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マガジン一覧

Human Creative OS|思考を更新するデザイン論

クリエイティブの現場では、道具よりも“人のOS”が先に限界を迎える。 判断の癖、反応の速さ、コラボレーションの質。 それらはすべて、個人が持つ「OS(思考の構造)」によって決まる。 この連載では、syncity代表・ヤナギタジョーが、 デザインと思考、チームとコラボレーションのあいだにある “人間起点のCreative OS”について掘り下げていく。 テック企業が語るCreative Opsとは少し違う。 僕たちはアプリをつくらない。OSを更新するのは、常に“人”だ。 小さな仕様変更が、創造性を大きく変える。 そのプロセスと構造を、できるだけシンプルにわかりやすく届けていく。

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【Human Creative OS #03】OSとしての余白|何もしていない時間が、すべてを動かしている

1章|手が止まるとき、OSは動いているアイデアが出ない。 言葉が降りてこない。 判断が遅くなる。 そういう瞬間を、以前は“エラー”だと思っていた。 けれど、動けない時間をよく観察してみると、 その裏では必ず何かが整理されている。 感情のひっかかりがほどけたり、 新しい視点を受け入れる余裕が生まれたり、 どこに向かいたいのかが静かに輪郭を持ち始めたり。 表面では何も起きていないように見えても、 OSはちゃんと動いている。 余白は、停滞ではなく“見えない作業”が行われてい

【Human Creative OS #02】OSとしてのチーム|役割よりも“同期”が先にある

1章|役割より前にある“初期設定”プロジェクトでは、まず役割分担が話題になる。 誰が書くのか、誰が設計するのか、誰が決めるのか。 そうやって仕事を“配置”していく。 だけど、人が集まるときに本当に影響しているのは、 もっと静かな領域だ。 何を大事にして仕事を始めるのか。 解像度を上げるタイミングはどこか。 曖昧な状況に強いのか、整った状態が安心するのか。 判断を急ぎたいタイプなのか、丁寧に積み上げたいのか。 こうした“初期設定”は、本人も気づかないまま動作している。 そ

【Human Creative OS #01】OSとしてのジブン|創造性はどこからアップデートされるのか

1章|人はみな“OS”で動いている僕たちの行動には、それぞれ固有の“OS”がある。 判断の仕方、集中するタイミング、戸惑う瞬間。 それらは、日々の積み重ねから生まれた“設定ファイル”のようなものだ。 ただ、このOSは自動では更新されない。 環境が変わっても、役割が変わっても、 人はしばらく古い仕様のままで動こうとする。 だからズレが起きる。 仕事が噛み合わなくなったり、同じミスを繰り返したりする。 それは才能の問題ではなく、 「今の世界に対して古いOSで動いている」 とい

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【事例】境界を越えるデザイン|Case Study

デザインスタジオ syncity が手がけた「実績」の制作の裏側をまとめたケーススタディ・マガジンです。 ブランドサイト、ECサイト、コーポレートサイト、採用サイト、ブランドムービーなどのアウトプットだけでなく、その背景にある課題設定や情報設計、アートディレクション、実装プロセス、チームの関わり方までを言語化していきます。 コーポレートサイトの実績ページでは伝えきれない、プロジェクトの“思考の軌跡”に触れていただければうれしいです。発注を検討している方はもちろん、デザインやブランディングに関わる方のヒントになればと思います。

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哲 / TETSU(西堀酒造)|150年の酒蔵が挑むウイスキーのブランドムービー

伝統から紡ぐ、新しい酒造り【背景】 新しい挑戦と、150年の歴史西堀酒造は150年以上、日本酒の文化を支えてきた酒蔵。その一方で、日光街道小山蒸溜所のブランドの開始により「ウイスキー」という新たな挑戦が始まっていました。 とはいえ、急進的に過去を捨てるのではなく、歴史や哲学を丁寧に未来へつなげながら、新たな価値へ昇華させていく必要がありました。 日本酒蔵としての哲学と技術を、ウイスキーへどう翻訳するか “日本らしさ”を過度に演出せず、自然な文脈で伝えられるか 150年

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000(トリプル・オゥ)|桐生の自然と職人の技を結び、やさしさを映像化するブランドムービー

再定義した“やさしい更新”という視点【背景】 技術と歴史をどう映像で“訳す”かトリプル・オゥのアクセサリーの背後には、140年の継承と職人の哲学が宿っています。syncityはその本質を映像で伝えるため、ただ歴史を説明するのではなく “思想をどう可視化するか” という問いから制作をスタートしました。 現場でのリサーチを通して見えてきたのは、笠盛が実践してきた「断ち切らずに、つなぎ直す」という姿勢。 そこから Hard Reset(強制的な初期化)ではなく、Softer Re

KYO|紅と墨が描く、俳優の「今日」をひらくブランドサイト

今日という瞬間を照らすサイト【背景】 今日という「今」をどう可視化するかKYO は俳優それぞれの“今”を丁寧に見せるためのブランドサイトを必要としていました。事務所名である「KYO=今日」から紐づくクライアント側のコンセプトとして、「今日を最も象徴する現象=日の出」 が世界観の核に据えられました。 俳優の“今日”を伝えるための象徴としての「日の出」 個性と統一感が共存する世界観の構築 俳優を“プロフィール一覧”ではなく“今の表現”として見せる必要性 これらを踏まえ、

