設備工事会社を倒産に追い込んだ新規事業の失敗
売り上げ計画大きく下回る
ケンショウは1967年4月に大阪府寝屋川市で創業し、2005年6月に法人改組した。集合住宅や公共施設、工場、戸建て住宅の給排水衛生設備工事を手がけていた。
10年2月に大阪市内に本店を移転した後、東京、名古屋などに支店を設置し、大手・中堅ゼネコンからの受注を獲得。24年には複数の大手企業の元役員を取締役顧問に迎え入れるなど対外用面も配慮しながら、積極的な営業展開により業容を拡大させ、24年5月期には年売上高約27億7400万円を計上していた。
しかし、工事においては外注先の利用が多く、利益率は低調に推移。受注件数増加と案件の大型化に伴い、協力会社に対する前払い金などが急増したうえ、近時は資材価格高騰などの影響もあり、資金需要は一層増していた。
そうした中、新たな事業への進出に着手。20年7月にタガヤスを設立し、完全無農薬の大玉リーフレタスの安定的な生産を目指していた。23年10月1日、植物工場「タガヤスファーム」が始動。5年後に年商10億円を見込む計画だった。ところが、建屋の設計に不備があることが判明し、結局、市場向けにレタスを販売できたのは24年8月ごろとなり、計画から大幅に遅れることとなった。また、その後の売り上げも計画を大きく下回る水準にとどまっていた。
ケンショウは、タガヤスの設立当初に多額の資金を注入し、さらに不足した運転資金を補うために継続的に資金支援を行ったことで資金繰りが悪化した。そして、本業外への資金流出に懸念を示した取引金融機関からの資金調達が不調となり、ついには金融業者から高利資金を導入してしまう。
25年4月には取引先に対して支払い猶予を要請したものの、資金繰りが改善するはずもなく、同月25日、タガヤスとともに大阪地裁に会社更生法の適用を申し立て、財務・事業再構築を目指すこととなった。(帝国データバンク情報統括部)