GPT-5.1 / Gemini 3 Pro / Grok 4.1 徹底比較――2025年末の「三強」をどう使い分けるか?
2025年のいま、実務レベルでよく名前が挙がるフラッグシップモデルがOpenAI「GPT-5.1」、Google DeepMind「Gemini 3 Pro」、xAI「Grok 4.1」の3つです。
どれも「最強」を名乗れるだけの実力がありますが、実際に使ってみると得意・不得意はかなり違います。
この記事では、
🔵推論性能(Reasoning)
🔵知識量・アップデートの新しさ
🔵文章表現力
🔵ハルシネーション(事実誤認)
🔵検索・リサーチ性能
🔵画像・動画認識
🔵コーディング性能
といった観点から、「どのモデルをどういう用途で選べば良いか」を整理していきます。
※本記事は 2025年11月時点の公開情報(公式モデルカードや外部ベンチマーク記事など)を基に、ChatGPTのDeep ResearchとGPT-5.1 Thinkingを使用して作成しました。
ざっくり一言でいうと
GPT-5.1
バランス型の万能選手。
コーディングとエージェント(ツール呼び出し)に特化した設計で、会話もかなり「人間っぽく」なっています。
Gemini 3 Pro
ベンチマーク番長 & マルチモーダル特化。
画像・動画・音声を含む複雑なタスクや、難しい数学・パズル系の推論で頭一つ抜けていると報じられています。
Grok 4.1 / Grok 4.1 Fast
検索とエージェントに全振りした「現場タイプ」。
X(旧Twitter)のリアルタイムデータ+Web検索+2M コンテキストで、長い調査タスクやツール連携エージェント向き。ハルシネーション削減もかなり強いです。
1.推論性能
(1) ベンチマーク的な「生の推論力」
外部ベンチマークを見ると、特に Gemini 3 Pro の強さ が目立ちます。
IT Pro によると、
マルチモーダル推論ベンチマーク MMMU-Pro で
Gemini 3 Pro: 81%
GPT-5.1: 76%
抽象図形パズル系の ARC-AGI-2 では
Gemini 3 Pro: 31.1%
GPT-5.1: 17.6%
高難度数学ベンチマーク MathArena Apex では
Gemini 3 Pro: 23.4%
GPT-5.1: 1% 程度
とされており、「難しい推論タスクでは Gemini 3 Pro が一歩リード」という評価です。
一方で OpenAI 自身も、GPT-5 系は GPT-4 系より推論能力が大きく向上したと公表しており、GPT-5.1 ではその改良版として「適応的な推論(簡単な質問には高速、難しい質問にはじっくり思考)」を採用しています。
(2) エージェント(ツール呼び出し)としての推論
Grok 4.1 Fast は、2M トークンの長大コンテキスト、Berkeley Function Calling v4 や τ²-bench Telecom など、エージェント向けベンチマークで高スコアを公式に謳っており、「長いマルチターン対話でツールを駆使する」タイプの推論ではかなり強力です。
GPT-5.1 も、ツール呼び出し・コード実行・Web検索を前提としたエージェント用途向けモデルとして位置づけられています。
ざっくり評価

2.知識量・情報の新しさ
(1) 静的な「知識カットオフ」
GPT-5.1
モデルカードでは2024年9月30日頃が知識カットオフとされています。
Gemini 3 Pro
DeepMind のモデルカードで2025年1月カットオフと明記。
Grok 4.1
正確な日付は公開されていませんが、Grok 4系の延長で2024年後半までをカバーしつつ、リアルタイム検索で補う前提です。
「箱から出した状態の知識の新しさ」だけで見ると、Gemini 3 Proが最も新しい 状態にあります。
(2) リアルタイム検索込みで見ると?
