埋物の庭

埋物の庭

街中にあるつい見落とされがちで埋もれてしまっているもの(=埋物、まいぶつ)を紹介します。

2026年 新年の目標とネガティブケイパビリティ

須磨浦公園からの眺め。日の出ではなく日の入。2026年でなく2025年撮影。

新年明けましておめでとうございます。

正月休みもそろそろ終わってしまいますね。皆さんいかがお過ごしでしたでしょうか。

 

私は年明けになって近くの神社に初詣に行ったくらいです。あとはとにかく家で寝たりだらだらしていました。お正月はこういうかんじでいいと思っています。
無為な時間を過ごすことにも意味があるような気がしています。

 

年末に友人と「toi books」に行ってきました。もともと大阪の本町にあったお店ですが、2025年に移転して、駒川商店街の脇にできました。敷地には以前「本のお店スタントン」というお店があったようです。

 

toi books。右奥が駒川商店街。

 

mailtotoibooks.wixsite.com

 

選書がぼくの好みにハマっていて、素晴らしい本屋さんでした。3冊買って年末年始に読んでいます。その1冊が『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』でした。

 

「ネガティブケイパビリティ」は(この記事内では中点を取って表記することとします)、不確実で解決できない事態を受け入れる能力のことです。本のなかでは以下のように説明されています。

 

 私たちは「能力」と言えば、才能や才覚、物事の処理能力を想像します。学校教育や職業教育が不断に追求し、目的としているのもこの能力です。問題が生じれば、的確かつ迅速に対処する能力が要請されます。

 ネガティブ・ケイパビリティは、その裏返しの能力です。論理を離れた、どのようにも決められない、宙ぶらりんの状態を回避せず、耐え抜く能力です。

帚木蓬生『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』朝日新聞出版、2017年、9ページ

 

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)

 

なるほどなと思ったのは、生きていて経験する事態のうちですぐに問題解決のできる領域は想像以上に少ないという認識でした。これは30年ほど生きてきて実感があることです。正解の決まっている問題を解くことをポジティブケイパビリティとするならば、そういった方策が有効ではないことはすべてネガティブケイパビリティの範疇です。

 

本を読んでいて、「なんとかやっていくしかないな……」と踏ん張ってきたこれまでの日々を振り返りました。あの日々、あの姿勢は私の身につけた生きる術だったのだなと救われた気になりました。そしてそれをこれからも続けていくのだな、と思います。

 

さて、こうネガティブケイパビリティについて書いてきて、新年の目標を語るのは主張がブレるように感じられますがそうではありません。能力としてはポジティブとネガティブの両輪が必要だと思っています。また、目標を言葉にするのは必ずしも「問題解決」を意味するとは限りません。

 

どういうことか。文章を書くという営みは、自分でもよくわからない自分の頭のなかの思考を言葉に変換して、自分自身で納得する作業だからです。これは事態に対してポジティブ/ネガティブな態度を取る前段階の、そもそもの事態の認識です。言葉にしたうえで、解決できそうなことだったら対処をし、そうでなかったらひたすら待つのです。事態が自分の権能の及ぶものかどうかを見極めるための術と言ってもよいでしょう。だからいまの自分と向き合って、今年じっくり向き合いたいことを言葉にすることには意味があると思うのです。

 

そんな思索を年末年始していました。新年は普段考えないような壮大なことを考えがちですね。というわけで私の今年の目標は、住んでいるこの場所を楽しむことです。

 

この場所というのは大阪のことであり、そこから気軽に旅に行ける関西一円のことでもあります。東京から大阪に引っ越してきて3年半。いろんなところに行ってきましたが、まだまだ足を延ばせていないところもあります。

 

いつまでこの地に住むか決めていません。最近になって別の場所へ引っ越したい気持ちも出てきました。幼少期から引っ越しが多かったので、だいたい3年くらい経つと住む場所を変えてみたくなるのです。もし大阪に住んでいる時間に期限があるならば、それまでを存分に楽しみたいと思い、この目標にしました。これまでだったらたぶん答えを急いですぐに引っ越していました。いまはそうではなくて、ただこの時間を大切にしたいと思うのです。

 

最後にちょうど聴いていた曲から歌詞を引用します。「音楽」について歌っているのですが、Itを「時間の流れ」として解釈すると別の味わいがあります。

 


www.youtube.com

 

It will take us through the night

And where I'll go

Can't explain I'll never know

But it's beautiful

It Run's Through Me

Tom Misch『It Runs Through Me』、2018年

 

いい年にしたいですね。皆さんもよい日々、よい旅を。

 

読書感想文 堀江敏幸『雪沼とその周辺』

最近寒くなってきたので暖かくしてゆっくり小説を読んでいる。

小説を読むことは旅をすることと似ている。見たことのない風景を見て知らなかったことを知る。旅をする前とは世界の見え方が変わる。

 

Twitterの友人のしゆさんからアドベントカレンダーで読書感想文を書かないかと誘っていただき、初めて参加してみた。機会を与えていただきありがたい。

 

ということで街歩きブログで読書感想文を書いてみよう。

 

adventar.org

 

『雪沼とその周辺』(以下『雪沼』)は全7編から成る連作小説だ。

 

雪沼とその周辺 (新潮文庫)


タイトルどおり雪沼とその周辺で暮らす人々を描いている。ある話で登場した人物や店がほかの話でも出てきて、読み進めると作品世界の広がりを感じられる。

 

気に入った描写を一つ引用したい。

 

