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マガジン一覧

アンソロジー

他の方々が書いた記事でおすすめのものをまとめています。

スピノザゆかりの地めぐり(オランダ)

バールーフ・デ・スピノザは、アムステルダム、ライデン、ハーグに住んでいた17世紀の哲学者で、「デカルトの哲学定理」「神学政治論」「知性改善論」「エチカ」「国家論」などの著作があります。私は、大学生のときに「知性改善論」から入って関心を持ち、キリスト教家庭で育ったこともあって「神学政治論」での独特且つ丁寧な聖書解釈に感銘を受け、初めてまともに自分の人生について考えた1年間に「エチカ」にはまり、結局専門でもないのにスピノザの著作とスピノザ関連書籍が本棚に並んでいるという状況になり

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わたしが何度も読み返す本

パスカル『パンセ』は思想、思考のかたまり パスカルのパンセは再読の友 わたしは昨晩、ニーチェの『ツァラトゥストラ』を読みました。 本棚にある本を、ランダムに手に取って、就寝前に読むことが毎日の日課なのです。 ニーチェは言っていることはわかるのですが、どうも考え方が暗くって苦手です。なんとなく、ツァラトゥストラ自体がニーチェ自身の心の叫びのように書かれていることが、原因であるように思います。 ツァラトゥストラのとなりに、パンセが置いてあるのですが、パンセはずっと愛読している

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文体と批評ーー三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』について

2024年にもっとも勇気づけられた出来事の一つに、三宅香帆さんのブレイクがある。昔から(一方的に)みていた同世代のひとが活躍するのは、とても嬉しいことだ。 批評や学問に明るい友人と話していて、三宅さんの話になることは多い。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』はなぜあんなに読まれているのか? そもそも、三宅香帆の文章は批評といえるのか? 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の感想は世の中にインフレしてるし、いまさら自分が書くべき文章もないと思うが、正月休みで時間もあ

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読書感想文

読んだ本について書いている記事をまとめています。

ものから照らされた自分 ――『屋上への誘惑』(小池昌代)読書感想文

 小池昌代の『屋上への誘惑』を読んでいて、以下のような一節に出会った。  信州出身の友人の家には、家から出るとき、帰ってくるときに挨拶をする習慣がなかったという。ところが、その友人の中学校の担任教師は、それはけしからんと、彼が帰るあとをつけて彼の家の玄関まで行き、「ただいま」を言うまで玄関の横に立っていた。それで、しょうがなく「ただいま」を、横をむいて言った、はずかしそうに。  話はそれを三十年後に小池氏が実演してもらったという話。そこで出てきたのが、引用したところの言葉だ

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いったんの答え ――『日本人とは何か』(加藤周一)読書感想文

 西洋人の書いた思想書なり哲学書なりを読むたびに、かすかではすまない違和感を抱いてきた。特にイギリス、フランス、ドイツの人々の書いたものは、あきらかに想定読者として日本人を考えていないものだ。それを自分が読むというのはどういうことか、疑問に思わざるをえない。  「西洋人の書いた文物に感銘を受けたり、夢中になるこのわたしはいったいなんなのだろう?」  そういう気持ちから、日本文化論とか日本人論を読んできたのだけれど、前に読んだ『読書術』(加藤周一著、岩波同時代ライブラリー)がよ

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失われた狭さを求めて ――『アメリカ紀行』(千葉雅也)読書感想文

 大学生のときから、千葉雅也の本は読んでいて卒論の参考にもしたくらいだけれど、働きだしてからはあまりハードな哲学方面の彼の仕事よりも、日々更新されるTwitterの文章を楽しんでいた。  ひさしぶりにTwitter以外の彼の文章を読んだ。『アメリカ紀行』(千葉雅也著、文春文庫)だ。  紀行文と言えば紀行文なのかもしれない(あまり紀行ものを読まないので、本作の解説の方の違和感が正直よくわからない)が、わたし自身はアフォリズム集に近い本のように読んだ。  ところで、なぜ彼はアメリ

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詩の楽しさがジャジャンカ ワイワイ ――『放課後によむ詩集』(小池昌代)紹介

