何がすごい量子コンピュータ 第4回AIデータセンター技術あれこれ

 

すごいぞ量子コンピュータ

 

よくテレビなどでも耳にするようになったが、「なんかすごいらしい」「スパコンよりも速いと聞いた」とか、「もう AI への投資ではなく、これからは量子だ」とか、いろいろな話が飛び交っている。

 

何がすごいのか。ある種類の計算に関してはスパコンを超えるほど早いということが、確認されている。その量子超越性を2019年に Google が発表している。ところで、なぜそれほど速く計算ができるのか? 

 

従来のトランジスタを使ったコンピュータ(これらは量子コンピュータに対して古典コンピュータと言われる)は、トランジスタを使い、ゼロイチの信号を生成させ、それを利用して計算を行ってきた。ゼロとイチで構成された二進法が計算のもとになる。

 

それに対して量子コンピュータでは、ゼロとイチ以外の情報が計算で利用できる。量子コンピュータの一つの特徴である、「重ね合わせ」だ。なかなかし難いが、ゼロイチではない計算ができるということは、一度にたくさんの計算ができることにつながる。それは速い。

 

ところで、量子って何だ? 量子は、もともと連続ではなく、粒になったときの状態のこと。それは、電子、陽子、中性子、光子といったレベル。このレベルになると、それらの粒は、我々が想像する粒の性質と波の性質を合わせ持つようになる。これを二重性という。

 

波は重なりますよね。例えば、イヤホンのノイズキャンセリングなどは、聞こえる音、この場合は音波の逆位相の信号を瞬時に合成して重ねることで、ノイズである町の雑踏の音を抑えて本来聞きたい音を聞こえやすくする技術。

 

現在、主流の超電導方式では、ジョセフソン接合を持つ超電導共振回路を使用して、回路のエネルギー状態の非連続性と非線形性を利用する。エネルギーの基底状態(最も低いエネルギー)と励起状態基底状態よりも一段高いエネルギー状態)をゼロとイチに設定して、これを信号として扱う。実際の原子を使わずに、エネルギー準位の特性を利用するため、人工原子と呼ばれる。これが超電導方式では、状態を保っていられる時間が長い「トランズモン量子ビット」。

 

この基となる研究は、NECの元研究者で現東京大学教授の中村先生によって初めて報告された。理化学研究所量子コンピュータ研究センターのセンター長も務め、富士通と共同で256量子ビット量子コンピュータを開発したとして、今年5月の話題となった。

 

ざっくりとした計算が得意でエラーもある?コンピュータ??

 

そんなものがコンピュータになるのか? ポテンシャルが高いのはわかるけど。なぜエラーを起こすのか。大きな理由の一つは、コヒーレンス時間(量子状態を保っている時間)が長くてミリ秒、つまり1/1000秒。瞬く間、よりも短いためだ。だから、エラーを起こしてしまうことがあり、現在、FTQC、誤り耐性量子コンピュータの構築が最も大事な課題となっている。

 

今年10月に、Googleが 「Willow チップを使ってスパコンを超えた」と論文を出した。スパコンはエラーのないコンピュータ。だから、エラーは許されない。つまりエラーなしの計算ができるようになったと。しかし、おそらく全ての計算に万能なものではないはずだ。量子コンピュータの方式、超伝導や光などその方式によっても得手不得手が存在するために、比較が難しい。とは言え、超えたという報告がいくつもあるということは、量子超越性が部分的でも実現しているということだ。

 

光の粒、光子を用いて行う量子コンピュータは、東京大学のスタートアップのOptQCとNTTで進められている。また、中性原子と呼ばれる方法では、アメリカのQuEra社はつくばの産業技術総合研究所に納品もしている。やはり、それぞれの方式でも、誤り訂正技術は必要なので、誤りのないスパコンを全ての状況で超えるのは簡単ではなく、データセンターでの活用など、できるところから、社会実装が始まっている状況だ。

 

 

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BEVから技術転用 第3回AIデータセンター技術あれこれ

行き場を見つけた電気自動車向け次世代パワー半導体

 

AI データセンターの大規模化に電力問題が欠かせないことは、前のブログで書いた通り。

 

しかし、なぜそれほど大規模な AI データセンターが必要なのか?