ついさっきまではただの透明な一枚の板にすぎなかったガラス窓に室内灯が照り返って、視線を外に逃がしてくれない。相席している他の三人と通路のむこうのボックスの乗客の顔が、白い映像になって固いスクリーンに浮かんでいる。さっきなにかが飛んで行ったように見えたのは、反射光のいたずらだったのだろうか。いや、そんなはずはない。外はまだなんとか明るさを保っていたし、光にしては物の質感がありすぎた。おまけにあれは白ではなく、たしかに青っぽかった。慣れない老眼鏡の掛け替えをしているせいで眼に疲れがたまっているとはいえ、あれが見まちがいだったとはどうしても思えない。左の親指と人差し指で、香月さんは眉間のあたりをつよく押してみた。経理の洞口さんが教えてくれた眼のツボだ。

堀江敏幸『雪沼とその周辺』、新潮社、2007年、172ページ

 

外が暗くなって窓ガラスに室内灯が反射して視線が外に出られない、ここではそんな日常で目にするけれど意識して焦点を当てたことがなかった出来事が表現されている。小説を読んでいて楽しいのは、こういう描写にふれて世界の見え方が豊かになった瞬間だ。

 

この描写から本作の語りについて述べたい。香月さんは「緩斜面」の中心的な登場人物なのだが、『雪沼』ではこのように一貫して登場人物は「~さん」と呼ばれる。作者は物語世界の外から、人々の行動や思考を三人称で語っている。これにより文章を読んでいると雪沼とその周辺の日常を一歩引いたところから、カメラのレンズを通した映像を見ているような気分になる。

 

またここでは視線、明るさ、眼というように視覚の描写が細かくされているわけだが、『雪沼』ではこのように五感の描写が細かい。そして物語の主題と関わりながら描かれるのが特徴的で巧いと感じた。例えば聴覚については、「スタンス・ドット」でハイオクさんがボーリングを投げてピンをはじく音、「レンガを積む」で蓮音さんのレコード店の家具調ステレオから流れるレコードの音。味覚については、「イラクサの庭」の小留知先生のつくったイラクサのスープの味、「ピラニア」の安田さんの冷めても食べられる中華料理の味といったように。一つ一つの描写が登場人物の心情に深く根ざしていて作品に調和していた。

 

さて、連作を続けて読んでいて、その終わり方が予想できたものとそうでないものがあった。読んでからのお楽しみなのでどの作品かは書かないが、意外な後味のものがあったりして、何本か読むまで慣れなかった。振り返ってみると本作の多くは明るい話ではない。登場人物たちは年齢を重ねてなにかしら人生の課題を抱えている。天気でいうと曇り、音楽で言うとマイナーな響きといったところだろうか。しかし半分くらい読んでからはそうした味わいもいいのではないかと感じられるようになった。ビールのIPAを飲んでホップの苦みの余韻を美味しいと思えるように。

 

雪沼という印象に残る名前の沼が出てくるかはこれも書かないが(夏の雪沼が気になる)、風景の描写も、先ほど述べた感覚の描写と同じように丁寧だった。雪沼のゲレンデ、尾名川とそのまわりの河岸段丘、権現山の南の商店街。冒頭で書いた作品世界の広がりはそういった描写の積み重ねによるところも大きい。

 

というわけで読書感想文でした。

皆さんも本を読んで読書の旅に出かけてみましょう。

さんぽ神のお告げにしたがって

ようやく夏が終わり心地よく散歩のできる季節が訪れた。

 

けれども暑さで出不精になり、そのうえ10月中旬までひたすら資格試験の勉強をしていたぼくは、すっかり散歩から足が遠ざかっていたのであった。

 

散歩ってどうやったらいいんだっけ。一歩目の踏み出し方を忘れていた。

 

そこで困ったぼくは神頼みをすることにした。
具体的にいうとヨドバシドットコムで「さんぽ神」を注文した。

 

 

さんぽ神は小さい本で、前半のページには「どこで」が、後半のページには「なにをする」が書いてある。ページをめくり神のお告げにしたがえば、楽しく散歩ができるってわけ。

 

さんぽ神。想像以上に小さい。

 

お告げを授かる

さっそくお告げを授かろう。

 

どこで

カタカナの入ってる地名のところで

 

なにをする

かわいいものを探そう

 

というわけで、カタカナの入ってる地名のところでかわいいものを探そう。

 

お告げの地へ

ひとまず駅に向かう。

カタカナの入ってる地名でまず思い浮かぶのは、滋賀県高島市マキノ町だ。

 

 

まだ訪れたことはないのだが、地図でカタカナの地名は目立つのでずっと気になっていた。しかしいまは午後3時。大阪市内の自宅からこれから向かうと日が暮れてしまう。マキノはまたの機会にしよう。

 

次に思い浮かんだのは、ポートアイランド六甲アイランドなどの湾岸エリア。新しく開発された場所ならきっとカタカナ地名してるはず。

 

 

というわけでJRに乗って西を目指していたのだが、ぼーとしてると電車はなぜか北に進んでいた。ポーアイ、西なのだが……。

 

どうやら神戸線に乗ったつもりが福知山線に乗っていたらしい。
こういうことってあるよなと思う。そして大事なのはこうなっちゃってからなのだ。

 

地図を見る。懸命にカタカナを探す。

厳しいかと思っていたが、なんと近くにカタカナ地名は…あった!

