
読書日記が二千回に到達した。
ここまで付き合ってくれた読者には、まず静かに頭を下げたいのである。
そして二千回を区切りに、ひとつ大きな方針転換をすることにした。
読書日記の二〇〇一回目から先は、有料で展開していく。
もちろん、いきなり「はい、ここから先は有料です」と言えば、
読者がスッと離れていく危険もよく分かっている。
読書日記アプローチは、本を「消費」しないための試みであると同時に、
読者との関係をどう設計するかという、かなり生々しい実験でもある。
そこで、ラボ読書梟では、しばらく別の入り口を用意することにした。
テーマはこうである。
それって不可逆性ですよね?──◯◯と◯◯の非対称性
情報の発信者(主にインフルエンサー)と受け手の非対称性(≒コミュニケーション不可能性)
事業者とユーザーの非対称性。
制度と当事者の非対称性。
一度支払ったお金は、原則として戻ってこない。
使ってしまった時間は、どんなに後悔しても取り返せない。
返品のきかないサービス、片務的な契約、よく分からない規約の同意ボタン。
こうした「不可逆性」と「非対称性」は、
読書日記の有料化とも、静かに地続きになっている。
有料化とは何か、と問うことは、
つまるところ「誰の時間とリスクをどこまで負わせるのか」という設計の問題だからである。
ラボ読書梟では、この「それって不可逆性ですよね?」という合言葉のもと、
しばらく、いくつかの非対称性を解きほぐしてみたい。
・お金と時間の可逆性/不可逆性
・契約書と期待のズレ
・サービス提供者とユーザーのリスク配分
・「情弱ビジネス」と呼ばれるものの構造
こうしたテーマを、具体的な事例や読書メモと行ったり来たりしながら、
ゆっくり解体していくつもりである。
読書日記が有料になっても、その手前には、まだ思考の遊び場を残しておきたい。
「不可逆性」や「非対称性」という、ちょっと物々しい言葉を使いながら、
実際には、ごく身近な違和感の話をしたいのである。
有料の読書日記では、個々の本とじっくり向き合う。
ラボ読書梟では、その背景にある制度や構造を、少し引いた位置から眺めてみる。
その二つがゆるやかにループすることで、読書日記アプローチは続いていくはずだ。
読んだ本の中身だけでなく、その周りにある「不可逆性」と「非対称性」にも目を向けてみるとき、
私たちの読書と生活は、どんなふうに輪郭を変えていくのだろうか。