 

生成 AI を使って文書作成? 仕事の効率化? 画像や動画の作成? 新材料の探索? それらは、使われ方のほんの一部に過ぎないだろう。

 

現在、AI データセンターと「量子コンピュータ」を組み合わせたデータセンターが稼働し始めている。

 

それらを高いレベルで協働させることで、ネットワーク上のイージス艦のようなものができることになる。

 

量子コンピュータについては、別の回で書くことにする。

 

量子コンピュータによる強力な暗号通信や問題の最適解を探る速さが備わったデータセンターは、インターネットの安全保障上、重要なコンピュータとなる。

 

ハッキングされようとした時の強力な防御になり得るし、犯罪者に渡ってしまえば簡単にデータを盗まれてしまうことも考えられる。インターネット上の武器であり防御となるだろう。

 

そういうことなら、たくさんの国や企業が開発するよね。

 

だから、まず性能が必要なので、電力はなんとかなるでしょ、から始まって AI データセンターを作った。でも、電力問題が明らかになるほどとは思わなかったのでしょう。

 

バイスでの情報処理のため CPO などの光電融合デバイスを多用することで、電力を抑えることはできるが、基本的な電力は必要なので、各サーバーの電源は必要だ。

 

サーバーのボードには、冷却装置など、いくつもの装置が必要で、そこで BEV(電気自動車)で使われていたパワーデバイス(電力変換用の半導体)の出番だ。これにより、電力変換時の損失が非常に少なくなり、消費電力が抑えられる。

 

ちょうど、BEV の販売が低調になったため、炭化ケイ素や窒化ガリウムを用いたパワーデバイスが AI サーバーの電源用に使われることになった。

 

AI 半導体チップのファウンドリとして有名な TSMC も窒化ガリウムパワーデバイス製造をやめてしまった。サーバー電源で有名なデルタ電子は、ロームと協業していることから、ロームに窒化ガリウムファウンドリ役をさせているのだろう。

 

パワーデバイスとしては、炭化ケイ素が先行していたが、窒化ガリウムの方が 12 インチウエハーのへ大径化(大きくなれば安く作ることができる)技術が、信越化学からも発表されているように、窒化ガリウムの優位性が高くなっている。三菱電機も製造を行っている。

しかし、炭化ケイ素のデバイスの値段も下がってきていることから、両者が AI データセンターのサーバー電源に使われている。

 

光通信の光源に使われる障害物をスキャンする面発光レーザー

 

光通信で使われるレーザーは、先のブログでも書いたようにリン化インジウムのレーザー。DFB レーザーと呼ばれ、これが多くの光トランシーバーで利用されている。

 

しかし、低消費電力や小型集積化、高出力化が可能な VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)が使われることも増えてきた。ビクセルと呼ばれるこのレーザーデバイスは、スマホの顔認証や電気自動車の自動運転の LiDAR 技術に使用される。障害物探査だ。

 

半導体が得意なデクセリアルズや、ソニーセミコンダクターソリューションズ、QD レーザーなどが得意とするところだ。

 

それらの VCSEL のほぼ全てが、ガリウムヒ素系の化合物半導体だ。リン化インジウムを使用したものではない。この場合、レーザーの発生波長は 850 nm となり、長距離の光通信には適さない。減衰してしまう。

 

そのため、ガリウムヒ素系の VCSEL は建物の中などの近距離のデータ伝送で使われることがある。長距離だと減衰して使い物にならないが、近距離なら使える。日本では住友電気工業も手掛けている。

 

また、長距離伝送を実現するために、リン化インジウム系の VCSEL の製造も進められてます。今後は、VCSELになるのでしょう。



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光電融合技術とは 第2回AIデータセンター技術あれこれ

光通信の発展

 

先のブログで、大量に電力を消費する AI データセンターでは、光を有効に利用しなければならない、ということを書いた。情報通信を可能な限り光に置き換えないと、大規模 AI データセンターは、他の産業に影響が出るほどの「電気食い虫」になってしまう。

