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【60周年】 『ウルトラQ』伝説の全28話



ウルトラQ』伝説の全28話



 1966年1月2日に放送を開始した日本初の怪獣特撮番組『ウルトラQ』。

 この番組の誕生と成功なくして、60年の長きに渡って続いている国民的作品“ウルトラシリーズ”は生まれませんでした。

 今日で「放送開始60周年」を迎えたということで、『総天然色ウルトラQ』を参考に、全28話を振り返ります――。



※番組の生みの親の一人である元TBSプロデューサー・栫井巍氏が2024年8月29日6時30分に永眠されました。ご冥福をお祈りいたします。


目次

第1話「ゴメスを倒せ!」

第2話「五郎とゴロー」

第3話「宇宙からの贈りもの」

第4話「マンモスフラワー」

第5話「ペギラが来た!」

第6話「育てよ!カメ」

第7話「SOS富士山」

第8話「甘い蜜の恐怖」

第9話「クモ男爵」

第10話「地底超特急西へ」

第11話「バルンガ」

第12話「鳥を見た」

第13話「ガラダマ」

第14話「東京氷河期」

第15話「カネゴンの繭」

第16話「ガラモンの逆襲」

第17話「1/8計画」

第18話「虹の卵」

第19話「2020年の挑戦」

第20話「海底原人ラゴン」

第21話「宇宙指令M774」

第22話「変身」

第23話「南海の怒り」

第24話「ゴーガの像」

第25話「悪魔ッ子」

第26話「燃えろ栄光」

第27話「206便消滅す」

第28話「あけてくれ!」

編集後記



 第1話「ゴメスを倒せ!



 東海弾丸道路のトンネル工事中に洞窟に突き当たり、「怪物が現れた」と報告があった。

 毎日新報にもその一報がもたらされ、カメラマン兼記者の江戸川由利子は星川航空のセスナで現場へ急行した。

 早速、洞窟の調査を行う由利子と星川航空パイロットの万城目淳。そんな中、金峰山の裏山の洞窟からゴメスとリトラという生物が描かれた古文書が見つかったーー。





【制作裏話】

 ゴメスは『モスラ対ゴジラ』のゴジラに角と胴回りのウロコ、甲羅、牙を付けている。(演者は初代ゴジラスーツアクター中島春雄氏)

 リトラは『三大怪獣 地球最後の決戦』の操演用ラドンの改造。体と羽の部分に上から色々貼り付けて、首から上は動かせるように新しく作り直している。

 円谷英二監督は、羽ばたきを特撮で表現するのが難しいため「鳥は出すな」と言っていたとか。

 ゴメスが現れる工事現場は、八王子の先で中央高速のトンネル工事をしている所が実際にあり、そこで撮影された。

 星川航空でのシーンは、調布の飛行場で撮影が行われていた。



 第2話「五郎とゴロー」



 伊豆天城山ロープウェイの走行中に巨大な猿が現れ、観光客はパニック状態になった。

 そんな中、2カ月間無人だった近隣の野猿観測研究所に山猿が押し入り、保管されていた青葉くるみが空っぽになっていた。

 伊豆天城山に現れた巨猿は、青葉くるみを食べて甲状腺ホルモンのバランスが崩れ、異常な発育により巨大化したものだった――。





【制作裏話】

 ゴローは『キングコング対ゴジラ』で使われたキングコングの怪獣スーツを改造して使用。

 この回では、牛乳配達員役で『ウルトラマン』でイデ隊員役を務めることになる二瓶正也氏が出演している。

 猿を巨大化させたのはホルモン剤「ヘリブロン結晶G」という設定だったが、スポンサーが武田薬品に決まり、薬品ではマズイと「青葉くるみ」に変更された。



 第3話「宇宙からの贈りもの」



 三原山の噴火風景を記事にするため、由利子は星川航空のセスナで海上を飛行していた。

 すると、正体不明の物体が海上に落下。海上保安庁に調査を依頼したところ、半年前に火星の表面撮影を目的に打ち上げた宇宙ロケットのカプセルだった。

 カプセルの中にはウズラの卵のような金色の物体が収められており、それは火星怪獣ナメゴンの卵だった――。





【制作裏話】

 この回では、本編と特撮との合成部分がうまくいかず、何度も五日市のロケ地で撮り直しを行ったため、スタッフやキャストからブーイングが起きたとか。

 TBSの番組プロデューサーだった栫井巍(かこい・たかし)氏は、試写でこの「空からの贈りもの」を観て、ウルトラQの怪獣路線への変更を決断している。

 なお、試写で子供受けが良かったため、この回をウルトラQの第1回に放送する予定だったが、円谷一監督の要望で「ゴメスを倒せ!」に変更になったという。



 第4話「マンモスフラワー」



 早朝、突然歩道が盛り上がり、ビルが激しく揺れ始めた。巡回していた警備員は、あまりの異常な光景に気を失ってしまう。

 翌朝、星川航空の万城目とパイロット助手の戸川一平は、同ビルにある広告社に空から撒く広告ビラを取りに来たところ、事務所は滅茶苦茶になっていた。

 その後、皇居の堀に巨大な根のようなものが浮かび、付近のビルで根が人を襲う事件が起こった。それは、現代に蘇った古代植物ジュランだった――。





【制作裏話】

 『ウルトラQ』は、1964年9月27日に本作の皇居のお堀のシーンからクランクインした。

 ヒロイン役の桜井浩子氏は寝坊してしまい、集合時間に遅刻してしまったが、大らかな現場だったため、誰もそれを咎めずホッとしたという。

 エキストラに、ウルトラマンスーツアクターを務めた古谷敏氏の姿も見える。



 第5話「ペギラが来た!」



 特別取材班として南極越冬隊の船に乗っていた万城目。しかし、船が黒煙に覆われてエンジンが停止し、無線もレーダーも故障した。

 無事に南極の基地に到着した万城目は、前回の越冬隊で行方不明になった野村隊員の失踪原因と船の事故原因究明を始める。

 野村隊員の手帳の最後のページには「午前3時 また聞いた ペギラ」と書かれてあったーー。





【制作裏話】

 本作は制作第14話で、この回から怪獣デザインの成田亨氏と怪獣造形の高山良策氏がスタッフに加わった。

 ペギラのデザインは成田氏が井上泰幸氏のデザインをリライトしたものだが、瞼は高山氏によって付けられた。

 野長瀬三摩地監督は「自分なりにゴジラを撮りたい」という姿勢で撮影に臨み、全カットを自ら絵コンテ化し、監修の円谷英二氏が自分で特撮カットを追加撮影したという。



 第6話「育てよ!カメ」



 授業中にも関わらず、亀の世話を続ける太郎少年。彼によると、その亀は99センチに成長すると竜宮城に連れていってくれるらしい。

 先生に見つかり、屋上に立たされた太郎少年は銀行強盗をしているギャングの姿を目撃。職員室に駆け込み、先生に報告するが信じてくれない。

 放課後、亀と一緒に校内を歩き回っていたところ、理科室に隠れていたギャングのズボンに亀が噛み付いたことで、ギャングと太郎少年の珍道中が始まる――。





【制作裏話】

 本作でも、『ウルトラマン』のイデ隊員役の二瓶正也氏が銀行ギャング役を務めている。

 ちなみに、オープニングクレジットに流れる文字は、監督の中川晴之助の姪に書いてもらったものだという。



 第7話「SOS富士山」



 富士山周辺の湖の水温が急に高くなり、洞窟奥の万年氷が溶けかかっており、富士山の噴火の可能性があると考えた由利子は、火山研究所に取材に行くことになった。

 取材を進めるうちに、子供の頃に樹海に迷い込み、野生児となったタケルという少年がいることがわかり、富士山噴火よりそちらのほうがネタになると考え始める由利子。

 その時、富士山の麓の吉野のお池から熱湯とともに大岩石が吹き上がり、国道に落ちた。それは、岩石怪獣ゴルゴスだった――。





【制作裏話】

 白糸の滝でロケが行われており、滝の近くの地面が泥濘んでいて桜井氏は自前の革靴が泥だらけになり、履けなくなったという。

 ゴルゴスの鳴き声はゴジラのものが使われており、スーツアクター中島春雄氏。

 なお、『ウルトラマン』の主題歌に出てくる謎の怪獣は、影絵を作った飯島定雄氏によるとゴルゴスで、「イラストっぽく」という要望だったため、わざとギザギザに描いて全体的に切り抜きの様なデザインにしたとか。






