春の訪れとともに心待ちにするのが桜の開花。
昼間の青空に映える桜も素敵ですが、夜の闇に浮かび上がる「夜桜」には、別格の艶やかさと幻想的な美しさがあります。
日本全国に数ある名所の中で、特に美しいとされる「日本三大夜桜」をご存知でしょうか?
実は、以下の3つのスポットがそのように称されています。
- 高田城址公園(新潟県)
- 上野恩賜公園(東京都)
- 弘前公園(青森県)
「聞いたことはあるけれど、具体的に何がすごいの?」「いつ頃行けば満開の夜桜が見られるの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、本記事では日本三大夜桜のそれぞれの特徴や見どころ、例年の見頃時期を徹底解説します。
ライトアップされた桜が水面に映る「水鏡」や、無数のぼんぼりが織りなす光のトンネルなど、一生に一度は見ておきたい絶景ばかりです。今年のお花見旅行の計画に、ぜひお役立てください。
日本三大夜桜とはどこ?その定義と選定された理由

春の風物詩であるお花見ですが、昼間の爽やかな景色とは一変し、幻想的で艶やかな表情を見せるのが「夜桜」の魅力です。
日本全国には数多くの桜の名所が存在しますが、その中でも特に夜のライトアップされた景観が美しいとされる3つのスポットが「日本三大夜桜」として広く知られています。
まずは、選定されている3つのスポットと、よく混同されがちな「日本三大桜」との違いについて解説します。
高田城址公園・上野恩賜公園・弘前公園の3箇所
一般的に「日本三大夜桜」と称されているのは、以下の3つの公園です。
- 高田城址公園(新潟県上越市)
- 上野恩賜公園(東京都台東区)
- 弘前公園(青森県弘前市)
これらは単に桜の本数が多いというだけでなく、お城や水辺とのコントラスト、歴史的な背景、そしてぼんぼりや照明による演出技術が極めて高いことから選ばれています。それぞれが異なる魅力を持っており、一生に一度は訪れたい絶景スポットとして国内外から人気を集めています。
「日本三大桜」や「日本三大桜の名所」との違いとは?
よくある間違いとして「日本三大桜」や「日本三大桜の名所」との混同が挙げられますが、これらは「ライトアップまで含めた夜桜の美しさ」を指すのか、「特定の木」を指すのか、「単純に桜鑑賞(お花見)の名所」を指すのかという点で明確に異なります。
「日本三大桜」とは、三春滝桜(福島県)、山高神代桜(山梨県)、根尾谷淡墨桜(岐阜県)という、国指定の天然記念物である歴史ある一本桜(古木)のことです。
「日本三大桜の名所」とは、弘前公園(青森県)、吉野山(奈良県)、高遠城址公園(長野県)という、景観としての桜の名所のことです。
また、「日本三大桜の名所」は比較的最近から使われるようになった分類で、とりあげるメディアなどによっては若干の差があることがあります。
一方、今回ご紹介する「日本三大夜桜」は、公園全体がライトアップされ、夜桜を中心に空間全体の美しさを楽しむスポットです。
目的や楽しみ方が異なるため、旅行の計画を立てる際は間違えないように注意しましょう。
【新潟県】高田城址公園|約3,000個のぼんぼりが織りなす「桜ロード」

