文フリ東京41で購入した本。お洒落に撮る環境もセンスもないので床で失礼する。

購入した順で書く。
オルタナ旧市街先生のポルトガル旅行記。今年の夏にオルタナ先生が海外旅行から帰国した旨ツイートしていたのを見て、これは文フリで旅行記出版(だ)してくれるだろと密かに切望していたら出た。ありがたやありがたや……。
宣伝ツイートの時点でクソおもしろそうだったので、早々に完売してしまうことを危惧し、昼過ぎに同人メンバーに店番を任せて一直線に買いに走る。案の定、ブースの前を通りかかる人通りかかる人がひっきりなしに足を止めて購入していた。イベント終了時刻より前に完売してしまったらしいので、早めに行っておいて正解だった。
表紙には元ネタがあるらしいが私は知らなかった。本を開くと、写真入りのカッコいいしおりが入っている。この写真、見覚えがある、オルタナ先生のnoteで。いいセンス。
旅行記は羽田空港出発から始まる。ポルトガルへの直行便は無いらしく、フランクフルトでの乗り換えが必要で、空港の巨大さとポルトガルの航空会社の杜撰さに読者も緊張感と疲労感が高まる。なんか灰色がかっている感じ。「じい」が唯一の癒し。が、無事、夜にポルトガルに到着し、翌日の朝、快晴の下のテラス席での美味しい朝食で読者も一気に元気になる。素晴らしい。なんという開放感!
その後リスボンをいろいろ観光。かつてのポルトガルの威光を感じさせる、やりすぎの金色馬車などの写真も挿入されていて「なんじゃこりゃあ!」となる。
毎度ながら料理や食事の描写が圧倒的で、どれも香りまで漂ってきそう。先生絶賛のタコのグリル、私気になります。
読んでいると、まるでオルタナ先生本人と一緒に旅しているような気分になってくる。ネットで画像なんかを見たことすらない場所なのに、なぜか景色が目に浮かぶ。
最後、地元のレストランでの食事、店主とのふれあい、ホテル客室の窓からの眺め。感動的である。地球の裏側にも毎日を生きている人々がいて、彼らひとりひとりの生活がある。その場にいたわけじゃないのに、自分もホテルの窓から通りを眺めちゃってる。
オルタナ先生は、読者に郷愁というか哀愁というか、せつない感情を呼び起こすのが上手いと思う。明るく楽しい場面と、しっとりとした情感の転換が効いているし、移行も自然である。
ああ、終わってしまった。まだ読んでいたいなあと思ったら続きがあるっぽい。嬉しい。何様だよという感じだが、お仕事の方も大変そうなので、無理せず書いて欲しい。
・大森望監修『超SF創作マニュアル』(ゲンロン)
ゲンロンで開講されているSF創作講座のサブテキストとして出版されたらしい。ブースの周囲には人だかりができていて飛ぶように売れていた。ブースの中にいた方が声をかけてくれて、私はちょうど100人目の購入者だったらしい。現在は一般販売も開始されている。
SF作家になるための必読作品集、SF基礎用語集、SFとは何か、SFの歴史、小説の書き方、講座卒業生の作品掲載・刊行・同人誌・サークル情報などがコンパクトにまとまっている。
私はSFはほとんど読んだことがない。ヴォネガット『タイタンの妖女』、ヴェルヌ『月世界へ行く』、ブルガーコフ『運命の卵』『犬の心臓』くらいか。劉慈欣『三体』は第一巻を買ったが積んでしまっている。
SFへの興味情熱を取り戻して、とりあえず三体を読みたい。
・みんなの日記サークル『まだまだみんなで交換日記をつけてみた』
ひょんなことから、友人がこのサークルに参加していることを知り、私も最近ブログに日記を書いているので興味があり購入。下北沢にある日記専門書店、日記屋月日が主催する日記ワークショップで集まったメンバーで結成されているらしい。ファシリテーターは、かつて「日本一有名なニート」としてメディアにも多数出演されていたpha先生である。それにしても日記専門書店なんてものがあるのか、知らなかった。
内容はサークルメンバーたちによって交わされた交換日記である。
交換日記、なつかしい響きだ。小学生の時分、クラスの女子たちが文具店でめいめい買ったと思われる、「たれぱんだ」とか「こげぱん」のキャラクターの交換日記帳を持っていた。前半のページは取り外し可能なプロフィールページになっていて、書いてよ、と頼まれて書いた覚えがある。だが、所詮は小学生だから、書く内容も無いし書く意欲も無いし、自然消滅は避けられなかった。
失礼ながら最初は「交換日記ぃ? ああ~ん? 日記ねぇ?」などと思っていたのだが、読み始めると本当におもしろかった。家庭、家族、仕事、生活、出かけた場所、食べたもの、観た映画、読んだ本、感じたこと、思ったこと、考えていること……まったく文学じゃねえかよ。大人になってからつける交換日記はこんなにおもしろいのか。前の人から次の人へとバトンが渡されていくのも良い。
最後に「みんなで日記トーク」というコーナーが設けられているのだが、ここ本当におもしろくて興味深かった。ここに日記文学の本質が詰まっているように思われた。
皆さん文章が上手いしおもしろいし、そもそも藝術や文学は上手いとか下手とかそんなことは全然本質じゃないし関係ない。全身から情熱と血液が噴き出しているかどうかだえ!
