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自動車メーカー各社の〝持ち味〟光る。最新のHV・EVをまるっと紹介

ジャパンモビリティショー開幕へ-クルマの現在・過去・未来を追う #2
自動車メーカー各社の〝持ち味〟光る。最新のHV・EVをまるっと紹介

N-ONE e:とホンダの川坂執行職㊧

「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」が10月30日-11月9日に東京・有明の東京ビッグサイトで開催される。未来のモビリティーに触れられ、自動車のファン、技術者だけでなく子ども、ファミリー層らが幅広く楽しめるショーとなりそうだ。JMS開幕前に、自動車業界を取り巻く現在・過去・未来を予習しよう。

カーボンニュートラル温室効果ガス実質ゼロ)の切り札として世界のメーカーがこぞってハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)を投入している。各社の持ち味を生かした車や新しい用途を提案するなど、バリエーションが広がっている。水素の活用も普及期にむけて着実に前進している。

ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車はスタンダードに。性能向上は続く

トヨタ自動車は1997年に世界で初めての量産HV「プリウス」の生産を始めた。以来、レクサスも含めてほぼ全車種にHV搭載車を設定している。2025年5月には主力車種「カローラ」で、スポーツ多目的車(SUV)「カローラクロス」をHV仕様のみとした。新型カローラクロスは総排気量1800cc級の新型ハイブリッドシステムを採用。モーターの出力向上により滑らかな走行と燃費性能を両立した。

トヨタの「カローラクロス」

日産自動車は独自のハイブリッドシステム「e―POWER」の第3世代版を投入。燃費性能を第1世代比で20%向上し、コストは同20%削減した。高速域での燃費も改善している。

トヨタのシステムは、エンジンでの走行とモーター駆動による走行を運転中に切り替える。一方、日産のe―POWERはエンジンを発電のみに使い、モーター駆動で走行する。第3世代は専用エンジンを進化させ電動パワートレーン(駆動装置)の統合によって燃費性能や静粛性を向上した。まず欧州で発売したSUV「キャシュカイ」に採用。26年度に米国で発売するSUV「ローグ」、日本で刷新する大型ミニバン「エルグランド」にも展開する。

第3世代となるハイブリッドシステム「e-POWER」を搭載した「キャシュカイ」

24年度に国内で最も売れたプラグインハイブリッド車(PHEV)は、三菱自動車のSUV「アウトランダーPHEV」だ。国内販売台数が8885台となり、13年の初代発売以来の累計販売台数で10万台を達成した。24年10月の大幅改良で駆動用バッテリーを刷新し、航続距離を伸ばして加速性能を向上。ヤマハと共同開発したオーディオシステムを全車に標準装備している。

三菱自動車のSUV「アウトランダーPHEV」

EVは航続距離の延長と低価格、充電時間短縮がポイント。多くのメーカーが参入し、選択肢が広がる。

日産とトヨタはEV新モデルで航続距離と充電時間でしのぎを削る。これまで、ユーザーが選ぶポイントは航続距離が圧倒的に多かったが、最近では価格や充電時間の短さも重視する傾向が強まっている。

10月8日に発表した日産のEV「リーフ」の新モデルは、性能が大幅にアップした。航続距離は従来比5割増の702キロメートル。性能を高めながら、価格は航続距離や機能を高めながら旧型車と同等以下に抑えた。 第3世代となる新型車は8年ぶりの全面刷新で、クロスオーバータイプとした。日本仕様車「B7」は電池総電力が78キロワット時。大容量電池と空力性能で航続距離を延伸した。出力150キロワットの急速充電で電池残容量10%から80%までを35分で充電できる。

新型リーフの航続距離向上について説明する磯部博樹チーフビークルエンジニア

トヨタ自動車は翌日の9日、EV専用車「bZ4X」の新モデルを発表した。航続距離を従来比約25%延ばし、日本勢最長の最大746キロメートルとした。充電性能も引き上げ、150キロワットの急速充電器を使った場合、電池残容量が約10%から約80%までの充電時間は最短28分とした。価格は従来型と比べエントリーモデルでは70万円、上位モデルでは50万円引き下げている。

