マネジャーの休日余暇(はてなブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介しています。 すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

白河・里山山間部の田植作業


ウエゾメにオカシラ付の魚を供えると云っていたSさん。

前月の21日に立ち寄ったときにそう話してくれた家の農耕行事。

さまざま地域でウエゾメの作法を取材したことはあるが、白河で話す婦人の供え方は初めて知る作法。

たぶんに珍しい。

もしかとすれば、S家独自の作法であるかも知れない。

果たしてウエゾメする日はいつなのか。

昨年は5月15日の日曜にしたと話していた。

日曜日だけに固定の日ではなさそうだ。

いつごろにされるのか電話で尋ねるよりは在宅に出向く方がいいと思って車を走らせる。

田んぼはどこにあるか、だいたいの位置は聞いていた。

急坂を登っていけば秉田神社に着く。

その辺りだと聞いている。

通りがかれば人がいる。

今まさに田植えをしている姿はS婦人だ。

大慌てで田植え作業をしていたSさん夫婦に頭を下げる。

仕事が早く終わったから予定していた日より急遽することにしたと話すS家の田植え。

ばたばたと作業が始まったのでお供えの準備はできていなかった。

本来であれば田植え前にするウエゾメ(植え初め)作法は、オカシラ付のサバ(若しくはアジ)御供と2把に括ったナエサン(苗)をお盆に盛って田植えを最初にする場所に供える。

これをウエゾメ(植え初め)と呼ぶ。

ウエゾメにはカヤ挿しもある。

何本か聞いていないが、ウエゾメの場の田んぼにカヤを挿す。

ウエジマイにもカヤを挿すと聞いていたが、一日では終わらない。

ウエゾメの御供がなければウエジマイもしないようだ。

これらの作法は翌年以降の取材廻し。

作法は諦めてS家の田植え作業を観察させていただく。

作業が始まった時間は判らないが、この場の日陰に弁当を広げて食事をしていたようだ。

着いた時間は午後2時。



一枚、二枚の田は田植えを終えて奥さんはサシナエをしていた。



上の田では旦那さんが田植え機に乗って運転していた。

行ったり、戻ったりの機械植え。



どこの田はどの場からはじめていくか。

無駄な空間をださないように計画的に進める田植え機の操作。



育苗した苗は田植え機の進むところに予め置いておく。

作業手順に沿って補充する量を算定する。

上手く運べるように頭に中に描いた図面に沿って計算する。

昨年に背景した萱森のNさんはペーパ上に図面を起こしていたことを思いだす。

平坦であれば田んぼの区画割は真四角。

長方形などの四方形。

山間では曲がりくねった田んぼ。

どうしても隙間というか、空間ができる。

それを埋める作業はいわゆる設計と同じである。

こうした苦労を知らずに山間田園に織りなす農作業の景観を撮る人は多い。

田植え作業の邪魔にならないように立ち位置を移動してS家の姿を撮らせてもらう。

光がさし込む田んぼ。

そこを作業するご夫婦。

旦那は機械。

奥さんは人力作業のサシナエ。

美しい田園を取り込みながら何枚も撮っていく。

場合によっては鹿除けの柵も入れてみる。

その辺りで撮っていたら野の鳥がいた。

黄色い嘴が特徴の見慣れた野鳥はカモガモ。

雑草を食べてくれるカモガモを田んぼに放鳥。

稲が育っていく空間を動き回るカモガモを見ることもある。

そこは飼っているカモガモ。

そういう農法もあるが、白河にいたカモガモはどうやら番い。

雌はじっと座っていた。

向こうを見ているのは雄。

何を狙っているのか聞いても答えてくれないカルガモ



そっと近寄ってシャッターを押す。

何度も何度も押しながら近づいていく。

奥さんがサシナエされている情景を見ていたカルガモ

田んぼにいる虫を狙っているのだろうか。

一歩、一歩・・・バサバサと羽根を羽ばたかせて飛んでいった。

方向転換する田植え機の動き。

なだらかな坂ではなく、ある程度の角度をもった場で方向転換する巧みな運転。

田んぼは狭いがある程度までの幅があれば四条植え機械の2往復で済む。

とはいってもキッチリとした幅ではない。

あるところでは膨らみがあるが、狭いところではそれがない。

膨らみのある部分では何度も行ったり来たりの機械操作。

四条植え機械の動きを見ていると機械そのものに目があるように思ってしまう。

機械装置の関係でどうしても端っこに空白ができてしまうところがある。

機械が入る、出る位置のところはどうしても大きな空白ができてしまう。

田んぼが狭いところは田植え機を交替する。



出番は二条植え手押し式田植え機に譲った。

機種はヤンマー製のAP200。

四条植えは萱森で使われていた同型のヤンマー製のPeS-1。

緑と白色のデザインが水田に映える。



AP200は乗用でなく手押し式。

赤色のフロートが目立つ。

操作するご主人の足跡と田植え機の車輪跡は規則正しい。

水田の模様はこうしてみると面白い様相をみせる。

水田は泥田。一歩、一歩を手押しする二条植えに足は沈む。

沈むから足は負担になって速度は落ちる。

そう思うが、見ている限りはそんなこともない。

田植え機の速度は思った以上に早いのである。

一定速度で動く二条植えに足がついていく、というような感じ。

操作する人の体力によっては負担を感じる人もいるだろう。



機械のことはわからないが、無段でなくとも変速がついていたら、操作する人の体力に応じた速度で負担をかけないのでは、と思った。

後半というか、小川に近い田んぼに移った二条植え。

畦にレンゲの花が咲いていた。



その姿も撮っていた白河もそろそろ離れる時間を迎えた。

ありがとうと伝えて帰路につく。

(H28. 5.13 EOS40D撮影)