 

ご存じの方には申し訳ないが、わかりやすいように、少しだけ古い情報から書き始めている。

 

そこで、NTT が提唱している次世代通信・情報処理基盤構想の IOWN (アイオン)が注目されている。これは、最新の光半導体技術を使用して、大容量・低遅延・低消費電力の実現を目的として始まった。消費電力は 1/100 を目指している。

 

IOWN で目玉の技術が光電融合技術だ。

 

光と電気の技術を融合するといった、まさにそのままの名前の技術だが、詳しくない人にとっては、だから何、みたいなものだろう。AI データセンターの電力問題があるからこそ、注目されている技術でもある。

 

あるデータセンターから別のデータセンターへ情報を送る場合、もちろん光ファイバーの中を細切れになった光が情報として送られることになる。どこかで光の情報を電気に置き換えなくてはならない。あれ、それが光トランシーバーじゃなかった? その通りだ。この段階で PEC-1 という技術レベルになる。

 

しかし、この光トランシーバーはデーターセンター間の通信に使われている。光トランシーバーも年々スペックが上がっていき、デクセリアルズなどレーザー発光素子やフォトダイオード受光素子の開発を行っている。

 

データセンターの中では、ラックに収まっているサーバーが大量にある。それぞれのサーバーは、他のサーバーと接続され、連携することで高性能なコンピューティングが実現されている。今までは、スイッチングハブイーサネットケーブルが接続されていて、それらが各サーバーのコネクタにつながっていた。イーサネットケーブルの芯は銅でできている、その中を伝わる信号は、当然ながら電気信号だ。

 

つまり、サーバー内のボード(GPUやフィルターなどが取り付けられた板)同士が光でつながるのが、次のレベルになる。これが PEC-2。ボード間で光通信が可能となったことで

、速く低消費電力が実現した。大阪・関西万博で NTT が次世代通信技術として見せていたものだ。Broadcom社がデバイス製造、新光電気工業がパッケージングを行っている。

 

次世代 AI データセンターは多様な材料の組合せ

 

データを処理するプロセッサは電気で動いている(ここが光に変わるのはまだまだ時間がかかる)。さらにその先の PEC-3 という技術では、プロセッサまで光が通ってくるようになる。

 

ところで、光と電気はどのようにして変換されるのか? 今、スマホかパソコンを見ているはずだが、そのモニターの光源は半導体だ。電気を流して光らせている、そう LED だ。半導体は、光を電気に変えることができる。しかし、通信で適した光は波長 1500nm 程度の近赤外線で、これは光ファイバーの中で減衰しにくい波長なので使われている。リン化インジウムという材料で、化合物半導体の一種だ。

 

データ処理で使用されるプロセッサはシリコンで作られる。非常に細かな回路が描かれた AI 専用の Blackwell というチップが NVIDIA 社から発売され、大きなニュースになっていたことは見覚えがあるかも知れない。

 

そう、これもシリコン製だ。PEC-3 では、こういった高性能なシリコンチップとリン化インジウムの光半導体を融合させる技術になる。一つのチップの中に実装できれば、さらに高速化、省電力化が加速することになる。

 

これは CPO と呼ばれ、Broadcom社、NVIDIA社、TSMC社がリードしている。またもやアイデアで先行した日本が遅れをとっている状態だ。日本では、NTT はもちろんのこと、古川電気工業が、また独自の張り合わせ技術を沖電気工業が開発している。

 

一方、低消費電力化や光源としてのレーザーデバイス開発へのアクションは、電気自動車で使われている技術をデータセンターに投入することになる。これもまた面白い。



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光通信の今 第1回AIデータセンター技術あれこれ

大量のデータが必要なAI

 

ソフトウェア側のキーワードをメディアでよく目にすることが多い中で、ハードゥエアに着目して行きたいと思う。日本は部品レベルの製造業が強いですし。

 

アメリカの OpenAI 社の ChatGPT、Google でお馴染みアメリカの Alphabet 社の Gemini、NTT の tsuzumi など聞いたことがあるはずだ。これらは、LLM(大規模言語モデル)といって、生成 AI のソフトウェア側の中核的な技術だ。