アントラー

 『ウルトラマン』第7話「

 第8話「甘い蜜の恐怖」



 ある嵐の夜、伊佐山農事試験場の温室に侵入者があり、ハニーゼリオンを培養していた地蜂の巣が何者かに荒らされた。

 時を同じくして、山が突然盛り上がり沿線の線路を走っていた機関車が脱線事故を起こした。

 一平のセスナの操縦訓練で上空を飛行していた万城目は、調査のため一の谷博士を連れて試験場を訪れた所、突然畑が盛り上がり巨大モグラが姿を現した――。





【制作裏話】

 温室のシーンは、美セン(東宝ビルト)と向ヶ丘遊園のばら苑で撮影された。

 また、農事試験場の研究員・木村を演じる黒部進は、『ウルトラマン』で主人公のハヤタ隊員を演じることになる。

 洞窟ロケの場面で、梶田興治監督が「急に怪獣を出せっていうから、あんなモグラの怪物を出さなきゃならなくなった」とボヤいていたとか。

 ちなみに、もぐら怪獣モングラーの声はライオンの声を加工したもの。



 第9話「クモ男爵」



 付近を航行中の船舶から「灯台の灯に異常が見える」との連絡が入ったため、階上の灯台室に向かった灯台の職員が、巨大な蜘蛛に襲われた。

 ちょうどその頃、パーティ帰りの万城目、一平、由利子らが付近の岬を車で走行していたが、夜も遅く「このままじゃ野宿になる」と一平たちは近道を探すことに。

 しかし、一平ともう一人の仲間が底なし沼に落ち、びしょ濡れに。助けを求めるため、沼の対岸に見つけた古びた洋館に向かう一行だったが――。





【制作裏話】

 タランチュラは井上泰幸氏がデザインして東宝の特撮美術課で造形されたが、クモの目が8つあることを知らず、2つしか作られていない。

 タランチュラの脚はシュロで作られており、桜井氏が触ったら硬かったという。

 洋館のセットも井上 氏によって、目黒の辺りにあった建物をモデルにデザインされ、東宝撮影所のステージに造られた。



 第10話「地底超特急西へ」



 東京-大阪-北九州をわずか3時間で結ぶ超特急「いなずま号」の公開試運転が報道関係者を招待して行われることになった。

 その頃、人工生命M1号が入ったトランクの大阪の研究所への輸送を頼まれた万城目だったが、自分のトランクと間違えた一平がそれを持っていなずま号に乗り込んでしまう。

 人工生命を珍しがった新聞記者のカメラのフラッシュのエネルギーによって急激に成長したM1号は運転席をのっとり、いなずま号は暴走を始める――。





【制作裏話】

 新東京駅の構内は、有楽町の東京交通会館と東京駅八重洲南口で行われた。

 「いなづま1号」の運転指令室の責任者・西岡主任を演じる石川進氏は、『ウルトラマン』でイデ隊員を務める予定だったが、途中で撮影に来なくなり、二瓶氏が代役となった。

 また、この作品には、円谷プロ企画文芸室長の金城哲夫氏が車掌役で、脚本家の上原正三氏が記者役(由利子と西岡主任の間にいる人物)で出演している。

 なお、M1号の「ワタシカモメ」という台詞は、初の女性宇宙飛行士である旧ソ連のテレシコワが宇宙から発信した言葉で、飯島敏宏監督がその場の思い付きで付け加えた。

 ちなみに、M1号というのは、人工生命を意味するMAN-MADE-1号の略。



 第11話「バルンガ」



 土星探検を終え、大気圏突入を前にしたサタン1号が、宇宙飛行士の「風船だ!」という叫び声とともに突然の燃料切れで海に墜落した。

 取材のため、事故現場上空を飛んでいた万城目のセスナも突然の燃料切れが起き、調べてみるとラジエーターの隙間に風船のような生命体が浮いていた。

 箱に入れて車に乗せて走っていると、車のガソリンが空っぽになると同時に車いっぱいに膨らみ始め、ついには車を破壊して上空に漂い始めた――。





【制作裏話】

 バルンガの造形は佐々木明氏。台風が東京の街を襲うシーンは、東宝映画『妖星ゴラス』の映像が引用されている。



 第12話「鳥を見た」



 深夜の動物園で動物たちが突然騒ぎ出し、飼育員が何者かに襲われた。翌朝、動物の檻が破壊されており、倒れていた飼育員は守衛に「鳥を見た」と言って力尽きた。

 翌朝、とある漁村に幽霊船が現れ、調査のため乗り込んだ万城目一行は、航海日誌を見つけた。船から降りると同時にその船は沈没し、謎の小鳥が現れた。

 その公開日誌は998年前の書き込みで終わっており、そこには「鳥を見た」と書かれていた――。





【制作裏話】

 三郎役の津沢彰秀は、『ウルトラマン』でホシノ少年役を務めることになる。

 精巧な港町のセットが組まれ、ラルゲユウスによる崩壊シーンが撮影されたが、その出来に英二氏は満足せずNGとなった。

 変わりに東宝映画『空の大怪獣ラドン』の福岡の街の破壊シーンのフィルムが流用されたという。



 第13話「ガラダマ」



 ある日、少年たちが弓が谷に落下してきた奇妙な岩石のような物体を拾って学校に持ってきた。

 理科教師でも正体がわからず、大学の物理学教室で分析したところ、宇宙から飛来したチルソナイトという鉱石で、極超短波を発信していた。

 鉱石が落下した地点を調査しに現地を訪れた一の谷博士一行だったが、突然空からガラダマが落下、中から隕石怪獣ガラモンが現れたーー。





【制作裏話】

 ガラモンは当初、成人男性サイズでデザインされていた。

 しかし、ステージの狭さと高さの低いホリゾントが特徴の美センで、迫力ある映像を撮るためには、ミニチュアセットを大きく見せる必要があった。

 そこで、低身長俳優の高橋実氏を起用して、三頭身に変更することになったという。



 第14話「東京氷河期」



 真夏のある日、着陸中の飛行機が突然爆発した。そして、黒煙が空を走り、飛行場が全面的に凍結した。

 関デスクに取材を任された由利子は、「ペギラが原因ではないか」と伝えるが、南極での原子炉爆発による氷山の南下が原因と一蹴される。

 東京の気温がどんどん下がっていく中、毎日新報で父親が行方不明になった子供の取材中、黒煙とともにペギラが現れたーー。



【制作裏話】
 
 氷に閉ざされた東京の街をミニチュアセットで作り上げた。360度回転するカメラの台座も、車が空中を飛ぶ社内のシーンで効果を上げた。

 カット割りと合成の大胆さは、野長瀬監督の絵コンテ設計の成果だという。



 第15話「カネゴンの繭」



 子供たちが開いていたガラクタバザーにやってきたお金な大好きなガキ大将・金男は、振るとお金の音がする繭を見つけた。

 「飼ってると中のお金が増えるかもしれない」と繭を家に持ち帰った金男。お金好きの金男に呆れて「お金亡者のカネゴンになっちゃうよ」と両親。

 部屋に戻ると繭が巨大化しており、中に入っていた大量のお金をとろうとして繭に取り込まれた金男は、翌朝目覚めるとカネゴンの姿になっていた――。





【制作裏話】

 加根田家の室内は、美センのステージに組まれたセットだという。

 この回でも、工事監督の横でブルドーザーを運転する助手役で『ウルトラマン』のイデ隊員役の二瓶正也氏がで出演している。

 カネゴンのデザインの原型は、監督の中川晴之助氏と脚本の山田正弘氏が脚本作りの段階で綿密な打ち合わせをして作り上げていった。

 中川監督がフィルムを使いすぎるため、スタッフたちから“フィルム怪獣ハルゴン”と呼ばれて恐れられていたとか。



 第16話「ガラモンの逆襲」



 天文物理学研究所で厳重に管理されていたガラモンを操る電子頭脳が、謎の人物によって盗まれた。それと同時に、巨大な隕石群が地球へ向かって飛来を始めていた。

 電波監理所で電子頭脳から送信される電波をキャッチした万城目一行だったが、謎の男がトラックをヒッチハイクして榛名に向かっていた。

 そして、関東に特別避難命令が発令される中、午前8時48分、ガラダマが東京に落下した――。





【制作裏話】

 この回のガラモンは、1つしかない怪獣スーツでガラモンが3体いることを表現するために、胸にマークがついている。

 劇中では、2種類の異なる(チルソニア遊星人の)マークをつけているガラモンと、マークがついていないガラモンが登場する。

 なお、東京タワー周辺の街のミニチュアセットは美センではなく、東宝撮影所のステージに組まれており、撮影会も東宝撮影所で行われた。

 ただ、ガラモンがビルを破壊するシーンは美センのBステージで撮影されている。

 なお、電波監視所の花沢主任は、『ウルトラマン』で岩本博士役を務めることになる平田昭彦氏が演じている。

 野長瀬監督は、仲間を見殺しにする宇宙人の非情さを生殖後に役目を終えたオスを食べてしまうメスのカマキリからヒントを得て、セミ人間のイメージを生んだという。

 役者も、中性的な美輪明宏氏に似た役者をわざわざ見つけ出している。なお、セミ人間の頭部はバルタン星人に改造されている。



 第17話「1/8計画」



