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3カ月で1万台超受注の快進撃…トヨタ、「bZ4X」の競争力が増している要因

3カ月で1万台超受注の快進撃…トヨタ、「bZ4X」の競争力が増している要因

トヨタが昨年10月に一部改良したbZ4X

航続746km、実用性が決め手

トヨタ自動車の電気自動車(EV)専用車「bZ4X」の競争力が増している。2025年10月に一部改良して以来、順調に受注が伸長。同年12月末までの受注台数は約1万1000台となり、同社が設定した月間1700台の販売基準台数を大きく上回った。同社初のEVとして22年に満を持して投入してから3年半余りが経過。磨いてきた性能や技術、サービスが顧客の心を動かし始めた。(名古屋・川口拓洋)

「良く売れてきている」―。あるトヨタ系販売店の担当者は新型bZ4Xの販売の感触をこう語る。トヨタによると直近3カ月(25年10―12月)のbZ4Xの国内販売台数は3448台。ホンダの軽「N―ONE e:」や日産自動車の軽「サクラ」を上回りEVでトップとなった。輸入車と比較しても、米テスラや中国・比亜迪(BYD)を超える勢いを示した。

25年10月に発売したbZ4Xは一部改良ではあるものの「新型」と呼べるほど大きく改良を加えた。グレードにより異なるが、前輪駆動タイプの航続距離は最大746キロメートル(WLTCモード)。バッテリーのセル数を従来の96個から104個に増やし、総電力量を引き上げた。またEVの心臓部でもある電動駆動装置「イーアクスル」のエネルギーロスを約40%低減し「電費性能」を向上。電気ロスをなくし、走行距離の延伸や走行時のパワーに充てることができる。

bZ4Xの一部改良では内外装の格好の良さや快適性も追求した

このほか内外装でも格好の良さや快適性を追求。価格も従来型と比べ50万―70万円程度低減した。国や自治体の補助金などを活用すれば、車格が同じハイブリッド車(HV)「ハリアー」や「RAV4」と同程度になる。顧客の選択肢の一つとして、手に入れやすさも改善した。

トヨタEVの先兵役を務めてきたbZ4X。「乗り続けて心地のよいEV」を目指していたが、これまでは充電にかかる時間やフル充電後の走行距離などの関係から、他社製EVの後塵(こうじん)を拝していた面もあった。ただ、こうした課題は解消しつつある。一部改良版や派生版などで魅力を高め「トヨタらしいEV」として再定義し、市場に打って出る。

今後、国内でEVの販売量は右肩上がりに伸びていくのかどうか。「まず根っこにエネルギーセキュリティーの問題がある」と指摘するのは日本自動車工業会(自工会)の佐藤恒治会長(トヨタ社長)だ。これまでは石油が基幹エネルギーだったが、電気や水素などエネルギー自体も転換期を迎えている。「多様なエネルギーがあり、クルマも多様なソリューションを持つべきだ。これが『マルチパスウェイ(全方位戦略)』」(佐藤会長)と続ける。

もちろんEVも必要なソリューションの一つ。「どんなEVだったら(顧客に)持っていただけるのか。見極めて作っていくことが大事。ただの電動化された乗り物では顧客は心を動かさない」(同)と認識を語る。

顧客ニーズを満たし、インフラが整備され、使いやすいエネルギーがあるという「三位一体」の環境整備が、さらなるEV普及には必要になりそうだ。

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自動車業界において今後の最大の競争領域とされる「車の電動化・知能化」。トヨタ・日産・ホンダなどの完成車メーカーはもちろん、部品メーカーも関連の研究開発を急ぐ。各社の戦略や動向を追う。

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日刊工業新聞 2026年01月15日

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