
「ちょうどいい」とはなんだろうか? 食で言えば自分はハムエッグがちょうどいい。炊きたての白米のうえにハムエッグを置き、醤油をかけたら完全に優勝である。背伸びをしない、目の前の贅沢だ。なので冷蔵庫には卵とスライスハムぐらいは常備したい。それだけでいつでも自分のスペシャルと向き合える。
プラモデルで言えば水性マーカーと水性トップコートとタミヤ スミ入れ塗料(ダークブラウン)のストックが有ればどんなプラモデルでも優勝できる。息子のだいたいの塗装であっても、トップコート吹いてウォッシングすればグンッ!と絵力が増す魔法だ。そもそもどのメーカーのキットも無塗装で優勝できるので、前述の「毎度の工程」を踏めばシリーズ優勝だ。いや、金メダルだな。スミ入れ塗料がなんか醤油に見えてくるな。
そう、息子が「ちょうどいいプラモ」をやっていたのだ。プラスチックを切って貼って組んで塗って「やったぜ!」と、勢い良くやりきったら満足して、次はコロコロコミックを読みはじめていた。学校から帰ってきたらまず宿題。習い事がある日もある。夕食に風呂とルーティンをこなして20時半には就寝。可処分時間のタイトさはオトナと大差ないと言える。そんな中「なんかプラモしたい!」と私のプラモストックから引っ張り出してきた『PLAMAX 朽ちダグラム』がジャストなキットだった。

「ダグラムちゃんと塗りたいから何か見せて!」と言うので太田垣康男版ダグラムのコミックスを渡した。DSPIAEのマーカーで青、白、赤とざっくりと色を置いたら「おしまい!」と満足していた。ちゃんと塗りたいと言うわりには塗りやすいとこだけ塗り、ハミ出しとかはまったく気にせずに完。それでちょうどいい。そんな感じだ。

模型用ニッパーに流し込み接着剤(速乾)。模型用水性マーカーと水性トップコートスプレー。仕上げのウォッシングにはタミヤのスミ入れ塗料(ダークブラウン)とエナメル溶剤と綿棒。これだけあればいつでも、思いつきで「ちょうどいいプラモ」ができる。ツールで言えば包丁にフライパン、材料なら野菜に卵くらいの値段だ。冷蔵しなくて良いし消費期限も基本的にない。凄い。ただ、フタの閉め忘れには注意。こぼしたりペン先が乾くと厄介だから。そう今回、息子がフタをちゃんと閉められてエラいと思った。工程ごとにちゃんとフタを閉めるように気をつけるようになっていた。人間は成長する。

室内に差し込む自然光や、西陽に晒すと小2の息子の至らない塗装であってもハッさせられる絵力を有している。「”至らない”とは?」と思わず考えてしまう。我々大人はプラモデルを「組む」にも「塗る」にも理想を込めすぎて壮大なロードマップを敷いてしまいがちだ。そしてその高カロリーさゆえ、第一歩を踏み出せずにいることも多い。なので息子のちょうどいいプラモに「とりあえずプラモやろうぜ!?」と背中を押された気がする。
『PLAMAX 朽ちダグラム』はシンプルな構成ながら「塗りムラ、塗り残しでチラ見えする成形色」というのがギミックになっていると感じた。今回はアイアンのプラ成形色だったので次はラストの方で錆びっている風味を楽しんでみようかと思う。