 万城目たちとのドライブの途中、区役所の入り口に掲げられていた「1/8計画 第3次募集中」という看板が気になった由利子は、中の様子を見に行った。

 話によると、人口対策として人間や街のサイズを1/8にする計画で、Sモデル地区では働く必要がなく、納税の義務も免除され、毎日好きなことをして暮らせるという。

 人の流れに押されてS13地区専用のエレベータに乗ってしまった由利子は、人間縮小機で1/8のサイズにされてしまう――。





【制作裏話】

 光学撮影の中野稔氏が冗談で言った「いつも生物が大きくなるだけじゃないか」という言葉を受けて、金城氏が書き上げた作品。

 この回は、怪獣路線への変更で制作が見送られるはずだったが、栫井氏の「S13地区に現れる二人を怪獣に見立てることも可能」という一言で続行となった。

 劇中の区役所は、世田谷区役所の第一庁舎で撮影されている。

 桜井氏がテスト撮影の時に、石膏でできた電話の受話器を床に落として欠けてしまったが、カメラに映らない箇所だったので事無きを得たという。



 第18話「虹の卵」



 トラックが建設中の産業都市にある原子力発電所に濃縮ウランを輸送中、突然に山肌が崩れ、地底怪獣パゴスが姿を現した。

 その翌日、近くの竹林に、車椅子のお婆ちゃんの好物の筍を取ろうと集まった子供達の集団「たんぽぽ団」の姿があった。

 お婆ちゃんから「ササメ竹の花と虹の卵を見つけると何でも願い事が叶う」と聞いたピー子は、虹の卵を見つけてお婆ちゃんの足を直そうとするが――。





【制作裏話】

 パゴスは、東宝映画の『フランケンシュタイン対地底怪獣』に登場するバラゴンを改造して使用された。

 怪獣のスーツアクターは、中島春雄氏が担当している。



 第19話「2020年の挑戦」



 レーダーが探知した未確認飛行物体に自衛隊のジェット哨戒機が撃墜されたが、天野二等空佐の証言は幕僚たちに信じてもらえない。

 世間では突然人が消える事件が続発しており、由利子も取材中に人の消失を目撃するが、デスクは取り合ってくれない。

 その後、星川航空で鉢合わせた二人に、一平はある博士が書いた「2020年の挑戦」という小説の話を持ち出した――。



【制作裏話】

 ケムール人のスーツアクターは当時、東宝の俳優でのちにウルトラマンになる古谷敏氏。美術の成田亨氏が日本人離れした8頭身の古谷氏の体形を気に入って指名した。

 万城目がケムール人に変身する際に耳が動くのは、佐原健二本人が動かしているという。

 また、ケムール人がパトカーに追いかけられるシーンはスクリーンプロセスといって、映像の前で演技をしたもの。

 “ケムール走り”という独特な走り方は、アメリカの喜劇俳優ジェリー・ルイスの動きを参考にしたとか。当初はローラースケートで走る予定だったが、頭が重すぎて転倒する危険があったので不採用となった。

 ケムール人の声はマタンゴの声が使われており、スーツはバルタン星人に流用された。名前の由来は「煙のように消える宇宙人」から来ている。



 第20話「海底原人ラゴン」



 伊豆地方の海底火山の噴火が爆発した。デスクから取材を命じられた由利子は、万城目と一平とともにヘリで向かった。

 由利子一行が、岩根島に住む日本沈没論者の海洋地質学者の石井博士の元を訪れたところ、噴火した海域で謎の物体を引き揚げた漁師と出会う。

 石井博士によるとその物体は、約2億年前に地球を支配していた海底原人ラゴンの卵だという。その頃、島に謎の怪物が現れ、島民を襲い始めた――。



【制作裏話】

 この回のロケは、三浦半島の一軒家を借りて行われた。

 早朝から夕方まで外のシーンを撮影し、夜になってから一軒家の中での撮影が行われたが、早朝の7時までかかったという。

 さらに、そこから日が沈んでしまって撮れなかったシーンの撮影が始まり、主演の佐原健二氏はクタクタになってしまったとか。

 なお、ラゴンのスーツアクターは、ケムール人に続いて古谷敏氏が担当している。崖の上を歩く際、怪獣スーツの視界が悪くて海に落下する危険があったとか。

 また、演技後、ロケバス戻ったら着替えもタオルも用意されておらず、着替えた服が海水で濡れていた下着の水分を吸ってしまい、寒さでガタガタ震えていたという。



 第21話「宇宙指令M774」



 豪華客船に乗っていた由利子が夜風に当たりに外に出ると、落ちていた人形から、地球への怪獣ボスタング侵入の警告が発せられた。

 由利子の話を信じようとしない万城目と一平だったが、翌日、一平が操縦訓練をしていたセスナが何者かに遠隔操作されて、謎の島に誘導された。

 島の建物内のジュークボックスからは、地球への怪獣ボスタング侵入の警告が再び発せられ、その夜、UFOが地球に降り立ち、海上ではタンカーが爆発炎上した――。





【制作裏話】

 本作は、脚本家・上原正三氏の『ウルトラQ』デビュー作。

 怪獣ボスタングが撮影中、水を吸い込んでどんどん重くなって操演で持ち上がらなくなって苦労したという。

 特撮シーンのほとんどは、東宝撮影所の大プールで撮影されている。



 第22話「変身」



 登山中の一行が雑木林に動物の骨と巨大な人間の足跡を発見した。毎日新報にも一報が入り、雪男班が編成されることになった。

 しかし、由利子の友人のあや子によると、その雪男は自分のフィアンセなのだという。一の谷博士の研究所で事の経緯を話し始めるあや子。

 フィアンセとハイキングに行った際、洞窟で巨蝶モルフォ蝶の毒鱗粉を浴び、喉の渇きを癒すためにモルフォ蝶生息域にあった沼の水を飲んだところ、巨大化しまったのだという――。





【制作裏話】

 巨大化した浩二が木々の間から顔を出すシーンは、美センのオープンセットで撮影されている。

 この回は秋川峡谷でのロケだったが、番組で使用していたオープンカーの運転手が休んでしまったため、急遽主演の佐原氏がロケ地まで運転していくことに。

 しかし、途中で給油している最中に、ロケバスが佐原氏を置いてロケ地に向かってしまい、ロケ場所を知らない佐原氏は大変な思いをしてロケ地に到着したという。

 なお、東京五輪が開幕した1964年10月10日は、この回のロケ中だったため、ラジオで競技を聞いていたとか。



 第23話「南海の怒り」



 夕焼けに染まる太平洋を初航海の雄三が第五太平丸を進めていた時、突然船底に衝撃が走る。それは、船よりも大きい大ダコの襲撃によるものだった。

 この近海では各国の漁船が消息を絶っており、謎の海域にメスを入れるために、毎日新報は万城目たちを派遣することになった。

 しかし、島民は万城目たちに対して敵意をむき出しにして上陸を許そうとしない。その時、大ダコのスダールが現れ、島民の子供を襲い始めた――。





【制作裏話】

 この回は、予算や技術的に撮影は難しいと思われていたが、東宝の『キングコング対ゴジラ』の大ダコのシーンを流用して、わずかの撮り足しで制作された。

 予算が厳しく日帰りでの撮影が要求されていたが、島での撮影が多かったため、野長瀬監督の希望で泊り込みでのロケになったという。

 なお、毎日新報で国連飛行隊が基地を出発したテレビニュースを見るシーンの中央にいるのは、企画文芸室長の金城哲夫氏。



 第24話「ゴーガの像」



 瀬川大使夫妻が国際線の空港に降り立った。その娘のタミは、持っていた像を香港で仲良くなった女性に預けたところ、像を持ち逃げされてしまう。

 その像は、アーブ博物館から盗まれた「ゴーガの像」に似ており、タミはその像を香港の老婆から受け取ったという。

 像と一緒に誘拐されたタミは会館に監禁され、ゴーガの像は密輸集団の手に渡ったが、像の内部に謎の黒い影が映っていた――。





【制作裏話】

 野長瀬監督によると、この作品は『007』的なテンポを目指したという。

 密輸団の部下として、古谷敏氏が出演。アリーン(リャン・ミン)役の田原久子氏は、『ウルトラマン』の「人間標本5・6」にも出演している。



 第25話「悪魔ッ子



 深夜に走行していた車が何かを避けようとしてハンドル操作を誤り、ガードレール下への転落事故を起こした。

 事故現場近くでは東洋大魔術団が公演を行っていた。リリーという子供を使った催眠術によるもので、睡眠の際にも催眠術が使われたいた。

 魔術団が宿にしている建物周辺では子供の幽霊が目撃され、驚いて階段から転落死した警備員や、事故を起こしたトラックからは、子供が好みそうな小物が無くなっていた――。





【制作裏話】

 万城目がリリーを線路から救出するシーンは、国鉄の協力で八高線箱根ヶ崎で撮影された。

 佐原健二氏(万城目役)によると、魔術師役の小杉義男氏は、東宝の養成所で行われていた発声の授業の先生で、ひときわ厳しくて怖い先生だったという。

 そのため、緊張のあまり、撮影中に思わず自分の台詞を忘れそうになることがあったとか。


 