私は会ったこともない全然見知らぬ人の日記も面白く読めた。私は昨年、10年ぶりに再会した旧友に、再びブログや本を読み文章を書くきっかけを与えてもらった。はてなブログには閲覧数ランキング以外にも様々な人のブログが紹介されている。いろいろな人の文章を読んでいると、ずっと資産報告だけをアップしていたのに、ある日いきなり「今日は猟の解禁日だったので鹿を獲ってきました!」とか写真付きで書いてあって、この人猟師だったのかよ、となるとか、学術論文みたいなものを誰に読まれるあてもなく(と言ったら失礼だが)アップしてる人とかがいる。おもしろいし心強い。
・書肆imasu『随風 02』
アマゾンで注文しようと思っていたが失念していたため、ちょうど良い機会だと思い会場で購入。執筆陣の直筆サイン入りで、好きな本を選ばせてくれるというので「オルタナ先生のサイン入りのやつください」と言ったら、「せっかくだから直接ご本人に書いてもらったらいかがですか?」とすすめられ、「なるほど」と思いオルタナ先生のサインが入っていない本を購入。が、結局オルタナブース再訪の時間がなく、未だサインは入手できていない。
今号は観念的で難解な作品が多かったがおもしろかった。オルタナ先生の『不在の印象』を読んで、ああ、自分も他者の目を借りて見る遊びをしてるし、拡張されてるわけだと手を打った。早乙女ぐりこ先生の『ふぞろいの餃子たち』がおもしろかった。俺も妻と餃子作りてえよお。独りで料理して独りで食ってもつまんねえよお。
・BRIDGES編集部『BRIDGES vol.1 特集「東浩紀の三〇年」』
雑誌『BRIDGES』編集人で軽出版者のillbouze先生の編集後記を読んで興味を持ち購入。表紙が鮮やかで会場でも目立っていて、すぐにブースを見つけることができた。
小松左京先生と東浩紀先生の幻の対談が特別再録されている他、何といっても特筆すべきは「初期東浩紀仕事目録」で、初期の東浩紀先生のあまりにも広範に亘る厖大な仕事の数々が年譜でまとめられている。
「目録だけで80頁超のコンテンツとなることが明らかになった。物理的に自立する雑誌を目指している『BRIDGES』にとって、これは僥倖であった」が、この目録作成のために、illbouze先生の六畳間の私室は資料の山で埋め尽くされたらしい。
「柳田國男の最初の著作集『定本 柳田國男集』の別巻におさめられている年譜のアーキタイプが、ひとりの市井の人間が作成していた目録をもとにしていたというエピソードから着想を得たものだ。
アマチュアでもそのような仕事をなしたいという情熱が目録の完成を導いた」
ハンパねえ情熱である。アツいって。
東浩紀先生は日本を代表する思想・哲学、その枠にもとどまらない知の巨人であり、今後著作集・全集が編まれることは確実で、それに付す年譜が作成される場合、この雑誌『BRIDGES』がアーキタイプになる、ならざるを得ないのは間違いない。あまりにも貴重な業績である。
・破船房『もなかと羊羹【増補版】』『本の町は、アマゾンより強い』『ポスト・ムラカミの日本文学(改訂新版)』
編集者・文芸評論家で、「軽出版」「軽出版者」という言葉を生み出した仲俣暁生先生の個人出版レーベルから三冊購入。
特に『もなかと羊羹【増補版】』は「軽出版者宣言」の他、随風創刊号にも掲載された「ペーパーバック2.0としての軽出版」など軽出版に関する文章が収められた本なのに、なぜタイトルが『もなかと羊羹』なのかずっと気になっていてマスト買い。読んでその理由がわかった。読んでると自分自身でも軽出版をやってみたくなるが、InDesignは高いし難しいと思う。私は使えない。ここは文フリ運営がすすめる一太郎か。比較的簡単らしいし。フリーソフトでも作れるらしく調べてみたのだが、かなりめんどくさそうで玄人向けっぽい。原稿は書けても、組版とか入稿は結構複雑で、ずぶの素人には参入障壁が高いと感じている。
ブースが隣だったこともあってかこちらの同人誌を買っていただいた。
「一冊300円です」と言うと、
「ええーっ、300円は安すぎるんじゃない?」と仰ってくださったが、我々には印刷費を回収しようという気すら毛頭ない。300(スリーハンドレッド)円、同人誌即売界のレオニダス1世である(?)。
という感じである。楽しかった。帰宅しても本が手元に残り、またじっくり楽しめるというのは良い。













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