新潟県上越市にある高田城址公園は、徳川家康の六男・松平忠輝公の居城跡に整備された公園です。
春になると約4,000本のソメイヨシノが咲き誇り、開催される「高田城址公園観桜会」には多くの観光客が訪れます。ここの最大の特徴は、なんといっても約3,000個もの「ぼんぼり」による幻想的なライトアップです。
高田城三重櫓と桜のライトアップが描く絶景
高田城址公園のシンボルといえば、復元された「高田城三重櫓(さんじゅうやぐら)」です。
夜になると三重櫓が美しくライトアップされ、その輝く姿とお堀を取り囲む桜が水面に映り込みます。「お城・桜・お堀の水鏡」が三位一体となった景色は、まさに日本の春を象徴する絶景です。暗闇に浮かび上がるぼんぼりの灯りが、お城の荘厳な雰囲気をより一層引き立て、幽玄の世界へと誘います。
人気撮影スポット「さくらロード」の魅力
広大な公園内でも、特に人気の高いスポットが「さくらロード」と呼ばれる桜のトンネルです。
頭上を覆うように咲く桜がぼんぼりの柔らかな光に照らされ、まるで光の回廊を歩いているようなロマンチックな体験ができます。LEDの鋭い光とは異なり、ぼんぼり特有の温かみのある光が、桜の花びらを淡く優しく染め上げるのが高田城址公園ならではの魅力と言えるでしょう。
例年の見頃:4月上旬~4月中旬
高田城址公園の桜の見頃は、例年4月上旬から4月中旬頃です。
北陸地方にあるため、東京などの関東平野部より少し遅れて満開を迎えます。夜はまだ冷え込むことが多いため、コートやストールなど温かい服装で出かけることをおすすめします。
【東京都】上野恩賜公園|江戸時代から続く伝統と賑わいの夜桜

東京都台東区にある上野恩賜公園は、日本を代表する桜の名所であり、「上野の山」として古くから親しまれています。
その歴史は古く、江戸時代に寛永寺が創建された際、境内に桜が植えられたことが始まりと言われています。都会の真ん中で約800本の桜が一斉に咲き誇る圧倒的な量感は、東京の春の象徴とも言える光景です。
俳句にも詠まれた歴史ある桜並木
上野の桜は、俳人・松尾芭蕉が「花の雲 鐘は上野か 浅草か」と詠んだことでも有名です。
メインストリートである「さくら通り」には、夜になると1,000個以上のぼんぼりが灯ります。都会の夜景とぼんぼりの柔らかな明かりが融合し、江戸の粋を感じさせるような華やかで賑やかな夜桜を楽しむことができます。
仕事帰りにも立ち寄れるアクセスの良さと周辺環境
上野恩賜公園の最大の魅力のひとつが、抜群のアクセスの良さです。
JR上野駅「公園口」から徒歩すぐという立地にあり、新幹線や地下鉄も乗り入れているため、仕事帰りや買い物のついでに気軽に立ち寄れるのが大きなメリットです。周辺には美術館や博物館、動物園もあり、昼間は文化鑑賞、夜は夜桜といった一日を通した楽しみ方ができるのも上野ならではです。
例年の見頃:3月下旬~4月上旬
上野恩賜公園の桜の見頃は、例年3月下旬から4月上旬頃です。
日本三大夜桜の中では最も早く見頃を迎えます。開花時期は非常に多くの花見客で賑わうため、ゆっくりと鑑賞したい場合は、比較的混雑が落ち着く平日や、ライトアップ終了間際の時間帯を狙うのも一つの手です。
【青森県】弘前公園|死ぬまでに見たい「花筏(はないかだ)」と水鏡

青森県弘前市にある弘前公園は、弘前城の敷地に広がる公園で、約50種類・2,600本の桜が咲き乱れる東北屈指の名所です。
その美しさは「日本一の桜」と称されることも多く、海外のメディアからも「死ぬまでに行きたい世界の絶景」として選ばれるほど。圧倒的なボリューム感とスケールの大きさは、他のスポットとは一線を画しています。
お濠を埋め尽くすピンクの絨毯「花筏」の美しさ
弘前公園の代名詞とも言えるのが、散り際に見られる「花筏(はないかだ)」です。
散った桜の花びらがお濠(ほり)の水面を隙間なく埋め尽くし、まるでピンク色の絨毯(じゅうたん)を敷き詰めたような光景が広がります。夜にはライトアップされた花筏が幻想的に輝き、息をのむような美しさを放ちます。満開の時期だけでなく、散り際こそが一番の見頃とも言われる珍しいスポットです。
日本最古のソメイヨシノと「弘前方式」の管理技術
弘前公園の桜がなぜこれほど美しいのか、その秘密は「弘前方式」と呼ばれる独自の管理技術にあります。
日本一の生産量を誇る「りんご」の剪定(せんてい)技術を桜に応用しており、一般的な桜よりも低い位置に枝を広げ、一つのつぼみから咲く花の数が多いのが特徴です。この技術により、現存する日本最古のソメイヨシノ(樹齢140年以上)をはじめ、多くの古木が今なお力強く花を咲かせています。
例年の見頃:4月中旬~5月上旬
弘前公園の桜の見頃は、例年4月中旬から5月上旬頃です。
ちょうどゴールデンウィークの時期と重なることが多く、連休の旅行先としても非常に人気があります。本州最北端に近い場所にあるため、関東や関西で桜を見逃してしまった方でも、ここでなら満開の桜を楽しむことができます。
日本三大夜桜を徹底比較!鑑賞のポイントと注意点

