まだまだ寒さが残る季節ですが、ふとした瞬間に春の気配を感じたいと思ったことはありませんか?
一般的なソメイヨシノよりも一足早く開花する「早咲き桜」は、1月から3月にかけて私たちを楽しませてくれます。
本記事では、早咲き桜の定義や魅力、代表的な品種の違い、そして一度は訪れたい全国の絶景名所を詳しく解説します。
一足早い春の訪れ。「早咲き桜」の定義と魅力とは

まだ冷たい風が吹く季節、ふと見上げると鮮やかなピンク色が目に飛び込んでくることがあります。
それは、春の訪れをいち早く告げる「早咲き桜」かもしれません。
日本の春といえばソメイヨシノが有名ですが、それよりも一足早く咲く桜には、独自の魅力や楽しみ方があります。
まずは早咲き桜の基本的な特徴と、なぜ多くの人を惹きつけるのか、その理由を紐解いていきましょう。
早咲き桜の特徴と開花メカニズム
早咲き桜とは、特定の品種を指す言葉ではなく、一般的なソメイヨシノよりも早い時期に開花する桜の総称です。
地域や気候にもよりますが、多くの場合は1月下旬から3月中旬にかけて開花を迎えます。
真冬の寒さの中で咲き始める品種もあれば、春の彼岸前に満開を迎える品種もあり、その種類は多岐にわたります。
桜が開花するためには、一度冬の寒さにさらされて「休眠」から目覚める(休眠打破)必要があります。
早咲き桜の多くは、この休眠から目覚めるタイミングが早い、あるいは目覚めた後に花芽が成長するための温度に対する反応が敏感であるため、他の桜に先駆けて花を咲かせることができるのです。
ソメイヨシノとの違いと鑑賞のメリット
私たちがよく知るソメイヨシノと比較すると、早咲き桜には鑑賞者にとって嬉しいいくつかのメリットがあります。
一つ目の大きな違いは「花の色」です。
ソメイヨシノが淡い薄ピンク色であるのに対し、寒緋桜(カンヒザクラ)や河津桜(カワヅザクラ)など代表的な早咲き桜は、花弁のピンク色が濃く鮮やかであるという特徴を持っています。
そのため、まだ冬枯れしている景色の中でも際立って美しく見え、青空とのコントラストも抜群で写真映えします。
二つ目のメリットは「開花期間の長さ」です。
ソメイヨシノは満開から1週間程度で散り始めてしまいますが、早咲き桜は気温が低い時期に咲くため花の進みが遅く、1ヶ月近くにわたって見頃が長く続く傾向があります。
「予定を立てていたのに、週末の雨で散ってしまった」ということが少なく、お花見の計画を立てやすいのも大きな魅力といえるでしょう。
【2月〜3月】早咲き桜の代表的な品種5選と開花時期

一口に「早咲き桜」といっても、そのルーツや咲き方は実にさまざまです。
「見に行ったけれど思っていた桜と違った」ということがないように、代表的な5つの品種について、その特徴と開花時期を詳しく見ていきましょう。
(※ここで紹介する開花時期は関東地方を基準とした目安です。気候や地域により変動します。)
1. 寒緋桜(カンヒザクラ):1月〜2月

早咲き桜のルーツとも言える存在で、沖縄県で「桜」といえば一般にこの寒緋桜を指します。
最大の特徴は、釣り鐘状の花が下向きに咲くことと、梅の花のように濃い緋色(赤に近いピンク色)をしている点です。
花弁は散らずに、花の形のままぽとりと落ちるのも特徴的です。
寒さに弱いため、主に関東以西の暖かい地域で見られますが、その鮮やかな色は見る人に強いインパクトを与えます。
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2. 熱海桜(アタミザクラ):1月〜2月

その名の通り、静岡県熱海市を中心に多く植栽されている品種です。
寒緋桜と山桜の雑種と推定されており、日本で最も早咲きの桜のひとつとして知られています。
開花期間が非常に長いのが特徴で、ひとつの枝に「早期に咲く花芽」と「後期に咲く花芽」の二段構えで形成されるため、1ヶ月以上にわたりお花見を楽しむことができます。淡い紅色で、花びらは大きめです。
3. 河津桜(カワヅザクラ):2月〜3月