 第26話「燃えろ栄光」



 ダイナマイトジョーは、マスコミに予告したKOラウンド通りに勝利を重ね、日本中の子供達、スポーツファンの夢と希望を担っていた。

 それは、フィリピンで釣り上げた水の中では小さく、空気中では大きくなる深海怪獣ピーター (学名:アリゲトータス) が予言していたものだった。

 しかし、世界チャンピオンをかけた世界選手権を一週間後に控えたある日、ジョーが突然行方不明になった――。





【制作裏話】

 『ウルトラQ』の助監督を務めていた満田かずほ氏は、この回と「宇宙指令M774」で監督デビューを果たした。

 ジョー役の工藤堅太郎氏は、満田監督が助監督時代に「自分が監督デビューしたら必ず呼ぶから」と約束した間柄だったという。

 ホテルとプールのシーンは赤坂プリンスホテル、林の火事のシーンは美センのオープンの南端で撮影された。



 第27話「206便消滅す」



 香港でパイロットの講習を受けた万城目と一平は、超音速旅客機206便で帰国の途に着いていたが、突然上空に現れた気流の逆巻く空間に飲み込まれた。

 万城目たちを飛行場まで迎えに来ていた由利子は206便が事故を起こしたことを知る。しかし、上空で206便の飛行音が聞こえるが、レーダーに機影は見えない。

 その頃、万城目たちを乗せた206便は不思議な雲海の世界に着陸していた――。





【制作裏話】

 怪獣路線への変更のため急遽、四次元怪獣トドラの登場シーンが加えられた。

 怪獣を新造する予算や時間も無かったため、東宝映画『妖星ゴラス』に登場した南極怪獣マグマの着ぐるみにひげを付けるなどして使用された。

 旅客機が気流に飲み込まれるシーンは、円谷プロの中庭に置いてあった洗濯機の中にミニチュアの飛行機を投げ入れることで撮影された。

 大の大人たちが洗濯機を覗き込んでいる姿を笑っていた桜井氏だったが、本編を観てその認識を改めたという。



 第28話「あけてくれ!」



 万城目と由利子とのドライブに置いてきぼりにされた一平は夜空を走る電車を目撃。

 一方、ドライブを楽しむ二人は路上に倒れている男を助けて車に乗せるが、踏切の音を聞いた男は「あけてくれー!」と錯乱状態に陥る。

 一の谷博士の催眠療法で話を聞いたところ、彼は自由な世界へ行く空飛ぶ異次元列車に乗っていたという――。





【制作裏話】

 異次元列車は小田急ロマンスカーがモデル。脚本を気に入った円谷一氏が「自分が撮る」と宣言して撮影されたという。

 しかし、栫井氏は「怪獣が出ず、ストーリーが暗く難解で子供受けが悪いため、本放送では放送しない」と決断。

 「放送させてくれ!」と食い下がる一監督を押し切り、再放送で放送することになった。

 本作の放送中止で、ウルトラマン放送開始予定が一週分繰り上がってしまったため、急遽、杉並公会堂で「ウルトラマン前夜祭」を開催し、録画中継を行うことになった。




 編集後記



 現在に至るまで、50作品以上が制作されているウルトラシリーズの祖『ウルトラQ』。

 国民的作品の最初の一歩は、円谷プロダクションが誕生して間もない頃に起きた、“特撮の神様”円谷英二が発端となったある騒動から始まっている。



オプチカル・プリンター1200シリーズ】

 1963年に円谷特技プロダクションを設立し、「成果を上げるには新しい特殊撮影、光学処理の機器が必要」と考えた英二氏。

 目を付けたのは、当時世界で2台しかなかった米オックスベリー社の光学合成機『オプチカル・プリンター1200シリーズ』だった。

 この新機種は、4本のフィルムを一度にかけられるフォーヘッド方式の最新型で、白黒・カラー問わず、どんな複雑な合成も可能になっていた。

 値段は4000万円(現在の価格で5億円)と高額だったが、契約間近だったフジテレビとの提携テレビ番組『WoO (ウー) 』の制作受注費で賄えると考え、代理店を通じて注文した英二氏。





 しかし、『WoO』は契約調印寸前で破断になってしまったため、代理店にキャンセルの連絡をしたが、機械はすでに船便で日本に向かっているため、キャンセルできないという。

 英二氏は慌てて、映画会社や銀行関係などを回って緊急融資の申し入れをしたが、誕生間もない円谷プロダクションにお金を貸してくれるところはなかった。

 困り果てた英二氏は、当時TBSに勤めていた長男の一氏を介して同社に借金の依頼をした。それを受けてTBSは緊急会議を開き、英二氏にこう回答した。

 「4000万円はお貸しすることはできない。その代わり、そのオプチカル・プリンターをTBSで購入し、使用料を取って円谷プロに貸すことにする」

 この経営判断は、TBS映画部に在籍中だった円谷一氏が監督し、芸術祭で大賞を獲った『煙の王様』のフィルムがドイツに売れたことも関係しているという。

 TBSが、フィルムで作品を作れば海外に販路が開けることを知ったことが、オプチカル・プリンターを購入する後押しとなったといえる。



【アンバランス (ウルトラQ) の制作】

 その後、TBSは円谷プロに対して、自社が購入したオプチカル・プリンターを使った特殊撮影を取り入れたユニークなテレビ映画制作を打診。

 それを受けて、円谷プロの企画文芸室の金城哲夫氏は、TBSの編成部、企画部、映画部の声をまとめ上げ、企画書を作成した。

 企画書のタイトルは『UNBALANCE (アンバランス) 』で、その企画書案にはこう書かれていた。

 「我々は、全く意識しないでバランスのとれた世界の中で、無意識の中で、気楽に安心して生活しているが、何かの拍子にそのバランスが崩れてしまったら、どうなるのか」

 その後、TBSと円谷プロの間で契約が交わされ、全てが動き出した。



【UNBALANCEからウルトラQへ】

 『UNBALANCE』は28本の事前制作という形で、1964年9月27日にクランクインした。


 放送が決まっていないのに、桁違いの予算をかけて撮影に入り、特撮部分は円谷英二が直接編集を行い、気に入らなければ撮り直しもさせていた。


 そんな中、10月10日に東京オリンピックが開幕。体操競技での日本選手の活躍が目覚ましく、アナウンサーは“ウルトラC”を連呼していた。

 その言葉を聞いたTBS編成部の岩崎嘉一氏は、番組タイトルを『ウルトラQ』に変更することを思い立ち、栫井氏も了承。商標登録も済ませた。

 「Q」はQuestionのQで、準備中のアニメ『オバケのQ太郎』とQQ路線を形成しようという狙いもあったという。



【怪獣路線への変更】

 1964年12月、TBSの番組プロデューサーの栫井巍氏は、円谷プロから「何本かのフィルムが形になったので観てほしい」との連絡を受けた。

 東宝撮影所の試写室で彼が観たのは、『マンモスフラワー 』『変身 』『悪魔ッ子 』『宇宙からの贈り物 』だった。

 翌日、栫井氏は円谷プロを訪れ、市川支配人と金城氏にこう述べた。

 「ウルトラQの放送時間で有力になっている日曜7時枠は子供も観ることが想定されるため、あまり難しいテーマの怪奇現象モノ、ミステリーモノ、SFモノはどうかと思う」

 「シリーズものとしての統一感にかける」との指摘もした後、今後のウルトラシリーズの命運を決める発言がなされた。

 「怪獣モノは物語が簡単でわかりやすく、興味が引きやすい。怪獣モノに特化して、シリーズとして成立させた方が得策だ」

 この発言を受けた2人は英二氏の了解を取り付け、これ以降、『ウルトラQ』は怪獣モノとして制作されることになった。

 ここに、ウルトラシリーズの根幹となる設定が確立したのである。

 

