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自動車のリサイクル、もっと進むらしい!

ジャパンモビリティショー開幕へ-クルマの現在・過去・未来を追う #7
自動車のリサイクル、もっと進むらしい!

ASRの再資源化を促す「自動車リサイクル資源回収インセンティブ制度」が来年4月にも始まる

「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」が10月30日-11月9日に東京・有明の東京ビッグサイトで開催される。未来のモビリティーに触れられ、自動車のファン、技術者だけでなく子ども、ファミリー層らが幅広く楽しめるショーとなりそうだ。JMS開幕前に、自動車業界を取り巻く現在・過去・未来を予習しよう。

自動車におけるサーキュラーエコノミーが一段と進みそうだ。解体した後の自動車破砕残さ(ASR)を、再び自動車の素材として使う取り組みが活発になっている。日本の自動車は部品や資材の状態でも海外へ多く輸出されている。国内でのリサイクルを促進すれば、自国でより適正に処理ができ、貴重な材料・資源を海外に流出させない効果もある。

日本では自動車リサイクル法で、ASR、エアバッグ、フロン類のリサイクル・適正処理を自動車メーカーなどに義務付けている。使用済み自動車(ELV)は適正に処理され、高いリサイクル率を維持している。

ただ、ASRの処理については焼却して熱回収するサーマルリサイクルが7割近く(2023年、経済産業省資料より)となっている。また、18年ごろから海外での輸入規制が強化されて樹脂くずなどの処理が海外に依存できなくなった。さらに原材料価格の高騰で再利用の需要も高まっている。

こうした背景から、再資源化を促す「自動車リサイクル資源回収インセンティブ制度」が26年4月にも始まる。ELVからASRになるはずだった樹脂やガラスを解体業者などが回収し、原材料メーカーに引き取ってもらう枠組み。原材料メーカーはマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの原料とする。ASRの削減や円滑な再資源化、リサイクル料金の低減につながる。

樹脂・ガラスの資源化でASRが削減できるため、解体業者などには経済的インセンティブを付与する。自動車リサイクル法に基づき自動車を購入する際に支払われたリサイクル料金の一部をインセンティブの原資として活用する。

国内で発生するELVは年間約260万台超で、ASRの年間総排出量は約45万トン。1台のELVから約180キログラムのASRが発生すると言われる。そのうち樹脂・ガラスの約20キログラム分を回収できればインセンティブとして20キログラム分が支払われる仕組みだ。

制度の対象はバンパーや内装材といった樹脂と、サイドガラスなどのガラス。ASRは樹脂やガラスのほか、電線や基板、紙類など雑多な成分で構成される。樹脂やガラスは、ASRに含まれる成分の中でもインセンティブを付与すればリサイクルの事業性が担保できるとみられる。資源回収技術が向上して成分の有価性や需給のバランスが担保できれば対象が拡大される可能性もある。

ただ、インセンティブはあくまで回収費用を補填するもの。解体業者などにとって収益の基本は原材料メーカーへの素材の売却費だ。事業として収益を上げるには原材料メーカーの理解も必要となる。

海外・日本企業の動きは

EU(欧州連合)は00年に「ELV指令」を制定した。23年の改定案では、新車に25%以上のリサイクル樹脂の使用を義務化することを検討している。ドイツではBMWなど18社・団体が協力し、金属や樹脂などの素材の再利用を推進するプロジェクトが始まった。

一方、日本企業はデンソー東レ、野村総合研究所(NRI)、ホンダ、マテック(北海道帯広市)、リバー(東京都墨田区)の6社が8月、自動車のリサイクルや再生材の利用拡大を目指した組織「BlueRebirth(ブルーリバース)協議会」(武内裕嗣会長=デンソー経営役員)を設立した。35年に向け、自動車をロボットやAI(人工知能)を活用して自動で精緻に解体して再生材を生み出し、再び自動車に使用する仕組みを確立する。

協議会は樹脂・金属を扱う材料メーカーや大手部品メーカー、完成車メーカー、研究機関など約30者で構成。車の解体に関する技術開発、再生原料の素性や環境負荷情報をデジタル基盤上に記録するなどに取り組む。ロボットの活用で自動車リサイクル産業における人手不足や職場環境の改善にも貢献する。

日刊工業新聞2025年10月7日記事に加筆・修正

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