 

AI の指示書であるプロンプトは、スマホから携帯電話の 5G 回線、インターネットを通じて、AI データセンターへ送られる。それで、学習させた AI サーバーが LLM を利用してもっともらしい文章を書いてくれる。作られた文章は、先ほどの逆で、AI データセンターからインターネット、5G 回線を経由してスマホに送られてくる。

 

今は、誰しもが使うAI。メールなどの文章も作ってくれるし、質問を投げかければ、時に期待以上の答えをする非常に優秀なアシスタントになってくれる。仕事ではアシスタント、プライベートでは恋人のように返信してくれる、らしい。

 

AI データセンターの中では無数のコンピュータが連動している。暗い中で、緑色の光が点滅しているような光景をテレビなどで見たことがあるだろう。それら無数のコンピュータ同士が連動して大量のデータを使用している、通信している状態だ。

 

光で通信する

 

以前は銅線(銅は抵抗が少ない)を使って信号を送っていたが、最近は可能な限り光を使って信号を扱うように、特に変化している。

 

そのためフジクラという光ファイバーの会社の株価が上昇したのは、光ファイバー通信の需要が拡大すると見込まれたからだ。

 

しかし、これは情報である光の通り道。もちろん通り道は必要です。情報の光は、光トランシーバーと呼ばれる装置によって送受信される。日本では経済産業省の支援のもと、高速光通信用の光トランシーバーを NTT や三菱電機富士通KDDI住友電工などが開発を行ってきた。光のデータを作り受け取る、光情報ー電気情報変換装置だ。

 

光は早い。それは誰もが知っているが、コンピュータは電気で動いている。だから、全て電気で構成されている分には、技術的に簡単だった。もちろんスパコンも当初は電気だけで動いていた。だから、例えば東京ー大阪間といった長距離の通信に光を利用することで、早く消費電力も少ない通信を実現していた。

 

AI を欲すると大量の電力が必要

 

そして AI データセンターを冷やすエアコンの電力もバカにならないくらい大きいのです。金属に電気を流すと発熱するでしょ。同じ原理。コンピュータのチップの回路に電流が流れてゼロ-イチの信号処理を行っているだけ。そのチップが数え切れないほどあるから、発熱量も半端じゃない。それに、そんなにたくさんの電力の準備ができない。

 

とは言っても、強力な AI データセンターは、イノベーションを起こす材料開発や、情報セキュリティで利用される、言わば国家安全保障上で重要な装置。だから電気はとにかく作りましょうということにもなる。

 

ものすごい電力を必要としてしまう AI データセンターでは、遠くの発電所から電気を引っ張ってくるような普通の商業施設のようにも行かなくなる。アマゾンのデータセンターなどでは、巨大なデータセンターの隣に原子力発電所を建設する事態になっている。

 

そこで登場するのが、リチウムイオン電池を利用した蓄電所とSMR(小型モジュール炉)と呼ばれる小型の原子力発電所で、日本政府もその建設を進めようとしている。

 

蓄電所は、昼間しか発電できない太陽電池のバッファーとして電力の安定供給のために使われる。

 

SMR では昼夜問わず大量の電力を供給できるようになる。CO2 も出さないし、何かあった時は石棺にすることも小さいから簡単ということを謳っている。

 

電力を供給するという方向では SMR を利用、使う電力を減らそうという方向は光通信を使おうということだ。

 

データセンターのそれぞれのコンピュータを接続する通信に光トランシーバーが使われるようになっている。光のメリットは、情報伝達が速く、電力の使用が少ないということに加え、発熱も少ないということだ。

 

光トランシーバー技術の先に、光電融合デバイス技術がある。



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退院、そして「がんばらない」生活へ(まとめ)

早まった退院

 

予期せぬ狭心症の治療のため緊急手術、初の入院と病院食をいただいたところで、担当医から「早ければ明日退院です」とコメントがあった。入院が言い渡された時、4日間くらいと聞かされていたから、1日早まった。

 

