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Hello World! Tech組織の英語力強化が開く新たな可能性

enechain テクノロジー本部テックカンパニー推進部のK1(鈴木慶一郎)です。今回の記事では、2025年3月からテクノロジー本部の英語力強化施策としてスタートした「Hello World!」プロジェクトについてご紹介します。このプロジェクト名は、プログラミングを学ぶ際に最初に出力する「Hello World!」から取ったもので、私たちの英語力強化への第一歩を表現したプロジェクト名になっています。


なぜ今、Tech本部で英語なのか?

理由は大きく2つあります。1つ目は、2024年のシリーズB以降、海外企業とのミーティングが増えてきたこと(昨年提携を発表したXpansivなど)です。API連携の技術的議論から業務提携まで、エンジニアリングの専門知識を持ったメンバーが英語でコミュニケーションを取る場面がより日常的になってきました。

2つ目は、私たちが現在積極的に行なっている採用です。経済産業省の調査によると、2030年には最大で79万人のIT人材が不足すると予想されています。このような状況下で高いレベルの人材を採用し続けるためには、海外人材の採用は必要不可欠です。さらに興味深いのは、日本人を採用するのにも英語が必要になってきていることです。特に、キャリアの中で一度英語環境を経験した方は、「身につけた英語力を活かしたい、失いたくない」という思いを持っている方が多いです。この点においてenechainは採用競争力が弱く、事業には興味を持ってもらえても入社に至らないケースが何度かありました。

これらの状況を受け止め、私たちはenechainのTech組織の発展のためには英語力強化は待ったなしであると考え、Hello World!プロジェクトを始動しました。

Hello World!が目指すもの

Hello World!は、3年以内にTech部門を英語化することを目標としています。ここでは「Tech部門の英語化」を次の3つで定義しています。

  1. チーム全員がReadingとListeningでCEFRのB1を達成

  2. チームの75%以上がSpeakingでPROGOS B1以上を達成

  3. 英語話者のメンバーが所属している、又は所属・業務できる状態

CEFRはCommon European Framework of Reference for Languagesの略で、ヨーロッパで開発された外国語の熟達度を表す国際基準です。

全員が目指すCEFRのB1の説明

これら3つの条件は、マネーフォワードの「完全英語化」の定義を参考にしながら、私たちの組織の状況や文化を加味して作成しました。すでにB1を達成している人たちもいますが、その人たちにはB2、C1、C2などさらに上を目指してもらっています。

3つのアプローチで組織変革を推進

そんな背景から始まった「Hello World!」は、有志の英語が得意なメンバー6人がリーダーシップをとり、次の3つの軸で英語力強化を推進しています。

1. 英語利用チャネルの確保
全員が何かしらで必ず英語に触れる仕組みを構築しました。「各正社員が最低1つの英語コミュニケーションチャネルを持つ」という目標を設定し、スマホのOS言語を英語に変更する、コードレビューコメントを英語で書く、生成AIのプロンプトを英語で書くなど、各メンバーに自分のレベルに合ったものを選択してもらっています。

2. 英語を使ったアクティビティの企画運営
英語力強化に興味のあるメンバーがリスクフリーで英語を練習することができる機会として、英語での1on1など「英語を使う場」を提供します。例えばEnglish 1on1を月1回以上定期的に開催しています。英語話者のメンバーや英語が得意な日本人メンバーと、希望者が1対1で英語でのコミュニケーションを練習する場で、「完璧に話せなくても通用するんだ」と感じてもらうことも重要な狙いの一つです。

3. 個人向け英語力強化サポート
メンバーが任意で取り組める英語学習のリソースや仕組みの提供と各個人の事情を踏まえた英語力強化のためのアドバイスを提供します。メンバーそれぞれが自分に合ったペースで続けられる学習方法が見つかるのが理想です。

なお、本プロジェクトとは別で、個人のスキルアップをサポートする全社プログラムも存在しており、そちらを活用して英語スキルアップを目指すメンバーも複数おります。

これら3つを軸としてスクラッチから始まったHello World!ですが、現在5ヶ月が経過し、成果も出始めました。

Hello World! プログラムを率いるメンバー、左からセキュリティエンジニアのTrevor Mangram、データエンジニアの周 晟聡、そしてK1

実践から生まれた成果

プロジェクトを開始した2025年3月当時、私たちは7月31日を期限とする3つの短期的なゴールを設定しました。現在7月22日の時点ですでに2つを達成し、最後の1つもほぼ達成が確実な状態となっています。

1. 英語話者の採用ゴール(達成✅)
ゴールのひとつは「2025年7月31日までに日本在住の英語話者(ノンネイティブも可)が1人以上、入社決定している」という採用目標でした。高い採用基準を落とさずに英語話者を採用していくには、受け入れの体制整備も必要ですし、選考フローの見直しやエージェント開拓も新たに行う必要があります。

この目標については、プロジェクトに先駆けて英語話者をメインターゲットとする採用エージェントの開拓を進めていたことも有り、Security Deskへの英語話者エンジニアの採用を決めることが出来ました。現在では貴重なチームの一員として活躍しており、組織全体の英語コミュニケーションの触媒役にもなっています。例えば、Hello World!のアクティビティとして英語のゲームWordleを提案し、自分も含めこれにハマる人が続出して、今Tech本部内ではこれを毎日プレイしている人が相当数います。

