『eSquare Live』ができるまでー電力取引の革新を目指して
2024年10月9日、enechainは既存サービスを大幅にアップグレードした eSquare Liveをローンチしました。eSquare Liveを使えば、今まで主に人力で行っていたエネルギー商品の取引がすべてシステム化され、株取引のようなシステムトレードが可能になります。
eSquare Liveのローンチは、enechainが創業時から掲げてきたロードマップの中でも、特に重要なマイルストーンです。
座談会前編では、創業メンバーである樽井 (Biz)と青戸 (Tech)に、CTO 須藤を加えて、ローンチに至るまでのテクノロジー部門とビジネス部門 (以下、Tech × Biz) の協力体制の変化や、紆余曲折、そしてテックカンパニーとしての文化をどのように醸成してきたかについて語りました。
後編は、eSquare Liveの開発責任者であるプロダクト開発部部長の長谷川が加わり、サービス開発の舞台裏と今後の展望を詳しくお伝えします。

執行役員 CTO 須藤 優介 @sutochin26
グリーのWebゲーム部門にてバックエンド開発及びマネジメントを担当。メタバース事業の新規立ち上げに関わり、エンジニアマネジャーとしてリリースからチーム組成まで牽引。 その後ボストン コンサルティング グループのデジタル部門であるBCG Digital Venturesで事業立ち上げを複数回経験し、マーケティングベンチャー企業のCTOに就任。開発、デザイン、事業、組織の観点から全社のグロース戦略に携わる。 2021年10月にenechainに入社し、2022年7月にCTOに就任。2024年1月より執行役員。 早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻修了 (修士)。

執行役員 営業統括本部長 樽井 直良
JAPEX(石油資源開発)にて、貯留層エンジニアとして国内の油ガス田の埋蔵量評価や生産管理を担当。その後、ボストン コンサルティング グループにて、主に電力会社向けにM&Aサポートや中長期の電力需給予測、事業戦略、設備投資戦略の策定といったコンサルティングを提供。創業期にenechain入社。2024年1月より執行役員。 京都大学工学部卒業、京都大学大学院工学研究科 社会基盤工学専攻修了。

テクノロジー本部 プロダクト開発部 Broking Engineデスク シニアエンジニア 青戸 了
関西電力でデータサイエンティストとして市場分析、機械・深層学習モデル開発を牽引。関西電力とAccentureが合弁でつくったデジタル分析会社 “K4 digital” の立ち上げメンバーとして、深層学習など最先端技術を用いた事業アイデア創出に従事。創業期にenechain入社。 鳥取県出身。京都大学大学院 社会情報学科 (修士) 卒業。

テクノロジー本部 プロダクト開発部部長 長谷川 貴之 @hase1031
グリーにエンジニアとして入社。SNS基盤や全社データ基盤などのプラットフォーム系システムに携わり、大規模トランザクション・大規模データ処理を経験する。その後、同社内のメディアビジネス事業の立ち上げに1人目のエンジニアとして参画。サービスの立ち上げから拡大までをリードし、子会社の取締役に就任する。2023年4月にenechainにジョインし、現在はプロダクト開発部の部長として全てのプロダクトの開発を統括。 東京工業大学情報工学科卒業、東京大学大学院 情報理工学系研究科修了。
「エネルギー取引の未来」を実装する。お客様と共に取り組んだ “模擬売買”
― eSquare Live の開発責任者の長谷川さんに質問です! 開発では、まず最初に何から始めたのでしょうか?
長谷川:2023年末のキックオフ後、2つのことに着手しました。一つは、インセプションデッキの作成です。eSquare Liveの開発目的、スコープ、ステークホルダーを明文化し、開発メンバー全員で共通理解を深めました。もう一つは、海外の電力卸取引サービスや、電力以外のコモディティ取引サービスの徹底的な研究です。当時は証券のような取引サービスの開発経験があるエンジニアはいませんでした(現在は在籍)。日本にはないサービスなので、海外の事例は非常に参考になりました。

