東北大の大学院生に聞かれて気づいた、スマート農業のホントの課題
先日、修士論文の研究で、東北大学の大学院生からヒアリングを受けました。
普段は私が農家さんや行政にヒアリングをする側なので、逆に質問を受けるのはちょっと新鮮。
でもその時間が、スマート農業の未来を考えるうえで、とても大きな気づきをくれました。
「技術はあるのに、なぜ進まないの?」という素朴な疑問
学生さんからの最初の質問はこんなものでした。
「AIやドローン、ロボットってあるのに、なぜ日本ではあまり使われていないんですか?」
そう、技術自体はすでにあるんです。
でも現場を見ると「思ったほど広がっていない」というのが実態。
私はこう答えました。
農業データは思ったほど大量じゃなく、効果を証明するのに時間がかかる
サービス同士のつなぎ込みや、データの権利の扱いが複雑
「自分でやればタダ」という考え方が根強く、投資対効果が理解されにくい
つまり、技術そのものより「人や文化」の壁が大きいんです。
「経験と勘」vs「データ」
日本の農業は長い間、「経験と勘」に支えられてきました。
この文化を私は KKO(経験・勘・思い込み) と呼んでいます。
一方で、スマート農業はデータとロジックで動きます。
つまり、新しい“アプリ”を入れようとしても、古い“OS”とぶつかってしまう。
学生さんにそう説明したら、
「なるほど、文化の問題なんですね!」とすごく納得してくれました。
データを「見せない」文化
もう一つ大きな壁があります。
それは、データを共有したがらないこと。
例えば、
自分の技術を真似されたくない
クラウドにデータを預けるのが不安
ルールがはっきりしていない
こうした理由で、農家さんの多くはデータを公開したがりません。
でも、もしみんなでデータを持ち寄れたら?
地域全体で最適なやり方を見つけて、強いブランドを作ることだってできるんです。
つまり、未来への扉に自分たちで鍵をかけてしまっている状態なんですね。
お金を出しているのは誰?
さらに面白いのは「スマート農業を動かしているお金はどこから来ているか」という点。
実は、
半分近くは大企業
3割以上は国や自治体
農家さん個人はほんのわずか
つまり「現場の農家から自然に広がっている」わけではなく、上からのトップダウンなんです。
だからこそ、現場でうまく根づかないことも多い。
必要なのは「新しい機械」より「新しい人」
結局、スマート農業を進めるカギは「機械」じゃなくて「人」だと思います。
私はそれを スマートファーマー と呼んでいます。
スマートファーマーは、
伝統の知恵を大事にしつつ
ビジネス感覚も持ち
データを使って意思決定し
そして新しい技術も取り入れていく
そんな“新しい農家像”です。
こうした人材が増えていけば、農業はもっと「かっこよく・稼げて・感動がある」産業になれると信じています。
ヒアリングを受けて思ったこと
今回、学生さんから質問を受けてみて、私自身の考えも整理されました。
スマート農業の課題は「技術が足りない」ことではなく、
マインドセット
データの秘密主義
お金の流れ
といった“目に見えにくい構造”にある。
だからこそ、次世代の若い人たちとこうして対話を重ねることが大切なんだと思います。
まとめ
東北大の大学院生からのヒアリングを通じて、改めて実感しました。
農業DXの未来を切り開くには、
OS(文化や制度)をアップデートすること
スマートファーマーを育てること
データを地域でシェアして使い倒すこと
これが大切です。
「農業をかっこよく・稼げて・感動があるものに!」
そのために、これからも次世代と一緒に未来をつくっていきたいと思います。
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