「最高の経験と仲間に出会うことができる場所」 第15期服部奨学生 黒田 涼人
服部国際奨学財団では、奨学金の給付にとどまらず、公式行事や各種研修への参加を通じて、服部奨学生・Alumni(修了生)同士の交流、そして国際的な視野の広がりも大切にしています。多様性への理解を深めることも、こうした活動の中で育まれる重要な支援の柱のひとつです。
今回は、さまざまな行事に積極的に参加するだけでなく、服部奨学生運営スタッフとしても活躍している第15期服部奨学生黒田 涼人(くろだ りょうと)さんに事務局員 長尾がインタビューを行いました。
服部奨学生としての経験や運営スタッフとして取り組みを通して感じたこと、そして今後の抱負について語っていただきました。ぜひご覧ください。

服部財団と服部奨学生
長尾 黒田さんは大学4年生の秋から第15期服部奨学生として在籍しています。大学院に進学し、現在まで約1年半ほどが経ちますが、服部奨学生になる前と後の服部財団の印象に違いはありますか?
黒田 公式行事だけでなく、非公式のイベントやセミナーも非常に充実しており、その点で大きな違いを感じています。
服部奨学生になる前から、服部財団のホームページやインスタグラムでイベントやセミナー開催について知ってはいましたが、これほど多くの機会が提供されているとは思っていませんでした。また、学生ではなかなか体験できない長良川の鵜飼体験や隅田川の屋形船クルーズなど、非常に貴重な体験をさせていただいています。
長尾 面接選考の日が事務局開催のハロウィンイベントの日でしたね。公式行事は服部奨学金授与式や文化講演会、修了式など、全ての服部奨学生が参加しますが、少人数での非公式イベントも数多く開催します。例えば「金融リテラシーセミナー」や「就活セミナー」など、学生自身が何かを培うきっかけになってもらえたらとても嬉しく思います。

黒田 私は大学4年生の秋に採用していただき、その後12月に開催された就活セミナーに参加しました。これが就職活動を始めるきっかけとなりました。開催日は土曜日で、音楽フェスに行く予定を断るかどうか非常に悩みましたが、最終的にセミナーに参加する決断をしたことをよく覚えています。
セミナー参加後、就職活動を始めない限り何もわからないと思い、他の学生よりもかなり早い段階でスタートを切りました。振り返ってみると、この時期に活動を始めたおかげで、自己分析や業界・企業研究に十分な時間を確保でき、最終的に本当にやりたいことを見つけることができたと実感しています。
また、服部奨学金のおかげでアルバイトの時間を減らし、就職活動に集中できる時間を使えたことは本当にありがたかったと感じています。
長尾 服部財団の就活セミナー参加が黒田さんの進路を決めるうえで大きな転機になったのですね。ほかにも様々なイベントに参加されていますよね。
黒田 そうですね。たとえば、おすすめ本を紹介し合う「ビブリオバトル」などにも参加し、新たな経験や出会いに触れることができています。とても有意義で、毎回楽しみながら学びに繋げています。
これまでの大学生活では限られたコミュニティ内でしか活動をしてこなかったため、行動範囲がかなり狭く、知り合いもほとんどが三重県と近隣の愛知県、岐阜県にとどまっていました。しかし、服部財団のイベントに積極的に参加するようになり、大学外での繋がりが大きく広がりました。今では全国47都道府県に友人や知人がいるように感じています。
株式会社ユー・エス・エス見学会 研究への繋がり