― その後、どのような段階を経てローンチに至ったのでしょうか?
長谷川:開発プロセスは大きく4つのフェーズに分けられます。
第1フェーズは、インセプションデッキ作成も含めて、PoC(Proof of Concept)開発や技術設計です。第2フェーズでは基本機能を実装しました。注文から約定に至る必要不可欠な機能の開発です。ここまでで4ヵ月程度かかり、動くモノができました。
第3フェーズでは、外部連携を含む追加機能の実装に加え、社内テストを行いました。このあたりからBizメンバーとの協働を強め、お客様へのヒアリング等を始めました。最後の第4フェーズで、負荷試験やQAも並行しつつ、お客様にご協力いただき「模擬売買」という形式でβテストを実施しました。
樽井:お客様と日々向き合うBizメンバーがeSquare Liveに本格的に関わったのは、第4フェーズの「模擬売買」あたりからです。お客様に実際にeSquare Liveを使って模擬取引をしてもらうという取り組みで、この取り組みを通じてBizメンバーにもeSquare Liveを盛り上げようという士気が高まったように思います。
― 模擬売買で実際にお客様に eSquare Live を使ってもらう中で、どのような反応がありましたか?
長谷川:初期は負荷試験前ということもあり、模擬売買中にローディングアイコンがずっと回ってしまうトラブルもあったのですが、一方で想像以上の良いコメントもいただけました。「これがエネルギー取引の未来なんだ」と、言ってもらえたのは励みになりました。まさに僕たちenechainが実現したかった、誰でも欲しい商品をリアルタイムに取引できる世界を感じてもらえたんだと。
須藤:そばで見ていても、模擬売買を通じてエンジニアの目の色が変わったというか、メンバーもお客様に直接関われて楽しそうでした。それまでは、実際のお客様がどのように使うのか、仮説に基づき開発を進めてきたので、実際の行動と反応に触れて解像度が高まったのは良かったです。

長谷川:模擬売買を経て、Tech × Biz の関係もさらに強まったように思います。やっぱりモノができて、お客様に使われ始めると、目線が合ってお互いのやるべきことも明確になりますね。Bizメンバーがお客様の声をエンジニアに届けてプロダクトを改善するとか、逆にエンジニアから機能や使い方のアップデートを提案したりとか。Tech × Biz の総力戦で、プロダクトを育てることができました。TechかBizかの立場にかかわらず、お客様に使ってもらうために必死に食らいつく姿勢は、enechainらしさだと思います。
ついに迎えたローンチ当日。歴史に残る初約定!
― そしてついに迎えたeSquare Liveのローンチ。結果はどうでしたか?
長谷川:eSquare Liveのオープン初日から成約がありました! エンジニア達はもちろん、お客様と相対しているBizメンバー、代表の野澤も含め、全員が一堂に会してハイタッチした瞬間が、とても印象的でした。

須藤:私は直接開発に関わる立場ではありませんでしたが、リリースと初約定の瞬間は、enechainにとって歴史的な出来事で、実際に開発を手掛けたメンバーを見ていて羨ましくなりました。皆、やり切ってくれて、本当に良いプロダクトと結果になりました。
― 創業時からこのeSquare Liveの構想を聞いていた青戸さんと樽井さんはどんな風に思いましたか?
青戸:初約定したときは、「本当にしちゃったな」という感じでした(笑)。あまりにも長い道のりだったので、その瞬間はあまり現実味がなかったです。その日の夕方にリリースのお祝いで、メンバーの苦労話を聞いているうちに、自分も創業から色々もがいてきた記憶が一気に蘇って、思わずうるっときました。夢物語だったことが、ついに現実になったなと。

