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イスから始まる、「筋の通った」プラモ体験/エアフィックスの1:48 ホーカー・ハリケーン

 操縦席が、主翼上に根を張っています。いやあるいは、主翼上の部材が玉座を囲むようにも見えましょうか。いずれにしてもこのプラモ、パイロットが座るイスを包むようにして機体が組み上がります。
 飛行機プラモの組み立て序盤に登場する、イス。機体の最奥部ゆえ仕方ない——と、普段なら“下ごしらえ”感覚で組みがちです。しかし今回は、イスを中心に機体が生えていく。すると不思議なもので、初手のイスに意味を感じてうれしいんですね。「やっぱ、人間が操るマシンだしな……」なんて妙な納得感さえ生まれてきました。

 そんなこのキットは、エアフィックスの1:48 ホーカー・ハリケーン。WW2前半の英国を代表する戦闘機、その本場物プラモといえますね。エアフィックスとして2代目にあたるこのキットは、2015年の発売。有名機だけに新装版が定期的にリリースされていて、現在でも比較的出会いやすいプラモでしょう。

 軟質のプラパーツの上には、くっきり深い彫刻と布張り部分のやわらかい凹凸が豊かな影を落としています。そんな各パーツには確かなボディ感があって、どんどん切って貼って組み立てるぞ! という気持ちを強くさせてくれますね。

 パーツの合わせは良好。あのイスから始まる構造を外板が包みこみ、機体のフォルムがすぐに現れます。これは精密さの追求よりも、どっしり安定した肉感や、機体の陰影を楽しむ味付けでしょう。リラックスして組める絶妙なバランス感覚こそ、2010年代エアフィックスの真骨頂かも。ハリケーンは、そんな傑作のひとつだと思います。

 なお、主翼内部に並ぶ8丁の機銃まわりの構造を見せる選択肢も用意されているので、細密な作業とボリューム感を好む向きは挑戦の価値ありでしょう。逆にそこを飛ばしてシンプルに組めば、第一印象よりもずっと手軽に組み上がったのはうれしい誤算でした。
 完成するとキットの陰影がウェザリングカラー類の効きを強く引き出して、なかなか存在感ある姿になりましたね。主翼の角度がばっちり安定するのも、あの桁構造のおかげでしょう。

 機体の体幹を支える背筋として機能し、あるいはイスから始まる組み立て工程に一本のスジを通してくれたあの内部構造は、もはや外から見ることはできません。まさにインナーマッスルだったんですね……。
 同様の構造を備えたキットは古今東西ほかにもありますが、なかでも今回は納得感高め。やはり何事も体幹と筋道なのか……としみじみ勉強になるプラモ体験でした。

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