半導体後工程「狙いはハイブリッドボンディングだ」(キヤノンマシナリー新社長)
キヤノンは産業機器を手がけるインダストリアルグループでさらなる成長を狙う。好調な半導体露光装置だけでなく、主要3子会社での事業成長も重要になる。半導体では装置の適用領域の拡大、ディスプレーでは事業の安定性を高めることがテーマになる。キヤノングループのリソースを使い、いかに事業を伸ばすか。各社のトップに聞いた。3回目はキヤノンマシナリー社長の田島純一氏。(3回連載)
―足元の事業環境は。
「車載向けでは在庫調整が続いているのは事実だが、そのほかの多様なアプリケーションに販売することで売り上げを確保している。少し苦しい時期であるが、仕込みの時期だ。また、ダイボンダーに限らず後工程においては検査装置もここ数年展開してきた。顧客の全数検査のオートメーション化というニーズに提案できている」
―パワー半導体で見れば、中国メーカーの勢いが健在です。
「欧米や日系では動きが少ない中、中国の一部のメーカーは積極的に先進国の市場を狙っていると理解している。そのため、装置需要に関してはこうした積極的なメーカーは投資が盛んではあるが、一概に中国全ての環境が良いとはいえない」
―後工程ではアドバンスドパッケージ(先進パッケージ)への対応が不可欠です。
「狙いは(チップ同士を直接接続する)ハイブリッドボンディングだ。(キヤノンで産業機器を所管する)インダストリアルグループでは前工程と後工程の装置を持っている。例えば露光装置のアライメント(位置決め)やプラズマ、ボンディングなどだ。これらを組み合わせて、ハイブリッドボンディング装置を2026年以降に実用化する方針だ」
―4月に社長に就任しました。意気込みは。
「私自身、キヤノングループで長らく組み立て自動機に携わってきた。そこで培った顧客が使いやすかったり、信頼性が高かったりなどの付加価値の創出を半導体製造装置でも生かして展開していきたい」
*取材はオンラインで実施。写真はキヤノンマシナリー提供
【記者の目/付加価値の高さで優位に】
ダイボンダーなどの後工程装置は、車載や民生品の半導体市況が低迷しているあおりを受ける。急成長のカギは先進パッケージだ。特にハイブリッドボンディングは広帯域メモリー(HBM)やロジックなど、高付加価値な半導体での利用が模索される。付加価値の高さは装置の価値に跳ね返る。キヤノングループのメリットを生かすことで技術優位を確保したい。(小林健人)
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