フローレンスさんが炎上している渋谷区の根抵当権の件のまとめ

2025年11月8日
(11/10 微修正。修正箇所は本文中に明記。
 11/14 文中の持ち分比率間違えてたので直しました。
      フ89/100・ペ11/100ではなくフ81/100・ぺ19/100でした。)

私が前回記事で指摘した「渋谷区の公金で造った建物に根抵当権がついてるけど、あかんやんけ」というやや専門的な指摘について、渋谷区議のすだケン氏に正確にご理解いただき、区に質問をしてもらいました。

結果、上記postの通り抵当権を付けると渋谷区に伝えて許可を得ながら根抵当権をつけるという「言ってることとやってること違うやん」ということをフローレンスさんがなさっていたことが判明し、炎上している状況です。

これに乗じて「金返せ」「悪魔」「人民の敵」みたいな方向性でフローレンスさん誹謗中傷している方がいらっしゃるので、問題点を明確化しておきたいなと個人的に思ったので書きました。

フローレンスさんには「どうせ役所はアホやしばれへんやろー」という悪意があった可能性はあるかもしれず、そういった姿勢は我が国のNPOのトップランナーとして相応しくはないです。まあ以前からそういう傾向はありましたけども。

しかしながら本件においては、事業者の悪意(あるいは誤り)に対して、それを防ぐ社会的役割を担うべき渋谷区や某地銀さんがその責務を果たしていなかったことの方が大きい問題と言えます。

  • へたくそな例え話をするなら、
    ➡ 11/10 例え話がへたくそすぎると複数のご指摘を受けたので泣きながら消しました。代わりに正確性には欠けますが大枠の構造がわかる私のpostを載せておきます。

  • そらまあ発端となったのはフローレンスさんなんですが、「お前ら何やっとったんや?」というのが某地銀さんと渋谷区なので、そこにもっとフォーカスして議論をしていただきたいなと思います。

  • これは行為そのものよりも、それが成立しちゃったという背景が重要な事象です。

前回記事

一応申し添えておきますが、以下は全て、すだケン氏や鈴木けんぽう氏等が区役所から聞き取ったことが正しいという前提で書いています。
万が一、事実と異なる部分があった場合は後日修正します。

1、経緯と説明

  • Xでの反応を見ると意味も分からず盛り上がっている方々が半分、なんか勘違いしている方々が2割、「よくわかんないよ (>_<) 」という方々が2割、正確に理解している方々が1割といった様子ですので、説明が必要でしょう。

① フローレンスさんの渋谷区物件について

  • 加えて、民間機関ではありますが日本財団からの助成も約34百万円あった様子。計131百万円の助成額ですね。

日本財団の事業情報より
  • この物件は延床が約143坪、単純に助成額131百万円で割ると坪単価は920千円弱。

登記簿謄本より。
アホな某地銀の名前をマスキングしているのは武士の情け。
気になる人はご自身で謄本をとってください。
  • 2017年当時の鉄骨造建物の坪単価は全国平均で708千円程度。お高くなりやすい東京の工事であることを割り引いてもやや高めですが、特殊用途の建物であることを踏まえると不審というほどではありません。

  • 助成を受けた設備整備費の中には建築費含まれない什器備品なんかもあるかもしれませんし。

建設コンサルタント弘文社さんのブログより転載
  • 色々な新築案件を見てきた私の肌感覚的にも、フローレンスさんがこの設備整備において131百万円の助成総額に加え、多額の自己資金を投入しているとは考え難いと思います。

  • なので、常識として人様のお金で建てた設備を担保にいれるというアイデアがそもそも異端だよねという感想を抱いています。補助金にレバレッジを利かせるという天才の発想。

② 不動産担保と補助金について

  • 「担保」というのはお金を借りる際、「もしも私がお金を返せなかったらこれを代わりに差し上げます」という約束事のことです。

  • 今話題になっているのは、フローレンスさんが銀行に対して「おやこ基地シブヤ」の建物を担保として差し入れていることです。

  • 不動産担保には普通抵当権と根抵当権があります。

  • 普通抵当権は「xx年xx月xx日に0000万円を借りるための担保」という風に、特定の借金にのみ効力を発揮する担保です。当該借金が減っていくと、連動して担保でカバーしないといけない金額は減っていき、これがゼロ円になると効力を失います。

  • 対して根抵当権は「0000万円までの担保」という風に、金額のみを定める担保です。この範囲であれば何度借り直しても担保の効力が持続されます。言い換えると、いつまでもなくならない担保で、銀行やフローレンスさんにとっては使い勝手が良いですが、渋谷区にとっては自身の関与しない第三者に建物がわたる可能性がいつまでも続くのでリスキーです。