GPT-5.1
ChatGPTでは標準でWeb検索が統合されており、最新ニュースや株価などもそのまま聞けるようになりました。
専用ブラウザChatGPT Atlasでは、Webページ上での要約・比較・ショッピングなどをエージェント的にこなせる設計。
Gemini 3 Pro
Vertex AI / Gemini API上では「Search as a tool」としてGoogle検索をツールとして呼び出せるほか、Google 検索そのもののAI モードをGemini 3で強化したと説明されています。
Grok 4.1
xAI のAgent Tools API経由で、Xのリアルタイム投稿+Web検索 を統合。ニュース・SNS 動向・トレンド分析に非常に強い設計です。
3.文章表現力・会話の質
(1) GPT-5.1:カスタマイズ性の高い「万能ライター」
OpenAIの公式発表では、GPT-5.1はGPT-5よりも、会話がより自然で「暖かく」、指示追従性が高く、スタイルを細かくカスタマイズ可能になったとされています。
ChatGPT 側では、「プロフェッショナル」「フレンドリー」「皮肉っぽい」など複数のプリセット、トーンやユーモア度合いを細かく調整できる UIが追加され、ビジネス文書からライトなSNS投稿まで、幅広いトーンを簡単に切り替えられるのが特徴です。
(2) Gemini 3 Pro:文体は少し固め・論文調寄り
Gemini 3 Pro は、ベンチマーク上の精度の高さ、要求されたコンテキストに忠実な回答、「お世辞・ヨイショ」を減らす振る舞いを重視していると報じられています。
そのため、ロジカルで事実寄りの説明文・レポート・技術解説とかなり相性が良い一方、雑談やユーモアは GPT-5.1 / Grok 4.1 ほど「人間っぽく」ない場面もあります。
(3) Grok 4.1:感情理解と創作に振った会話モデル
xAI や外部レビューでは、Grok 4.1 の大きな特徴として、EQ-Bench3 などの感情理解ベンチマークでトップ、Creative Writing ベンチで高スコア、ユーザーが好む「ノリの良さ」を保ちつつ、以前より安全でフレンドリーな性格が報告されています。
物語生成・キャラ付きのプロンプト・雑談系コンテンツではかなり強力な選択肢です。
4.ハルシネーション(幻覚・事実誤認)
「どれが一番ウソをつかないか」は、用途によってかなり重要なポイントです。
(1) Grok 4.1:数値付きで「大幅削減」を公表
Grok 4.1 については、xAI が 具体的な数値 を公開しています。
実運用の情報探索プロンプトに対して、
ハルシネーション率を 12.09% → 4.22% に削減、
事実性ベンチマーク FActScore のエラー率も 約 9.9% → 2.97% に改善
と報告されており、約3倍の改善 と説明されています。
外部記事でも「Grok 4.1 は旧モデルに比べて3倍ハルシネーションが少ない」「実務レベルでかなり信頼できる」といった評価が目立ちます。
(2) GPT-5.1:GPT-5 からさらに低下
OpenAI は GPT-5 の時点で、GPT-4 系より大幅にハルシネーションを減らしたと発表しており、GPT-5.1 ではさらに、「より正確で現実世界の問い合わせに役立つ」「ハルシネーションを減らし、高リスク用途でも使いやすくした」といったポジションを取っています。
具体的なパーセンテージは公開されていないものの、外部レビューでは「GPT-4 時代にありがちだった“存在しないレストランを自信満々に列挙する”ようなケースがかなり減っている」といった報告が見られます。
(3) Gemini 3 Pro:正答率はトップだが、ある指標では高い幻覚率
一方で、Google 系の Gemini 3 Pro については少し複雑です。
精度指標としては、AI Reliability Benchmark などで 全体正答率トップ と報じられている一方で、ある外部評価では、ハルシネーション率が 88% とかなり高い(=答えを返すが、何らかの誤情報を含むことが多い)という結果も出ています。
要するに、「たくさん答えてくれて、その多くは正しいが、間違う時も盛大に間違える」タイプのモデルと解釈できます。
ざっくりまとめると
「公開された数値ベースで一番 “ハルシネーション改善に本気出している” と見えるのは Grok 4.1
GPT-5.1 も GPT-5 からさらに改善しているとされ、高リスク用途向けに推されている
Gemini 3 Pro は知識と正答率は非常に高いが、「常に何かしら答える」性格ゆえに、使い方によっては事実チェックが必須
といった位置付けになります。
5.検索・リサーチ性能
(1) GPT-5.1:ChatGPT 検索+Atlas ブラウザ
