人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

一昨日12月12日は小津の誕生日で命日でもあったことを、翌日の朝になって知りました。実は『ダンケルク』の前に見たのが小津の『晩春』で、映画のあるシーンのことを途中まで書きかけていたので、そっちのほうを書き上げていればよかったなと。

『晩春』はあることがきっかけで、ひと月ほど前からみよう見ようと思っていたところ、ちょうどいいタイミングで、衛星劇場で『晩春』の4Kデジタル修復版が放送されることがわかったので、そっちを録画して見たわけです。DVDはもっているけど、取り出してセットするのがめんどくさくて。


さて、今回、とりわけ注目したのが、そのきっかけにもつながるこのシーン。

「繋がってますね、お沢庵」「そう、庖丁がよく切れないの」_a0285828_13455105.jpeg

入り口の看板には「巖本真理 提琴独奏会」と。提琴とはヴァイオリンのこと。これが大写しになったんで、巖本真理というヴァイオリニストって有名なんだろうかと昔少し調べたことがあったんですね。でも、彼女のCDを買うとかはしませんでしたが。

ところが先日、安川加壽子という女性ピアニストの評伝を読んでいたら巖本真理の名が何度も出てきたんで、おっとなったんですね。それで、久しぶりに『晩春』を見たくなったと。そのシーンでかかる曲も聴きたかった。


上の看板が映る前、喫茶店で紀子(原節子)と紀子の父親で東大の教授である周吉(笠智衆)の助手である服部(宇佐美淳)がこんな会話をします。


服部「ね、紀子さん、巖本真理のヴァイオリン聴きに行きませんか」
紀子「いつ?」
服部「今日、切符があるんですがね」
紀子「いいわね」
服部、切符を2枚出して、見せる。
紀子(微笑して)「これ、あたしのために取って下すッたの?」
服部「そうですよ」
紀子「ほんと?」
服部(微笑して)「ほんとですよ」
紀子「そうかしら――でもよすわ、恨まれるから」(と返す)
服部「いいですよ、行きましょうよ」
紀子「いやよ」
服部「恨みませんよ」
紀子「でもよしとくわ」


この会話の前、喫茶店で最初に話していいたのは結婚が決まった服部にお祝いとして渡すプレゼントのこと。「何がいい?」「また考えときます」とかそんなやりとりがあった後で上の会話になるんですね。「恨まれる」というのは服部の婚約者に、ってこと。

父親の助手として紀子の家に何度も来ていた服部に紀子は好感を抱いていたはずだし、服部もおそらく紀子に対して好感を抱いていた。服部としては結婚する前に、最後の思い出を作っておきたかったんでしょうね。紀子もそれがわかりつつも結局断ります。

ここで服部はしばし沈黙。そしてこんなウィットに富んだ言葉のやりとりが。


服部(微笑して)「繋がってますね、お沢庵」
紀子(明るく)「そう、庖丁がよく切れないの」


実はこのときの服部が言った言葉の最後がよく聞き取れなかったのでシナリオを見たら「沢庵」でした。「沢庵」は古い時代の象徴かな。言葉の世界に生きている人間らしく、誘いを断られた気持ちを出すことなく、でもちょっと皮肉った表現をしたんでしょう。それに対する紀子の言葉も見事。原節子の表情もなんともすてきです。


で、このあと巖本真理の演奏会が行われている東京劇場の会場の入り口付近の廊下のシーンが映ります。

「繋がってますね、お沢庵」「そう、庖丁がよく切れないの」_a0285828_13454806.jpeg

このとき映画では巖本真理が演奏したものかどうかわからないヴァイオリンが流れるだけで、巖本真理は一度も映ることもなく終わるんですね。ひとりで演奏を聴いている服部と、その隣の空いた席に帽子と鞄が置かれているのが映るだけ。


さて、ここで流れている曲はいったいなんだろうかと調べたら上に貼った演奏会の内容を知らせる看板の5曲目に書かれているJ. ラフ(Joseph Joachim Raff)の「カヴァテーナ(Cavatina カヴァティーナ)」だとわかりました。ありがたいことにYouTubeに上がっています。