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Open House Group Recruitment|未来の仲間に響く採用サイトリニューアル事例

"採用の顔"としてのWebサイト【背景】 情報の強みを次のフェーズへ従来の採用サイトには、事業や職種紹介など多くの情報が揃っていました。 しかしその豊富さゆえに、候補者が知りたい情報に最短でたどり着くための工夫には、まだ伸びしろがありました。 また、オープンハウスグループの持つ 成長性や挑戦を後押しするカルチャー を、よりダイレクトに感じられるビジュアルやUX表現へと進化させる必要がありました。 つまり「すでに強い採用力」を、さらに未来志向で磨き上げることが今回のプロジェ

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【仲間】仲間たちの想い|syncityをかたちづくる人々の声

「仲間たちの想い」は、syncityで共にデザインするメンバーの言葉を通して、 デザインの裏側にある“人”を描くシリーズです。 それぞれの原点、価値観、迷いや挑戦。 仕事の姿勢や日々の気づきの中に、 syncityというチームの輪郭がにじんでいきます。 デザインは、ひとりではできない。 この場所で紡がれる想いと、そこに流れる時間を記録していきます。

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【仲間たちの想い #04】近藤圭介 | 境界を疑い、価値を再構築する

Q1. デザインに興味を持ったきっかけは? 近藤圭介: グラフィックに興味を持ったのは10代の頃です。 当時はパンクやハードコア、USインディなどの音楽に夢中で、CDやレコード、ポスター、カルチャー雑誌などのアートワークに心を奪われていました。 「こういうものを作る人がいるんだ」と知ったとき、グラフィックデザイナーという職業に強い憧れを持ちました。 ただ、すぐにデザインの道に進んだわけではなく、地元の熊谷でバンドを組み、イベントやフライヤー制作、アーティストのTシャツデ

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【仲間たちの想い #03】伊藤優樹 | 揺るぎない眼差しで、デザインを磨き続ける

Q1. デザインの道に進んだきっかけは? 伊藤優樹: 大学では経営学を専攻していましたが、2年生のときにメディア系のゼミに入り、アニメーション作品の調査や分析を通して、コンテンツ制作の仕組みに触れました。 同時に、IllustratorやPhotoshopの使い方も独学で学び、デザインへの興味が深まっていきました。 もともと絵を描いたり、何かをつくることが好きで、「いつかはデザインの仕事をしたい」と思っていた頃、共通の知人を通じてジョーさんを紹介してもらい、弟子入りという

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【仲間たちの想い #02】小野里研治 | 汲み取る力で、デザインをつなぐ

Q1. デザインを始めたきっかけは? 小野里研治: 僕は群馬出身で、学生時代からデザインを学んでいました。卒業後、上京して紙媒体を中心に扱うデザイン事務所に入社したのがキャリアの始まりです。いわゆるグラフィックデザイン畑ですね。 最初はとにかく現場のスピードについていくのがやっとで、デザイン以前に“仕事の姿勢”を学ぶ毎日でした。思い通りにならないことばかりでしたが、その分、自分を見つめ直す機会が多かったと思います。 社会に出てから痛感したのは、「好きなことを仕事にする」こ

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【仲間たちの想い #01】ヤナギタジョー | 境界を越えるために、デザインがある

Q1. 原点について教えてください。 ヤナギタジョー: 僕は群馬の桐生で育ちました。昔から織物の町として知られていて、古い工場や町並みが残っている一方で、新しい店や文化も入ってくる。その“混ざり合い”の風景が、自然と自分の感覚を育てていたように思います。 小学生の頃に父を亡くしたのですが、それをきっかけに学校に行けなくなりました。周囲が当たり前のように学校へ通い、受験や部活に向かっているのに、自分だけがそこから外れている。その孤独感は大きかった。 でも今振り返ると、その「

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【インタビュー】成功の物語

syncityとクライアントが共に歩んだ挑戦の軌跡をインタビュー形式で記録。その成果や学びをご紹介します。

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【成功の物語 #04】“デザインによって売上も変わる、ということを教えてくれました” | 株式会社Cafe FUJINUMA

プロジェクト概要プロジェクト 株式会社Cafe FUJINUMA 対応領域 ブランドデザイン 今回のプロジェクトが始動した背景、抱えていた課題「僕は創業時からの企業理念として、この栃木県小山市からコーヒーを軸にした“文化”を発信していきたいという想いがありました。syncity代表のヤナギタさんには創業時の会社ロゴからメニューまで長年トータルでデザインをお願いしているのですが、今回の新店舗TERMINALは地元の駅下に出来たこともあり、これまで以上にフレンドリーで、老

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【成功の物語 #03】“編集的目線とファッションの共通言語があるから実現したサイト構築”| 株式会社ハイビジョン

