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汚す前提で戦車を作るという選択/タミヤ 1:35 チャーチルMk.VIIで目指す「ウェザリングの名人」

 最初からボロボロにする前提で戦車を作ればよいのではないか。そう考えたのは、ウェザリングの要領をつかむこと自体が、思っている以上に難しいと感じていたからです。戦車はこれまでに何個も制作してきましたし、ウェザリングという汚しの工程も何度か経験しています。うまくいくこともあれば、そうでないこともありますが、振り返ってみると「強い汚し」ができず、結果として全体の強弱が穏やかにまとまってしまう傾向があるように思います。その理由を考えると、「汚い」と「汚れている」の定義が自分の中で曖昧なまま作業していることに行き着きます。突き詰めれば、本当に汚くなる寸前まで手を進めるのが怖いんだと思う。ダメになるんじゃないかと、手が止まってしまうというか。

 こうした心理的なブレーキは調整が難しく、特に一度完成したものを出発点として、新たなバランスを探るウェザリングという作業では顕著に表れると感じてます。どこまでバランスを崩し、そこから再構築できるのかが重要だと分かっていながら、完成させてしまうと、その良さに引きずられて派手に汚すというのができない。
 それならば、いっそ完成させないという選択肢はどうだろうかと思いました。戦車そのものを徹底的にボロボロな状態にすることをゴールに据えれば、迷いなく汚す方向に進めますし、汚くなる直前まで作業を追い込む必要も出てきます。

 すぐに形になるだろうと見込んだのが、1/35 イギリス歩兵戦車 チャーチルMk.VIIでした。ベルト式の履帯は巻かず、なくても成立しそうな小物は取り付けない。廃棄寸前という状況を意識して作ると、結果としてパーツは余り、プラモデルとしては未完成になります。
 しかし廃棄寸前とは、完成して使い込まれた後の姿でもある。この状態がとても興味深く感じられました。十分なパーツが揃っていないという意味では未完成も完成後に朽ち果てた姿も同じである。その二つの状況を同時に抱えているような感覚が不思議というか。

 チャーチル自体はパーツ数も少なく、比較的テンポよく組み上がります。作業の早さに驚きつつ、「この番号同士を組み合わせる」といった指示がパーツに刻まれていることに気付いたりして楽しめました。一方で、よくできているキットだからこそ、ワイヤーなどを省略すると差し込み穴が意外と目立ち、それが気になったので結構小物を取り付けてしまいました。それでもこれから汚していく上で要素が増えるのは悪いことではないような気もします。
 サーフェイサー(下地塗料)を吹き、そこから朽ち果てているように仕上げ、そこに「どんな風に使うんだ……」とワクワクしながら買ってきたグリーンスタッフワールドのピグメントを乗せると、ガツンと色が変わり「あ……」となりますが、これくらい派手に汚すのが今回の目的。ガンガンいこうと思います。

クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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