かかっているレコードは『巖本真理 抒情名演集』と題された10インチ盤。これのA面1曲目に入っているのがラフ作曲の「カヴァティーナ」。映画でかかったものと聴き比べたら全く同じ。つまり映画で流れていたのは演奏会で巖本真理が実際に演奏したものではなく、このレコードの音源を使ったよう。

ちなみに映画に映った巖本真理の演奏会の看板では、演奏会の日付が4月26日(土)となっていますが、『晩春』が撮影された昭和24年(1949年)の4月26日は土曜日ではなく火曜日。前年の昭和23年(1948年)は月曜日。どういうこっちゃと思って、もうちょっとカレンダーを遡って調べたら昭和22年(1947年)の4月26日が土曜日でした。つまりこの看板はそのときにつかわれたはずの看板を借りてきて撮影したようです。映画用に作ったんだったら土曜日ではなく火曜日にしたでしょうから。


ところでその廊下が映るシーンでのシナリオのト書きはこうなっています。


開演中で、ヒッソリと静まり、ただ扉の前に女給仕が佇んでいるだけである。場内から聞えるヴァイオリン・ソロ――


でも、実際にはこの扉の前で、ちょっと不思議な光景が展開されているんですね。入り口付近に一人の女性が立っているんですが、それは女給仕ではなくだれかを待っている感じの若い女性。そこに女給仕らしき人がやってきて彼女に声をかけ、紙切れのようなものを見せながら彼女を扉の前に連れて行って話をします。

普通に考えれば一緒に来るはずの人(やはり男性でしょう)が来ないので一人入り口で待っていたら、会場の女給仕がやってきて、来れなくなったとかのメッセージが書かれた紙を見てどうしようかと途方に暮れてしまっているってことでしょう

。でも、この映画を最初に見た時はその女性は紀子で、中に入るかどうかためらっているんじゃないかとか(そのあと紀子がひとりで街を歩いているシーンがあるので)、あるいは紀子に断られた服部が代わりに呼んだフィアンセが会場にやってきたものの、なんとなく入りづらい気持ちになっているとかいろんなことを考えさせられて、かんか心にひっかかったままになっているんですね。


ということで、この巖本真理の演奏会に絡むシーンはほんの数分間だけの挿話とはいえ、他の数々の名場面とされるシーン以上に好きなんですね。

なにはともあれ『巖本真理 抒情名演集』を手に入れたいです。

YouTubeにはカラー化された『晩春』があがっていました。これの32:00あたりからほんの2分ほどのシーンです。


# by hinaseno | 2025-12-14 13:51 | 映画 | Comments(0)

最近は読書の時間があまりとることができなくて、さらに言えば、テレビのニュースというものをほとんど見なくなったため(理由のその一つは熊関係、もう一つは顔も見たくなければ声も聞きたくない人がよく登場するので)、映画をかなり多く見るようになりました。

その映画のことで数日前から書きかけている話があったんですが、途中やめで放置。そう放置した話がたまっています。

一番最近見た映画、つまり今朝見終えたのが2017年に公開されたクリストファー・ノーラン監督『ダンケルク』という戦争映画でした。先日の12月9日にNHK-BSで放送されたんですね。

前にも書いたかもしれませんが、基本的に戦争映画とやくざ映画は好きではないので、よほどのことがない限り見ることがありません。なのであえて見たのはよほどのことがあったから。

その「よほどのこと」というのは例によって川本三郎さん。おととし(2023年)に出た『映画の木漏れ日』の中で『ダンケルク』のことを取り上げていたんですね。川本さんも基本的には戦争映画(戦争を直接描いた映画)が好きではないとどこかで書いていたはずで、実際、川本さんの映画本ではそれほど戦争映画を取り上げることはなかったんですが、2010年代後半から2020年代初頭に見た映画を取り上げた『映画の木漏れ日』では、かなりまとめて戦争映画を見ていた時期があったようなんですね。

