「VUCA時代」乗り越える力に、経営者の自己研さん後押しする研修の中身
中小企業基盤整備機構は7月に中小企業の経営者や幹部向けの新たな研修プログラムを始める。各地の成長企業を視察する形式で、不確実性が増して将来を見通しにくい「VUCA(ブーカ)時代」に対応する経営哲学や成長戦略を学ぶコースなど3コースを用意した。「優れた経営者を訪問して気付きを得る」(中小機構)のが目的だ。柔軟な発想で自社を変革する意識の醸成を見込む。
中小の経営者は多忙な一方で、リスキリング(学び直し)のうねりを背景に研修などへの参加意欲は強まっている。経済産業省・中小企業庁がまとめた「2025年版中小企業白書・小規模企業白書」によると、経営者自身がリスキリングに取り組む企業は売上高の増加率が8・7%。リスキリングに取り組んでいない企業の売上高の増加率は5・7%にとどまる。学ぶ意欲と業績の伸びに関連性が表れた格好だ。企業庁が重視する経営者の「経営力」の向上にもつながる。
企業庁の岡田陽調査室室長は「社長のリスキリングは社員にも良い影響を与える」と指摘する。率先して学ぶ意欲が社員に広がることを期待できるためだ。社内研修への反映などの好循環が生まれ、人材育成にも弾みが付く。
上昇志向が強い企業風土が定着するには、経営者同士のつながりを広げることもカギだ。企業庁はさまざまな属性の経営者と交流することで、経営者自身の成長につながるとみている。今回の白書では異業種の経営者などが集まる広域のコミュニティーへの参加により、成長に向けた発想を得られやすいと分析している。経営者がこうした機会を積極的に生かすことが重要だ。
経営環境の変動要因が多いVUCA時代に入り、中小の経営者が「ピンチをチャンスに変える」(中小機構)には、発想力や的確な経営判断が求められる。自ら研さんを積む意識を持ち続け、目標になり得る経営者などとの関係を築けるのが理想のリーダー像だ。