それにしても、カテーテルによる手術は回復が早い。もし、ステントによる心臓血管の血流回復がムリだった場合、バイパス手術になり、この場合は開胸手術だ。そうなると2週間くらいの入院も珍しくないだろう。

 

退院は正直、うれしい。早く風呂に入りたい。

 

入院の時には、なかなかお風呂に入れないようだ。確かに体にいろいろなケーブルをつけていることもあるし、しょうがないかもしれない。

 

そこで汗拭きシートが役立った。

 

今年の夏は暑く、長かった。ある研究者が、「今の日本は、冬の期間はさほど変わっていないんです。春と秋が短くなって夏が長くなっているんです」とメディアで語っていた。夏場に買っておいた汗拭きシートの余りがここで役に立つとは思わなかった。

 

退院の前夜、首筋や腕、脇の下、足の付け根、足の裏まで、汗拭きシートを何枚も使った。2晩シャワーなども含め、お風呂に入らなかったのは、いつだったか覚えていないくらいだ。

 

翌朝、入院3日目の朝、無事に退院できた。

 

担当医師、看護師さんたち、検査技師、手術担当医師たち、病院食を作ってくれた人など、もちろん妻にも感謝します。

 

今後のスケジュールと薬の説明を受けて、また自宅まで歩いて帰った。胸は痛くない。

毎朝飲み続けなくてはならない薬

毎朝飲み続けなくてはならない薬

 

近くて遠い自宅に戻り、お風呂に入り、横になったら眠ってしまった。安心したのかな。

 

思い返す

 

退院までは、「とにかく今できることをする」という気持ちで怖くもなかったのだが、振り返る余裕ができて、「ヤバかったな」と少し怖くなった。

 

前々回で書いたが、心臓血管の血流が1%まで減少していたという事実は、誰が聞いてもおかしいと思うでしょう。

 

毎年の健康診断で、高血圧や高コレステロールが指摘されていながら、確かに運動はしていたけど、「遺伝でしょ」と考えていた私。それらの数値の意味を、深く考える機会になりました。そして適切な対応を、自分で考えて実行することが大事なことなんだと。

 

またここで、「自分の体は自分で直す」という言葉を思い出します。子供の時に、町医者に言われた言葉だ。今回は、手術前と同じ状態には戻せないけど、自分の体を自分で面倒をみる。主体は自分であるということ、これを忘れずに行こうと思います。

 

カテーテル手術、ステント、飲み続けなければならない薬、費用など、大きな代償を払うことになりました。

 

今回はここまで、自分のデータを無視した元研究者による、狭心症診断および治療と原因などの考察に関する報告書となります。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

 

次は、「AIデータセンターに関係する技術」でも書こうかな。

 

病院食は「質素」か「適量」か ~味気なさの向こう側~

体は食べたものでできている

 

狭心症カテーテル手術を終え、いろいろなケーブル、点滴、心電図の電極、パルスオキシメータなどを体につけながら、手術後に病院食を完食したことを書いた。

 

まず、体にいろいろなものがついているので、食べにくいというのはしょうがないこと。

 

昼食をとっていなく、お腹が空いていたこともあり、完食したとも言えるが、意外に美味しかったのだ。

 

写真は手術の次の日のランチです。米飯、マグロの角ステーキ、ツナ缶とトマト、りんご3切れ。

減脂質異常症常食

脂質異常症常食

「減脂質異常症常食」と書かれたメニューは、やさしい味です。そして量も少なく感じる。これがいつもだと。。。と思ってしまうところが、高血中コレステロールを招いたのでしょう。

 

飲み会に行き、飲んで食べて、また飲んで。昭和だ。

 

やはり、今の体の状態は、それまでに食べていたものでできていた、ということ。

 

ちなみに、以前どこかの講演で聞いた話では、日本人の体に含まれる炭素の約50%はアメリカ産のトウモロコシ由来だそうです。そんなに、トウモロコシばかり食べた記憶はないけど、思う人もいると思います。ハンバーグのつけあわせとか。

 