その章の最初に取り上げられていたのが『ダンケルク』でした。タイトルは「「生き残る」ための戦いを描く「ダンケルク」のこと」。

せっかくなのでその最初の段落を引用しておきます。


 勝ち戦さには、ほど遠い。
 敵に押されて後退につぐ後退を繰り返し、ようやく脱出に成功する。
 クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク」(17年)は、撤退を描く戦争映画。敵と戦うことなく逃げ出したイギリス軍を「よくやった」と称える。そこが面白い。「生きて虜囚の辱めを受けず」の考えだった日本の軍隊と大きく違う。死ぬより生きることを優先する。
 最後、無事に本国に戻った若いイギリス兵の一人は、はじめ、国民から批判されると思っている。戦わずに逃げてきたのだから。ところが本国に帰るや、港や駅で温かく迎えられる。「自分たちは生き残っただけだ」と自嘲すると、迎える国民は「それだけで充分だ」と称える。
 同じようなことが戦時下の日本で起きたらどんな反応があっただろう。卑怯者とそしられたのではないか。彼我の違いを思わざるを得ない。
 こんな場面もある。イギリスの戦闘機スピットファイアに乗ったパイロットが状況不利と判断して、いったん基地に戻ろうとする。結局は戦闘を続行するのだが、英空軍では、不利な状況では帰還が許されていたことが分かる。帰還のための燃料もあらかじめ計算されて積んでいる。ここでも「生き残る」ことが優先されている。帰りの燃料を持たずに出撃するような特攻精神はない。


心に響く言葉の連続。これは絶対に見なくては、と思ったものの、DVDを買おうという気持ちまでにはならず、いつしか『ダンケルク』のことは忘れてしまっていました。

ところが、つい先日、3日に1度くらい、いくつかの曲で放送される映画をチェックしてたら、翌日の番組欄で『ダンケルク』が目に止まったんですね。

ただ、正直、最初は『ダンケルク』? なんか記憶があるけど、なんだっけ? だったんですが。でも、すぐに川本三郎さんが『映画の木漏れ日』で紹介していた映画だとわかりました。

本を読んでから映画を見ようかと思ったんですが、やはり先に映画を見ることにしました。時間の流れが錯綜していることと、みな同じような軍服を着て、同じような髪型をしているために登場人物の区別がつかないこともあって、混乱する部分も多々あったんですが、でもいい映画でした。川本さんが「ただ意外に死んでゆく兵士の場面は少ない。「生き残る」ことの大事さをテーマにしているからだろう」と書いていますが、その通りでした。


NHK-BSで放送されたのは12月9日。太平洋戦争が始まった真珠湾攻撃が行われた12月8日の翌日ってことに意味があったような気もします。NHKさん、ニュース以外はいい内容の放送が結構多いんですよね。


# by hinaseno | 2025-12-12 15:09 | 映画 | Comments(0)

昨日、突然、来年のナイアガラ・デイに『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』50周年記念盤発売の情報が流れてきました。渡辺満里奈の『Ring-a-Bell』30周年盤が出るということに喜んだばかりだったのに。

正直にいえば『Ring-a-Bell』ほどの喜びはない、かな。『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』にはそんなに思い入れがないんですね。大瀧さんのカタログの中では、たぶん一番聴いてこなかったと思います。

理由はというと収録された曲中、大瀧さんの書いた曲はたった3曲で、まあはっきりいって手抜きの曲ばかりなので。布谷さんの歌った「ナイアガラ音頭」というとてつもない名曲、怪曲がありますが、「夜明け前の浜辺」という素敵な3連バラードも、もともとは『NIAGARA MOON』の時に作ったもののボツにした曲だし。

伊藤銀次さんの作った「幸せにさよなら」の、大瀧さんリードボーカル・バージョンや大瀧さん達郎さんのデュオ・バージョンというとっておきの未発表音源がボックスに収録されると思いますが(達郎さんリードボーカル・バージョンは『TATSURO from NIAGARA』にすでに収録済み)、昔、新春放談で披露されたものを録音して、さらにCDに落として何度も聴いたので、今更収録されても新鮮味はなさそう。

