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台湾“草食系男性”増加で変わる成人用品市場「約67.5万円のラブドールが週に70体売れた」驚きの実態

 女性の高学歴化、経済発展による女性の社会進出、低収入男性の増加、若者の晩婚化が進み、結婚適齢期人口の未婚率は43.2%、仕事と家庭の両立が難しく、2022年の合計特殊出生率は0.87で少子化が進行中……  これらの特徴はどこのことかわかるだろうか? 実は、現在の台湾の経済事情だという。中華圏事情に詳しいジャーナリストの奥窪優木さんはこう話す。 「台湾は半導体受託生産メーカーで世界トップシェアを占めるTSMC(台湾積体電路製造)や鴻海など優良企業が多く、高い経済成長率を記録しています。  そういった経済成長に伴い、女性の高学歴化、社会進出が進んでいる一方、低学歴で十分な収入を得ることができない男性が増加、結婚適齢期の未婚率が高まっています。台湾の2022年の合計特殊出生率は0.87と過去最低を更新しており、世界でも最低水準となっています。  近年の経済成長と同時に、台湾では人間関係の希薄化も指摘されています」(奥窪さん)  昨今、台湾では「無体温関係」という言葉が流行っているという。文字通り、「体温のない関係」を揶揄したものだ。日本でも少子高齢化、働き方の変化、スマホやSNSの普及など、人間関係の希薄化や孤立化が問題視されて久しい。日本では意外と知られていないが、実は台湾も同じような状況なのだ。  台湾では結婚できない“草食系男性”が増えて少子化が進んでおり、行政院(台湾における最高行政機関)では「経済的な事情」などが原因だと指摘している。 「このような恋愛弱者の若者の増加に比例するかのように、中華圏では大人のオモチャやラブドールなどのニーズが高まり、成人用品市場が拡大しています。ラブドールなどの成人用品は恋愛弱者や独居老人のQOL(生活の質)を高めることに一役買っているのではないでしょうか」(奥窪さん)

◆コロナ禍にドールカフェをオープンして活況に

 台湾のこのような流れを受け、中部都市、台中に一風変わったカフェがある。リアルラブドールが展示されているカフェ「MITICA」(台中市北区中清路167号)を運営する郭さんに話を聞いた。

リアルラブドールカフェ「MITICA」を経営する郭さん

「私が働いていた会社がコロナ禍に営業できなくなって。妻も妊娠で夜の営みができない時期だったので、もともとドールが好きだから1つ買ってみようと思って購入したのがドールカフェを開くきっかけとなりました。  当時、コロナ禍で台湾の夜のお店もほぼ営業できなかったこともあって、『これは絶対にいいビジネスになる』と確信して妻を説得し、ラブドールを展示するカフェを2021年にオープンしました」(郭さん)  2021年にオープンして以来、その人気は口コミで広がり、さまざまな事情を抱えた男性がカフェを訪れているという。 「オープンした当初はコロナ禍で夜のお店が閉まっていて、ドールがどんどん売れていました。今はそういったお店も復活していますが、買いたい人は増えていて、ドールが市民権を得ているのを感じますね」(郭さん)

◆コーヒー代で稼がない喫茶店

 郭さんが運営するこのドールカフェはどのようなビジネスモデル、収益構造になっているのか? 「お店の家賃は6万元(約27万円)です。対して、カフェの単価は150~170元(約675~765円、1台湾元=4.5円で計算)。お客様の平均的な単価は200~300元程度(約900~1350円)でしょうか。1日平均10人から多くても数十人ほどの来客なので、カフェとしての収益は赤字です(笑)。  ここで売っているドールは6万~15万元(約27万~67.5万円)で、しかも高いドールのほうが売れる傾向がありますね。一番多いときには、15万元のドールが1週間で70~80体売れたこともありました。お客様はやっぱりドールを見に来ているから、別にコーヒーでは稼いでいないんです。お客さんが来たら『飲んでください』って無料であげてもいいくらいです」(郭さん)  郭さんは「喫茶店」を運営しているが、店舗としてのカフェは実質的には“ショールーム”の機能を持っているのだ。また、カフェ2階ではスタジオも併設している。ここからYouTubeを配信しており、ドールに興味を持ってもらう人を増やすための情報発信基地にもなっている。 「定期的にイベントも実施しています。コスプレイヤーやメイドさんを呼んだイベントを当店で行うことで、お客様がご来店してくださり、ドールを買っていってくれます。カフェに来てショールーム的に体験してドールを買ってもらえればよく、喫茶店としては全然稼げていません(笑)」

カフェではコスプレイヤーやメイドや呼んだイベントを定期的に実施し、ドールに触れ合う機会を増やしている

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