 こちらも、わたしが以前、amazonに書いたレビュー記事です。自分の備忘録もかねて、一応こちらにも転載しておきます。 ――――――――――――――――――――――――――――――――  小池昌代さんの詩のアンソロジーを毎回たのしみにしている者です。  ご本人の詩集も、もちろん読んでいます。  今回のこの『放課後によむ詩集』は、 詩をはじめて読むかもしれない十代の子たち(おそらく中学高校生の方たち)に向けて編まれているようでもあり、あるいは、十代の頃に感じた感情を思わせる詩を

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2025年に書いた記事

2025年に書いた記事をまとめています。

ものから照らされた自分 ――『屋上への誘惑』(小池昌代)読書感想文

 小池昌代の『屋上への誘惑』を読んでいて、以下のような一節に出会った。  信州出身の友人の家には、家から出るとき、帰ってくるときに挨拶をする習慣がなかったという。ところが、その友人の中学校の担任教師は、それはけしからんと、彼が帰るあとをつけて彼の家の玄関まで行き、「ただいま」を言うまで玄関の横に立っていた。それで、しょうがなく「ただいま」を、横をむいて言った、はずかしそうに。  話はそれを三十年後に小池氏が実演してもらったという話。そこで出てきたのが、引用したところの言葉だ

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いったんの答え ――『日本人とは何か』(加藤周一)読書感想文

 西洋人の書いた思想書なり哲学書なりを読むたびに、かすかではすまない違和感を抱いてきた。特にイギリス、フランス、ドイツの人々の書いたものは、あきらかに想定読者として日本人を考えていないものだ。それを自分が読むというのはどういうことか、疑問に思わざるをえない。  「西洋人の書いた文物に感銘を受けたり、夢中になるこのわたしはいったいなんなのだろう?」  そういう気持ちから、日本文化論とか日本人論を読んできたのだけれど、前に読んだ『読書術』(加藤周一著、岩波同時代ライブラリー)がよ

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失われた狭さを求めて ――『アメリカ紀行』(千葉雅也)読書感想文

 大学生のときから、千葉雅也の本は読んでいて卒論の参考にもしたくらいだけれど、働きだしてからはあまりハードな哲学方面の彼の仕事よりも、日々更新されるTwitterの文章を楽しんでいた。  ひさしぶりにTwitter以外の彼の文章を読んだ。『アメリカ紀行』(千葉雅也著、文春文庫)だ。  紀行文と言えば紀行文なのかもしれない(あまり紀行ものを読まないので、本作の解説の方の違和感が正直よくわからない)が、わたし自身はアフォリズム集に近い本のように読んだ。  ところで、なぜ彼はアメリ

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詩の楽しさがジャジャンカ ワイワイ ――『放課後によむ詩集』(小池昌代)紹介

 こちらも、わたしが以前、amazonに書いたレビュー記事です。自分の備忘録もかねて、一応こちらにも転載しておきます。 ――――――――――――――――――――――――――――――――  小池昌代さんの詩のアンソロジーを毎回たのしみにしている者です。  ご本人の詩集も、もちろん読んでいます。  今回のこの『放課後によむ詩集』は、 詩をはじめて読むかもしれない十代の子たち(おそらく中学高校生の方たち)に向けて編まれているようでもあり、あるいは、十代の頃に感じた感情を思わせる詩を

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2024年に書いた記事

2024年に書いた記事をまとめています。

また哲学に興味が出てきた。

以前別のブログで書いていた記事です。 ―――――――――――――――――――――――――――――― また近頃哲学に興味が出始めて、ちょくちょく本を読んでいるのだけれど、漠然と本を読んでいるだけではなかなか前に進めないような気がしていて、やはり自分でも文章を書きつつ、自分の考えを前に進めながら読んでいかないと、はっきりと得られるものも得られないのかなと思いはじめた。自分の問題意識をはっきり持つことが大事なのかな、と。  とはいえそれ、つまり自分の問題意識が何か、どこにあるのか

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イデア論の、一歩手前 ――『メノン』紹介 #私の岩波文庫