長尾 服部奨学生やAlumni(修了生)の他にも、その友人たちとの繋がりも加えると全国規模で広がりそうですね。2024年9月には服部奨学金の財源となる「株式会社ユー・エス・エス」見学会に参加し、ご自身の研究内容にも関わる現場を見学されましたが、いかがでしたか?
黒田 見学会では、服部財団の理事長であり、株式会社ユー・エス・エスの代表取締役社長である瀬田大理事長と直接お会いすることができ、オートオークション会場や車両点検の現場を、他の服部奨学生3人と一緒に見学する貴重な機会をいただきました。
瀬田理事長とお話しする時間も設けていただき、オークション理論の研究している服部奨学生がオークション方式について、そして電気自動車の研究している私が中古車EV市場動向についての質問をしました。
瀬田理事長からはどの質問にも非常に丁寧に答えていただき、広がりを見せる自動車業界とその複雑な流通網について、深く理解することができました。
また、中古車オークションが自動車市場に与える影響や私の研究が将来的にどのように応用される可能性があるかについて、新たな視点を得ることができました。その後、車両のオークションや検査過程を見学し、詳細かつ迅速な評価方法に非常に感銘を受けました。市場に適正な価格で流通させるための徹底したシステムは、その信頼性の高さを裏付けていると強く感じました。

服部奨学生のスタッフ活動
長尾 服部財団の全ての行事は、事務局が企画から運営まで担当し、服部奨学生のスタッフがサポートし開催していますが、どのように携わってますか?
黒田 3月1日に開催された公式行事の修了式では、学生スタッフとして、瀬田理事長の誘導・サポート業務を担当しました。また、これまでは受付、カメラマンなどの業務も担当しました。
さらに、公式行事以外のイベントとして、イベント企画班に参加し、新しいイベントを企画中です。昨年は学生スタッフ5人でスポーツ大会、栄養管理学セミナーを開催しました。さらに、2月の関東研修会に企画運営スタッフとして参加し、スタッフ12名が主体となり、無事に開催することができました。
長尾 これまでスタッフとし、様々な行事に参加されていますよね。私が事務局担当として参加した2月の関東研修会では、黒田さんと第16期服部奨学生 古井 真さんの2名がリーダーとして、企画当初から運営に関わりましたが、他のスタッフ10名とのやり取りではどのようなことを重視して進めましたか?
黒田 「参加者目線での企画運営」を特に意識していました。今回のスタッフや参加者の多くは、公式行事を除くイベントへの参加経験があまりなかったため、より丁寧で配慮の行き届いた運営が求められました。
そこで、過去に多くのイベントにスタッフや参加者として関わった経験を活かし、困ったことや良かったことを企画運営に反映させることで、みんなで楽しめるイベントを作り上げることができたと感じています。
今振り返って良かった点は、1日目のイベント開始前に学生スタッフミーティングを実施したことです。事前にオンラインで数回のミーティングを行いましたが、オンラインとオフラインでは雰囲気が大きく異なります。オフラインで直接顔を合わせてコミュニケーションをとることで、スタッフ間の連携がスムーズになったと実感しています。
逆に改善点としては、リハーサルや当日朝のミーティングで、企画運営の2人からスタッフ全員にもう少し丁寧に全体の流れを説明するべきだったと思っています。各スタッフが自分の担当だけ把握していたため、連携がうまくいかず、慌ただしい場面がいくつかありました。次回はリアルタイムで落ち着いて対処できるよう改善したいと思います。この反省を次回のスタッフとしての参加に活かしたいと思っています。

