
前回、商店街からの帰り道。
勝男の「やり直そう」という言葉に、鮎美も同意し、二人はもう一度向き合うことを選ぶ。鮎美は勝男の家に通いながら再就職の準備を進め、一緒に食事をする日常が戻ってくる。
しかし、鮎美の再就職の面接がうまくいかなかった日の夕食で、勝男はこう言う。
「無理しなくていいからね。生活費は俺が稼ぐ。鮎美は心配いらない。支えたい、全部」その言葉に、鮎美は少し戸惑った表情を見せる。
もうこの頃には、鮎美は“守られる側”ではなく、自立することに目を向け始めていたのかもしれない。
勝男は「何でも言って」「手伝うから」と言うけれど、
自分の仕事の失敗や、柳沢くんとの関係がまだうまくいっていないことは打ち明けない。順調だと言い張るものの、鮎美にはすっかり見抜かれていた。
そんな中、鮎美は「自分の店をやりたい」と思い立つ。
原価計算をしていると、勝男は「俺、そういうの得意だから」と手を出そうとするが、
鮎美は「大丈夫」ときっぱり遮る。
「困ってるのかなと思って」と言う勝男に、即座に返る「困ってない」。
ここに、二人のズレがはっきりと表れていた。
鮎美は、勝男にも弱さや困っていることを打ち明けてほしかったし、
困っていないのに「俺が助ける」という態度に、
対等でいたい気持ちが追いつかなくなっていたのだと思う。
再就職が決まった夜、鮎美は勝男の家を訪れ、二人で酒を飲む。
別れていた間のこと、そして今の気持ちを語り合う時間。
勝男はこれまでの言動を詫び、鮎美は「自分の足で立てるようになりたい。今の自分だからできることをしたい」と正直な思いを伝える。
勝男は、助けられてきた分、今度は自分が支えたいと思っていただけだった。
けれどそれが、無意識の押し付けとなり、鮎美の「言いたいこと」や「やりたいこと」にふたをしていたことに気づく。
鮎美が一人立ちするなら、そばにいない方がいい。
「今の鮎美が一番すてき」そう思いながら、勝男はこの関係を終わらせる決断をする。
鮎美も、「勝男さんの、ああいうかわいくて優しいところが好きだった」と伝えつつ、別れを受け入れる。
やがて鮎美は、念願だった店をオープンする。
勝男は店に入ることはせず、外から「おめでとう」とつぶやく。
これまで何度も偶然出会ってきた二人だが、最後は商店街で近くを歩きながらも、ばったり会うことはなく、それぞれ別の道へと歩いていく。
そっか、二人はゴールインしなかったのか。
少し寂しさは残るけれど、一緒になることだけがハッピーエンドじゃない。
それぞれが前を向いて、自分の人生を生きていく。
そんな結末も、確かにハッピーエンドだったと思う。