例えば、揚げ物で使うこともあるコーン油、ドレッシングに少しとろみをつけたい時に使うコーンスターチなど、これらは直接的に食べます。実はこれらよりも圧倒的に使われているのが、家畜用飼料。つまり牛や豚、ニワトリのエサ。こうして日本人は、間接的にもアメリカ産トウモロコシを摂取しているのです。

 

少し話題が外れてしまいました。言い訳しても始まらないのですが、油の取りすぎだったのかな、食べ過ぎ、飲み過ぎという線もあるので、それは大きな反省です。

 

病院食を初めて食べて、この体に対しての十分な栄養補給食は、こういうものかと考えさせられた。

 

やはり油だけではない高コレステロールの理由

 

しかしなぜ、そんなに高コレステロールだったのかと考えてみる。

 

30代と同等に量を食べ、中性脂肪やLDLコレステロールの数値が高い50代は危険かもしれませんね。私がこのタイプかも。野菜は意識して食べていたし、肝臓の数値も悪くなかった。一度も悪い判定が出たことはありませんでした。

 

考えれば、コレステロール(油)のもとは糖です。体の中で、

 糖→グルコース→ピルビン酸→アセチルCoA→脂肪酸コレステロール

という反応をする。

 

糖は、炭水化物からが多い。つまりご飯やうどん、パスタなど穀物を食べれば、唾液で炭水化物が分解され糖に変化。糖がたくさんつながったものが炭水化物。

 

さらにアルコール。例えば日本酒はお米を蒸して麹菌により、炭水化物を糖に変化(炭水化物を切断するイメージ)。さらに酵母菌でアルコール醗酵させることで日本酒となる。葡萄には酵母菌がすでに存在している。だから丸ごと漬けておけば、葡萄の糖を酵母がアルコール発酵させてワインができる。お酒の素は糖。

 

アルコールが体内に入ると、肝臓でアセチルCoAに変化。そうなると、先ほどのコレステロール生成プロセスに入ってしまうので、多ければコレステロールが作られてしまう。肝臓が元気であれば、たくさんコレステロールを作ることにつながる。

 

そうか、脂っぽいものを避ける、というのはもちろんのこと、暴飲暴食は血中コレステロールの濃度を上げることにつながるのか。。。

 

どうやってコレステロール値を下げる?

 

暴飲暴食を続ければ、当然、太る。でもこれは内臓脂肪や皮下脂肪。そこから先は本来脂肪を蓄えない臓器にたまる、これを異所性脂肪というらしい。これが、脂質異常症のリスクが高くさせてしまうようです。

 

運動などで脂肪を燃焼させる場合、内臓脂肪から先に減るようです。確かに、運動によるダイエットでは下半身が残りますね。その次が、肝臓内部などの異所性脂肪、皮下脂肪の順となるようです。

 

それで、異所性脂肪、肝臓に脂肪が蓄積すると、コレステロールが作られてしまうことに。

 

んっ、そうすると、暴飲暴食の後で、運動すれば相殺できるわけではなく、腸など周囲の内臓脂肪が先に代謝されるために、コレステロールが減る方向には行かない。。。

 

大きな勘違いをしていた。。。

 

コレステロールは肝臓で胆汁酸に変換され、腸内で脂肪と乳化し便として排出されるもの。となると、肝臓の働きを良くするためには、肝臓に余計な仕事をさせない、糖やアルコールをしばらく摂取しないことしか道はない。いくら運動してもダメという可能性が高い。

 

次は、「退院、そして「がんばらない」生活へ(まとめ)」です。

 

残り1%の衝撃と、ケーブルだらけの安眠

いざ手術室

 

手術室に到着すると、巨大なモニターがあり、X線画像や血圧などの数値が表示されている。右手首にカテーテル挿入用のルートが部分麻酔と共に取り付けられたのは、病室だったのか、手術室だったのかもう覚えていない。

 

雰囲気が変わったので、手術が始まったようだ。カテーテルも順調に狙いの場所に近づけているようだ。X線画像取得用のパネルが顔の近くにあって、カテーテルの状況を見ることはできなくなってしまったが、もう医師に任せるしかない。

 