 

その名は大阪府池田市ダイハツ町

 


大阪に本社のあるダイハツ工業のお膝元である。

 


企業名が市区町村名の由来になっているケースはけっこうある。
愛知県には豊田市トヨタ町があり、群馬県にはスバル町があるといった具合に。

 

ダイハツ町へは北伊丹駅から歩いて行けそうだ。さあ散歩を始めよう。

 

北伊丹駅

北伊丹駅は線路の東側にユニ・チャームの大きな工場、西側には西猪名公園があるのが特徴だ。駅前に商業施設は見当たらない。

 

都市計画法では用途地域というものが定められている。都市計画区域内の土地は、住宅地、商業地、工業地などいくつかの種類に分けられている。調べてみると北伊丹駅周辺は「準工業地域」に該当していた。

 

 

準工業地域」とはどんな地域か?名前からだいたい想像つくがこんなかんじ。

 

道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です*1

 

さて北伊丹駅にはいかにも初めて降りた風に書いているけども、実は前に一度降りたことがある。そのときはヒロコーヒー伊丹いながわ店を訪れて、そこから猪名川沿いに伊丹駅まで歩いたのだった。

 

今回もちょうどコーヒーが飲みたくなったのでまずはヒロコーヒーに向かった。一回行ってよかったところはまた行きたいものだ。

 

道中。高架は国道171号線

 

ざっくり「京都」

 

オートバックス。自動車関連施設。

 

ヒロコーヒー 伊丹いながわ店。かわいらしい建物。

 

ヒロコーヒーは、大阪駅エキマルシェ大阪で飲んで美味しかったので店舗に来た経緯がある。ほかにも豊中や西宮にも店舗があるみたいなので、ぜひ行ってみたい。

 

 

ブラジル。美味しい。

 

店内には『四季の珈琲』という雑誌が置いてあって読んだ。

 

『四季の珈琲』

 

日本のコーヒー栽培、コーヒーカップの歴史、喫茶店のエッセイなど、コーヒーってこんなに多角的に語れるんだと驚いた。

 

 

ヒロコーヒーを出るとすぐ猪名川がある。

 

猪名川の土手

 

猪名川の看板。国土交通省かつ建設省

橋の上からは猪名川大阪市内を望むことができる。

 

大阪市内のビル群を望む

 

するとこちらに向かって飛行機が飛んできた。

 

迫力がすごい

 

大きな音、大きな機体。伊丹空港から飛び立った飛行機だ。

 

飛行機はどこを目指すのだろう

橋は軍行橋という物々しい名前で、調べてみると明治時代に陸軍の演習が行われたことに由来するそう。

 

 

橋を渡った少し北がダイハツ町だ。

 

ダイハツ町 遠景

 

奥におなじみの赤いDのロゴが見える。

 

ダイハツ町 拡大

 

またまた用途地域を確認すると、ダイハツ町は手前の一部が準工業地域で、ダイハツ工業があるほとんどの範囲は工業地域となっていた。果たしてかわいいものは見つかるのだろうか…?

 

不安を覚えながら進んでいると、川のにおいが強くなってきているように感じる。目の前には池田市下水処理場が現れた。

 

池田市下水処理場

下水処理場はあまりかわいいとは言えなそうである。カタカナ地名に行きさえすればかわいいものはすぐに見つかると思っていたがなかなか難しい。

 

皇大神社があるのでかわいいものがあるように祈る。

 

皇大神社

 

いよいよ地図上でダイハツ町に入ったのを確認する。ダイハツ工業の巨大な敷地が広がっている。壁と用水路に挟まれた道を歩く。

 

道をまたぐ配管は機能美を感じる

かわいいってなんだろう。思考をめぐらせる。

そして気がつくと空港や下水処理場と生活との関係について思考は推移していた。

 

飛行機で遠くに行けること、上下水道を利用できることで、生活は便利になる。

その反面で、空港のまわりでは大きな音がするし、下水処理場の近くではにおいがする。

便利なシステムはある程度環境に負荷をかけて成立している。便利さの裏には不便さがある。

 

雲間から差す光は美しい

 

セイタカアワダチソウはすこしかわいい

 

ダイハツ町の端に近づく。

かわいいものはどこにでもあるわけではないんだなと思っていたら、目の前にこんなものが。

 

かわいさ

 

あ、かわいい。

丸みを帯びたフォルム、たよりなさげな脚で、なんか浮いている。

 

これはどう見てもかわいいでしょう。

この建物はダイハツヒューモビリティワールド。ダイハツ工業の企業ミュージアムだ。

 

 

地図アプリを確認したらすでに行きたいとこリストに入っていた。こんな形をしていたのか。残念ながら今日はやっていなかったが、また来たいと思う。

 

ダイハツ町ダイハツヒューモビリティワールド

 

ダイハツ町ダイハツ工業株式会社本社

 

ダイハツ町にはかわいいものがあった。

というわけで、カタカナの入ってる地名のところでかわいいものを見つけることができたのであった。

 

帰り

帰りがけにもついかわいいものを探してしまう。

 

全国地域安全運動のポスターはおたふく顔でかわいかった。

 

おたふく顔でかわいい

 

箕面川に沿って東に進むと阪急の石橋阪大前駅だ。

歩いてお腹が空いたので店を探していると、どデカく中華そばの文字が。ここにしよう。

 

ファミーユ

 

中華そば 表があれば裏もある

 

店名がびっくりするくらい今日考えていたことだったので驚いた。

そうなんだよな。表があれば裏もある。表だけ見ていてはわからないこともある。

 

というわけで、(裏)特製中華そばをいただいた。

 

お品書き 裏

 

(裏)特製中華そば

 

煮干しがきいて大層美味しかった。(裏)は澄んだスープの(表)よりも魚介が濃くパンチがあるらしい。これが裏の魅力なのだ。

 