NTTデータ・ウィズさんの不動産情報サイトHOME4より
  • もちろん、本件のように補助金で整備された施設に対して担保が設定されることもないわけではありません。

  • 補助金の資金提供に関する契約の中で、行政の許可なく補助金で整備した設備を担保提供した場合は補助金を召し上げるみたいな条項が入っていることがほとんどなので、行政の許可が前提になります。

  • 補助金で整備した施設を担保に入れることが認められるケースは、その施設を整備するために必要な資金を補助金以外の手段で調達する場合にほぼ限られます。

  • つまり、「xx年xx月xx日に0000万円を借りるための担保」という風に対象の借入金を限定する普通抵当権の設定しか許されない場合がほとんどです。

  • 行政の関与できないところで第三者に設備の所有権が移転してしまう危険がある担保設定が、行政側のメリットになることは一切ありません。

  • ただ、補助金額にも限度があるので、足らず分を補うためなら仕方ないよねというスタンスなのだと理解すればいいでしょう。

  • そのため仮に「運転資金が必要なの (>_<) 」と事業者から補助金で作った設備の入担の許可をお願いされても、行政がそれに応じることはないはずです。

  • 今回の建物が建ったのは2017年の7月、施設オープンが10月、担保設定(≒借入時期)が12月なので、何のためにお金を借りたのか、抵当権のつもりであったとしても渋谷区がオーケーを出した理由が何なのかは気になるところです。

左側は割と見かける感じ。
右側は本件をモデルにした想定。
設備整備費以外のための借入なら不適当
  • 今回のフローレンスさんは渋谷区との借地契約に違反しているよねということで燃えていますが、オープンになっていない補助金の資金提供に関する契約にも違反している可能性は高いと思います。 

  • ちなみに日本財団さんの規定でも助成を受けた物件の入担は原則禁止です。ちゃんと許可取ったの?

日本財団さんのガイドブックより

③ 担保関連の実務について

  • この建物は渋谷区の土地上に建っており、フローレンスさんが渋谷区から土地を借りている格好になっています。

  • もちろん土地の賃借には色々な条件があり、その中には「地主(渋谷区)の許可を得ずに建物を担保に入れたら駄目だよ」というルールもあります。

このpostの添付画像より
  • 「じゃあどうやって許可とるの?」という話ですが、銀行が地主(渋谷区)から承諾書をもらうのが担保関連の実務としては一般的です。以下みたいな感じ。

新日本法規さんの本のサンプルページ?より
  • 上記はあくまでサンプルなので簡便な書き方ですが、実際はもっと詳しく書きます。

  • 特に重要なのは、赤線を引いた部分。万が一、フローレンスさんの支払いが滞った場合なんかは、銀行がフローレンスさんの借地人としての権利を含めて第三者に譲渡することに渋谷区は予め同意してねという部分です。この同意がないと担保が担保として成立しません。

  • この同意書の取得の部分を某地銀さん、ちゃんとやってなかったんでしょうね、多分。どういう許可を渋谷区が出したのかわかりませんが、「抵当権」と書いてある同意書を根拠に根抵当権設定しちゃったのか、はたまた銀行が同意書自体を徴求していなかったのか。

  • ちなみに担保価値についてですが、一般論として保育園施設運営目的だけの借地権と建物を引き継いでも、それを有効に活用できる事業者はあまりおらず、価値はほとんどないでしょう。

  • しかし本件の場合は診療所としても利用できる契約になっていること、また何故か時価ではなく安価な路線価ベースで借地料が決まっていること、借地契約が当初から30年間と長期であることを踏まえると、営利目的でこの建物が欲しい方々はおられるはずで、担保価値は十分あると思います。

上記と同じpostの添付画像より

余談ですが担保評価をする側から見ると、建物の所有権の81/100がフローレンス、19/100がペルル(現マーガレット)という持ち分割合になっている点は若干気になります。
私なら担保を取る際にそれぞれの使用範囲や共用部分の管理ルール等を2者間の書面として明文化しておき、所有者が変わった際に揉めないようにしておきますが、某地銀がどこまで気を回したかは謎です。

2、責任の所在と今後

  • 冒頭で述べた通り、一応、渋谷区には「普通抵当権」のつもりで許可を出したという記録はあるようです。

  • しかし実際に設定されたのは「根抵当権」だったとのことでしたので、関係者それぞれの責任をまとめると以下のような感じになると思います。
    (11/10 この直下に置いていた私のpostを冒頭に移動させました)