本州の早咲き桜として、現在最も知名度と人気が高い品種です。
その名の通り、1955年に静岡県の河津町で発見されました。寒緋桜と大島桜の自然交雑種と考えられています。
ソメイヨシノよりも花弁が大きく、鮮やかなピンク色をしているのが特徴です。
満開の時期はもちろん美しいですが、咲き始めの6分咲き程度でも十分に色が濃く見応えがあるため、長い間にわたり観光客を楽しませてくれます。
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4. 寒桜(カンザクラ):1月〜2月

古くから栽培されている品種で、熱海桜と同様に寒緋桜と山桜の雑種とされています。
名前の通り、まだ寒さの厳しい1月から咲き始めるのが特徴です。
花の色は淡い紅色で、花びらはやや小さく、清楚で上品な印象を与えます。
公園や庭園によく植えられており、都内でも新宿御苑や上野恩賜公園などで、春の訪れを告げるようにひっそりと、しかし力強く咲く姿が見られます。
5. 陽光桜(ヨウコウザクラ):3月中旬

愛媛県の高岡正明氏によって、「暑い国でも寒い国でも咲くように」という平和への願いを込めて作出された品種です。
アマギヨシノと寒緋桜の交配種です。
ソメイヨシノが開花する直前、3月中旬頃に見頃を迎えます。
大輪で色が濃く、枝全体にぼんぼりのように花がつくため、非常に華やかで見栄えがします。
病気にも強い特徴があり、街路樹や学校の記念樹として全国的に普及が進んでいます。
週末旅行におすすめ!早咲き桜の絶景名所【全国エリア別】

早咲き桜はソメイヨシノに比べて植栽されている場所が限られていますが、その分、名所と呼ばれるスポットでは圧巻の景色が広がります。
ここでは、わざわざ足を運ぶ価値のある、全国の早咲き桜の絶景スポットを厳選してご紹介します。
【静岡県】河津町「河津桜並木」

早咲き桜の代名詞とも言えるのが、静岡県賀茂郡河津町の河津桜並木です。
河津川沿いの約4kmにわたり、約850本の桜がピンク色のトンネルを作ります。
最大の見どころは、足元に咲く「菜の花の黄色」と「桜の濃いピンク色」のコントラストです。
毎年2月1日から2月末にかけて開催される「河津桜まつり」の期間中は、多くの露店が立ち並び、夜には幻想的なライトアップも行われます。
【神奈川県】三浦海岸「河津桜並木」

都心から日帰りで気軽にアクセスできる人気スポットです。
京急久里浜線の三浦海岸駅から小松ヶ池公園までの沿道、約1kmにわたって約1,000本の河津桜が咲き誇ります。
ここは鉄道ファンにも人気のスポットで、「京急線の赤い電車」と桜並木を一緒に撮影できるのが魅力です。
見頃を迎える2月中旬から3月上旬には「三浦海岸桜まつり」が開催され、特産品の三浦大根や海産物を楽しむこともできます。
【京都府】淀水路「河津桜」

早咲き桜の名所が少ない関西エリアにおいて、近年注目を集めているのが京都市伏見区の淀水路(よどすいろ)です。
地元住民の方々によって植樹された約200本の河津桜が、水路沿いを華やかに彩ります。
水路沿いの遊歩道は整備されており、比較的ゆったりと散策を楽しむことができます。
満開時には水面に桜が映り込むリフレクションが美しく、京都らしい風情ある写真が撮れると評判です。
【沖縄県】今帰仁城跡「寒緋桜」

「日本一早いお花見」を楽しみたいなら沖縄県がおすすめです。
世界遺産である今帰仁城跡(なきじんじょうせき)では、1月下旬から2月中旬にかけて寒緋桜が見頃を迎えます。
琉球石灰岩で作られた重厚な城壁(グスク)と、濃いピンク色の桜のコラボレーションは、本土の桜スポットとは一味違う異国情緒あふれる絶景です。
夜間のライトアップでは、城壁が幻想的に照らし出されます。
【東京都】旧中川「河津桜・大寒桜」