自分にできることは、変に動かないこと。変に動いて、カテーテルで血管を傷つけたら大変なことになる。怖いというより、乗り切るしかない。

 

手術中に、何か医師たちが話しているのが聞こえる。ステントのサイズのチェックをしているようだ。3の18とか。径と長さかな。他にもステントを広げるための圧力と時間の話をしているようだった。手首の部分麻酔だから、手術中の会話などは、全て聞こえる。

 

しばらくして、終わった。「手術は無事成功です」と言われてホッとした。

 

あの巨大なモニターには、造影剤を使って見やすくした私の心臓の血管が表示されていた。あれかー。そしてベッドごと運び出され、またエレベーターに乗り病室へ戻された。

 

「1時間はじっとしていてください。何かあったらナースコール押してくださいね」と看護師が言って去っていった。

 

午後6時ころ。

 

残り1%の心臓動脈流

 

翌日、担当の医師から手術に関する説明があった。ステントを入れる前と入れた後の明らかな血流の改善が、2枚のX線画像により示されていた。

 

「これが術前と術後ですね」

狭心症カテーテル手術の前後

狭心症カテーテル手術の前後

それにしても細くなっていた。医師によると、たった1%しか流れていなかったとのこと。何かあれば心筋梗塞を起こしていてもおかしくはない状態だった。

 

説明するまでもないと思うが、左が手術前、右が手術後。カテーテルを使い、赤い丸の場所にステントを挿入し、狭くなった血管を広げたことで心臓の血流を回復させたことが確認できる。

 

改めて見ると、恐ろしい。

 

「ステントにコレステロールが溜まってしまうことがあるので、血液をサラサラにする薬を飲んでもらうようになります。一生です」

 

とんでもないことを抱えることになってしまった。しょうがない、それでもやれることをやりましょう。考え方を切り替えるしかない。

 

入院初日の夜

 

話は手術後の病室に戻る。やはり朝から目まぐるしく身の回りの状況が変わり、疲れた。

 

夕食が配膳されたが、まだ動ける状況ではないので、看護師が「後で温め直しますから、まだ休んでいてください」と言ってくれたので、静かに目をつぶっていた。

 

軽く眠ったかもしれない。うとうとしていたように思う。

 

その時に改めて感じたが、体にはケーブルだらけだ。左腕(手)には点滴、パルスオキシメータ、胸部に心電図用の電極。小便排出用のチューブ。

 

右手首にはカテーテル用のルートの穴を塞ぐ止血用の風船のようなもの、空気を送り込み、その場所に圧をかけて血を止める器具。それが手の先が少し痺れるくらいの圧をかける。

 

普段なら眠れないけど。そう、今は普段ではない。眠れる。

 

入室から1時間が経過した。看護師がカーテンを開けて、「お食事温めますね」と入ってきた。そう、少しお腹もへっていた。お昼ご飯を食べていなかったからだ。そのこともあってか、完食。食欲は問題なし。

 

やはり、カテーテル手術は患者への負担が少ないものなんだと実感する。

 

それならということで、やる気が出てきた。歯磨きとトイレに行きたくなり、体につけられたケーブルを確認しながら、起き上がった。

 

点滴用のポンプの電源ケーブルが壁コンに刺さったままだ。これはどうするのだ?

 

ここで初めてのナースコール。「これは抜いていただいて大丈夫ですよ」と看護師。それはそうだよね、流石にバッテリー積んでるよね。ごめんなさい、それさえも知らないんです。

 

点滴のスタンドと共に、ゆっくりと病室を出た。トイレがすぐ近くだったので助かった。

 

そういえば、そうだったな(笑)。。。

 

トイレを出て、歯を磨き、6人部屋の病室に戻った。点滴のポンプの電源ケーブルを接続し、体についているケーブルに注意しながらベッドに横になった。

 

まだ消灯時間前。午後8時半くらいだ。

それでも、消灯時間前に眠り始めていた。

今朝、病院に着いたのが午前9時、病室で眠ったのが午後9時。濃い半日だ。



次は、「病院食は「質素」か「適量」か ~味気なさの向こう側~」について。