ChatGPT に統合されたWeb検索機能により、ChatGPTに統合されたWeb検索機能により、ニュース/スポーツ/株価/技術情報などを自然言語インターフェース+引用リンク付きで取得できます。
専用ブラウザChatGPT Atlasでは、ページの要約、比較・表の生成、自動フォーム入力やショッピング支援(エージェントモード)など、「ブラウザ内で完結させる」方向に進化しています。
日常的なWeb調べ物や、資料の要約・比較などにはとても使いやすい設計です。
(2) Gemini 3 Pro:Google 検索と最も自然に繋がる
Google の公式ブログでは、Gemini 3 が AI モードの検索の中核 として位置づけられており、検索結果のサマリやマルチモーダルな回答を担っています。
Vertex AI では、「Search as a tool」 経由で Google 検索をツールとして呼び出し、RAG 的に組み込めるようになっています。
Google Workspace や既存の検索ワークフローに組み込みたい場合は、最も素直な選択です。
(3) Grok 4.1:X+Web 検索に最適化された「調査エージェント」
xAI の Agent Tools API は、Web 検索、X(旧Twitter)のポスト検索、コード実行、ファイル検索を一体化した「調査エージェント」向けプラットフォームとして設計されています。
xAI 自身が、ResearchEval や内部 X Browse ベンチマークで Grok 4.1 Fast が他社モデルより高スコア と主張しており、時系列のニュース・トレンド追跡に強みを持ちます。
SNS を含む舵取りの難しい情報探索や、「数時間かけて調査させるエージェント」を作りたい場合は Grok 4.1 がかなり有力です。
6.画像・動画認識(マルチモーダル)
(1) Gemini 3 Pro:マルチモーダル特化のフラッグシップ
Gemini 3 Pro は、入力として テキスト / 画像 / 動画 / 音声 / PDF を扱え、1M トークンのコンテキストで、長時間の動画や大規模データもまとめて処理。
Google は「複雑なマルチモーダル理解で世界最高」とアピールし、実際のデモでは、チェス盤の写真から対戦を開始、手書きのワイヤーフレームから Web ページを生成などを披露しています。
画像・動画を絡めた高度な理解タスクでは、現時点で Gemini 3 Pro が最有力候補と言って良いでしょう。
(2) GPT-5.1:幅広いモダリティ+ツール連携
GPT-5 系は GPT-4o の流れを継ぎつつ、ChatGPT ワークフロー内で、テキスト+画像+音声+動画(+コード実行・ブラウザ)を組み合わせた複合タスクをこなせるようになっています。
「画像を読み取ってレポート化」「動画を見て要約+スライド案生成」など、ビジネス寄りのマルチモーダル作業には非常に使いやすいポジションです。
(3) Grok 4.1:マルチモーダルだが、主役は検索+会話
xAI のドキュメントでは Grok 4.1 Fast を“frontier multimodal model”として位置づけており、Grok API 全体として「Image Understanding / Image Generation」用のガイドも用意されています。
ただし現在のところ、マルチモーダル専用ベンチマークでの詳細な数値は Gemini 3 Pro ほど豊富ではないため、「マルチモーダル機能もあるが、Grok の真価は検索+会話+エージェント」と捉えておくとバランスが良さそうです。
7.コーディング性能
(1) GPT-5.1:フラッグシップのコーディング・エージェント
OpenAI の API ドキュメントでは、GPT-5.1 は「コーディングとエージェント向けフラッグシップ」と明記されています。
GPT-5.1 Codex 系では、大規模コードベースの理解、ツール呼び出し、長い自動化チェーンに対応しやすいと、開発者向けチュートリアルでも紹介されています。
「既存のリポジトリを読み込ませて、リファクタ・テスト・ドキュメント作成までやらせたい」ような用途には、依然として第一候補です。
(2) Gemini 3 Pro:Agentic IDE「Antigravity」との組み合わせが強力
IT Pro の記事によれば、Gemini 3 Pro 単体のコーディングベンチマークは、Claude 4.5 系に及ばない部分もあるものの、Gemini 2.5 Pro からは大きく改善。
一方で、Google のエージェント IDE 「Antigravity」 と組み合わせることで、仕様ヒアリング → 設計 → 実装 → テスト → UI 修正までをエージェントに任せるデモが行われています。
Google Cloud・GCP・Chrome による開発フローと組むなら Gemini 3 Pro が自然な選択になります。