Wordleの結果をポストしあうSlackチャンネルでのスレッド

彼の存在により、「いつか英語を使うかもしれない」という漠然とした意識が、「今、英語話者の同僚がいる」という具体的な現実に変わりました。

2. 英語Usageゴール(達成✅)
短期的なゴールとして「2025年7月31日までに、Tech本部の各社員が最低1つの英語コミュニケーションチャネルを持つ状態になっている」というゴールを掲げました。これは前述のHello World!の軸の一つであり、メンバー全員に取り組んでもらうこととして打ち出しました。

こちらは目標自体は達成が難しい事ではなく、スプレッドシートで各自チャネル記載を行なっていただき目標自体は早期に達成しました。重要なのは、想定以上に前向きな反応が多かったことです。前述の「スマホのOS言語を英語に変更する」などのほか、各メンバーからもアイデアを出してくれて、「コード内のコメントやツールを英語設定にする」など、様々な取り組みが生まれています。中には一つだけでなく、複数の項目にコミットしてくれているメンバーもいます。

また、詳細は後述しますが、「朝会の英語化」や「GitHub上のコミュニケーションの英語化」に取り組むチームも複数見られ、個人レベルを超えた取り組みも広がっています。

3. アクティビティゴール(ほぼ達成✅)
アクティビティ面では「2025年7月31日までに任意参加の英語使用アクティビティを月1回以上定期的に行い、それにレギュラー参加者がいる状態」を目標にしました。

初期案として前述したEnglish 1on1を始めたのですが、希望者が想定を大幅に上回る人数だったのは嬉しい驚きでした。参加者からは「最初は緊張したけど、相手が辛抱強く聞いてくれて、思っていたより話せた」「英語で技術の話をするのは初めてだったけど、意外と通じて嬉しかった」といった前向きな感想が聞かれています。現在では、24名の方が3週間おきのEnglish 1on1にチャレンジされていて、7月31日の時点でもこれらのレギュラー参加者の方々が続けてくれていると思われるので、このゴールはほぼ達成と言えるでしょう。

また、先日初めてEnglish NOMIKAIも開催しました!英語話者を交えての英語オンリーの飲み会でしたが、参加者が積極的に英語で話してくれて楽しい会になり、来月も開催する事になりました。

第一回 English NOMIKAI

このような取り組みがチームの中から自発的に生まれてきているので、これからもいろいろなアイデアをサポートしていきたいと思います。

これらの取り組みで重要だと考えるのは、メンバーそれぞれの温度感を大切にすることです。チームによっては英語力強化への緊急性が低いところもあるので、各自の生産性とモチベーションを維持しながら、できる人から、できるチームから取り組んでいく──今のところこの柔軟なアプローチが功を奏しているのではと分析しています。

組織に広がる変化の波

今年の3月にキックオフしたHello World!プロジェクトですが、組織全体に新しい変化が生まれています。最も印象的なのは、このプログラムがメンバー一人ひとりの自発的な取り組みとして根付いてきていることです。

あるエンジニアからは「英語でのコードレビューコメントを書いてみたら、思ったより楽しかった。海外のオープンソースプロジェクトでも同じように貢献できそうな気がしてきた」という声を聞きました。この声は、単なる語学学習を超えて、グローバルなエンジニアリングコミュニティへの参加意欲を示しています。

また複数のチームが自主的にDailyミーティングを英語で実施する試みも開始しています。これは強制ではなく、「これから採用が増えていく英語話者と円滑に働きたい」という前向きな動機から始まったものです。あるチームリーダーは「最初は戸惑いもあったけど、チーム全体の英語への心理的ハードルが下がった」と話しています。この英語Dailyミーティングの取り組みについては、近日Tech Blogで取り上げますので、ぜひご一読ください!

個人の創意工夫も素晴らしく、あるエンジニアリングマネージャーが「ChatGPTのVoice Modeでリアルな英会話が練習できるEM版プロンプト」を作成し社内で共有したり、「同じ内容なら英語版で読んで一石二鳥」という考えで技術書を英語版で読むことにトライしているメンバーもいます。

最も重要だと思う変化は、英語に対する組織の空気感の変化です。以前は「英語は特別なスキル」という認識でしたが、現在は「技術者としての基本的なツールの一つ」という認識に変わりつつあると感じます。例えば英語の技術記事やドキュメントが読めるようになることで、最新技術動向への理解が深まります。最新のAIの動向も、英語の記事が読めるのと読めないのではキャッチアップのスピードが違います。生成AIを使った翻訳の精度もかなり良くなってはいますが、現時点ではチェックしないと絶対の信頼は持てないのが実情です。各自が自分のキャリアにとって英語は習得しておくと有利になるツールの一つであるとの認識を持ってくれているのがありがたいです。

おわりに

本記事では、テクノロジー本部内の英語力強化の取り組みと、それにより生じた変化について紹介しました。私たちは、Hello World!プロジェクトを通じて、英語力強化がTech人材のキャリアの可能性を広げると信じています。このような挑戦を前向きに捉え、異なる背景を持つメンバーとの協働能力を持つ方々と共に働きたいと考えています。

まだ英語に自信のない方は、Hello World!プロジェクトを通じて段階的に英語力を向上させることができます。最初はコードレビューコメントの英語化など、自分ができるものから始めて、徐々に任意アクティビティにも参加し、最終的にはTech組織の全員がCEFRのB1を達成することを本気で目指します。少しでも興味がわいた方は、ぜひカジュアルにお話しさせてください。Tech / Biz / Corporateチーム、いずれも積極採用しています!

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