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大手の雇用に変化あり。黒字企業の人員削減が相次ぐ理由

大手の雇用に変化あり。黒字企業の人員削減が相次ぐ理由

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大手企業の間で、業績が好調でも人員削減に踏み切る動きが相次いでいる。背景には中長期的な競争力強化に向けて、事業構造の改革を目指す企業の姿と雇用に対する考え方の変化がある。(苦瓜朋子)

全社的には黒字でも、収益性の低いノンコア事業の撤退や縮小に動く企業が増加している。余力があるうちに事業ポートフォリオを見直し、成長が見込まれるコア事業に経営資源を振り向け、企業価値を高めるのが狙いだ。このような動きに合わせ、人員の適正化と若返りを図るのが「黒字リストラ」だ。

東京商工リサーチによると、2025年1―9月に早期・希望退職が判明した上場企業は34社。このうち、22社は直近の決算が黒字だった。

大手では、三菱電機パナソニックホールディングス(HD)、三菱ケミカルグループの三菱ケミカルなどで実施。3社とも足元の業績は堅調で、パナソニックHD以外は削減人数を定めていない。日本総合研究所の林浩二プリンシパルは、事業環境の変化に加えて「『ジョブ型雇用』による雇用思想の変化も影響している」と見る。

日本企業では終身雇用を前提に、人材ありきで後から仕事(ジョブ)を割り当てる「メンバーシップ型雇用」が一般的だった。ジョブ型は20年ごろから大手企業を中心に広がり始めた。ジョブを基準に必要な人材を割り振るため、ジョブがなくなれば希望退職の対象となり得る。林氏は「無理に配置転換しても経験やスキルを生かせるとは限らない」としつつ、「日本企業も事業やジョブに基づき、雇用の在り方を考える方向に進みつつある」と評価する。

だが、人員削減は後ろ向きな印象が強く、社内のモチベーション低下につながる懸念も。林氏は「経営トップや希望退職の対象となる事業の責任者は、人員削減の理由や事業の道筋を明確に打ち出し、残った社員への人材投資方針を示す必要がある」と説く。

日刊工業新聞 2025年10月22日

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