(3) Grok 4.1:コードも書けるが、主役はやはりエージェント
Grok 4.1 / 4.1 Fast も、コード実行ツール、関数呼び出し、長コンテキストを備えており、一般的なコード生成タスクは問題なくこなします。
ただし現状の公開情報を見る限り、「創造的文章・感情理解・検索エージェント」「Grok Code Fast 1 などの専用コードモデル」の方に役割分担している印象で、純粋なコーディング性能だけで GPT-5.1 / Claude 系に並ぶという評価までは出ていません。
8.用途別のおすすめ
最後に、「自分が何をしたいか」から逆算したざっくりの選び方です。
(1) ビジネス文書・企画書・メール・レポート
第一候補:GPT-5.1
トーンを細かくチューニングでき、指示追従性も高い。
Gemini 3 Pro
論理的・事実寄りのレポートには適しているが、柔らかいトーンはやや調整が必要な場面も。
(2) 創作・小説・キャラクター会話・雑談
第一候補:Grok 4.1
EQ ベンチや Creative Writing ベンチで高評価。会話の「温度感」が欲しい用途に向く。
GPT-5.1
スタイルプリセット機能のおかげで、こちらもかなり高レベル。
(3) 信頼性重視の情報探索・リサーチ
Grok 4.1 Fast
低ハルシネーション+X/ Web 検索+エージェントツールの組み合わせが強力。
GPT-5.1
ChatGPT Search / Atlas で「人間が最終確認する前提」のリサーチパートナーとして優秀。
Gemini 3 Pro
知識量・正答率は非常に高いが、一部ベンチでは高めの幻覚率も報告されているので、必ずソース確認を。
(4) 画像・動画を絡めた高難度タスク
第一候補:Gemini 3 Pro
1M コンテキスト&マルチモーダル特化。
GPT-5.1
資料要約やスライド作成など、ビジネス寄りのマルチモーダルタスクに向く。
(5) 大規模コードベースの開発・エージェント開発
第一候補:GPT-5.1 / GPT-5.1 Codex
コーディングとエージェント向けフラッグシップという公式位置付け。
Gemini 3 Pro + Antigravity
Google エコシステム前提ならこちらも強力。
Grok 4.1 Fast
ツール呼び出し主体の「運用エージェント」(顧客サポート / 自動リサーチ)に向く。
9. まとめ:どのモデルも「最強」になり得るが、得意領域は違う
まとめると、
純粋なマルチモーダル推論・数理・パズルなら Gemini 3 Pro
コーディング+汎用アシスタントなら GPT-5.1
リアルタイム検索・エージェント・創作寄りの会話なら Grok 4.1
という三すくみ構造になっています。
2024 年のころは「とりあえず GPT-4o で全部やる」が現実解でしたが、
2025 年の今は「用途ごとにモデルを切り替える」前提で設計した方が、コスパも品質も上がる時代に入った、という印象です。
筆者の感想
3種類のAIモデルの中で最もインパクトが大きかったのは、Gemini 3 Proです。ベンチマーク評価で首位を独占し、画像・動画認識やUIデザインのセンスも抜群でした。
次にインパクトがあったのは、Grok 4.1でした。短期間でトップクラスのAIモデルの性能に追いつき、ポテンシャルの高さを感じさせました。NSFWの文章をほぼノーガードで出力するのも驚きでした。
GPT-5.1については、情報圧縮しすぎで読みにくかった文章表現が改善され、分かりやすく、フレンドリーな文章になりました。また、Instantモデルの性能は向上しましたが、Thinkingモデルの性能は、従来のモデルの性能からそれほど向上しませんでした。
しかし、実際に、どのAIモデルを使うかというと、どのモデルも十分な推論性能を有しており、最先端の研究者でもない限り、推論性能の差はあまり問題になりません。結局、用途に応じて、使いやすいモデルを選べばよいということになります。
例えば、小説の執筆に関して言えば、Gemini 3 Proの文章は簡潔ですが、デフォルトでは少し表現が硬く、改善されたGPT-5.1の文章の方が魅力的に感じます。また、Grok 4.1は、文章表現の規制が緩いので、暴力的なシーンや官能的なシーンが必要な小説の場合は重宝します。さらに、3つのモデルより少し出遅れた感じのするAnthropicのClaude Sonnet 4.5も、日本語の文章表現が優れているため、小説執筆の場合は、まだ価値があります。
このように、どのAIモデルを使用するかは、自分の用途に合わせて、ケースバイケースで考えていく必要があるでしょう。
なお、筆者は、現在、新しいモデルを色々とテストしており、近日中に、実際の出力結果を踏まえた各モデルの性能比較記事を公開できると思います。