右上)2024年度文化講演会スタッフ(撮影担当)
右下)2024年度修了式スタッフ(理事長担当)
服部奨学生・Alumni(修了生)の交流
長尾 服部奨学生やAlumni(修了生)とどのように交流し、コミュニティを築いていますか?
黒田 進学や就職活動などのお話を伺っています。イベントに参加した際に、一緒に食事を楽しみながら、多くの後輩や同級生、先輩と出会うことができました。特に、就職活動においては先輩方に非常に支えられました。
エントリーシートの添削や面接練習を何度も行っていただき、その結果、第一志望の企業から早期に内定を頂くことができました。
また、私は最初から特定の分野に絞らずに就職活動を始めたため、先輩たちの内定先の社員や同期ともつながることができ、Alumni(修了生)訪問を通じて貴重な話を伺うことができました。服部コミュニティだけでなく、そこからさらに広がるネットワークを築くことで、情報収集に困ることは一切ありませんでした。
長尾 服部財団の強みは、縦と横のつながりを広げられる点ですね。インターネットにはたくさんの情報がありますが、実際に体験した人からの情報はとても心強いと思います。
黒田さんは積極的に行動されているのは素晴らしいことだと感じますが、コミュニティを築くために大切にしていることはどのようなことですか?
黒田 「自分の意見をしっかり持つこと」を大切にしています。縦のつながりが深くなると、相手の意見に引きずられがちですが、そのような時こそ自分の意見を大切にすることが重要だと感じています。
自分の意見をしっかり伝えた上で意見交換を行うことで、より良いコミュニケーションが生まれ、結果として強固なコミュニティを築けると考えています。
長尾 そのような交流から得た学びや成長したエピソードはありますか?
黒田 1つエピソードを紹介しますね。
昨年の夏、東京で開催された親睦会のことです。インターンシップと学会のために東京に滞在していたため、長尾さんにお願いして参加させていただきました。そこで、Alumni(修了生)社会人1年目のYさんとHさんに、翌日にインターンシップの最終プレゼンを控えていることを伝えたところ、親睦会後に別の場所でプレゼンの対策をしていただきました。
平日の夜で、翌日もお仕事がある中、閉店まで付き合っていただきました。この経験から、人のために何かをすることの大切さを深く実感し、今では誰かが困っていたら、どれだけ忙しくても全力で力になりたいと思い、行動するようにしています。
長尾 東京在住者向けの親睦会でしたので、連絡をいただいた時は驚きましたが、非常に有意義な時間を過ごされたようですね。自分が受けた支援を次の人へとバトンを渡すことは、非常に大切なことですね。

思いがけない出逢い
長尾 アルバイトも経験されていますが、服部奨学生になって変わったことはありましたか?
黒田 服部奨学生として、様々な新しい経験を積むことができました。服部財団のイベントに参加する中で、私のアルバイト先の焼肉屋の娘さんと「朝鮮学校コミュニティの七輪焼肉研究」をしている服部奨学生のCくんが朝鮮大学校で先輩後輩の関係にあることを知り、話が盛り上がりました。
その後、Cくんが東京から三重までアルバイト先に挨拶に来てくれることになり、さらに近くの別の朝鮮学校があり、一緒に見学に行きました。校長先生からは、朝鮮学校の歴史や背景について話を伺い、校舎を案内していただきました。
朝鮮学校では、七輪焼肉や民族舞踊などの伝統的な文化があり、コミュニティ内での強い繋がりを感じました。その一方で朝鮮学校が抱える社会的、経済的に厳しい現状についても知り、この文化と現状をもっと多くの人に知ってもらいたいと強く思いました。
この経験を通じて、普段触れることのない新しい文化に触れ、貴重な学びを得ることができました。

研究発表会
長尾 関東研修会では、朝鮮出身の服部奨学生から研究発表を聞き、黒田さんも念願の研究発表をされましたね。初めてその内容を聞く人も多かったと思いますが、発表にあたり工夫した点はありましたか?
黒田 「誰でも理解できる内容にすること」を意識しました。私は電気自動車に関する電力変換器の研究をしていますが、専門家ではない人からすると、「電力変換器?」となる内容だと思います。
そこで、研究発表のテーマを「電気自動車の仕組みと新しい活用法」として、身近にある電気自動車がどのように動くのか、今後どのように活用されるのかについて発表しました。発表後、「初学者にも専門用語を少なく説明していてわかりやすかった。」とのコメントをいただき、この点については成功だったと感じています。一方で、別のコメントでは「研究の内容や結果についてもう少し詳しく知りたかった」という意見もあり、大衆受けと専門性のバランスに関しては改善の余地があると感じました。
実際に、念願の研究発表をしてみて、資料作成などの準備はかなり大変でしたが、その準備期間から発表までの過程を楽しむことができました。また、多くの気づきや学びがありました。特に、発表を準備するために電気自動車の技術的な部分や市場動向を調べる必要があり、かなりの知識を得ることができました。
このように、有意義な時間を過ごすことができ、本当に良い機会でした。
長尾 昨年度までは公式行事での研究発表会が主でしたが、2024年度は関東・関西でも実施し、2025年度にはさらに多くの学生に研究発表する機会を提供したいと考えています。
専門分野の人だけでなく、初めて研究内容に触れる人の前で発表することは、異なる角度からの意見をもらうことができ、非常に良い経験になると思います。