ここまで紹介した3つのスポットは、それぞれ地域も時期も異なります。
「自分はどこに行くのがベストなのか」を判断しやすいように、見頃の時期やライトアップ時間などの基本情報を比較表にまとめました。また、夜桜鑑賞ならではの注意点も紹介します。
見頃の時期とライトアップ時間を比較
3スポットの例年の傾向を一覧にしました。天候によって変動するため、出発前には必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
| スポット名 | 例年の見頃 | ライトアップ時間(目安) |
|---|---|---|
| 上野恩賜公園 (東京) |
3月下旬 ~4月上旬 |
17:00~20:00頃 ※ぼんぼり点灯 |
| 高田城址公園 (新潟) |
4月上旬 ~4月中旬 |
日没~21:00頃 (最盛期は22:00頃) |
| 弘前公園 (青森) |
4月中旬 ~5月上旬 |
日没~22:00頃 (予定) |
上野は仕事帰りにサクッと、高田と弘前は旅行計画を立ててじっくり滞在するのがおすすめです。
夜桜鑑賞に持っていくと便利な持ち物リスト
春とはいえ、夜は急激に気温が下がります。特に水辺にある高田城址公園や弘前公園は、想像以上に冷え込むため防寒対策が必須です。
- 厚手の上着・ストール:脱ぎ着しやすいものが便利です。
- 使い捨てカイロ:ポケットに入れておくだけで安心感が違います。
- モバイルバッテリー:暗所での撮影はバッテリー消費が激しいため必須です。
- ウェットティッシュ・ゴミ袋:屋台グルメを楽しむ際のマナーとして携帯しましょう。
混雑を避けてゆっくり楽しむためのコツ
日本三大夜桜はいずれも超人気スポットのため、混雑は避けられません。しかし、少しの工夫で快適度は大きく変わります。
狙い目は「平日の夜」または「ライトアップ終了間際の1時間」です。団体客が帰り始める20時以降は、比較的ゆっくりと撮影や鑑賞を楽しめるチャンスが増えます。また、弘前公園や高田城址公園では有料の観覧席が設けられることもあるため、事前に予約状況をチェックしておくと良いでしょう。
まとめ:それぞれの特徴を知って日本三大夜桜の絶景を満喫しよう

今回は、日本三大夜桜に数えられる「高田城址公園」「上野恩賜公園」「弘前公園」について、その定義と魅力を深掘りしてご紹介しました。
同じ「夜桜」といっても、その表情はスポットによって全く異なります。
- 高田城址公園(新潟):ぼんぼりの灯りと三重櫓が織りなす幻想的な世界
- 上野恩賜公園(東京):江戸の粋と都会の賑わいを感じるアクセスの良さ
- 弘前公園(青森):圧倒的なスケールと死ぬまでに見たい「花筏」
どのスポットも、写真や映像では伝えきれない感動が現地にはあります。ぜひ今年の春は、実際に足を運んで、日本の夜を彩る桜の絶景を目に焼き付けてみてはいかがでしょうか。
開花時期は気候によって変動しますので、出発前には必ず最新の開花状況をチェックして、最高の夜桜体験を楽しんでくださいね。