インターナショナルスクールで広がるIBディプロマ。日本の難関大や海外の大学を狙う生徒の新たなスタンダートへ。
大学入試において IB(International Baccalaureate)カリキュラムを選択する生徒が着実に増えています。日本でもインターナショナルスクールを中心に、Grade 11,12の期間をIB Diplomaで学ぶことで、海外の大学はもちろん、日本国内の大学への進学の可能性も広がってきました。
一方で、IBは日本の従来型カリキュラムとは大きく異なるため、相性の良し悪しがはっきりと分かれるのも事実です。特に英語に強い関心を持ち、論理的に筋道を立てて結論を導くことが得意な生徒にとっては大きなメリットがあります。しかし、知識の暗記や網羅的なテスト対策を得意とする生徒にとっては、必ずしも適しているとは言えないかもしれません。
今日は、これまでIBを通して大学に進学した生徒、そして現在インターナショナルスクールで学んでいる生徒たちに対して、私が生徒を教える時にどのようなポイントを意識しているのかを整理してみたいと思います。生徒によって、数学のみを教えている生徒、日本語やエッセイや社会科も含め全教科教えている生徒、数学と理科を教えている生徒と、その生徒の希望に合わせていますが、メインになる数学で、説明したいと思います。

まず、IBのmathematics AA higher levelの難易度は?
英語圏(イギリス、アメリカ、オーストラリア)カナダは入学試験自体がない。と日本の大学入試と比較すると。
IB math AA higher levelよりも高いレベルの卒業統一試験は?(あくまでも私と何名かの生徒の問題を解いた上での個人的な感想です。)
イギリスの A-Level Further mathematics

オーストラリアNSW州の Math Extension 2

IB math AA higher levelよりも難易度が少し低いテストは
イギリスのA-Level mathematics
オーストラリアのビクトリア州とクイーンズランド州のmath Professional
アメリカのAP Calculous BC
IB math AA standard levelは、イギリスのA-Level mathematicsやアメリカのAP Calculous BCよりもレベルは低くなります。
ちなみに、日本の共通テストは、以上のテストよりもレベルは落ちます。

IB-style explanation(IBらしい問題)とは?
IBの数学の特徴は、計算だけでなく、言葉的な理解や概念的な理解を問います。つまり、IB特有の説明力が問われるわけで、それは全教科統一されています。
つまり、日本のとにかく知識中心の授業と対極であるわけです。
現在インターナショナルスクールに通っている生徒が、理科のテストで、問題を説明する時に、公式を明記しなかったために、減点されて満点を逃したと悔しがっていたのが、IBカリキュラムの特徴に挙げられるのではないかと思います。
IBでは論理的思考力が大切
IBの数学は、最終的な答えだけでなく、どのように答えに至ったかという論理的な過程が非常に重視されます。
IBの数学の試験では答えが合っているだけでは満点はもらえず、しっかりと説明もしなければ、設問に割り当てられた得点で満点は与えられません。
各設問の得点の割り当てはこのようになります。
Method marks(メソッド)問題のすべてのステップを示すことを重視しています。
Accuracy marks(答えの正確さ)計算が正しくできて答えが合っていた場合にも得点は与えられます。
Reasoning marks(理由)なぜその答えになるかを説明する大切さを重視します。

簡単な問題でIB数学のポイントを説明します。
A bag contains 3 red balls and 2 blue balls. One ball is drawn at random. Find the probability of drawing a red ball.
ある袋に赤玉3個、青玉2個が入っています。1つボールを取り出すときに赤玉を取る確率はいくつですか。
日本だと一瞬で3/5または60%とやってしまいそうな問題です。
IBの数学の試験では、設問ごとにしっかりと論理的に説明します。
まず基本式を立てます。

これが、method markの採点基準になります。
次に、accuracy markは答えを3/5とすることになります。
最後に、reasoning markで、分母に全体のボールの個数、分子に赤玉の個数を書いて答えを求める。と、書くわけです。
英語で書くとしたら、すごく簡単ですが
The denominator is the total number of balls and the numerator is the number of red balls.
で、十分だと思います。
これが、IBのMark scheme(採点基準)となるわけです。