さんぽ神のお告げにしたがって散歩をしたら、表と裏について少しだけ理解が深まった気がする。小さな満足感を覚えて、帰路につくのであった。

 

阪急石橋阪大前駅

新快速で播州赤穂へ

新快速。それはJR西日本の速くて便利な電車。

 

関西で古来より最高の価値とされてきた、「新」「快」「速」を体現する名前――というのはまったくの嘘ですが、関東にはない電車なのでもしかしたらご存じない方もいるかもしれません。

 

兵庫、大阪、京都、滋賀、福井を結ぶ長大な区間をほとんど特急並みの速さで、しかも特急料金なしで結んでいます。

 

運行区間のわかりやすい図をつくられている方がいたので引用します。

 

https://narakanko-enjoy.com/wp-content/uploads/2022/10/shinkaisokurosenzu.png

奈良まちジオグラフィック

 

たとえば大阪から京都に行きたいときは、新快速なら約30分で行くことができます。三ノ宮までだと約20分です。

 

そんな新快速ですが、大阪から終点までそういえば乗ったことがないなと思いました。

というわけで終点駅の播州赤穂へ行ってきました!

 

都合により尼崎駅で撮影した電光掲示

 

長い乗車でした。かかった時間は以下のとおりで、兵庫県に入ってからが本番でした。

 

大阪~三ノ宮(約20分)

三ノ宮~姫路(約40分)

姫路~播州赤穂(約30分)

 

新快速は兵庫県を横断しています。播州赤穂は兵庫の西端。隣は岡山県備前市です。

 

大阪から乗車した人たちは西に向かうにつれて徐々に少なくなり、姫路までにはその多くが降車していました。

 

ちなみに私も初めて知ったのですが、来年2026年に姫路駅と英賀保駅の間に「手柄山平和公園駅」という新駅ができるそうです。これはぜひ行ってみたい!かつて姫路モノレールの通っていたところですね。

 

 

というわけで播州赤穂駅に到着しました。

 

播州赤穂駅

 

アース製薬発祥の地という駅名標広告が入っていました。

関東でも神田駅で同じようにアース製薬が広告を出していますね(あちらは本社前)。

 

 

改札を抜けると、南出口(モンダミン口)には「忠臣蔵」のどデカい書があります。インパクトがすごい。

 

 

もう夕方なのでこの日はチェックインして夕食を食べるだけです。

駅直結の東横インにお世話になりました。

 

めちゃ便利な東横イン

 

部屋は眺望が開けていて住宅地とすぐそばまで迫った山の様子が見えました。

 

北側を望む

 

夕食を求めて南口を散策します。

駅から出ると東横インの高さが目立ちますね。

 

駅の水平感と東横インの垂直感の対比

 

南口の東横インの反対側は「プラット赤穂」という商業施設とつながっています。

「プラット赤穂シネマ」という映画館が入っていて『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』がやっていました。至高のアニメーションなのでまだの方はぜひ観てください。

 

 

プラット赤穂。今年は国勢調査の年(5年おき)

 

夕食は駅から5分ほどの「赤穂野菜と地魚の店 五月」でいただきました。店名は『となりのトトロ』のメイとサツキが由来のようで、店内店外にジブリグッズがたくさん。ぷりぷりの刺し身と甘口の醤油がよく合っていて美味でした。

 

刺し身、美味

 

さて翌朝。

このところの気温上昇はすさまじくこの日も最高気温は36℃の予報でした。これだけ暑くなると、夏の街歩きは難しくなるなと年々感じています。

 

というわけで策を考えます。

まず移動は駅の観光案内所で借りられるレンタサイクルを利用します。風を受ければ多少涼しくなります。それに遠くまで行けるし。

そして行動は昼までとします。最も暑くなる午後の屋外行動は避けたい。

 

今回行ってみたいのは、赤穂城跡にある「塩と義士の館赤穂化成ミュージアム」、海に突き出た赤穂御崎の「きらきら坂」および温泉です。

 

まずは赤穂御崎を目指して、帰りがけに博物館に行くことにしました。

 

 

それでは出発!

赤穂城のなかには入りませんでした。お城は直射日光と照り返しがすごいだろうと思ったからです。一度真夏の名古屋城で大変な目にあったのが忘れられないのです…

 

お城のお掘り沿いに「名物討入そば」の看板が。討ち入りの深刻さがあまりなくて笑ってしまいました。

 

討入そば

 

自転車が風を切って進みます。海から吹いてくる風も気持ちいい。

「しおみライン」は自転車にうってつけの道でした。

 

千種川を渡る

 

赤穂御崎は海沿い高台です。坂を登る必要がありますが、自転車は電動アシストがついているので楽々です!この車体からはたまに鳥のさえずりのような(あるいはホイッスルキーような)音がしますがそれも問題なし。さえずり号と名付けると愛着が出てきました。

 

伊和都比売(いわつひめ)神社に到着しました。海に面して鳥居が佇んでいます。

 

鳥居

 

ここは平安時代からこの地にある式内神社です。航海安全で信仰を集めてきたとのこと。

 

拝殿

 

さて少し歴史の話をすると、1972年に国の政策で廃止されるまでこのあたりには塩田が広がっていました。かつて塩は国の管理化にあり専売だったのです。

 

赤穂では弥生時代から塩がつくられていたそうで、とくに江戸時代には広大な塩田が開発されて日本一の塩の産地として有名でした(このあと訪れたミューアジアムで知りました)。

 

江戸時代に塩事業で成功を収めたのが田淵氏です。玉垣にもその名前が見えました。
近くには田淵家が赤穂市に美術品を寄贈してできた赤穂市立美術工芸館 田淵記念館もあります。

