昨年の10月にRIGOLのデジタルオシロスコープDHO804を購入して使っています。こちらの機種、低価格で分解能12bitありなかなか良いのですが、設定ファイルを書き換えるだけでDHO924に変身できるとのこと。性能比較表はこちらです。
| 型号 |
DHO804(12bit) |
DHO924(12bit) |
| サンプル・レート |
1.25GSa/s |
1.25GSa/s |
| チャンネル数 |
4CH |
4CH |
| 周波数帯域 |
70MHz |
250MHz |
| 垂直分解能 |
12bit |
12bit |
| チャンネル数 |
4 |
4 |
| 最大メモリ長 |
25Mpts |
50Mpts |
| 入力インピーダンス |
1MΩ |
1MΩ |
| 波形取り込みレート |
1,000,000wfms/s |
1,000,000wfms/s |
| 価格(税込) |
¥58850 |
¥125400 |
周波数帯域幅は70MHzから250MHzにメモリ長も25Mから50Mになります。値段の差は2倍以上。購入したときからやってみようと思っていましたが、メーカーの保証はなくなるのでそのまま使っていましたが、もう1年くらいたつのでそろそろ良いかなということでやってみました。
<以下の作業は保証対象外となりますので実施は自己責任でお願いします>
⚫︎やりかた
"DHO804 Hack"で検索するといくつか出てきますが、一番わかりやすいのは、こちらのYoutubeです。
www.youtube.com
これをそのままやってみたわけですが、日本語でやり方を紹介した記事はあまりないような気がするので、以下に日本語でやり方をまとめておきます。
① ADBのインストール
DHO804はアンドロイドで動いているので、データの書き換えを行うためのADB(Android Debug Bridge)をWindowsマシンにインストールします。ADBは、Android端末をPCに接続し、コマンドラインからデバッグやアプリのインストールなどを行うためのツールとのこと。単にコマンドを送るだけなので、ミニマルな構成のものを使いました。
xdaforums.com
②設定ファイルを変更するプログラムをダウンロード
Rigolオシロスコープの設定ファイルを書き換えるプログラムがGitHub公開されています。ありがたいですね。
github.com
こちらのrigol_vendor_bin.exeをダウンロード。最新バージョンはv1.3です。ダウンロードしたファイルは、”Minimal ADB and Fastboot”のフォルダにおいておいてください。
github.com
③DHO804をLANに接続
本体背面の有線LANで接続、IPは192.168.1.32です。

④ターミナルウィンドウを開き、"Minimal ADB and Fastboot”フォルダに移動。
ここで以下のコマンド(青字)を順に入力していく。
adb connect 192.168.1.32:55555 (adbでDHO804に接続)
adb pull /rigol/data/vendor.bin (DHO804の設定ファイルをPCに落とす)
adb pull /rigol/data/RKey.data (こちらもDHO804の設定ファイル)
⇨ファイル名がKey.dataの場合もあるらしい。私はRkey.dataでした。
rigol_vendor_bin -M DHO924 (設定ファイルをDHO924に書き換える)
実行するとこんな感じでメッセージがでてきます。
Rigol 'vendor.bin' encoder/decoder v1.3 - Zelea
-----------------------------------------------------------
0000 CRC32: 3EE59206 (OK)
0004 Length: 196 (OK)
-----------------------------------------------------------
0008 EntrySize: 4
000C Type: 5 (MODEL)
0010 FieldSize: 48
0014 CRC32: F0935787 (OK)
0018 DataSize: 36
001C StringLen: 6
0020 String: DHO804
-----------------------------------------------------------
0044 EntrySize: 4
0048 Type: 7 (SN)
004C FieldSize: 56
0050 CRC32: 9FBFFE13 (OK)
0054 DataSize: 44
0058 StringLen: 14
005C String: DHO8A***************
-----------------------------------------------------------
0088 EntrySize: 4
008C Type: 9 (MAC)
0090 FieldSize: 56
0094 CRC32: F4BC37BF (OK)
0098 DataSize: 44
009C StringLen: 17
00A0 String: ******************
-----------------------------------------------------------
Model: DHO924
SN: DHO9***************
MAC: *******************
New "vendor.enc" file has been created
You may rename it to "vendor.bin"
and install it on your scope Rigol partition
ren vendor.bin vendor.old (元の設定ファイルを.oldに変更)
ren vendor.enc vendor.bin (作成された設定ファイルを.binに変更)
adb push vendor.bin /rigol/data (新しい設定ファイルをDHO804に送る)
作業はこれで終了。DHO804を再起動してください。
⚫︎確認
menu⇨Utility⇨Aboutでモデル名を確認します
<変更前>

<変更後>:モデル名がDHO924、BW250MHzになっています!

最初のYoutubeではファームのバージョンは1.02となっていましたが、上の画面のとおり1.04でも問題なく変更できました。
また、メモリ長も50Mptsになっていることが確認できました。時間軸の設定でMemDepthに50Mが出てくるようになります。

⚫︎BW250MHzの実力は?
BW250MHzがどのくらい違いがあるのか確認してみます。発振器としてSi5351Aを使います。PLLで3CH、2.5kHz〜200MHzが出せるすぐれものです。
akizukidenshi.com
測定前にはセルフキャリブレーションを行なってください。
(Menu⇨Utility⇨SelfCal⇨Start)
10~150MHzの信号を入れて比較してみます。波形キャプチャしたものを以下にはりつけていきます。(左がBW70MHz、右がBW250MHz)
10MHz
30MHz
50MHz
100MHz
150MHz
なまっている波形がスパッと矩形波になるのを期待していたのですが、ぱっと見は大きな違いはないですね。(^_^;)
それでもよく見ると違いはあって、10~50MHzではトップとボトムの部分の形状で細かい変化がBW250MHzに見られます。100,150MHzでは、波形形状は三角波ですが、振幅はBW250MHzのほうが大きいので、帯域幅は広がっているのかなと思います。プローブの帯域幅も150MHzなので、トータルではこんなものなんでしょうか。
広帯域のプローブだと違いが見えてくるのかもしれませんが、そこそこのお値段するのでそこまではやらないかな.....