

最近、艦船模型を初めて作って、「実物についてよくわからず完成させちゃっていいんだ!」と思ったんです。いや、自分も昔はそれが普通だったけれど、経験を積むにつれ、実物についてネットで調べ、資料を買ってきて、追加のディテールアップパーツや材料をこさえたり……。実物を縮尺で再現したスケールモデルの道理からして理解できるのですが、キットが完成するまでに時間もお金も掛かり、食傷気味になっていました。
肩が凝るような製作スタイルをほぐせないか? 初めての艦船模型を機に、とにかく先にキットを作ってしまい、それから実物について調べることにしました。選んだキットは、1/700ウォーターラインシリーズから、タミヤの日本海軍駆逐艦 島風(2017年発売)。初めてですから、メーカーの技術力におんぶにだっこです。

「艦船」といっても、ふだん首都高湾岸線を走る関係で、貨物船や客船をよく見かける程度。日本軍艦や艦船模型になれば、ほぼ何も知りません。しかしここで「ちゃんと作りたい癖」が出て、手引書を買ってきました。『ウォーターラインガイドブック《日本連合艦隊編》改訂版』(静岡模型教材協同組合刊)と『艦船模型製作の教科書2.0』(ホビージャパン刊)、読み込むのは後回し。製作のコツだけ軽く頭にインストール。ただただ、ストレート組みしていきます。

米粒ほどの大きさの錨。鎖の繊細なモールド。初めてじっくりと見る魚雷なるもの……。普段作るプラモのスケールは小さくても1/72程度です。誰もが知っているような構造物に触れるだけでも、1/700というスケール感と再現度には、手に取ってみることで初めて伝わってくる新鮮さがあります。
サーフェイサー(下地塗料)も吹かずに塗装へ。指定色のタミヤカラーアクリル塗料をエアブラシと筆でベタ塗り。仕上げのスミ入れとドライブラシは、慣れ親しんできたAFVの技法とほぼ同じです。完成まで1週間足らず!

この時点で、すでに「艦船ミリしら」ではなくなりました。ひとつの模型を完成させたということは、実物の形状や構造について、一般人よりかなり把握できている……と言ってよいはずです。完成した島風の前で、同時に購入した『軍艦雑記帳』上下巻(森恒英著、タミヤ刊)を読んでいきましょう。本書は、艦船モデラーのために日本軍艦各種の構造をイラスト付きで解説した名著です。
甲板の丸や四角い突起は通風筒。艦尾の細長い構造物は対潜水艦用の爆雷投下軌条。島風の5連装魚雷ってかなり近代的だな……等々、答え合わせのように後から知るわけです。用意した上記3種の手引書は、どれも今後、強力な助っ人になってくれること間違いなし!

実物に関する知識をもとに、より再現度が増す工程を、自分なりのアイデアや技術に落とし込む。それがスケールモデルの醍醐味でしょう。しかしその「際限なき再現志向」に疲れた時、オルタナティブなスタイルを持っているか? ストレートに組んだプラモを眺めながら、キットの再現度と実物との距離感を味わったり、事後的に知識を仕入れるのも、気楽でいいものです。
さらに、(エッチングパーツの)手摺りがない、空中線がないといった「減点法でプラモを見る癖」を改めるきっかけになったのも大きな収穫でした。そして案外、作り込んでも、ストレート組みでも、自らの手で完成させた作品への愛着や思い出は、甲乙つけがたいものです。