 

玉垣

 

境内ではほかに、石灯籠をよく見ると足が波の形をしていて、海ってかんじでかわいいです。

 

石灯籠

 

これは愛車のさえずり号。

 

さえずり号

 

神社の参道の横がきらきら坂です。眼下に広がる海。石畳の坂。風情があります。

 

きらきら坂

 

坂の下はゴツゴツした岩礁になっていました。畳岩と呼ばれているそう。

私にとっては今年の夏の初めての海でした。

 

畳岩

 

海への道沿いにはツユクサが咲いていて青色が鮮やかでした。

 

ツユクサ

 

きれいなものを見て感動している間も汗は流れ続けてシャツはびしょ濡れになっています。それが夏というものです。

 

神社からすぐ近くに目的地のひとつ「潮彩きらら 祥吉」があるので汗を流すことにします。

この一帯には温泉ホテルが立ち並んでいて、赤穂温泉と呼ばれています。温泉はちょうど塩田が廃止される頃に開発されたようです。製造から観光へ産業の転換を図ったわけですね。

 

潮彩きらら 祥吉

 

瀬戸内海を眺めながらお湯に浸かっていると海と一体になります。

暑い空気も浴槽のなかではあまり気になりません。

ぼーと夏を感じます。暑さは夏の特徴のひとつに過ぎません。まぶしく輝く光、もくもくとした雲、虫の音もすべて夏らしさなのです。

 

温泉内の写真を撮れないので、赤穂観光協会の紹介写真を引用します。

 

https://ako-kankou.jp/wp-content/uploads/2017/08/o_syokichi02.jpg

赤穂観光協会「赤穂観光」

 

温泉を出ると困ったことになりました。着替えのシャツがないのです。

温泉に入ることを思いついたのは昨日だったので、昨日の服を洗濯していればよかった…と悔やみます。選択肢は2つでした。

①びしょびしょシャツを着る

②昨日のシャツを着る

 

②を選んだのは書くまでもありません。しかしせっかく温泉に入ってすっきりしたので、帰りの電車はきれいな服で乗りたいところ。そういえば行きにファッションセンターしまむらがあったのを思い出しました。

 

復路でしまむらを目指します。これまでたぶん学生時代に1、2回入っただけです。

店舗の淡いピンクが空の青さとマッチしていいかんじです。

 

ファッションセンターしまむら

 

買ったのはワッフル生地のTシャツ。こういう四角い凸凹の生地をワッフル生地というと初めて知りました。このあと着たらサラッとした着心地で気に入りました。パジャマにもよさそうですね。

 

ワッフル生地のTシャツ

 

復路は知っている道なので早く感じます。

高い建物がありすぐに東横インとわかりました。目立ちますねえ。

 

東横イン遠景

 

赤穂城跡近くにある「塩と義士の館赤穂化成ミュージアム」に入館します。

 

 

すると竈門炭治郎が出迎えてくれて驚きました。

 

 

いやでもこれ、「ようこそ、赤穂城」とか言ってるし、炭治郎じゃないかも。だっていま無限城で戦ってて大変そうだし…。

 

この人は塩治郎なのではというのが私の見立てです。後ろに見える石釜で塩を焚いているのが塩治郎(リアル)で、パネルは塩治郎(アニメ)と解釈するのが適当でしょう。

 

竈門塩治郎

 

博物館の展示は、塩(1F)と忠臣蔵(2F)という構成でした。

 

塩のほうは、弥生時代から近代にかけて、海水からどうやって塩を効率よく抽出するかという課題に立ち向かった技術史として見ることができておもしろかったです。

私はふだんデータをあれこれするエンジニアなのですが、そこでやっていることととても似ているのです。大量のデータ(塩水)から必要なデータ(塩)を取り出すこと。当時の技術者の苦労や工夫の積み重ねを自分の経験と重ねて想像しました。

 

忠臣蔵のほうは、大石内蔵助による殿の仇討ち一大プロジェクトとして見ました。大石はプロジェクトリーダーとして目標達成(=吉良の首を殿の墓前に供える)のための計画を立て、浪士たちをマネジメントするわけです。江戸市中に浪士たちを潜伏させる手配したり、揃えの衣装を用意したり、当日の段取りを隠密に進める様子に優秀だなあと見入りました。また仇討ちについて当時の儒学者が道義にかなうのか不義なのか論じる様子も興味深かったです。そうした議論ができる社会は豊かだと思います。

 

博物館を出て、駅に戻ってきました。

駅直結のプラット赤穂で目をつけていた「赤穂らーめん麺坊」に入ります。

 

赤穂らーめん麺坊

 

いただくのは塩ラーメン。これだけ塩の展示を観てしかも汗をかいたので食べずにはいられません。

 

注文してでてきたのはどこまでも澄んだスープでした。まさに透き通る世界。美味しかったです。

 

塩チャーシューラーメン

播州赤穂に行ってみたらたくさん汗をかいて塩のことを知ることができました。

皆さんも新快速に乗って遠出をしてみてはいかがでしょうか。

 

SUUMOタウンへようこそ

SUUMOタウンで記事を書かせていただきました!

 

取り上げた街は、大阪の松屋町

ぼくが大阪に移って初めて住んだ街です。好きなところ、好きなお店を詰め込んでいるので読んでいただけるとうれしいです。

ちなみに「松屋町とかいいんじゃない?」はこのブログを一緒にやってる島鉄くんのセリフです。

 

 

ブログでも大阪に移住してきた当時に記事を書いていますね。もう3年前になるのか。

 

 

掲載のきっかけは、編集者の方がZINE『歩いて沖縄縦断』を読んでくださったことでした。自分のつくったものをおもしろいと思ってもらえて、しかも記事を書いてほしいと言われるなんて!

