変化や「損をしたくない」という気持ちに敏感なのだと思う。
私の小さな疑問や計算が、誰かの役に立ったのなら嬉しい。
綺麗な景色よりも、切実な「生活の知恵」こそが、今求められているのかもしれない。
② プロセス自体がコンテンツになる
「どこへ行ったか」よりも「どうやって行ったか」を書いた記事の方が、読んでもらえることが多かった。
絶景写真よりも、そこに至るまでのルート選びや、失敗も含めた過程を楽しんでもらえたのだろうか。
おそらく、そういったところに人間味が出るのだろう。
来年も、綺麗な上澄みだけでなく、移動の過程を楽しみながら大切にしたい。
③ 文章の「温度」は伝わる
実用的な記事が伸びる一方で、ふと漏らしたコラムのような記事を読んでもらえることもあった。
効率化の時代だからこそ、旅の後味など役に立たないけれど共感できる「体温」のある内容も求められている。
そう信じて書き続けたい。
来年に向けた、小さな宣言
さて、2026年はどう動こうか。大げさな目標を立てると足がすくむので、小さな宣言を3つだけ置いておく。
「移動×体験」の実験を続ける
いかに価値を考えて満足度を上げるか。
このゲーム性はやはり楽しい。来年も「お得な切符」や「意外なルート」を試し、その実験結果を報告したい。
実用と情緒のバランス
役に立つ「HOWTO」と、役に立ちにくい「コラム」。
旅の温度感だけだと、読み手の手元に残りにくいし、
実用だけだと、自分が飽きてしまう。
だから、この2つを両輪のように回していきたい。
まずは「生活の現実」を、淡々と面白がっていきたい。大げさに批判せず、でも流されずに。
そのうえで体験の空気感を残しつつ、「何が不安を減らしたか」「どこが心地よかったか」をもう一段だけ具体化する。
無理なく、止まらない
週一更新を軸にするが、義務感で書くブログはつまらないと信じる。
自分の足で歩き、自分の目で見たものだけを、自分の言葉で書く。
そこは忘れずにいたい。
終わりに
ホットコーヒーも飲み終わったところで。
今年も一年、このブログを訪れてくださり、ありがとうございました。
検索でたまたま辿り着いた方も、定期的に読みに来てくださる方も、画面の向こうにいる「あなた」の存在が、今年初めたての私が更新を続ける励みになりました。
年末年始、もし時間が空いて「どこか行きたいな」と思ったら、過去の記事を少し掘り返してみてください。
それでは、よいお年を。
また来年、このブログでお会いしましょう。
【関連記事:年末年始の読み物に】
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