こんばんは。

就職活動を始めた専門学校生です。

先日、スタジオの合同説明会へ参加したのですがかなり厳しいことを言われました。

あと、最近行ったセミナーでエンジニアのかたが発言されていたことにもちょっと驚いてしまい、どう考えたらいいのか戸惑っています。

もしよろしければ、なにかヒントをいただけると幸いです。

まず、合同説明会での一コマです。

スタジオの方が、「世間ではホワイト化していく風潮があるかもしれませんが、うちは厳しいので覚悟してきてください。仕事が24時まで続くのはよくあることですし、休みもあまりないかもしれません…といったことを言われました。

これは業界全体的にそうなのだろうと知っていましたが、いざ言われるとなかなか厳しいなと思ってしまいました。今後、スタジオなど制作の現場がホワイト化していくことはないのでしょうか。

例えばアメリカは労働組合(ユニオン)があり、勤務時間が厳格に決められていると聞いたことがあります。なぜ日本はそうならないのでしょうか。

そう思う理由として、学校の先輩がスタジオに就職したものの、激務で鬱になり辞めてしまった話を聞いたことも関係しています。わたしも就職活動を頑張りたいですが、仮に内定をもらえたとして、体を壊して病んでまで仕事をしたいとは思いません。こんなわたしはエンジニアには向いていないのでしょうか。

米津さんはアシスタント時代をどう乗り越えたのですか。

次に、セミナーで40代のエンジニアのかたが発言された内容です。

「最近のアシスタントは質の低下が止まらない」

これを聞いて、どうしたらいいのかわからなくなってしまいました。

そんなに今の世代は仕事ができないのですか?

なぜ、そんなに変わってしまったのでしょうか。

そんな目を向けられながら仕事をするのかと思うと、どうしてスタジオエンジニアを目指せるのかわかりません。

その発言をされたエンジニアさんは、アシスタント時代が8年、年間350日勤務で月に400時間ほど働いていたそうです。

一般業種と比べることではないのかもしれませんが、過労死ラインを完全に越えています。

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こんにちは!

とても良い質問をありがとうございます。

あなたの率直な思いが伝わってきます。

うーん、このメッセージいろいろ考えさせられました。

順を追って、少しでもヒントになればと思いお返事しますね。

①説明会での件

実は、以前ほど深夜まで続く案件は減ってきています。

 • そもそも深夜稼働の必要な案件自体が減少傾向

 • スタジオ側もスパルタ体質を見直し、働きやすさを意識

その上でその説明会のスタジオの方が言ったことも現実だと思います。

たとえばそのホワイトを実現するために必要なこと。

 ・昼夜2交代制にする?

 ・深夜に及ぶ作業は断る?

 ・または追加料金の金額を上げる?

 ・箱数に対して十分なスタッフを抱えておく?

まぁどれも経済的に無理、というのが現実でしょう。

あらかじめそのように宣言するスタジオには誠実さも感じます。

ない袖は振れないのです。

②アメリカのユニオン制度との比較

確かにアメリカには労働組合が存在し、一部では最小保証や超過料金が制度化されています。

ただし:

• 対象は一部の業界(映画スコア収録や放送など)