 

シカクのオンラインショップの紙版

 

Kindle

 

SUUMOタウンはもともと好きなメディアでした。だから記事執筆の話をもらったときはほんとうにうれしかった。ブログを書き、ZINEをつくり続けてきてよかったと思いました。

 

書き手も街も様々なSUUMOタウン。そこに自分の記事が載っているのはまだ不思議な感じがしますが誇らしいです。

 

ぼくの記事を読んで松屋町に行きたい、なんだったら住んでみたいと思ってくれたらうれしいです。

 

 

 

シカクからドームへ

シカクにZINEを納品した。

 

シカクはZINEなどインディーズの出版物を置いている大阪の書店。

ぼくはこのブログを一緒に書いている島鉄くんたちと数人で、ZINEをつくっている。その名も『埋物の庭』。このブログと同じ名前である。毎年発刊していて、いまではvol.6まで出している。

 

自分たちでつくったものが書店の棚に並ぶというのはうれしいものだ。文学フリマなどの即売会でお客さんに直接売るのとはまた違ったかんじがする。自分の制作物が自分の手を離れたところで売買されている不思議。オンラインショップのページもできていてありがたい。

 

shikaku-online.shop-pro.jp

 

シカクから最寄り駅の阪神千鳥橋駅まで歩いてもいいのだが、散歩をすることにした。

 

シカクは此花区梅香にある。この花。梅の香り。美しい町名。

東に進むとすぐに六軒家川が現れる。正面の高いビルは弁天町の大阪ベイタワー。

 

 

海が近い。川のまわりは工場が多くて、どこか物悲しいかんじがする。

 

大阪には湾岸の開発がうまくいかなった歴史があるわけだが、それはともかく、海の近くというのは本来的に物悲しいものかもしれない。たとえきらきらとした港町や、人々でにぎわう砂浜であっても、茫漠とした海に臨んでいるとどうしても人間の存在の取るに足りなさを意識してしまう。

 

しかしそういった物悲しさのことがぼくは意外と好きなのだ。気持ちが暗くなるなかでちょっとしたことにでも淡い光を感じられるから。たまに味わうのも悪くないと思う。

 

橋を上がると、奥のほうにうっすらとハルカスが見える。

小学校のグラウンドには大きな水たまりがあるが、サッカークラブの子どもたちは元気に活動している。

 

 

此花区の隣の大正区を舞台にした『エヴリシング・フロウズ』という津村記久子の小説がある。小説のなかで主人公のヒロシたちは自転車に乗って友だちとイケアまで行ったり、自分の進路について考えて、成長していた。

 

きっとぼくの感傷とは関係なく世界は動いていくんだろう。そのことにさみしくもあるが安心もするのであった。

 

エヴリシング・フロウズ (文春文庫)

 

JRゆめ咲線大阪環状線の高架を過ぎるとまたすぐ川が現れる。安治川だ。

今度ばかりはすぐ川を越える橋が見当たらずどうしようかとあたりを眺めていると、なにやら人が集まっているスポットが。

 

安治川トンネルである。これで川の向こうへ行ける。入口の写真は撮り忘れた。

 

 

Into the darkness

 

トンネルは安治川の河底を通っているので、けっこう階段を下る。

 

www.jcca.or.jp

 

最深部は長い一本道。

日常見ない光景でゲーム『8番出口』のようなリミナルスペースの感があるのだが、けっこう歩行者と自転車を押した人が歩いている。

 


「涼しいなあ」「クーラー入ってるやろ」というおばさま方の会話に、警備員さんが「自然のん」と答えていて、「ええー川ってすごいんやな」と驚いていた。ぼくも一緒に驚いた。

 

関門トンネル(同じように山口県と福岡県を結ぶ海底の人道トンネル)を思い出した

 

出口側

 

地上に出てしばらく進むと大阪メトロ中央線九条駅の高架が現れる。

 

 

そして大阪ドームが見えてきて無事に大阪メトロドーム千代崎駅に到着。

 

UFOのような大阪ドームの屋根

 

巨大なイオンモールスーパービバホームが並ぶ風景

夏の暑さは危険なので街歩きがなかなか厳しい。涼しいところに行きたいものです。

おいぬ様に会いに行く

御嶽山って皆さん知っていますか?

長野の木曽にある噴火した山……ではありません。


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実は東京都にも御岳山とゆー古くは山岳信仰、現代はパワースポットとして知られる山があるのですよ。

しかも祀っている神様のなかに「おいぬ様」と呼ばれる一柱がいるとか。

犬を祀っている、なんてなかなか聞きません。


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ってなわけでゴールデンウィークを利用して東京の西側、青梅にある御岳山まで行ってきました。

これで3年連続でゴールデンウィークは西多摩地域に行ってますね。Discover Westな島鉄

 

そもそも御岳山とはどんな山なのか。

ホームページの由緒を見てみます。

 

創建は第10代崇神天皇7年。武淳川別命 (たけぬなかわわけのみこと)が東方十二道を平定の折、大己貴命(おほなむちのみこと)・少彦名命 (すくなひこなのみこと)をお祀りしたことが起源と伝わります。 文書に残る最古の記録としては、天平8 (736) 年に「僧の行基が東国鎮護を祈願 し金剛蔵王権現像を安置した」とあります。これ以降、蔵王信仰・修験道山岳信仰の地として広く知られるようになったのです。 また、平安時代の『延喜式神名帳』には、この地の地主神である「大麻止乃豆乃 天神社(おおまとのつのあまつかみやしろ)」として記されています。

