
「プラモデルはパーツを組み立てて完成するもの」というのが常識。メーカーとユーザーの共同作業によって完成するというのがプラモデルの面白いところですが、今回は買ってきて箱を開けた瞬間に「これは完成されてるわ」となった話をします。
そのキットはタミヤ ミリタリーミニチュアシリーズNo.121「アメリカ小火器セット」その名の通り第二次大戦中、アメリカ軍の歩兵が運用する兵器の詰め合わせとなっています。長い歴史を持つミリタリーミニチュアシリーズでは、多くの兵士が立体化され、多彩なシチュエーションに応じた装備をしていますが、さらに装備を追加してオリジナリティを出したり、情景の一部として使ったり……と、モデラーのアイデア次第で様々な活用ができる汎用性の高いキットとなっています。

正方形の薄い箱を開けると、説明書、同じ内容のランナー2枚そしてゴムチューブが出てきます。ランナーを見て、思わず「こんな色か!」と声が出てしまいました。深みのある金属調のグレーで成形されたパーツたちは、正方形のランナーに収まっている時点で美しい陰影と彫刻を堪能できる存在感を持っていました。限りあるスペースに無駄なくパーツが配置されている様にも、工業製品としての美しさを感じずにはいられません。表から裏から眺めてしまう魅力を持っています。

そして40年以上前の商品であっても安定のタミヤ品質。シャッキリしたディティールが刻み込まれています。他のキットでも見たことのあるライフルもバズーカも、いつものグリーンや茶系のカラーとは違う成型色によって、新鮮な印象で眺められます。
パッケージの全周囲(箱のベロにも!)には、緻密で迫力のあるイラストが描かれていますし、同封の説明書にはそれぞれ兵器の解説が丁寧に記載されていて、それらを読みながらランナーを眺めると、まるで立体の図鑑のように楽しむことができます。解説で実物を知り、模型としての造形を眺める。そんな贅沢な時間が手に入ります。

人や乗り物が入っていないため、お店で見かけても地味な印象を受けるキットだとは思いますが、買ってきたそのままを眺めるだけでも満足できる中身が詰まっています。「武器セットってどんなもんじゃろね」と軽い気持ちで手に取った一箱のおかげで、また視野が広がりました。プラモの世界は広大です。皆様もぜひお手に取って、その痺れる造形をじっくりと味わってください。