プロジェクト概要プロジェクト ウェブメディア「highvision Magazine」 株式会社オンワード「ONWARD ADVANCED SYSTEM」 対応領域 ブランドデザイン デジタルデザイン 今回のプロジェクトが始動した背景、抱えていた課題「近年はファッション関連のクライアントさんから『自社のウェブサイトをメディア的にしていきたい』という相談をいただくことが多いのですが、いわゆるブランドサイトとメディア的なウェブサイトというのは、似ているけど機能面やデザイ

【成功の物語 #02】“マーケティング的視点で、情緒性あるデザインやUI設計ができる希少な存在” | 株式会社Y&L Projects

プロジェクト概要プロジェクト バカルディ ジャパン株式会社  「ボンベイ・サファイア ジントニック・アートグラス・コンペティション」 対応領域 ブランドデザイン デジタルデザイン 今回のプロジェクトが始動した背景、抱えていた課題「ボンベイ・サファイアはお酒のジンのブランドですが、ブランドコンセプトとして“クリエイターやアーティストをエンカレッジ(支援)する”というDNAを持っていました。『ジントニック・アートグラス・コンペティション』というアイデア自体はクライアント

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【成功の物語 #01】“構築とデザイン両面のバランス、そのロジカルなプロセスにも刺激を受けました” | 株式会社monopo tokyo

プロジェクト概要プロジェクト 株式会社サーキュレーション コーポレートサイト&リクルートサイト 対応領域 ブランドデザイン デジタルデザイン 今回のプロジェクトが始動した背景、抱えていた課題「株式会社サーキュレーション様は“プロシェアリング”と呼ばれるプロフェッショナルな人材派遣のリーディングカンパニーですが、企業ロゴなども一新するタイミングで弊社にサイトリニューアルの相談をいただきました。ビジュアルデザイン面でしっかりエッジが立ちつつ、あくまでBtoBサービスなの

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【連載】syncityという縁側から

syncityは、ブランドデザイン・デジタルデザイン・ビジネスデザインの3領域を横断しながら、企業やプロジェクトの“本質”をかたちにしていくデザインスタジオです。 本連載では、代表・ヤナギタジョーが、これまでに見てきた風景、越えてきた境界、育んできた思想を、自身の原体験や実務を通して綴ります。 テーマは、越境、余白、対話、縁側、在り方、ふるまい、そして「言葉が届かない場所」 ビジュアルや言葉の奥にある、まだ言語化されていない違和感や可能性に耳を澄ませながら、12のスケッチとしてその思索を記録していきます。 これは、「syncity」という“場”からはじまる、思考と創造の軌跡でもあります。

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【syncityという縁側から#12】次の縁側へ | 名前を越え、境界を越えて

名前を越えて若い頃の僕は、ただ「デザイナー」になりたかった。 美しいものをつくりたくて、誰よりも納得できるものをつくりたくて。 毎日朝まで働いて、気づけば2度も居眠り運転で事故を起こしていた。 そんな僕に、組織人としての自覚はなかったと思う。 正直に言えば、扱いづらい人間だった。 でも、それでも見捨てずに、隣にいてくれるパートナーがいた。 会社の役職や肩書きではなく、「ジョー」という名前のまま、創造する人間として関わってくれる人がいた。 思えば、あの頃からずっと、名前

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【syncityという縁側から#11】チームは生きている | 生態系としての創造の場

つながりのかたち人と人、領域と領域、思考と感覚。 異なるものが交わるとき、そこには必ず“ズレ”や“ゆらぎ”が生まれる。 でもそのあいだにこそ、新しいかたちが静かに育ち始める。 syncityのプロジェクトも、誰かが引っ張るのではなく、複数の視点が交差しながら輪郭をなしていく。 大切なのは、境界を明確にすることではなく、交差点としての関係性をどう設計するかだ。 役割を、越境するsyncityのチームは、それぞれが専門性を持ちながら、定義された役割に縛られない。 デザ

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【syncityという縁側から#10】ことばの経年変化 | コピーとふるまいのデザイン

「名づけ」のちから名づけとは、存在に輪郭を与える行為だ。 ブランドにおいても、最初のコピーは「思想の種」であり、 外の世界との接点になる。 それは完成されたスローガンではなく、時間のなかで熟し、手にした人の感情や背景と共鳴しながら育っていく「生きた言葉」であるべきだ。 たとえば、寺社仏閣の屋根に使われる銅のように。 はじめは鈍く輝く金属が、年月と風雨を受けて緑青をまとっていく。 あの変化は、劣化ではない。 自然との調和を帯びた、美しさのかたちだ。 コピーもまた、そうあ

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【syncityという縁側から#09】ふるまいの美学 | 見えないものをつくるデザイン

見えないものの価値僕たちの社会は、「見えるもの」で判断されすぎている。 数字、成果、発言、見た目、そして肩書き。 目に見える形を持ったものが“正しさ”や“評価”を定義していく。 けれど、本当に大切なことは、いつも目に見えない場所にある。 誰かのふとした気づかい。 空気を読む沈黙。 声にならない違和感。 形にならない優しさ。 そこには、デザインにとっての本質がある気がする。 「見えないもの」に目を凝らす。 それが、僕の考える“ふるまいのデザイン”の出発点だ。 見えない

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