【再放送】          

 『ウルトラQ』は白黒作品だったため、60年代末からカラー映像が主流になっていったことから、再放送がほとんどされなかった。

 そのため、70年代はビデオデッキが無いこともあり、雑誌には紹介されているが作品を観ることができない状態が続いていたという。

 そんな中、こちらの記事によると、80年代に関東や地方のローカルで数回、『ウルトラQ』全話の再放送があったことがわかる。

 そのうちの1つ、1987年の夏休みの深夜に放送された「泉麻人のウルトラ倶楽部」で2話ずつ再放送されており、この番組で初めて『ウルトラQ』を観た人も多いという。


 また、80年代に入って『ウルトラQ』のVHSがリリースされていているが、1巻に2話収録で12600円という値段だった。

 高額な上にカラー映像を観て育った視聴者が抵抗感を持つ白黒作品であるため、ウルトラシリーズの祖であるにも関わらず、知る人ぞ知る作品となっていったように思われる。

 そんな中、2011年にHDリマスター&カラー化された『総天然色ウルトラQ』が制作されたことで、白黒映像という敷居が無くなったのは大きいといえる。

 月額500円でウルトラ作品が見放題のTSUBURAYA IMAGINATIONにも、『総天然色ウルトラQ』が配信されている。

 事前制作のため、映画並みの予算と時間をかけて作られていて見応えがあり、1話完結型で見やすいのでおススメ。



【神の手の導き】

 白石雅彦氏の著書『「ウルトラQ」の誕生』に、こう記されている。

 
 『ウルトラQ』は、テレビ史における様々なうねりの中で誕生した番組であった。

 まずは、テレビ映画の勃興、円谷英二のブランド力、テレビ局がオプチカル・プリンターを買うという驚愕の出来事。

 テレビ俗悪論に対する対応から生まれた事前制作。東京オリンピックで流行した“ウルトラC”という言葉。怪獣路線への変更。

 これらのどれか一つでも欠けていれば『ウルトラQ』は生まれなかったに違いない。

 だが、名作とは、当事者の思いもよらぬ奇跡的な出来事に導かれ誕生するものである。

 あたかも、神の手に導かれるように――。






【出典】ウルトラQ伝説」「ウルトラマンの現場」「ウルトラQの誕生
    「素晴らしき特撮人生」「ウルトラマン創世記
    「ウルトラマン青春記」「ヒロコ ウルトラのミューズ誕生物語
    「ウルトラQアルバム」「総天然色ウルトラQ キャラクター大全

【商品紹介】ウルトラQ | TSUBURAYA IMAGINATION
      「総天然色ウルトラQ | TSUBURAYA IMAGINATION
      「総天然色ウルトラQ Blu-ray & DVD BOX

【60周年】『ウルトラマン』伝説の全39話/前篇



ウルトラマン』伝説の全39話/前篇



 1966年7月17日に本放送を開始した国民的特撮番組『ウルトラマン』。

 特撮シーンの撮影遅れで制作スケジュールが切迫し、スタッフの疲労も限界を超えていたため、高視聴率だったにも関わらず39話で放送を終えました。

 今年で、生誕60周年を迎えるということで、制作の裏話とともに全話 を振り返ります――。






 ※第20話~第39話はこちらをご覧下さい

 

 第1話「ウルトラ作戦第1号」



 科学特捜隊のハヤタ隊員は、小型ビートルでパトロール中に謎の青い球体を発見。

 追跡を開始した矢先、続いて出現した赤い球体と衝突して森に落下。ビートルは大破し、ハヤタは命を落としてしまう。

 しかし、M78星雲から来た宇宙人に命をもらって生き返り、ウルトラマンと一心同体となったハヤタにベータカプセルが託され、宇宙怪獣ベムラーとの闘いが始まった――。





【制作裏話】


 ベムラーの回は第1話となっているが、1966年3月16日のクランクインから2か月後の制作第5話として撮影された。

 また、第1話の最終脚本は、金城哲夫氏が1966年5月11日から13日にかけて祖師ヶ谷大蔵にあった旅館はなぶさに泊まり込んで書き上げた。

 著名な脚本家に依頼した脚本が不評で、ほとんどを書き直すことになったためで、最終的には共同脚本という形になった。





 竜が森湖のシーンは、福島県猪苗代湖で撮影が行われた。

 当初、ウルトラマンスーツアクター古谷敏氏は、キャンパー役でも出演する予定でしたが、助監督が若手の劇団員を用意していたため、やることがなくなって遊んでいたとか。

 なお、キャンパーたちが歌っているのは、ザ・ブロードサイド・フォーの『星に祈りを』という曲。





 科特隊を含めたキャストやスタッフは、福島県横向 (よこむき) 温泉に宿泊した。

 つまり、『ウルトラマン』第1話のロケ地と宿泊地は、ウルトラマンの生みの親ともいえる円谷英二氏の地元だった。

 なお、黒部進氏は猪苗代湖でのロケに参加していないので、ハヤタがモーターボートで湖を走行するシーンは、山梨県の河口湖で撮影されている。





 ちなみに、赤い球の中でハヤタに語りかけるウルトラマンの声は、本来の声優だった中曽根雅夫氏がアフレコに遅刻したため、編集技師の近藤久氏が当てている。

 なお、ハヤタは当初はサコミズという名前だったが、飯島敏宏監督が「違和感がある」とハヤタに変更させた。

 第1話のラストシーンで、ハヤタが科特隊のメンバーと合流するシーンのロケ地は、三浦半島剱崎 (つるぎさき)


 