ただ特典として、今年だったか大瀧さんのイベントで初披露され、「ETV特集 POP 大滝詠一 幸せな結末」でもちょこっと流れた『Fussa 45 Studio Live 1976』の映像を入れたブルーレイも入るそうなので、それが楽しみといえば楽しみだけど、買うか買うまいか、ちょと悩みます。聖地に行くための1枚の切符を買うのだと納得させるべきか。


ただ、これによって楽しみになってきたのは、来年のことではなく再来年のナイアガラデイのこと(鬼が笑うどころか、泣いちゃううかもしれませんが)。

前からずっと言ってきた『ナイアガラ・カレンダー』の50周年盤がついに出そうな、うれしい予感がぐぐっと高まってきました。オリジナルアルバムのジャケットに使われた1978年と同じジャケットが使える年ごとに微かな期待はしていたんですが(直近では2023年)、今度は間違いないでしょう。


『ナイアガラ・カレンダー』といえば、湯浅学さんの新刊『アロング・ア・ロング・バケイション 大滝詠一、1981年の名盤を探る』に収録された井上鑑さんのインタビューの中で、鑑さんが興味深い発言をしてたんですね。それは湯浅さんの「どこかで『ナイアガラ・ソング・ブック3』も実現してほしいです」との言葉に対しての返事。


「個人的には、『ナイアガラ・カレンダー』の曲を『ソング・ブック』用にアレンジしてみたいんです。単に楽器を弦に移し替えただけじゃないものを作ってみたくて。リズムっぽい曲だって、そのままリズムっぽくしなくても逆に面白いものが絶対にあると思うんです。あくまで”ナイアガラ・ソング・ブック”という枠に収まらないといけないから、大変ですけどね」


このインタビューは2021年に行われたものなので、昨年の未発表音源の編集盤である『ナイアガラ・ソング・ブック3』はまだ出ていないときのこと。ということで、もし実現するなら『ナイアガラ・カレンダー・ソング・ブック』ってことになります。『ナイアガラ・カレンダー』50周年盤にボーナス盤として入ったら最高ですね。鑑さんのことだから、もしかしたらもうスコアくらいは書いているはず。

ちなみに井上鑑さんが弦アレンジした『ナイアガラ・カレンダー』の『ソング・ブック』バージョンとしては、すでに「青空のように」が『ソング・ブック1』に、「真夏の昼の夢」が『ソング・ブック2』に収録されていて、「真夏の昼の夢」のストリングスバージョンがどれだけ好きかってことについてはこれまで何度も書いてきました。

ということで『ナイアガラ・カレンダー・ソング・ブック』盤が実現するならば、とりわけ聴いてみたいのは「Blue Valentine's Day」…、いや、やはり一番聴いてみたいのは「クリスマス音頭」ですね。このエンディングが果たしてどうなるか。達郎さんがアレンジしたオリジナルのストリングスもすばらしいのでカラオケでぜひ聴いてみたいけど、鑑さんがどう料理するか、考えただけでもワクワクします。


# by hinaseno | 2025-12-01 12:36 | ナイアガラ | Comments(0)

湯浅学さんの新刊『アロング・ア・ロング・バケイション 大滝詠一、1981年の名盤を探る』、読了。いや~、大満足の本でした。


…という書き出しで、ブログを書き始めたのはもう10日以上前のこと。なかなか書けないまま日が経ってしまいました。すみません(誰に謝っているのやら)。感想としてまず一つ言えるのは、この本はタイトルが『アロング・ア・ロング・バケイション』となっているものの、『ア・ロング・バケイション』というアルバムのことを理解する以上の豊潤な内容を含んでいるということ。

何より共感を覚えたのは、大瀧さんという人が「縁」を大切にする人間という理解をきちんと持たれていたところでした。湯浅さんがその縁の中にいた人であればこそですね。この視点なくして大瀧さんのことを語るのは片手落ちどころではありません。


ということで「縁」という言葉はこの本の随所に出てくるわけですが、たとえばギタリストの吉川忠英さんのインタビューの前に書かれたこの言葉とか、何度も頷いてしまいます。