① フローレンスさんの責任

  • フローレンスさんが「ばれへんやろ」と悪意を持って普通抵当権設定の許可を得た上で、許可と異なる使い勝手の良い(※)根抵当権を設定させた可能性があります。

※11/10 追記
「フローレンスさんにとって使い勝手が良い」というのは、一々渋谷区さんに担保許可を取り直したり、担保の再設定費用を払わずに担保を繰り返し使って借入を行えるという意味です。

  • また、失礼ながらフローレンスさんがアホだったと想定すると「よくわからないけど銀行が『根抵当権』って言ってるからその通りにしとこ!よくわからないけど何か役所から許可ももらったし!」と銀行に流された可能性もあります。

  • これは誰にもわかりません。悪なのかアホなのか、どっちかです。悪意があったとは言えないでしょうから、真偽はどうあれ後者だと表明すると思います。

  • 悪意を持って行政を騙したのであれば当然ながら論外ですし、後者であったとしても「知らなかった」では済みません。

  • 行為の主体として何らかの対応を迫られるのは間違いないでしょうね。

② 某地方銀行の責任

  • 担保権を設定したのは某地銀です。

  • 某地銀さんが担保関連実務をきちんと行っていればこの問題は起こっていないわけですから、非常に罪作りなことをしています。止めろよ。プロなんだから。

  • 地主(渋谷区)からの許可も確認しないまま、根抵当権という商慣習を踏まえるとあり得ない担保を設定したことは、彼らのプロとしての適格性への疑問にも繋がります。

  • 基本的な担保関連実務もできない銀行が、預金者から預かった大切な預金を適正に融資という形で運用できるの?

  • お前らの銀行、他に担保を取ったつもりで実際は効力がないような担保はない?大丈夫?

  • 地銀で働く方々の中には、失礼ながらポンコツヒューマンな方もおられることは、よく存じ上げております。

  • 支店で働く方に期待するのは酷かもしれませんが、本部で貸出稟議書を審査する際、この動きを把握して止めることができなかった体制は批判されて然るべきです。

  • 上場している地銀グループの一翼を担う銀行として、猛省していただきたいです。

③ 渋谷区の責任

  • で、当然ですが渋谷区にも問題はあります。

  • フローレンスさんに騙されたことについては予見しようがないので仕方がないですが、問題は担保設定を許可した後、申請通りの条件で担保が設定されていることを確認しなかったことです。

  • なんか2017年10月に申し入れがあったらしいですね。

・で、12月に担保の登記がされてる。

上掲画像を切り取って再掲
  • 登記直後の確認もせず、おそらく賃料改定もなされているはずですが、その時も確認せず、私が指摘するまでそのままだったと。

  • どういう内部体制になっているのか、非常に気になるところです。

3、まとめ

  • ちょっとセンセーショナルに燃えていますが、本件で渋谷区に被害が出るケースはフローレンスさんが経営難に陥った時だけなので、まあしばらくは大丈夫でしょう。

  • そもそも担保権の効力が否定される可能性の方が高いと思いますし。アホ事例過ぎて予測困難ですが。

  • それに根抵当権の設定自体は是正可能ですから、早々に対応されると思います。根抵当権の元本確定か抵当権への差し替えか抹消なんかで。

  • 本件フローレンスさんの担保設定に関する不正、あるいは行き違いは巨利につながるようなものでもなく、銀行がまともなら防げていた、渋谷区がまともなら早期に発見・是正されていた、レベルの低いものです。

  • しかし問題はこの事象そのものではなく、こういうことが起こってしまったという背景です。

  • 能力かモラルのどちらが不足していたのか定かではないものの、「フローレンスさんやその経営陣は明確に行政との契約に違反するようなことをするんだ」という認識を持ちたいところですよね

  • 例えば自治体との連携なんかをしているようですが、個人情報の扱いとか大丈夫なんでしょうか?

  • ガバナンスが甘い企業と提携して市民のセンシティブな情報が外部に流出したりしない?大丈夫?

  • また担保設定の許可を出した後、その結果を確認しないという渋谷区の手抜きは筆舌しがたいものがあります。

  • 何でこうなったんですかね?当時人手がなくて忙しかった?NPO関連業務は事業者の言われるがままにするしかないという諦念でもあった?

  • この辺りを掘り下げないと、他にも問題ないか、今後問題が発生しないか、区民の方々は心配ですよね。

  • ちなみに某地銀については民間企業なので「こいつらやべえ連中だな」と思う反面、我々市民ができることはありません。

  • 本件の根抵当権という論点についてはこんなところだと思います。

  • その他の論点については前回の記事でも申し上げたように開示請求をしていただいた資料が私の手元に届けば見えてくることもまたあると思います。

  • 引き続きよろしくお願いします。

以上


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