財務省VS文科省…国立大運営費予算で綱引き、決着は?
公費依存度低下を 早急な財政支援必須
財務省と文部科学省が予算折衝で火花を散らしている。対立項目の一つが国立大学に配分される運営費交付金だ。財務省は運営費交付金から競争的資金に比重を移し、国立大の公費依存度を下げるよう求める。文科省は運営費交付金の一方的な削減により歪みが生じていると反論し、運営費交付金と競争的資金のバランスの是正を求める。バランス以前に、運営費交付金の削減分を競争的資金に付随する間接経費で補うスキームが機能しなかった点がより深刻な問題になっている。(小寺貴之)
「財政審の指摘は文科省の考え方とは異なる。運営費交付金と競争的資金のベストミックスによる支援が必要」と、松本洋平文科相は強調する。大学の経営は、国から一定額が交付される運営費交付金と、民間や国プロなどに手を挙げて獲得する競争的資金で支えられている。財政審では競争的資金へのシフトによって、より大学の創意工夫を促すべきとした。さらに英米の有名私大を挙げ、公費依存度を下げる改革を促すべきという注文が付いた。これに文科省は反発した。
文科省は運営費交付⾦は競争的資⾦では代替できないと強調する。運営費交付⾦の一方的な削減でシステムに歪みが生じ、安定的な教育研究活動や全学的視点に立った大学の構想力が阻害されていると反論する。光熱費や人件費の上昇で大学運営に大きな支障が生じており、早急な財政支援が必要と強調する。
両省とも運営費交付⾦と競争的資⾦の両方が重要で、目標とするバランスが異なるという構図だ。特に文科省はベストミックスがどこかは明確でなく「大学は多様で状況が変わっていくため一つに定まることはない」(文科省)と説明する。
増えぬ民間投資 検証も必要
この背景には競争的資⾦を獲得して間接経費で運営費交付⾦の削減分を補填するというスキームがある。大学は競争的資⾦を獲得しなければ予算が減る。大学が研究者に競争的資⾦獲得を促すメカニズムとなってきた。競争的資金自体は増えているため、優秀な研究者を抱える大学は予算が増えている。
多くの大学が窮地に陥っているのはトップ大学に競争的資金が集中したためだ。だが科研費などで集中是正が始まると、トップ大学も経営が苦しくなった。また競争的資金自体も想定通りには増えず、大学運営を支えるものにならなかった。
例えば第6期科学技術・イノベーション基本計画(2021―25年度)では科学技術予算の政府目標として30兆円を掲げ、補正予算を積み上げて40兆5000億円を措置している。これは政府投資を呼び水に民間投資を促す目的があった。
基本計画の官民合わせた目標額は120兆円。23年度までの官民研究開発投資額は62兆5000億円と達成が困難な状況にある。民間投資が大幅に増え、その一部が共同研究やその間接経費として大学に環流するというスキームは十分に機能しなかったといえる。
この状況で運営費交付金を増やして窮地の大学を救うのか、さらに公費依存度を下げるよう促して民間投資を獲得させるのか、財務省と文科省の見解が分かれている。どちらを選ぶとしても、なぜ民間投資は増えないのか検証が必要になる。そして政策に左右されない大学運営を目指していくことになる。