樽井:僕は前日寝られなかったんですが、実際に初約定した瞬間は青ちゃんと同じで「あ、本当に約定しちゃうんだ」って感じでした(笑)
少し個人的な話になりますが、僕は学生時代から数えて、15年以上エネルギー分野に携わっています。京都大学大学院では石油工学を学び、新卒では石油資源開発株式会社(JAPEX)に入社し、その後ボストン コンサルティング グループでエネルギー関連の事業を担当していました。このキャリアを通じて強く感じるのは、エネルギーの仕事は国づくりそのものだということです。エネルギーは公共財として日々の生活を支えながらも、人類の繁栄を推進するという二面性を持っています。
そんなエネルギーの仕事で、今回のeSquare Liveのような、エネルギー業界の成長に不可欠だと信じられるサービスを提供できたのは、本当に感慨深いです。まだ産声を上げたばかりなのでこれからが本番ですが、業界の商習慣や取引の在り方まで、業界を根本からアップデートするためのスタート地点に立ったと思っています。
エネルギー業界の新たなスタンダードを創る
― 最後に、これからの展望について教えてください!
長谷川:ようやくテクノロジーを使って事業をスケールさせる世界に足を踏み入れられたと考えています。
enechainでは、enechainが目指す「テックカンパニー」の姿を10の項目で定義しています。その10項目の一つに “Scalable, Highly-profitable Business” があります。テクノロジーを駆使して高い成長性と収益性を実現するという意味ですが、目指す市場規模が1兆円でも10兆円でもなく、100兆円だからこそ本気でテクノロジーにBetする必要があるわけです。
eSquare Liveもそれ以外のプロダクトもすべて大事で、それらが噛み合って初めて100兆円規模のマーケットを創る道ができると考えています。
青戸:今後は、お客様や業界の変化がますます激しくなり、プロダクトへの要求も一層高度化していくはずで、難題ばかりと向き合うことになると思います。そういった変化に迅速に対応できるかどうかが、日本のエネルギー業界の未来を決めると言っても過言ではありません。
Tech × Biz のコミュニケーションや協力体制をさらに強化し、業界のニーズや変化に素早く応えていきたいです。エンジニアとしては、これまでも長期的な視点をもって設計や実装を行ってきたつもりですし、その積み重ねの成果を発揮するのが今だと考えています。
樽井:enechainは、これまでBizが得たニーズをTechがプロダクトを通じて高速に解決することで、事業を拡大してきました。特にここ一年はenechainのプロダクトと、Tech チームについて褒めていただく機会が増えたと実感しています。
ただ、今後はそれ以上を目指していく必要があります。これまで蓄積してきた知見を活かして、「まだ見えていない」顧客の課題を先読みし、提供していくような動きです。そうすることで、エネルギー業界における新たな商習慣やスタンダードを、enechain発で生み出せると信じています。
須藤:まだeSquare Liveという箱ができただけで、勝負はこれからです。そこに流動性という命を吹き込むには、これまで以上の努力が必要になると思います。
すでに市場流動性の向上に向けて、様々な開発が走っています。eSquare Liveという基盤プロダクトができたことで、様々なテクノロジーソリューションが考えられるようになりました。「こういうデータを提供するとお客様が喜んでくれるんじゃないか」「この機能で流動性を上げられないか」といった、Techチーム発のアイディアで収益に繋げようとするケースも少しずつ出てきていますし、今後もっと増えるはずです。
期待に応えられる開発組織にはなってきましたが、これからは期待を超えるような組織を目指します。今まで以上にボトムアップのアイディアが出るような文化をつくり、スタートアップならではの強さを持って、業界の新しい常識をつくっていきたいです。

いかがだったでしょうか?
eSquare Liveの提供開始をはじめ、2024年は複数の大型な業務提携や、プロダクト開発、機能開発が進みました。2025年はさらに加速し、ここから数年間はenechainにとってだけでなく、エネルギー業界の将来にまで影響を及ぼすことができるかもしれない、非常に重要な局面です。Social Goodな事業で社会的インパクトの大きい仕事をしたい方にとっては、チャレンジしがいのある環境です。少しでも興味がわいた方は、ぜひカジュアルにお話しさせてください。Tech / Biz / Corporateチーム、いずれも積極採用しています!
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enechain では、大きなビジョンに向かって腰を据えて取り組んでいます。
是非カジュアル面談を通じて詳しくお話させてください。