 はじめまして。こちらの素敵な企画をお見かけしましたので、参加させていただきます。  わたしが推薦したいのは、プラトンの対話篇『メノン』です。  この本のおもて表紙に書いてあるように、たしかに、このプラトンの対話篇のテーマは「徳は教えられうるか」です。  しかしこの本のおもしろいところは、そこじゃないのです。  プラトンといえばイデア論(実在論)というのが定番どころですが、じゃあ古代の哲学者が言ったことなんだから信じるべきだ、正しいに決まっている!と思えるか。  「このわ

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【読書ノート】『日本の思想』①

  読んでいく本は、丸山真男『日本の思想』(岩波新書)です。 この本の目的   この本の出発点は、丸山が外国人の日本研究者によく聞かれる以下のような質問だ。「日本のインテレクチュアル・ヒストリィ」を通観した書物はないか?」(p.2)。インテレクチュアル・ヒストリィとは、本文の言葉を借りると、「各時代の「インテリジェンス」のあり方や世界像の歴史的変遷を辿るような研究」、「時代の知性的構造や世界観の発展あるいは史的連関を辿るような研究」ということらしい。そして、そういう質問は

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プラトンの対話篇は引用しにくい

哲学にすこしでも興味があって、哲学書を読み始めるとなったら、だいたいの人はプラトンの対話篇か、デカルトの『方法序説』か、といったところだろう。ぼくは前者だった。 哲学はどんなものなのか、てっとりばやく知りたかったら、よくある早わかり本ではなく、プラトンの対話篇を読み始めるのが正解だ。 そして、哲学書を読み始めたら、なにか自分でも書きはじめることで、自分でもなにか考えてみることが、だんだん、すこしずつできるようになっていく。そういうものだ。いきなり大きな主題について書こうと

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車、運転に関する記事まとめ

車や運転に関する記事をまとめています。

良い運転をする子持ちのママさん

以前別のブログで書いていた記事です。仕事で教習指導員をしているので、ぼくの文章では車の運転に関する話がちょこちょこ出てきます。 ――――――――――――――――――――――――――――――  二段階の教習生を教えるようになって、「ああ、この人良い運転するなぁ。もう言うことないなぁ」と思った人が二人いる。その二人の共通点は、子持ちのママさんだということだ。若いセンスの良い男の子ではない。  なんで「良い運転するなぁ」と思ったかというと、加減速が良かったからだ。極端なスピード

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道はナビが教えてくれる、とは言うものの

以前別のブログで書いていた記事です。仕事で教習指導員をしているので、ぼくの文章では車の運転に関する話がちょこちょこ出てきます。 ――――――――――――――――――――――――――――――  所内教習で、交差点の通り方を練習する際には、「今からご案内するコースは、覚えなくてもいいですからね」と言っているけれども、正直な話、覚えたほうが格段に走りやすくなるのが事実だ。進路変更の準備を始めてほしい地点はあらかじめ指導員も承知しているわけだし。  安全な運転をするためには、法規

中型車はアクセルオフを遅めに

以前別のブログで書いていた記事です。仕事で教習指導員をしているので、ぼくの文章では車の運転に関する話がちょこちょこ出てきます。 ちなみに、もう中型は免許取得済みです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 中型の修了検定に落ちた。というわけで補修教習を受けることになったのだが、そこで聞いた話でけっこう得るものがあったのでメモとして記入しておく。 ・中型車はクラッチペダルの位置が普通車よりも高めに作られているため、クラッチが切れるまでが普通車よりも相

そもそも知識がないと教えることはできない

以前別のブログで書いていた記事です。仕事で教習指導員をしているので、ぼくの文章では車の運転に関する話がちょこちょこ出てきます。―――――――――――――――――――――――――――――― 指導員を始めて3ヶ月が過ぎた。その間いろいろあったが、ぱっと思いつくことを書いていってみよう。書くことがたまりすぎると、いざ書こうと思ってもなかなか筆が進まなくなってしまうものだから。 まず書いておきたいのは、教える立場と教えられる立場で、こんなにも学ぶ量が違うのか、ということだ。自分が

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