• 個人の自由度や働き方にも制約がある

• 万能ではなく、メリットとデメリット両方がある

などの現実があります。

ちょっとユニオン幻想を持っていらっしゃるように感じますね。

とはいえ日本でも頑張って、

超過労働はともかく、minimum call(1日の最小稼働保証)は設定できるくらいの組合ができてほしい気もしますね。

でもまぁ現実的にはそういう動きは感じません。

③セミナーでのエンジニアの発言

うーん、そんなこと言わなくてもいいじゃない。

と、まぁ横から聞いてる身としては思いますけど、

そう言いたくなる人の気持ちわからんでもないけど……

「最近のアシスタントは~」という発言は、世代間ギャップから来るものだと思います。

私は「最近の世代が質が低い」とは感じません。もちろん得意・不得意は人それぞれです。

• 以前は「Aというルートしかなかった」が故に、その道を進む人に強いリスペクトを持つ

• 今は「A以外にもBやCの道がある」

• Aしか知らない世代からすると「なぜそっちを選ぶ?」という違和感が生まれる

昔と同じことが出来る人は減った気がしますが、

代わりに「えーそんなのできるのすご!」と思うことも多いです。

関係ない話ですけど、こういう時に具体的な数字を言うのってよくないんだなあ

と気付かされました。

「350日勤務で〜」

って言われると、細かく憶えててダサ。いろんなとこで言ってるんだろうなそれ。

って思ってちょっと残念な印象。

「メジャー案件100曲以上!」とかと一緒ですね。

数えてることがダサいっていう。

これは勉強になりました。気をつけよう。

さて、なにかヒントを、

私のアシスタント経験を踏まえて、ですね。

まずですね、どうなりたいかっていうのをもう一度考えてもらいたいですね。

エンジニアといってもかなりのレイヤーがあります。

(私は職業や動く金額で貴賤は決まらないと思っていますマジで)

踏まえてすごく資本主義的に残酷に分けますと

  1. 記名性があり、その人のサウンドが求められ、スケジュールが取り合いになるような売れっ子エンジニア

  2. 1ほどではないが、求められ、生活を送るだけの収入を得られるエンジニア

  3. 記名性の必要のない、音の処理を行い、数をこなすことが収入につながってゆくエンジニア

といった感じ。

(これとは別に「音楽的に如何か」というレイヤーもあると思いますが一旦割愛します)

そして、質問者さんが35歳とかになったときにどのポジションになっていたいか。

によって働く場所を検討するべきな気がします。

1を目指す、せめて2になりたい、

であるならそのメンタリティだとかなり厳しいので、

諦めた方がいい気がします。

同じ会社の先輩とかからの評価を恐れているようでは、

その先の評価の世界はもっと辛いものになります。

結局クライアントはもっと厳しい目で評価をしてきますし、

それはあなたの生活水準に直結します。

ちなみに、私が知っているトップクラスのミキサーさんたちは、例外なく努力家です。

実はアメリカでも同じで、上へ登っていく人たちは誰もが時間外も働いています。

そして、彼らには“他責”という考えがありません。

「誰かに言われたから」ではなく、「自分の基準で、ここまでやる」

私自身、アシスタント時代は大変でしたが、

それも自分が進んで選んだ道だったから、苦労とは感じませんでした。

「エンジニアになりたい」という思いがあったから、

やれる限りやる、それだけでした。

その苦労も、積み重ねたらエンジニアになれるスタンプラリーというわけではないんです。

自分で選んで、持ってたら良さそうな経験、スキルを得て、

その上で戦って勝っていくっていう世界です。

たくさん揃えてても負ける事もあります。

全部自分の責任です。

ですので質問者さんは3でいける職種がある職場を選ぶべきな気がします。

ぶっちゃけ日本の音楽スタジオでは3を受け入れられる体力があるところはほぼありません!

2を抱え続けられるスタジオも実はそんなにないと思います。

スターエンジニアを抱える事がスタジオの死活問題に繋がってもいるんです。

変な言い方ですけど、スターになる予定のない人を育てるコストを払い続けるのは難しい、

というのは多くの音楽スタジオで考えられている事だと思います。

しかし、

私から「こういうところは3でもやっていけるでしょ」っていうのは失礼に当たる気もするので、

明言できないのですが、

そういう職場は必ずあります。

そういう所で音に関わる仕事をしながら、一定の収入を得て生活する。

というのもいいと思います。

そもそも自分の生活や身体を大事に考えるっていうのは何も悪い事ではないです。

私の「エンジニアになりたい」とあなたの「エンジニアになりたい」は違ったかもしれないけど、

どっちが優劣っていうのは本当にありません。

専門学校で勉強をしたかもしれないけど、

「どうやら自分が思っていたことと違ったようだ」

と方向転換することを厭わないでほしいです。

• エンジニアになれなくても、それは不幸ではありません

• 人と比べず、自分の価値観に合う働き方を探すのはむしろ良いこと

• 「スタジオで経験→合わなければ辞める」を選ぶ勇気も全然ありです

とにかくですね、自由なんです。

「選択の自由」が自分にあるっていうことを忘れずに、

健やかに堂々と生きていってください。

応援してます!

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米津裕二郎さんの過去の回答
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