その人の存在が予期せぬ展開を引き起こす。大滝詠一が人と人、場所や時代性における”縁”を大事にしていたことは、そのこととかなり関係している。計算外の楽しい出来事が生まれることで、創作にも新鮮な風が吹く。ナイアガラ・サウンドの秘密は、その”縁”へのこだわりにもあると思う。(中略)ナイアガラ・サウンドは、大滝にとってなくてはならない人々によって生まれ、強化され、醸造されていった。


で、その「ナイアガラ・サウンドでは欠かせぬ女性ボーカリストの重鎮」として紹介されているのが伊集加代(伊集加代子)さん。実は湯浅さんがインタビューされた人の中で最も読んでみたかったのが伊集加代さんでした。伊集さんのインタビューを読むなんて、たぶん初めてじゃないかな。実の興味深い話の連続でした。

言葉以上にうれしかったのは伊集さんご本人が提供されたというシンガーズ・スリーの写真。シンガーズ・スリーはメンバーが時代によって変わっているんですが、掲載されているのは伊集さんと和田夏代子さんと鈴木宏子さんという、『NIAGARA CALENDAR』以降の大瀧さん作品のコーラスをやっていた3人の写真が載っているんですね。3人とも聖子ちゃんカットしててなんともかわいい。きっと1980年代初頭の、もしかしたら大瀧さんがプロデュースした松田聖子の『風立ちぬ』のレコーディングをしていた頃に撮った写真かもしれません。伊集さんは和田さんや鈴木さんよりもずっと年が上なんですが(大瀧さんよりも10歳くらい年上でもあります)、とってもチャーミング。こんな伊集さんの写真が見れただけでもこの本を買った甲斐があったと思います。


もちろん伊集さんの容姿だけでなく、彼女の歌い手としての才能も含めて非常に魅力的だったからこそ、長い間ずっと伊集さんをコーラスで使い続けたんだろうと思いますが、インタビューで湯浅さんは伊集さんにこんなことを言っています。


「私がナイアガラで丁稚をしていた頃、伊集さんの来る日は朝から大滝さんが楽しそうに見えたんです。その感じというのは、他のミュージシャンの方に対するものとはちょっと違う。気持ち的に伊集さんの存在は大きかったかもしれないですね」


それに対する伊集さんの言葉。


「まあ、私も大滝さんと仕事するときはまったく緊張してませんでしたからね。大滝さんがそういう感じだから、私のほうもなんだかホッとする部分があったと思います」


大瀧さんの作品で伊集さんが初めて参加したのは、ファーストアルバム『大瀧詠一』のこの「指切り」。クレジットはシンガーズ”Sexy”スリー。♪フッ、フッ~ というコーラスを入れたから”Sexy”を入れたよう。この頃はまだ和田夏代子さんと鈴木宏子さんはメンバーではなかったはず。

そして伊集さんとの関わりの中で「計算外の楽しい出来事が生まれ」たのはなんといってもこの「クリスマス音頭」のエンディングですね。



# by hinaseno | 2025-11-25 15:17 | ナイアガラ | Comments(0)

聖地に行く切符を買う日


湯浅学さんの『アロング・ア・ロング・バケイション 大滝詠一、1981年の名盤を探る』の話を続きを書こうと思いながら、いろいろとやることが多くて書けないままでいたら(書きかけてストップしてます)、なんと”あれ”の情報が飛び込んできました。


”あれ”というのは来年のナイアガラデイに出るブツのこと。

実は1週間ほど前にもうそろそろかなと思って調べたときにはネットになんの情報も上がっていなかったので、そっか、まだだったかと思ってたんですが、今朝、ちょっとしたきっかけがあって調べてみたらソニーのサイトに上がってました。