 

中世になると山岳信仰が興隆し、戦国時代にかけて関東の修験の中心となりま す。特に鎌倉時代には「金峯山御嶽蔵王権現 (きんぶせんみたけざおうごんげ ん)」として有力な武将達から信仰され、武将の畠山重忠は鎧・鞍・太刀などを 奉納したと伝えられています。

(中略)

天正18 (1590) 年、徳川家康が関東に封ぜられると、神社には朱印地三十石が寄 進され、慶長11 (1606) 年、家康の命により大久保石見守長安が普請奉行として 社殿を改築。南向きだった社殿が、江戸の「西の護り」として東向きに改められ ました。現在の幣殿・拝殿は元禄13 (1700)年に5代将軍綱吉の命によって造営されたものです。

江戸時代中期になると、庶民の「社寺詣で」が盛んになりました。御師(おし) の布教によって講が組織され、御嶽信仰が武蔵・相模を中心に関東一円に拡がっていきました。

 

その後、明治維新によって社名が明治7 (1874) 年に「御嶽蔵王権現」から「御嶽神社」に改められ、さらに昭和27 (1957) 年に「武蔵御嶽神社」と改めて現在 に至っています。

 

引用:武蔵御嶽神社HP http://musashimitakejinja.jp/history/yuisho/「神社由緒」(2025年5月7日)

 

なるほど、御岳山(≒武蔵御嶽神社)は古代から近世に至るまで時の政権を守護する性格と、神仏習合山岳信仰・修行の場所としての2つの異なる性格をもっていることがわかります。

また、庶民からの信仰も江戸時代からは集め、明治期の神仏分離を経てなお現代まで信仰・観光の場として認識されているとゆーわけです。

 

それならば、御嶽駅からケーブルカーの駅(御岳登山鉄道滝本駅)までバスも出ていますが歩いて登ったほうがよいでしょう。

おいぬ様からの評価が上がるはずです。

昔の修験者や庶民へのリスペクトを忘れない島鉄


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ちなみに駅からケーブルカーの駅までは2.5kmほどあります。

そしてバスのみならず車でケーブルカーの駅へ向かう方も多いです。駅前の地図に等高線引いてあるの初めて見たかも……。

 

何が言いたいかというと、オール歩きを敢行するとメチャクチャ急な坂をハーハー言いながら排気ガスを浴びて歩かねばならない、ということです。

ああっ、勾配が急になったと思ったら道路に丸がいっぱいある!!

【勾配フェチの坂の話】このドーナツ型の凹みがあると、それは激坂確定のサインです!|公益社団法人土木学会【土木学会WEB情報誌『from DOBOKU』〜土木への偏った愛】

↑真空コンクリート舗装っていうんだね、キミ。

 

ゴールデンウィークに行ったからでしょうか割と車の往来も多かったです。御嶽駅を出て40分ほどかけてようやくケーブルカーの駅まで着きました。


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ちなみにバスだと御嶽駅から8分でケーブルカーの駅まで着きます。

賢明な方はバスに乗ったほうがよいことをオススメします。

登山する前から疲れるので。特に膝にきます。

観光情報 観光スポット|KEIO 御岳登山鉄道

関東一の急勾配を誇る御岳登山鉄道のケーブルカー、には乗らず!

これから己の足で詣でたいと思います。

標準コースタイムは1.5時間だそう。そこそこかかりますね。

ここまで40分歩いているのであわせて2時間かぁ。


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鳥居の前でパシャリ。

鳥居の後ろにある滝本の大スギは、昔ここまでやっとこさたどり着いた修行者あるいは参拝者が一息ついた場所だそう。

奇しくも島鉄も同じ気分です。

 

幸いここからの道は勾配がそこまで急ではなく、息を整えることができました。とはいえ舗装されているので結構膝にダメージが……。

ちなみに御岳山はこの先も山頂まで舗装路です。武蔵御嶽神社HPに記述があった御師集落が山頂付近にあり、今も100人以上の人が住んでいます。

18代目の青年神主、東京・御岳山で宿坊を営み、信仰を守る【武蔵御嶽神社(東京都)馬場慶太郎権禰宜インタビュー】 | ホトカミ

高野山生駒山にも似ていますね。

山頂までの道は生活道路でもあるため、舗装されており階段状の登山道にはなっていないわけです。なるほどね。


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登っていると、ときおり

ろくろっくび

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確かに、うねうねした道が首っぽい……?


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ケーブルカーの線路


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ケーブルカーの橋桁

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なかみせ(茶店は現存しない)

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お地蔵さま

 

と目につくモノたちが島鉄の心を癒してくれます。

ケーブルカーはともかく、昔の人も山登りの最中にこういった場所で休みつつ山頂を目指したのでしょう。


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だいこくのお

ここから先は尾根を横切るため勾配が緩くなり、これを大黒様のおかげ(←?!)として感謝の意を込めここから大黒様の尾根として「だいこくのお」と呼ぶようになったそうな。

大黒様がどこから出てきたのかイマイチ分かりませんが、実際にこの先緩やかな坂道となったため島鉄も大黒様に感謝しました。

サンキュー大黒!


