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たったひとりの兄貴に熱視線。「タミヤ アメリカ駆逐戦車 M36」の世界観を拡張する究極の人間プラモデル。

 タミヤのミリタリーミニチュアシリーズは、ほぼ必ず「アニキ(プラモデルをさらに魅力的に見せてくれるフィギュア。俺たちのアイドル)」が横にいます。T-55のイラクバージョンですら、ソビエトの戦車帽をかぶったおヒゲのアニキが傍らにいるのです。自走砲ともなれば、わっせわっせと装填をするアニキたちがチームとなって、おおいにそのサイズ感とイキイキとした様子を活写するのです。写真はM3A1スカウトカーのアニキたち。迫力!

 タミヤの最新キットである「アメリカ駆逐戦車 M36」。パッケージに描かれたやたらサマになっているひとりのアニキ。しかしこれがすごい、一騎当千のツワモノなのです。

 ヘルメットから垂れ下がるバンドも一体成型で表現されている、顔。ちょっとだけもっちりした頬から顎のラインも素晴らしく、口元も少しだけ動いていて良い表情をしています。

 組み立て始めるとその精度に改めて惚れぼれします。かつてはプラスチックのカタマリで詰まっていた胴体も脚も、中空モナカな存在へ。合わせた部分もピッタリで、接着剤をスルッと流し込んで固定できます。

 右脚をくっつけます。これ右脚も2パーツを合体させたものなんですが、合わせ目がよく見ないとわからないほどです。

 手に持ったグリースガンも手どころか手首がついていて、腕との合体に迷いがありません。肩にかつぐベストポジションが安定したうえで、腕を胴体にくっつけます。

 合わせた胴体にも腕を合わせるガイドがあります。何かと「服のシワとかをガイドにがんばっていい角度に……」というかつての時代から、組めばしっかり想定のポーズへ収まる時代へ。改めて嬉しい変化です。

 体のライン、服のシワ……本物の人間をスキャンしていることはすでに行われていますが、そこに少し力を抜いたポージングを演出し、キャラクター性を付加していく……。タミヤがミリタリーミニチュアシリーズで培ってきた表現が、このアニキに詰まっています。本当に自然な雰囲気をもった、息遣いさえ感じられる姿です。

 だからM36のキットと並ぶ、隠れた……いや、紛れもなく本体と同じぐらい輝く、たった一人でもM36の世界観を拡張する友となるのです。

けんたろうのプロフィール

けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。

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