Command terms(指示語)を理解する。
数学の問題では、IBの数学は指示語の理解がとても重要になります。主な指示語は
State , Justify, Show, Henceなどになります。それぞれの単語の意味が異なり、その指示語で説明の仕方が変わるわけです。
ひとつづつ説明します。
Stateは答えを述べよ。という意味なので、説明は不要になります。
例えば
State the value of f(3). のような問題で、この場合は答えを書けば終わりです。
次にShowの場合は、答えまでの道のりを示さなければなりません。
例えば
Show that (x+2)(x+3)=x²+5x+6 のような問題の場合は、logical stepsをすべて書いて、与えられた結果に到達することを説明しなければなりません。
次にJustifyの場合は、正当化してほしい。わけです。
例えば
Justify why the solution is a minimum. なぜその答えになるか、根拠や理由を説明する。
最後にHenceで、直前の結果を使って、次の答えを導く。
よく、Hence or otherwiseのような文章の場合は、一つの設問の中に1番と2番の問題がある場合、2番の問題は1番で解いた答えを利用していいような感じです。
例としては、
Solve for x, hence find the value of yのようになります。
どのような対策が必要か?
以前、IB Mathematic AA Higher Levelで、7を取った生徒や現在中学2年生で、誕生日の関係でgrade9のクラスで学んでいる、現在教えている生徒、また、現在小学6年生で、grade 6,7のクラスに在籍して、現在教えている生徒、それぞれ、生徒の教え方は当然違いますが、基本的なことはある程度同じなので、下記の克服方法が参考になればと思います。
英語力が高い日本人の生徒であっても、IBのMath AA Higher Levelの文章題に苦戦する生徒は少なくありません。意外に思えるかもしれません。というのも、彼女たちは、読書や説明文の読解力、英語の文章理解力も非常に高いからです。しかし、IBの数学の文章題は、物語や論説文とはまったく異なる性質を持っています。
数学の文章題には、ストーリー性や論理展開がなく、頭の中でイメージしにくいという特徴があります。生徒は、文章の意味を把握しながら、同時に数式や関係性を理解して解かなければならず、この2つを同時に解くための負荷がとても高いわけです。
特にIBの数学では、逆算的思考が求められる問題が多く出題されます。たとえば、7×13はいくつですか?という直接的な問いではなく、7×〇=91の〇はいくつですか?というような、構造を読み解く力が必要な問題が中心です。これは、日本の中高生がよくつまずく、食塩水の濃度や、速さ・時間・道のりの文章題と似た構造を持っています。
さらに、IB Math AA HLでは、女子生徒が苦手な確率、三角関数、図形など多岐にわたる分野が扱われ、単なる計算力だけでなく、どの公式をどの場面で使うかを瞬時に判断する力が求められます。証明問題の比重はそれほど高くありませんが、問題の構造を見抜き、適切なアプローチを選ぶ力が試されます。
したがって、生徒が身につけるべき最も重要なスキルの一つは、
複雑な問題を整理する力
です。図形がごちゃごちゃしている場合は、補助線を引いたり、情報を再構成したりすることで、頭の中をクリアにする必要があります。
問題文も、自分の言葉に言い換えたり、しっかりと作図することで、理解が格段に深まります。
このような問題の構造を見抜く力、情報を整理する力を育てるためには、私自身がしっかりとモデリングやポイントになるキーを尋ねたりすることで、生徒の思考をサポートすることが不可欠です。
IBの数学、特にHigher Levelでは、画一的な教え方ではなく、個々の思考スタイルに合わせたモデリングが不可欠だと思います。日本の入学試験が、手順や公式の暗記に重きを置くのに対し、IBは生徒自身の思考過程や説明力を重視します。
単に正解を出すことではなく、なぜそう考えたのかを言語化できる力が求められるわけです。
特に英語力の高い日本人の生徒にとって、IBカリキュラムは大きなチャンスでもありますが、同時に乗り越えるべき壁でもあります。彼女たちが日本の数学の文章題を苦手とするのは、能力の問題ではなく、学校や塾で学ぶ一律の解法パターンが、自分の言葉で理解を深めたり、説明したりする力を育てにくいからだとおもいます。
IBでは、生徒が自分の理解を自分の言葉で表現することが強く求められます。そのためには、私が教える時、生徒の学力や性格などを把握して、モデリングすることが大切です。
これからは、日本でもインターナショナルスクールの人気は高まると思います。ただそれは英語力を高めるという目的だけでなく、英語力に比例して学力も高めるようになればいいなと思います。
