
もはや「得体のしれない未来のステルス戦闘機」ではなく、現役バリバリの多用途戦闘機として知らない人はいない存在になったF-35。タミヤのプラモデルにおけるその最後のピース、「1/72のC型」がついに登場しました。
わかりやすく分類すると空軍向けが通常の滑走路で使うA型、海兵隊向けがSTOVL(短距離離陸/垂直着陸)を可能にしたB型、海軍向けが空母での運用に適したC型。各タイプはそれぞれ異なる特徴を備えており、運用国も着実に増えていることから世界各国のプラモデルメーカーがこぞってプラモデル化する格好のモチーフとなっています。タミヤは2022年に1/48スケールのF-35Aを手掛け、そこから着実にラインナップを拡充してきましたが、ついに1/72でもA/B/Cの3タイプが揃うことになります。

タミヤの手掛けた1/72のC型にはたくさんの見所がありますが、やはりもっとも注目したいのは艦載機らしい「主翼の折りたたみ機構」です。1/48モデルでは展開状態と折り畳んだ状態それぞれのユニット差し替え式としていた主翼端は、1/72スケールのサイズと組心地を考慮して差し替え選択式を採用。しかしただユーザーに選択を迫るのではなく、ランナー(パーツを繋ぎ止めている枠)をうまく利用した工作を説明書の最初に示し、「特別なことをしている気分」を存分に味わえます。実際に買って体験すべきだよこれは……。

もうちょいしつこく主翼端の折りたたみ機構の話をすると、折りたたんだときに露出するヒンジ(蝶番)のパーツがとっても立体的で嬉しい。ひと昔前の艦載機の模型というのは主翼を折りたたんだときの断面がとってもシンプルで、モデラーがその複雑な造形や配管を自作する腕の見せどころだったのですが、1/72スケールのプラモデルでもこれだけ実感あふれる表現がキットのままでも楽しめるというのは、ほんとうにいい時代になったなぁと思わされます。

塗装図もタミヤの1/72モデルとしてはゴージャスな内容で、各国共通の注意書きはカラーの原寸図を用意。本命のアメリカ海軍機はもちろん、海兵隊所属機の派手なマーキングも収録しています。翼を畳めるという機体の特徴をじっくりと再現し、それを盛り上げるデカールをきちんとセットすることで「ステルス機は地味でちょっとね……」という言い訳はさせないぞ!というタミヤのメッセージが読み取れます。

これ以外にもC型は艦載機仕様ゆえに補強されたランディングギアが装備されていたりと、従来のA/B型とは異なるポイントが散見されます。最近では艦載機ゆえに塗装が茶色く劣化した写真が出回るなど、模型的な味付けの材料もかなり増えてきたF-35C。1/48モデルをただスケールダウンしただけでなく、1/72スケールの大きさならではの工夫がたくさん詰まった「精密さと作りやすさの両立」によって、シリーズの掉尾をきっちりと飾っています。タミヤが4年にわたって築き上げてきたF-35プラモデル史の集大成であり、現代ジェット戦闘機模型の新しい基準を示す存在として、ぜひ手に取りたいキットなのでございます。