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あんまがえし

この付近は坂が緩やかで平坦なため、按摩さん(現代風に言えば整体師でしょうか、近世までは盲目・弱視の方が按摩を生業にしていました)が御嶽神社の境内に着いたと思って、参拝して引き返してしまったという逸話からこんな名前がついたそう。

 

……いくらなんでも狭すぎないか、御嶽神社

こういう逸話がどのように定着したのか気になるところです。口裂け女の噂研究みたいな。さすがに都市伝説と違って文献として残ってはいないだろうなぁ。


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しばらく登っていると、唐突に集落が現れます。

うわっ! 山の上に人が住んでいる!!

分かっていてもテンションが上がりますね。

宿坊や講の石碑が立ち並ぶ光景が広がっています。

市史編さんこぼれ話No.21 「御嶽講と講碑、そして愛犬祈願」|東京都小平市公式ホームページ

ふーむ、武蔵御嶽神社の講は雨乞祈願だったのか。

石碑は戦後のものがほとんどですが、中には江戸時代のものも。


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宿坊もリニューアルしたところと、古くからの茅葺きなところまで様々です。

絶景かな。遠くに武蔵野とビル群が見えます。

青の住居表示板を見ると、ここが集落なのだと強く感じられて不思議な気分になります。


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小さな診療所もあります。


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わっ、すごい人!

参道には茶屋が土産物屋が立ち並んでいて大勢の人がいます。登山道と打って変わって不思議な気分。


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水飴や犬用の鹿骨、玉こんにゃくと色んなものを売っているお茶屋さんを発見。


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鹿肉ローストが売っていて珍しかったので購入。

脂質の少ない滋味あふれる美味しさ。

古狸山、という店名がユーモラスで素敵です。

軒下にある明治スカットの瓶も歴史を感じられてすき。

www.softdrinks.org

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ようやく武蔵御嶽神社の大鳥居に着きました。

Twitterでも触れたのですが、疱瘡社(天然痘を流行らせる悪神を祀っている)はこの大鳥居より手前にあります。

https://x.com/pentaro1129/status/1919694402080928050?s=19

境内のなかに疱瘡を流行らせないために大鳥居の外で祀られているんですね。

 

ずんずん歩きます。


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あっ! 大菩薩峠の石碑だ!

www.aozora.gr.jp大菩薩峠は戦前の新聞小説で、幕末を舞台にニヒルな剣士机龍之介が主人公として出てくるのですが、殺人を厭わないので今風に言うとダークヒーロー。そんな机龍之介が旅をしながら決闘する……そんな内容です。小説冒頭で剣道試合の舞台として御岳神社が出てくるから石碑があるのですね。

といっても島鉄は若くして亡くなった雷さまこと名優市川雷蔵演じる映画(大映版1960-1961)しか知らないのですが……。

 

勝手ながら小説の名前の通り山梨県大菩薩峠しか頭になかったので、まさか東京で大菩薩峠の石碑に出会うとは思わず、1人嬉しくなった島鉄でした。

 

この他にも各所に御嶽講の石碑があって面白いです。


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練馬区に戦前の麹町区(今は千代田区ですね)、横浜の港北区など武蔵国一円(埼玉県、東京都、神奈川県東部)から御岳山に詣でた石碑が建っています。 

【御嶽講】

四国だと八十八ヶ所お大師様の御札、富士講伊勢参りなんかも有名ですが、関東(武蔵)では御嶽講が根付いていたわけです。東京では、たまーに御嶽神社の祭神おいぬさま(大口真神命)の札を貼っている家を見ることがあります。

京都大阪で鍾馗様を屋根に飾っているのと同様、この家は古くからの地元民なのだなぁなんて思えるので出会うと個人的には少し嬉しいですね。

 

閑話休題

拝殿まで着きました。

宝物殿は残念ながら16時までとゆーことで入れず。

こんなに澤乃井(東京都青梅にある地場の酒蔵です)の酒樽が積まれているのは初めてかも。


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愛馬三日月を担いで崖を降りるとゆー伝説(源平合戦鵯越の逆落し)の残る畠山重忠像が勇壮な雰囲気を醸し出しています。

東武者の誉れとも言うべき人物の像を見て、ここ御嶽神社が武蔵一円で信仰された霊山なのだ、と感じますね。


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拝殿の狛犬は……なんかスタイリッシュ?!

ニホンオオカミ風です。

musashimitakejinja.jpお札で描かれているのとそっくり!

この狛犬は1985(昭和60)年製なのでそれほど古くはありませんが、御嶽神社のイメージにはぴったりかもしれません。


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さらに奥へ進むと……。

あった!

おいぬ様、大口真神命を祀っている神社です。

本殿を取り囲むように社殿があるのは出雲大社を思い出させます。

my-butsu.hatenablog.com


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愛犬……はいませんが、すべての動物の健康を祈願しました。

さらに裏手に回ると奥宮遙拝所があります。

奥宮、と言っても何か建物があるわけではありません。f:id:haniwakai:20250531235949j:image

ここからは遥か向こうに三角の美しい山容……奥ノ院峰が見えます。

元々の御嶽信仰とはこの美しい山に畏敬の念を抱き祈るものだったのでは……と思わされますね。

体力に余裕のある方は行ってみてもいいかもしれません。

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美しい……。

musashimitakejinja.jp

一通り参拝を済ませ、長蛇の列となっているケーブルカーに乗り込みあっという間に山を降りました。

ちなみにケーブルカー乗り場までの道から見える木々にはムササビの巣箱が用意されているので見つけるのもまた一興です。


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いやぁ、東京の西側にはまだまだ知らない場所がいっぱいあるなぁ。

東京には自然がない、と思っている皆さん!

たまには多摩へ足を伸ばしてみてはいかがですか!!

 

……最近雨続きで寒いですね。

ではでは。

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