 水のシーンは美センのプールのあるステージで撮影しており、普段は水を抜いてその上に平台を置いて使っていた。

 ベムラーがいる所だけ水深が1.8m位で、ベムラーが潜る時に浮いてしまうため、スタッフ総出で押し込んだという。

 ウルトラマンが湖に落ちるシーンでは、目の覗き穴と口から水が入ってきてマスクの中に溜まり、「溺死する恐怖を感じた」と古谷氏は話している。




 第2話「侵略者を撃て」



 宇宙から強烈な怪電波を発する物体が飛来し、科学センターの上空でレーダーから消えた。

 科学センターに調査に向かった科特隊の前に宇宙忍者バルタン星人が現れ、スーパーガンで応戦するが攻撃が効かないため、一旦退却することになった。

 さっそく防衛会議が開かれ、ムラマツキャップの発案でバルタン星人と話し合いを行うことになり、交渉役のハタヤ隊員とイデ隊員が夜の科学センターに向かうが――。





【制作裏話】

 ウルトラマンは、本作と『ミロガンダの秘密』『科特隊出撃せよ』の3本持ちで、飯島敏弘監督によってクランクインした。


 クランクイン直後の飯島監督の最初の3本は、本編も特撮も同じ1班体制だったが、日程的に1班では無理だとわかり、次の組から本編と特撮が別になった。

 作品中に出てくる科学センターの建物は、川崎にある長沢浄水場が使用された。



 バルタン星人は、飯島監督から「ウルトラQに出てきたセミ人間に角をつけてハサミを持たせてくれ」という注文を受けて、成田亨氏がデザインした。

 造形の経費節約の苦肉の策で、改造担当は東宝の本編美術所属だった佐藤保だったという。


 ちなみに、ハサミに窓の様なものがついているのは、ハサミのままだとただの蟹になってしまうため、宇宙人らしくするためにつけたという。





 光学撮影の中野稔氏によると、バルタン星人の分身は正面の映像を重ねて複数に見せ、その間を歩く姿を白黒フィルムで何回も重ねたとのこと。

 カラーの上に白黒の映像を何回も重ねたことで全体が青くなり、幻想的な映像に仕上がった。


  アフレコ時に初めてこの映像を見た科特隊のメンバーが感動し、「この素晴らしい合成技術に負けない演技をしよう」と誓い合ったという。

 なお、無数のバルタン星人はマルサンのソフビをデザインに近づけるように細工して使用している。

 手前の方はいくらか精巧に作って、奥の方は美術で少しだけ直した代物だという。

  カプセルから小バルタン群が飛び出してくるカットは、鉛で15cmくらいのバルタン星人を作って、ピアノ線をガイドにしてストンと落としたのを逆モーションで撮っている。




 第3話「科特隊出撃せよ」



 城の古井戸から恐ろしい音が聞こえるという通報が科特隊に寄せられ、フジ隊員とホシノ少年が調査に向かった。

 調査中に突然、山崩れが起きて水力発電所が破壊され、発電所の職員は消えていく怪獣を見たという。さらに、近くの送電所で送電事故が発生。

 それは、電気を吸い取ってエネルギーにする透明怪獣ネロンガの仕業だった――。





【制作裏話】

 ホシノ少年が井戸の底から見上げた井戸の内壁は描いた絵を合成している。

 ネロンガの名前は“皇帝ネロ”から名付けられており、怪獣スーツは東宝怪獣のバラゴンを改造して使われた。





 ネロンガに入っているのはゴジラを演じた中島春雄氏で、中島氏が動きの段取りを組んだ。

 ウルトラマンネロンガの戦うシーンは数百カット撮ったが、実際に放送されたのは60カットほどだったという。

 また、古谷氏は一度ネロンガの中に入ってみたが重すぎて立てず、接着剤やゴム、ウレタンなどの臭いで気持ち悪くなり、自分の声も外に伝わらず恐怖を感じたとのこと。

 「怪獣に入って颯爽と演技している中島春雄さんは本当に凄いと思った」と自著『ウルトラマンになった男』で述べている。




 また、フジ隊員役の桜井氏が撮影の空き時間に特撮ステージで初めてウルトラマンと怪獣の格闘シーンの撮影を見たのはこの回だった。

 休憩時間に、体全体から湯気を出しながらガックリと木箱に座る古谷氏の姿とウルトラマンの長靴から「ザァーッ!」と大量の汗が捨てられる光景に驚いたという。

 古谷氏と中島氏の姿は桜井氏の気持ちを打つものがあり、「主役はこの人たちだわ」とはっきりと思ったという。

 なお、冒頭の城は小田原城天守閣 、水力発電所は静岡の須川発電所 、洞窟内は伊豆シャボテン公園がロケ地になっている。




 第4話「大爆発五秒前」



 木星開発用ロケットが打ち上げに失敗して太平洋に墜落した。

 ロケットに搭載されていた水爆の一つが海底で爆発し、放射能を浴びた海底原人ラゴンが巨大化し、巡視艇を襲った。

 行方不明だった水爆を肩にぶらさげたラゴンは海上を北上し、休暇を楽しんでいたフジ隊員らが宿泊する千葉の葉山アリーナに上陸したーー。





【制作裏話】

 『ウルトラQ』第20話で海底原人ラゴンを演じたのは古谷敏氏だが、今回の巨大化したラゴンを演じたのはガメラ役の泉梅之助氏。

 身長と恰幅がある体形に合わせて、高山良策氏によってスーツを造形し直したとのこと。





 第5話「ミロガンダの秘密」



 都内で新聞記者と地質学者が次々と窒息死する事件が起き、死因の特殊性から科特隊に調査が依頼された。

 事件現場には緑色の謎の液体が残されており、地質学者の温室からはオイリス島から持ち帰ったミロガンダが消えていた。

 調査の結果、放射線による品種改良の実験中にミロガンダが幼年期の巨大食虫植物に姿を変え、人間を襲っていることが判明し、科特隊にも魔の手が迫る。





【制作裏話】

 この回は、古谷敏氏が初めてウルトラマンを演じた撮影だった。

 マスクが顔に密着していて空気が口の周りくらいしか無かったため、最初の頃は息をするだけで精一杯で、演技プランまで頭が回らなかったという。





 また、光線を出すポーズや、どこから出すかが決まっていなかったため、古谷氏と飯島監督、中野氏、高野氏で話し合ってポーズを決めた。

 それから古谷氏は、自宅の三面鏡の前でスペシウム光線のポーズの練習を毎日300回行うようになったという。

 なお、グリーンモンスの造形は、東宝特殊技術課造形部が担当している。





 作品中に出てくるミロガンダが植えられていた地質学者の研究室の温室は、伊豆コスモランドの地球儀大温室が使用された。

 また、この回の科特隊の指令室でのシーンが飯島組の本編の初撮影だった。

 イデが台本に書かれていた「兎に角(とにかく)」の読み方がわからず、アラシに聞いたところ、冗談で「ウサギにツノ」と教えた。

 すると、リハーサルと本番でも「ウサギにツノ」と言うので、ふざけていると勘違いした飯島監督が怒ってスタジオを出ていってしまったという(笑)





 第6話「沿岸警備命令」



 横浜沖で体長20mもあるサメが噛み傷を負って浮かんでいるという通報が科特隊に入った。

 東京湾でもよく船が沈んでおり、何かの事件の前触れではないかとハヤタが心配するのをよそに、ホシノ少年は横浜に遊びに行っていた。

 港で怪獣を目撃したホシノ少年たちだったが、密輸犯に囚われてしまい、科特隊が救出に向かった先で海獣ゲスラが襲ってきた――。





【制作裏話】

 ゲスラは『ウルトラQ』のピーターの改造。

 ゲスラは元々毛虫の怪獣という設定で、モスラの幼虫を改造する予定だったが、ウルトラマンと格闘しずらいという理由でトカゲの怪獣に変更された。

 ゲスラに詳しい船員は『ウルトラQ』の「2020年の挑戦」の宇田川刑事役、「あけてくれ!」では沢村を演じた柳谷寛氏。





 ウルトラマンスーツアクター古谷敏氏は、初めて仮面をつけて水中に入ったが、目の穴から水が仮面の中に入ってきて苦しくて恐ろしかったと話す。

 劇中でも、口から大量の水を吐き出していたり、頭が全て水の中に沈んだりしていて、観ている側も心配になるほどの格闘シーンになっている。





 第7話「バラージの青い石」



 中近東に巨大隕石が落下して以来、不思議な事件が次々と起こり、科特隊パリ本部から日本支部に出動要請が来た。

 隕石が落下した謎の街バラージがあるといわれている場所にジェットビートルで向かった科特隊は、強力な磁力線に襲われ墜落。

 バラ―ジに向かう途中で遭遇した磁力怪獣アントラーから逃げた科特隊一行は、ウルトラマンの姿をしたノアの神と青い石に守られるバラ―ジに到着した――。





【制作裏話】

 川崎の生田に作られた東宝映画『奇厳城の冒険』のオープンセットで撮影が行われ、このセットを基にストーリーが考案された。

 スペシウム光線が効かない神出鬼没の強敵だけに、ジェームス・ディーンを参考にしたというウルトラマンのファイティングポーズから緊張感が伝わってくる。







 フジ隊員役の桜井氏は『奇厳城の冒険』への出演のため、この回には登場せず。なお、アントラーは高山氏が最初に手掛けた怪獣で、蟻地獄を意味するアントリオンが由来。

 (高山氏は1966年1月6日~4月9日まで、大映の『大魔神』の撮影で京都に滞在していた)




 第8話「怪獣無法地帯」



 火山噴火により無人島になっていたタタラ島で2年半ぶりに定点観測所が再開され、4人の先発隊が島に向かったが、音信不通になった。

 気象庁から測候所員の救出を要請された科特隊はタタラ島に向かったが、レッドキングやチャンドラーなどが暴れ回る無法地帯になっていた。

 また、測候所は何者かに破壊されて無人になっており、ジャングルや天然の洞穴の捜索をすることになった科特隊の前に怪獣や怪奇植物が立ちはだかる――。





【制作裏話】

 レッドキングとスフランのみ新造怪獣で、チャンドラーはぺギラ、ピグモンはガラモン、マグラーはネロンガの改造。

 レッドキング高山良策氏が手掛けた2体目の怪獣。レッドキングとの戦いではスペシウム光線ではなく、背負い投げで倒している。





 スフランをスパイダーの炎で焼くシーンは、アラシの下にLPガスのボンベを用意し、ガスの管を衣装の内側に通して本物の炎を撃っているという。

 しかし、スフランに引火した炎が上へ上へと燃え広がったため、助監督の東條昭平氏が慌てて自分の着ていたジャンバーを被せて火を消したとか(笑)




