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「マグロの赤身」をスーパーで買うときの注意点。色が良いから良質とは限らない…ネギトロを選ぶコツも

日本は北から南まで豊かな海域と海産物に恵まれた国だが、一方で日本人1人あたりの魚介類年間消費量は2001年の40.2kgをピークに右肩下がりに。2023年度にはほぼ半減の21.4kgになるなど「魚離れ」が懸念されている(参照:水産庁『令和5年度以降の我が国水産の動向』5ページ)。そんな中でも安定した人気と需要を誇るのが、刺身や寿司ネタとして定番の大型魚・マグロである。 市井のスーパーでもマグロは鮮魚コーナーの主役とも言えるが、いかにも美味しそうな中トロや大トロは、気軽に買うのを躊躇する価格のこともしばしば。比較的買いやすい赤身などを美味しく食べるコツや、マグロの目利きなどのノウハウを、マグロの扱いに詳しい東京都豊島区の居酒屋「おぐろのまぐろ」店長・志村光太郎さんに尋ねてみた。
おぐろのまぐろ

「おぐろのまぐろ」店長・志村光太郎さん

意外と目利きしづらいスーパーのマグロ

まずはマグロの定番・赤身の良し悪しについて聞いてみた。志村さんは食べやすさや食感を考慮して「なるべくスジ(繊維質)の薄いものを選ぶという。ほかには、赤身にも脂身が交じることがあり、その割合で赤身の味わいは大きく変わるようだ。 「透明なゼリーみたいに透き通った赤身や、ちょっと脂身の混ざった赤身など、『赤身』の中にもいろいろな種類があります。マグロの赤身は胴体の中心にいくほど赤色が増し、脂がなくなってスジも減っていき、特に中心部は『天身(てんみ)』と呼ばれて重宝されていますよ。ただ、逆に脂身の多い中トロ寄りな赤身が好きという人もいますし、そこは個々人の好み次第ですね」 一方、小売店で半解凍のまま切り分けられ、ラッピングされた赤身部分となると、志村さんにとっても質の判断は意外と難しいらしい。 「冷凍後に半解凍でカットされたマグロって、実は冷凍なしの生マグロより発色が強いんですよ。カドも綺麗に立っていて見た目は良いんですけど、色味やスジの入り具合を見定めるのは、実は市場で見るマグロより分かりづらいんです」 こうした解凍マグロは時間が経つと生マグロより早く色が変わり、鮮度や風味も劣化しやすいので、必ずしも色が良い≒良質なマグロという訳ではないのだ。また、天然マグロは脂控えめで赤身全体のバランスが良いのに対し、養殖マグロは運動量が少ないため赤身の脂量が多いという点も、ラベルやシールを見て考慮しておくと良い。

赤い液体「ドリップ」にご用心!

では、スーパーでマグロを選ぶ時の具体的なコツは何か。志村さんに尋ねると、まずは「金額面を考慮しないなら、生の天然本マグロなら間違いは起こりにくい」とのことであった。 「他にはメバチ、キハダ、ビンチョウ、メカジキなど(マグロの種類は)ありますけど、僕はメバチをおすすめしています。水っぽくなく、色が濃いものを選ぶとよいですね 他に比較的簡単な見分け方として、刺身や魚肉のパック内に溜まっている赤い液体「ドリップ」がある。これはマグロが時間を置いて丁寧に解凍されていれば少なく、逆に急いで雑に解凍されると出やすい。つまりドリップの有無が、その小売店でマグロがどう扱われているかの指標になるのだ。 「ドリップが発生するのは『浸透圧(濃度が低い塩水と高い塩水を膜で隔てた時、濃度の低い方から高い方へ塩水が移動しようとする圧力)』の問題です。冷凍マグロ(塩分濃度約1%)を流水解凍する時、海水と同濃度の塩水(〃約4%)で行えば、浸透圧のおかげで流水がマグロ側に染み込まなくなります。さらに半解凍状態の身をペーパーにくるんで寝かせば、きれいに全解凍できますね」 反対に、塩分のない真水などで焦って解凍すると、マグロの方が塩分濃度が高くなるため、これも浸透圧の関係でどんどんマグロが吸水してしまう。これがパック後ににじみ出してドリップになる。ドリップは液体として溜まっている場合のほか、身の下に敷かれた吸水パッドや大根のツマを赤く染めていることもあるので、そうした所も要チェックだ。
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赤身、トロ以外の部位については…
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東京都在住。2024年にフリーランスとして独立し、ライター業およびイラスト業で活動中。ライターとしては「Yahoo!ニュース」「macaroni」「All Aboutニュース」などの媒体で、東京都内の飲食店・美術館・博物館・イベント・ほか見所の紹介記事を執筆。プライベートでも都内歩きが趣味で、とりわけ週2〜3回の銭湯&サウナ通いが心のオアシス。好きなエリアは浅草〜上野近辺、池袋周辺、中野〜高円寺辺りなど。X(旧Twitter):@Dejavu_Raw
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