経験の学びと最高の仲間
長尾 黒田さんにとって服部財団、服部奨学金とはどのような存在ですか?
黒田 私にとって服部財団は、「最高の経験と仲間に出会うことができる場所」です。
服部奨学金のおかげで、金銭的な余裕ができることはもちろんですが、何よりも最高の仲間に出会えたことが財産になっています。また、大人数イベントでの企画運営や鵜飼、南京玉すだれなど、日本文化に触れる機会を得ることができ、人生の視野が広がるような貴重な経験ができました。このような新しい出会いと経験が学生時代に得られる環境は唯一無二だと思います。
長尾 服部財団の経験をもとに、今後の目標や将来の展望はどのように考えていますか?
黒田 修士課程卒業後は、研究職として就職する予定です。
内定先の企業では、テクノロジーや先端技術をどのように活用するかについて研究し、エネルギー、モビリティ、インフラ分野におけるグローバル規模でのクリーン化を実現したいと考えています。
これを実現することで、私たちの子供たちに美しい地球環境を引き継いでいけたら良いなと思っています。また、社会貢献を通じて世界で活躍できる人材になり、服部国際奨学財団への恩返しができればと思っています。
長尾 黒田さんのように感じていただけるととても嬉しいです。私も事務局員として、服部奨学生やAlumni(修了生)と接し様々なお話しを通じて視野が広がり、今までにない感覚を研ぎ澄ませてもらっています。輪が広がり、学びだけなく「考える」「感じる」ことを大切にしてほしいと思っています。これからも有意義な時間を過ごしてもらえるように、私も新たな企画やチャレンジをして、学びを深めたいと考えています。
最後に、これから服部奨学生を希望する人に向けて、伝えたいことを教えてください。
黒田 私から見た服部奨学生は、「何かでNo.1」を持っている学生が多いと感じます。国を代表してオリンピックに出場する服部奨学生や著名な学会で賞を受賞してくるような人がたくさんいます。
この環境に入り、周りから良い影響を受けたいと思う人、自分のNo.1で周りに影響を与えたいと思う人は、ぜひ応募してほしいです。
そして、そのNo.1で私にも影響を与えてください!同じ服部奨学生として、一緒に語り合いましょう!

服部財団は、他者の尊厳を認め、文化と思想の多様性を尊重し、現代社会が直面する課題の解決に向けて学修・研究に取り組む服部奨学生が在籍しております。
一人ひとりの尊厳と多様性を大切にし、より良い社会の実現に向けた環境づくりを進める中で、役員や事務局員をはじめとするすべての関係者が連携し、目標に向かって進む服部奨学生およびAlumniをこれからも力強く応援してまいります。
現在、服部財団では服部奨学生の採用数の増加とAlumniとの繋がりの拡大に伴い、今後の充実した支援大戦を維持・強化するため、新たなスタッフを募集いたします。
2025年6月14日(土)「WORKPLACE OPEN DAY」を開催します。オフィス案内、業務紹介などカジュアルな交流を通じ、働き方の理解を深めていただける機会ですので、ぜひご検討ください。
皆さんのご参加を心よりお待ちしております。
詳細は(https://hattori-zaidan.or.jp/recruit/)をご覧ください。