 第9話「電光石火作戦」



 猛烈な勢力の台風13号伊豆半島に上陸した。

 台風の翌日、復旧作業中に地中からウラン怪獣ガボラが現れ、鉱物のウラン235が貯蔵されている隣町へ向かった。

 戦車による火炎放射で進行方向を変えることに成功した科特隊だったが、ガボラが向かった先にはキャンプ中の高原少年団のバンガローがあった――。





【制作裏話】

 ガボラはマグラーのボディからトゲのついた外皮をはがし、ネロンガの角と背びれを外し、新規造形のヒレを付け加えられている。

 ガボラは初代ゴジラスーツアクター中島春雄氏が演じており、ダイナミックな動きを見せている。




 第10話「謎の恐竜基地」



 ある山奥のふだん人が来ない湖で魚が異常発生し、釣り人が大勢訪れるようになった。

 それは、湖のほとりに住んでいるモンスター博士が湖で育てていた襟巻怪獣ジラースに餌として大量の魚を与えていたためであった。

 科特隊が調査に訪れる中、魚をたくさん獲ろうとした釣り人が魚が死ぬ薬剤を湖に流したことで暴れ出したジラースと科特隊、ウルトラマンの闘いが始まった――。





【制作裏話】

 怪獣の着ぐるみ制作の費用を抑えるために、円谷英二監督が東宝から借りてきたゴジラに襟巻をつけることになった。

 そして、脚本担当だった金城氏が高田馬場にある沖縄料理の店「次郎亭」で飲んでいる時、南極に置き去りにされた犬、タロとジロのことが話題に上った。

 「ゴジラを太郎とすれば、エリマキをつけた今度の怪獣は次郎ってところかな」

 ということで、沖縄方言で“次郎叔父さん”を意味するジラースーに絡めて、怪獣の名前はジラースになったという。

 また、ジラースの闘いでは、西部劇をモチーフとしたコミカルなやりとりが繰り広げられる。





 なお、ブルース・リーが監督・主演を務めた『ドラゴンへの道』(1972年)では、このジラース戦のラストの演出がオマージュとして捧げられている。

 「ウルトラマン不滅の10大決戦」で明らかになったもので、敗者にも敬意も捧げる武士道が描かれていると衝撃を受けたという。





 この回ではホテルのボーイ役で古谷敏氏、釣り人役でウルトラQの西条康彦氏が出演。また、エキストラとして高野宏一氏も出演している。

 ロケ地は伊東の一碧湖で、ロケ日が1966年7月17日だったため、スタッフと出演者が揃ってウルトラマン第1話をホテルのロビーで鑑賞した。

 放送終了後には拍手が沸き起こったという。

 ちなみに、東宝から「特技監督円谷英二だけのもの」というクレームが入ったため、この回から特技監督というクレジットが特殊技術に変更になっている。




 第11話「宇宙から来た暴れん坊」



 空き地で友だちと遊んでいたホシノ少年の前に、“欲しいと思ったものに姿を変える不思議な石”が空から落ちてきた。

 その石は科学センターで分析され、地球上に存在しない元素でできている生きている石であることが判明したが、謎の男にその石が盗まれてしまう。

 その男は、石をギャンゴと名付けた怪獣に変身させて人々を驚かせて楽しんでいたが、「もっと大きなギャンゴになれ」と言ったとたん巨大化してしまう――。





【制作裏話】


 ギャンゴベムラーの改造で、尻尾を取り、腕とアンテナ状の耳を付けた。

 腹部のカラフルでインパクトのあるデザインは、満田監督の「トテームポールみたいなデザイン」というアイディアから生まれた。

 水中からウルトラマンが飛び出すシーンで、仮面に水が入ってきて死にそうになった古谷敏氏。





 Aタイプのマスクは口が開く仕様だったため、口から水がどんどん入ってきてマスクの中に溜まって、マスクの中で溺れてしまう恐怖を感じたそうです。

 撮影後に高野監督に、「息ができなくなって死にそうになって恐ろしいので、水のシーンを減らしてくれ」とお願いしたとのこと。


 第12話「ミイラの叫び」



 洞窟から7000年前のものと思われる人間のミイラが発見され、科学センターに運ばれた。

 研究室に安置したその夜、装置の電源がひとりでに作動し、電気ショックを受けたミイラは蘇生し、行方をくらました。

 ミイラのテレパシーによって洞窟に眠っていたミイラ怪獣ドドンゴが目を覚まして暴れ始めたため、科特隊とウルトラマンが立ち向かう――。





【制作裏話】

 小さなステージでの撮影だったため、ホリゾントの見切れ防止でステージの土の床をショベルカーで2、3mほど掘って床を低くした。

 下に降りる時、はしごを何本も使って降りるほど深かったせいで空気が薄く、古谷氏は息苦しく、倒れそうになりながら撮影を行った。

 ドドンゴは前後の二人の演者が入る仕組みになっており、鳴き声はモスラを加工して作られた。


 第13話「オイルSOS」



 中近東の国々で原因不明の油田火事が起こり 航行中のタンカーが炎上、爆発する事件が相次いで起こった。

 数週間後、東京湾でもタンクローリーの爆発炎上事故が発生。現場検証中にタンカーが爆発炎上し、油獣ペスターが現れて船を沈めて海中に姿を消した。

 科特隊がペスター東京湾からおびき出そうとしたところ、イデが誤って湾内で発砲し、怒り狂ったペスターの火炎でコンビナートは火の海に――。





【制作裏話】

 本作は、ガソリンと火薬を使った非常に危険な撮影となった。

 ペスタースーツアクターを務めた荒垣氏と清野氏は、「水と火が同時に襲いかかってきた。苦しくなって怖くなって、もうだめかと思った」と話す。

 古谷氏も、熱風が覗き穴から入ってきて目が熱くなり、周りが炎だらけで体も熱くなってきて息苦しくなってきたが、夢中で演技したという。





 天井付近でカメラを構えていた佐川和夫氏は、熱で溶けて上から垂れてきた照明用部材によって火傷を負い、飛んできたブリキの蓋で火傷をしたスタッフもいた。

 爆発する石油タンクを真俯瞰で撮るために天井付近でカメラを構えていたスタッフは、爆発時の熱風で眉毛や髪の毛がチリチリになってしまったとか。

 ちなみに、ウルトラ水流のシーンでウルトラマンの右足にホースが映ってしまっており、DVD版にはそのまま収録されているが、ブルーレイ版では消されている。





 低予算だったため、スタッフやキャストはいつも醤油がかかっていない同じおかずのロケ弁当を朝昼晩、深夜にも食べさせられて、うんざりしていたとか。

 ロケ弁を作っていた増田屋食堂の入り口に大きな赤ちょうちんがぶら下がっていたため“赤チン弁当”と呼ばれていたという。

 なお、冒頭に出てくる酔っ払いが持っているのが赤チン弁当。



 第14話「真珠貝防衛指令」



 科特隊の給料日に、イデ隊員を連れて宝石店にやってきたフジ隊員。

 しかし、今年に入って突然、養殖真珠が全滅に近い打撃を受けて真珠が値上がりしていて、ネックレスは買えそうにない。

 「海流や気候は例年と同じなのにおかしい」と疑問を感じたフジ隊員。女の意地とプライドを懸けた戦いが始まる――。





【制作裏話】

 冒頭の宝石店は銀座にある「宝石専門店ミワ」で、実相寺昭雄監督がウルトラマンの監督になって初めての撮影場所だった。

 また、ラストシーンでフジ隊員とイデ隊員が銀座の街を歩くシーンは、三愛ビル3階からの隠し撮りで撮影された。

 実相寺監督は銀座を歩く度に、「自分の“ウルトラ”はこの辺りから始まったんだ」と微笑んでしまうらしい。





 三浦半島の剣崎での撮影の休憩時間に喉の渇きを癒すために近くの売店へ向かった科特隊一行。

 清涼飲料水を買うつもりがキャップの「おっ!冷えた缶ビールあるぞ!」の一言で、スタッフに内緒で全員で冷え冷えの缶ビールを飲みほした。





 しかし、焚火のシーンでアルコールがアラシとイデの舌を直撃し、呂律は回らないは顔は茹でダコのように赤くなるわで、監督がセリフを短くしたとか(笑)

 ちなみに、ガマクジラウルトラマンが戦うシーンも撮影されたが実相寺監督によってカットされてしまったという。

 なお、この回からウルトラマンのマスクとスーツがBタイプに変わった。


 第15話「恐怖の宇宙線



 少年が土管に描いた怪獣ガヴァドンが特殊な宇宙線と太陽光線を浴びて、実体化した。

 しかし、寝てるばかりの姿に失望した子供たちは、太陽が沈んで土管に戻った怪獣をもっと強そうな姿に描き直した。

 日の出とともに実体化するガヴァドンだったが、またいびきをかいで寝てばかり。科特隊は経済生活の邪魔になっているガヴァドンとの決戦に挑むが――。





【制作裏話】

 ガヴァドンAの足音には、ガラス板に太いマジック・インキを擦らせた音が使われている。

 また、ウルトラマンガヴァドンBが戦ったのは多摩川緑地公園グラウンドから和泉自動車教習所辺りで、特撮のミニチュアもその付近を再現しているとのこと。

 ハヤタが流された宿川原堰堤も健在で、子供たちが星になったガヴァドンを見上げるシーンも多摩川河川敷の川崎側の土手で撮影された。





 この回のラストシーンは、月島第二児童公園で撮影が行われ、子供たちに集まってもらって好き勝手に落書きをしてもらったという。

 しかし、あとから制作や美術のスタッフたちに「落書きを消すのが大変だった」と文句を言われたとか(笑)


