次世代産業の集積地に…JFEHDが京浜再生、生まれ変わる高炉跡地
JFEスチールの東日本製鉄所京浜地区(川崎市川崎区)における土地利用転換が着々と進んでいる。2024年度に企業の研究開発拠点向けなどで土地の一部を売却したのに続き、25年度には国内最大級のプラスチックリサイクル施設を本格的に稼働。さらに液化水素の受け入れ基地の建設やデータセンター(DC)の事業化検討も始まった。23年に内需縮小下で休止した高炉などの跡地が、次世代産業の集積地に生まれ変わりつつある。(編集委員・田中明夫)
「川崎市の次の100年の発展に貢献する新産業や雇用の創出を図る」。JFEスチールの親会社で京浜地区の土地利用転換を統括するJFEホールディングス(HD)の岩山眞士専務執行役員は、こう力を込める。
京浜地区はJFEHDの前身で1912年設立の日本鋼管の創業の地だ。さらに川崎市は2024年に市制100周年を迎えるなど、両者は共に発展してきた歴史がある。この京浜工業地帯の象徴だった高炉が休止した23年9月、JFEHDが川崎市と検討を重ねて発表したのが新たな土地利用構想だ。
同構想では製鉄の下工程の厚板製造所は継続稼働させる一方、上工程の高炉の跡地を含む約400ヘクタールの土地は売却や賃貸、事業利用を組み合わせて有効活用する。すでに設備解体が完了したエリアでは、企業向け研究開発棟などの開発を計画するヒューリックなどに土地を売却した。
さらに4月にはJFEグループやJR東日本などが出資するJサーキュラーシステム(川崎市川崎区)が、日量200トンの廃プラスチック処理能力を持つリサイクル施設を本格稼働した。現在は川崎市や神奈川県藤沢市、東京都大田区などから廃プラを広域回収しているが、処理能力は約7割残しており「回収先を増やして一大リサイクル拠点を築く」(同社)という。
また5月には川崎重工業などが出資する日本水素エネルギー(東京都港区)が、鉄鋼原料のヤード跡地で液化水素の輸入基地の建設に着手。世界最大級の5万立方メートルの水素貯蔵タンクを工事中だ。
日本水素エネルギーは28年度に国内から水素を調達する実証を開始し、30年度には海外から液化水素を大量調達して商業化する計画。水素は近郊の工業地帯に供給するほか、京浜地区にあるJFEスチールのガス焚き自家発電設備で30年度から混焼利用する予定だ。将来は水素専焼も目指す。
さらにそのグリーン電力はJFEHDと三菱商事が30年度までに京浜地区で整備を検討するDCに供給する構想。同地区では空飛ぶクルマの発着場の整備や自動運転車の実証を計画し、大量のデータを近接するDCで効率的に処理するなど事業間の相乗効果を狙う。
一方、土地利用転換の中心となる扇島エリアでは、34年度に完了予定の遊休設備の解体・土壌対策で2200億円程度のコストを見込むなど、膨大な支出が課題となる。JFEHDは土地の売却・賃貸を順次進めて、京浜地区全体で27年度までに土地事業で累計850億円の収入超過を見込み、利益を設備解体に充てる方針だ。
35年度までには土地事業で同1000億円の収入超過を計画するものの、「遊休設備の解体を早めるために政府支援を受けられないか検討を始めている」(岩山専務執行役員)という。新産業を創出する巨大プロジェクトの加速に向けて、官民連携の強化を急ぐ。