その”ブツ”の話をする前に例によってきっかけの話を。

今年のいつからか新春放談を1990年ごろからずっと聴き返しているんですね。そもそもは大瀧さんが語ったはずの何かの言葉を探すためだったんですが、いつからか、その探していた言葉が何だったかも忘れてしまって、でも、ちょっとした時間に、たとえばアイロンがけをしているときとか洗濯物を干している時とかコーヒーを淹れるときとかに順番に聴き続ける日々が続いているわけです。で、今朝、洗濯物を干すときに聴いていたのが2007年1月7日放送の新春放談でした。


新春放談は最初の頃、つまり1980年代は録音したカセットテープが文字通り擦り切れるくらいに毎日毎日聴き返していたものですが、1990年代の後半になると聴き返す回数は半減して、さらに2000年代に入ると聴き返す回数は10回もなくなっていました。なので、結構、新鮮な気持ちで聴けて、へ~っ、大瀧さん、こんなことを言ってたんだということが何度も。

で、今朝、聴いていた2007年1月7日放送の新春放談の30分すぎあたりで大瀧さんがおもしろいことを言ってたんですね。その前に達郎さんが最近は同じアルバムがいろんな形で何枚もリイシューされてCDで出ているけど、大瀧さんはどうしているんですかと質問。いちばんいいやつだけを買って、他のは捨てちゃうんですかと。それに対して大瀧さん、こう答えます。


「エルヴィスは全部買ってますよ。エルヴィスは捨てませんね」


ここで大瀧さんがちょっと言い淀んだ感じがあったので達郎さんが「ぐらっとしている感じがいいなあ」と突っ込みます。もちろん大瀧さんが自身のアルバムの何周年盤というのを出していることの話の後だったから。でも、この後、大瀧さん、こう言うんですね。


「あれはお布施のようなもんなんですよ。だって年間100枚も出ませんから、リイシューなんて。たとえばエルヴィスの部門があるんですよね、各国に。そこの人たちが出したら売れないと、だんだんその部署も狭くなるでしょ。そういう人たちの継続のためのお布施なんですよ。中身っていうよりも、聖地に行く切符を買っているようなものですかね」


「お布施のようなもの」「中身っていうよりも、聖地に行く切符を買っているようなもの」って言葉に、ぐらっときたわけです。正直いえば、最近はナイアガラデイに何が出るかという期待よりも、期待しすぎて裏切られたような気持ちになってしまうことの方が多くなっていて(「期待は失望の母である」という大瀧さんの言葉は身に沁みてわかっているのに)、もう次からは買うのをやめようかとさえ思い始めてるんですね。でも、やっぱり気にはなります。

というぐらぐらした気持ちがあった中での大瀧さんのこの言葉は心に響きました。

そうか! お布施か。聖地に行く切符を買うことなのかと。


で、この言葉を聴いた後でパソコンの前に座ってチェックしたら、なんと来年のナイアガラデイに、かなり期待できるものが出ることがわかったんですね。それが大瀧さんプロデュースの渡辺満里奈のアルバム『Ring-a-Bell』の30周年盤。大好きなアルバムなのに一度もリイシューされないままにここまで来てたので、これは何ともうれしい情報。もちろん未発表曲追加。

ちなみにLPの方は未発表曲3曲ですが、CDのほうは2枚組でまだそのDisc 2のボーナストラックは不明とのこと。今年出た『All About Niagara 1973-2024』には「うrしい予感」の別バージョンだけでもいくつもあるようなので(もちろん大瀧さんと満里奈さんとのデュエットバージョンも何種類かありそう)、期待大ですね。

ぜひ聴きたいのはオリジナル・カラオケ。とりわけ大瀧さんが編曲した「ダンスが終わる前に」と「あなたから遠くへ」はぜひ聴いてみたい。

そして最大の期待は、「あなたから遠くへ」の大瀧バージョン。金延幸子さんの作曲ですが、大瀧さんも少しは(おそらくは半分近くは)曲作りにかかわっているはずのこの曲を大瀧さんが歌っているものがあれば最大の目玉となります。

いや~楽しみです。


そう、これからはナイアガラデイを聖地に行く切符を買う日ということにしましょう。

聖地に行く切符を買う日_a0285828_15214737.png


# by hinaseno | 2025-11-23 15:21 | ナイアガラ | Comments(0)