トヨタ「bZ4X」

ホンダは高級車と軽自動車で新型EVを投入する。米国で高級車ブランド「アキュラ」では「RSXプロトタイプ」を26年後半に発売する。次世代EV基盤採用モデルの第1弾で、独自の車載基本ソフト(OS)「アシモOS」を搭載する。

アキュラ・アールエスエックス・プロトタイプ

国内では軽乗用EV「N―ONEe:(エヌワンイー)」を発売した。航続距離は295キロメートル(WLTCモード)と軽EVの最長を達成。軽EVの投入は2車種目となる。エヌワンイーの発売に合わせて充電サービス「ホンダチャージ」も始める。

新規参入組も独自の強みを生かした車種を投入する。ソニー・ホンダモビリティ(東京都港区)は「AFEELA1(アフィーラワン)」を米国で販売する。価格は8万9900ドル(約1420万円)から。ソニーらしく室内で多彩なエンターテインメントコンテンツが楽しめる。ネット経由でソフトを更新する技術「オーバー・ジ・エア(OTA)」で機能の改良や拡張が可能だ。

東京・銀座のカーギャラリーで展示を始めたEV「アフィーラ・ワン」

スズキはSUVのEV「eビターラ」を26年1月に国内で発売する。同社のEVは初めて。駆動用電池に中国・比亜迪(BYD)製のリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載した。EVユニットや車台は、トヨタとの共同開発技術を採用。スズキが持つ小さなクルマ作りの知見と融合した。4WD車の設定がある小型SUVのEVはニッチな市場だが、需要はあると見込んでいる。

スズキのEV「eビターラ」と鈴木社長

SUBARU(スバル)は26年に、初めて自社工場で生産するEVを北米で投入する。SUV「トレイルシーカー」は1充電当たりの航続距離は260マイル(約418キロメートル)以上。価格は4万―5万ドル(約570万―710万円)程度とみられる。北米では小型SUV「アンチャーテッド」も発売する。

新型EV「アンチャーテッド」(米国仕様車)

マツダは中国市場向けに9月、SUV「EZ―60」を発売した。先頭部や後方側面に空洞部を設けた空力性能の工夫が特徴的。室内には存在感ある26インチ超のディスプレーや23個のスピーカーを搭載し、さまざまなコンテンツを楽しめる。

マツダ「EZ―60」

水素活用はいよいよ本番?燃料電池車は性能アップ、水素エンジンも

燃料電池(FC)車を手がけるトヨタ自動車とホンダ。それぞれ性能向上を図っており、普及期にむけた準備が整いつつある。

トヨタは性能を従来比2倍に向上した新型のFCシステムを開発した。セル設計を見直すなどして燃費性能を従来比20%高め、航続距離も約20%向上した。乗用車向けと定置式発電機、鉄道、船舶などの汎用向けに加えて、大型商用車向けもラインアップ。水素社会のけん引役として期待される商用ニーズを取り込む。26年以降に日本や欧州、北米、中国などの市場に投入する予定だ。

協業する独BMWとは水素社会の理解促進でも手を組む。両社は10月に水素社会体感型イベントを開催し、燃料電池車の試乗などで浸透を図った。

ホンダは現行比で製造コストを半減し、耐久性を2倍以上に向上した次世代のFCモジュールを開発した。現行モデルは米ゼネラル・モーターズ(GM)との共同開発品だが、新型はホンダが独自に開発。27年度の量産を予定する。

水素をエンジンの燃料として使う自動車も商用化が見えてきた。トヨタは水素エンジンとハイブリッドシステムを組み合わせた商用ハイエースを開発。水素エンジンのみの場合に比べ、航続距離が50キロメートル延びたほか、走り出しなどをモーターのパワーで補うため加速性能が約25%向上した。早ければ25年春にも豪州で同車両の走行実証を実施する。

トヨタの中嶋副社長と水素エンジン車とハイブリットシステムを組み合わせた海外向け商用車「ハイエース」
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