人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Nearest Faraway Place nearestfar.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

「生き残る」ための戦いを描く「ダンケルク」のこと


最近は読書の時間があまりとることができなくて、さらに言えば、テレビのニュースというものをほとんど見なくなったため(理由のその一つは熊関係、もう一つは顔も見たくなければ声も聞きたくない人がよく登場するので)、映画をかなり多く見るようになりました。

その映画のことで数日前から書きかけている話があったんですが、途中やめで放置。そう放置した話がたまっています。

一番最近見た映画、つまり今朝見終えたのが2017年に公開されたクリストファー・ノーラン監督『ダンケルク』という戦争映画でした。先日の12月9日にNHK-BSで放送されたんですね。

前にも書いたかもしれませんが、基本的に戦争映画とやくざ映画は好きではないので、よほどのことがない限り見ることがありません。なのであえて見たのはよほどのことがあったから。

その「よほどのこと」というのは例によって川本三郎さん。おととし(2023年)に出た『映画の木漏れ日』の中で『ダンケルク』のことを取り上げていたんですね。川本さんも基本的には戦争映画(戦争を直接描いた映画)が好きではないとどこかで書いていたはずで、実際、川本さんの映画本ではそれほど戦争映画を取り上げることはなかったんですが、2010年代後半から2020年代初頭に見た映画を取り上げた『映画の木漏れ日』では、かなりまとめて戦争映画を見ていた時期があったようなんですね。

その章の最初に取り上げられていたのが『ダンケルク』でした。タイトルは「「生き残る」ための戦いを描く「ダンケルク」のこと」。

せっかくなのでその最初の段落を引用しておきます。


 勝ち戦さには、ほど遠い。
 敵に押されて後退につぐ後退を繰り返し、ようやく脱出に成功する。
 クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク」(17年)は、撤退を描く戦争映画。敵と戦うことなく逃げ出したイギリス軍を「よくやった」と称える。そこが面白い。「生きて虜囚の辱めを受けず」の考えだった日本の軍隊と大きく違う。死ぬより生きることを優先する。
 最後、無事に本国に戻った若いイギリス兵の一人は、はじめ、国民から批判されると思っている。戦わずに逃げてきたのだから。ところが本国に帰るや、港や駅で温かく迎えられる。「自分たちは生き残っただけだ」と自嘲すると、迎える国民は「それだけで充分だ」と称える。
 同じようなことが戦時下の日本で起きたらどんな反応があっただろう。卑怯者とそしられたのではないか。彼我の違いを思わざるを得ない。
 こんな場面もある。イギリスの戦闘機スピットファイアに乗ったパイロットが状況不利と判断して、いったん基地に戻ろうとする。結局は戦闘を続行するのだが、英空軍では、不利な状況では帰還が許されていたことが分かる。帰還のための燃料もあらかじめ計算されて積んでいる。ここでも「生き残る」ことが優先されている。帰りの燃料を持たずに出撃するような特攻精神はない。


心に響く言葉の連続。これは絶対に見なくては、と思ったものの、DVDを買おうという気持ちまでにはならず、いつしか『ダンケルク』のことは忘れてしまっていました。

ところが、つい先日、3日に1度くらい、いくつかの曲で放送される映画をチェックしてたら、翌日の番組欄で『ダンケルク』が目に止まったんですね。

ただ、正直、最初は『ダンケルク』? なんか記憶があるけど、なんだっけ? だったんですが。でも、すぐに川本三郎さんが『映画の木漏れ日』で紹介していた映画だとわかりました。

本を読んでから映画を見ようかと思ったんですが、やはり先に映画を見ることにしました。時間の流れが錯綜していることと、みな同じような軍服を着て、同じような髪型をしているために登場人物の区別がつかないこともあって、混乱する部分も多々あったんですが、でもいい映画でした。川本さんが「ただ意外に死んでゆく兵士の場面は少ない。「生き残る」ことの大事さをテーマにしているからだろう」と書いていますが、その通りでした。


NHK-BSで放送されたのは12月9日。太平洋戦争が始まった真珠湾攻撃が行われた12月8日の翌日ってことに意味があったような気もします。NHKさん、ニュース以外はいい内容の放送が結構多いんですよね。


by hinaseno | 2025-12-12 15:09 | 映画 | Comments(0)