遠出は難しいけれど、都内で一足早い春を感じたいという方におすすめなのが、江戸川区と江東区の境を流れる旧中川沿いです。
ここでは河津桜だけでなく、淡いピンク色が美しい大寒桜(オオカンザクラ)なども楽しむことができます。
河川敷から見上げると、「東京スカイツリー」を背景に桜を撮影できる最高のロケーションです。
有名公園ほど混雑していないことも多く、ゆっくり散歩を楽しむには最適の穴場スポットです。
早咲き桜のお花見を快適に楽しむためのポイント

早咲き桜の見頃は、暦の上では春とはいえ、体感的にはまだまだ真冬の寒さが残る時期です。
せっかくのお花見を心から楽しむために、事前に知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
1. 服装は「真冬仕様」で防寒対策を万全に
日中は日差しが暖かくても、日が陰った途端に急激に気温が下がることがあります。
特に川沿いの名所などは風が冷たいため注意が必要です。
春物のコートではなく、ダウンジャケットや厚手のコートを選びましょう。
首元を温めるマフラーやストール、手袋、使い捨てカイロなどは必須アイテムです。
夜桜を見に行く場合は、足元からの冷えを防ぐために厚手の靴下を履くことをおすすめします。
2. 濃いピンク色を活かした写真撮影のコツ
早咲き桜の魅力である「濃いピンク色」をきれいに写真に収めるには、光の向きが重要です。
太陽を背にして撮る「順光」だと、「空の青」と「桜のピンク」のコントラストがくっきりと浮かび上がります。
また、ソメイヨシノよりも花が密集して咲く品種が多いため、少し近づいてアップで撮影すると、画面いっぱいに春色が広がる迫力ある一枚が撮れます。
3. 人気スポットへのアクセスは「早朝」が鍵
河津桜まつりなどの有名イベント期間中は、周辺道路が大変混雑し、駐車場に入るだけで数時間待ちということも珍しくありません。
渋滞を避けるためには、公共交通機関(電車)を利用するのが最も確実です。
車で訪れる場合は、朝9時前には現地に到着するように計画を立てるか、少し離れた駅の駐車場に車を停めてパークアンドライドを利用するなど、混雑回避の工夫をしましょう。
早咲き桜に関するよくある質問

最後に、早咲き桜についてよく検索される疑問をQ&A形式でまとめました。
Q. 日本で一番早く咲く桜はどこで見られますか?
品種や地域によりますが、沖縄県の「寒緋桜」や静岡県熱海市の「熱海桜」が日本で最も早咲きと言われています。
特に沖縄の寒緋桜は1月中旬頃から開花し、日本一早いお花見として知られています。本州では、熱海桜が例年1月から見頃を迎えます。
Q. 早咲き桜とソメイヨシノの見分け方は?
最もわかりやすい違いは「花の色」です。
ソメイヨシノが白に近い淡いピンク色であるのに対し、多くの早咲き桜(河津桜や寒緋桜など)は濃いピンク色や紅色をしています。
また、花びらが散らずに花の形のまま落ちる品種(寒緋桜など)があるのも特徴です。
Q. 3月に入ってからでも早咲き桜は見られますか?
はい、見られます。
河津桜は2月下旬から3月上旬にかけて満開になる地域が多く、遅咲きの個体や北関東などの寒冷地であれば3月中旬まで楽しめます。
また、3月中旬からは「陽光桜」や「大寒桜」といった品種が見頃を迎えるため、ソメイヨシノが開花する直前まで早咲き桜のリレーは続きます。
まとめ:早咲き桜で一足早い春を感じに行こう

ここまで、早咲き桜の代表的な品種や全国の名所、楽しむためのポイントについて解説してきました。
早咲き桜は、長く厳しい冬の終わりに、私たちに温かい春の訪れを教えてくれる特別な存在です。
ソメイヨシノのような儚さとはまた違った、生命力あふれる力強いピンク色の花は、見る人の心を明るく元気にしてくれます。
「今年のお花見はどこに行こうかな」と考え始めたら、ぜひ少し時期を早めて、早咲き桜に会いに行ってみてはいかがでしょうか。
きっと、一足早い春の感動があなたを待っています。