需要の6割量産へ…国産ドローン基盤確保、政府が本腰を入れる
経済産業省は2030年にも、国内に年間約8万台の無人航空機(UAV)の生産基盤を確保する目標を公表した。公的支援や市場環境整備などを通じて、需要の約6割に当たる機体と主要部品の量産体制構築を目指す。ドローンをはじめとするUAVは現在、DJIを筆頭に中国メーカーが圧倒的な世界シェアを持ち、日本市場でも産業用途の9割を中国社製の機体が占める。近年、防衛分野でもUAVの導入が拡大しており、政府は国内産業の育成に本腰を入れる構えだ。
25年12月に有識者とメーカー幹部らで構成する「無人機産業基盤強化検討会」の中間取りまとめを公表。産業用途における30年時点の国内需要を約14万台と想定し、そのうち点検、物流、防犯用途に使う約8万台を国内で安定供給可能にすることを目指すとした。ドローン本体に加えモーターやバッテリー、通信モジュールなど主要部品の国産化も同時に推進する。
日本には優れたドローン開発企業や部品メーカーなどが存在する一方、国内に本格的な量産拠点はない。政府は経済安全保障推進法上の特定重要物資に「無人航空機」を指定し、経産省は25年度補正予算で量産体制構築の支援に139億円を確保した。26年中にも創設する基金を通じて、設備投資費用など最大2分の1を補助する。ドローンの量産に取り組む国内企業を後押しし、自律的な産業基盤の確立を目指す。
点検や防犯、農業といった多様な現場でドローンの普及が進み、経産省は30年の機体需要が24年比2・5倍に拡大すると予想する。ドローンは飛行や撮影、映像伝送などで高度な情報通信を行うことから、信頼性の確保が不可欠だ。政府はドローンや部品の量産に乗り出す企業への支援に加え、サイバーセキュリティー対策がなされた国産機の優先調達などを行う方針だ。
足元ではドローン生産国の偏りに対し、各国で懸念が浮上。米国やインド、台湾などでも国産化支援が展開されている。またロシア・ウクライナ戦争以降、世界的に軍事用途のUAV導入が加速しており、防衛省もドローンを含む無人アセットの活用を強化する方針だ。政府は防衛力強化や同志国連携の観点からも、産業基盤の構築を急ぐ。