 第16話「科特隊宇宙へ」



 人類最初の金星探検を目指して、宇宙開発研究所の毛利博士が乗った宇宙ロケット「オオトリ」が打ち上げられた。

 万一の事故に備えて救助体制をとっていた科特隊だったが、オオトリから送られてきた映像が乱れ、バルタン星人が画面に登場した。

 ウルトラマンによって全滅したと思われていたが、生き残りが地球征服を狙っていたのだ――。





【制作裏話】

 初代バルタン星人を造形した東宝の佐藤保氏に代わり、二代目は佐々木明氏が造形。地球を襲うバルタン星人の大群は、マルサン製ソフビ人形と鉛製の人形を使用。


 第17話「無限へのパスポート」



 探検家のイエスタディ氏が砂漠から持ち帰った青い隕石を研究中に、隕石とともに行方不明になって1週間が経った。

 科特隊の事情聴取中に地震が起き、青い隕石とともにイエスタディ氏が屋外の草むらに現れた。もう一つの赤い隕石は親友の福井氏に預けたという。

 福井氏の赤い隕石と川口研究所で預かっていた青い隕石を科特隊で保管、調査することになったが、二つの隕石が融合し、四次元怪獣ブルトンが誕生してしまう――。





【制作裏話】

 この回の脚本を書いた藤川佳介氏によるとブルトンのイメージはテトラポットだったそうだが、成田氏はイソギンチャクをイメージしてデザインしたという。


 第18話「遊星から来た兄弟」



 東京に放射能を含んだ霧が発生し、人々は次々に倒れた。それは地球征服を企む第8銀河系のザラブ星人の仕業だった。

 地球と友好関係を築くと見せかけて科特隊と宇宙局を懐柔しつつあったが、拠点にしていた土星探検ロケットの偵察に来たハヤタに本性を暴かれる。

 怒ったザラブ星人はハヤタを監禁してウルトラマンに変身できなくさせ、にせウルトラマンとなって街を破壊し始めた――。





【制作裏話】

 古谷敏氏は、にせウルトラマンの頭に軽くチョップをするシーンで、距離感を間違えて思い切り仮面に手刀を当ててしまった。

 小指を骨折したと思ったほどの痛さで、右手を振って全力で痛みを堪える人間的な動きになってしまったが、高野監督の意向でそのまま使われている。




 ザラブ星人のスーツは、ラゴンで使われたものを改造して使用。

 宇宙局での会議のシーンで画面左端に座っているのは、円谷プロの企画文芸室長で、ウルトラマンのメインライターの金城哲夫である。

 また、作品の冒頭の霧に覆われる東京の街は、東宝撮影所の北側にあったオープンセットで撮影されたという。





 第19話「悪魔はふたたび」



 東京のビル工事現場から金属製のカプセルが発見され、中には金属板と青い液体が入っていた。

 金属板と青い液体は研究所で検査が行われ、金属板の古代文字を解読すると「3億5000万年前にカプセルに怪獣を封じ込めた」と書かれていた。

 そんな中、工事現場に埋められていたもう一つの赤い液体が入ったカプセルからバニラ、鉱物試験場からアボラスが出現し、暴れ始めた――。





【制作裏話】

 アボラスレッドキングの頭を挿げ替えて造形された。バニラはタツノオトシゴを怪獣にしたという。

 クライマックスシーンは国立競技場とその周辺でロケが行われた。

 国立競技場のセットの図面は池谷仙克氏が作成。当時は国立競技場の資料が無かったので、自分でロケハンして写真をとって図面をひいたとのこと。


 18話・19話 裏話



 番組制作が放送に間に合わなくなり、円谷英二監督が自ら特撮班を編成し、特撮の指揮をとったのが第18話と第19話。

 しかし、当時は「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」の特技監修、「キングコングの逆襲」の特技監督として準備段階に入るという極めて多忙な時期だった。

 にも関らず、円谷監督は朝9時には撮影所に来て、スタッフに自分で描いた撮影コンテを渡して指示をしていたという。








 編集後記



 今回、記事を作成するために、久しぶりに『ウルトラマン』を観返しました。

 その結果、子供時代は「カッコいい」「面白い」「楽しい」「怖い」といった表面的で単純な感じ方しかできていなかったことに気付きました。

 大人になってから、ストーリーや台詞に込められたメッセージ、出演者の演技、美術、造形、制作裏話などを含めて多面的に観ると、作品の素晴らしさをより深く感じます。

 半世紀以上前の作品にも関わらず、古さをあまり感じず、大人の鑑賞にも十分に耐え得る作品であることも再認識しました。





 喜怒哀楽に富んだ脚本、卓抜した演出や音楽、特撮、美術、造形、そして俳優の演技力の高さと人間的魅力などが相まって、時代を超えて支持される作品になっているのでしょう。

 他のウルトラ作品と見比べることで、作品の根底に沖縄の太陽の様な力強い明るさも流れていることにも気付きました。

 8頭身の古谷敏氏がマスクをつけて人間の体で一番美しいプロポーションである7頭身になり、ウルトラマンのカッコ良さに芸術性が加わったことも大きかったといえます。

 また、ホシノ少年が怪我で後半から出演しなくなり、シリアス路線に移行したことで、大人の視聴者も巻き込んで盛り上がっていったんだと思います。

 初回から最終話まで安定した高視聴率が続いたため、視聴者に媚びたり迎合する必要性がなく、監督の思い描く演出が出来たともいえます。

 “特撮の神様”円谷英二の名の下に、予算をオーバーして赤字になることも厭わず、ミニチュアセットや映像合成に徹底的に拘ることができたこともあるでしょう。

 ただ、やはり一番大きいのはCGを一切使わないことで撮影現場の空気感、物体の重量感がリアリティとなって画面から伝わり、子供心を捉えたのではないでしょうか。





 ウルトラマン放送当時は、テレビは“電気紙芝居”と呼ばれて馬鹿にされていたため、「偏見を見返してやる」という反骨精神もありました。

 主題歌のクレジットの一番最初に“監修・円谷英二”と表示されるため、「オヤジに恥をかかせるわけにはいかない」というスタッフの責任感もありました。

 円谷プロダクションとTBS、東宝の才能のぶつかり合いによる化学反応もありました。

 つまり、キャスト、スタッフ、責任者が「良い作品を作ろう」と同じ方向を向いて仕事をしたことが、一つ一つの小さな川の流れを大河にしていったんだと思います。

 ウルトラマンは、庵野秀明氏が評しているように「あらゆる才能の集合体で作られた“奇跡の番組”」なのですーー。




⇒ 『ウルトラマン』伝説の全39話/後篇はこちら



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    「ウルトラマンになった男」「ウルトラマン誕生」「ウルトラマンの東京
    「ウルトラマンの飛翔」「ウルトラマン1966+ -Special Edition-
    「特撮と怪獣」「ウルトラマン創世記」「ウルトラマン青春記 フジ隊員の929日
    「写真集 特技監督・円谷英二」「ウルトラマンはなぜシュワッチと叫ぶのか

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【60周年】『ウルトラマン』伝説の全39話/後篇


ウルトラマン』伝説の全39話/後篇



 1966年7月17日に本放送を開始した国民的特撮番組『ウルトラマン』。

 特撮シーンの撮影遅れで制作スケジュールが切迫し、スタッフの疲労も限界を超えていたため、高視聴率だったにも関わらず39話で放送を終えました。

 “ウルトラマン本放送開始60周年”を記念して、制作の裏話とともに全話 (20話から39話まで) を振り返ります――。





※第1話~第20話はこちら



 第20話「恐怖のルート87」



 大室公園で飼われている動物が急に騒ぎ出し、付近の山の山頂に謎の発光現象が起きたため、科特隊が急行した。

 ちょうどその頃、フジ隊員が残る本部に謎の少年が現れ、「大室公園の高原竜ヒドラが暴れて大変なことになる」と告げて姿を消した。

 ヒドラは公園内に建立されている怪獣の石像で、デザイン者は東京に住む小学生だったが、その少年は半年前に国道87号線でひき逃げに遭い亡くなっていた――。





【制作裏話】


 高度経済成長時代、モータリゼーションの進行に対して交通取締りが甘く、信号など交通インフラの整備も遅れていたため、交通事故死が急増していた。

 この作品の脚本は、そういった社会問題と伊豆シャボテン公園にあるシンボル像にヒントに金城哲夫が書き上げた。

 作品タイトルの「国道87号線」は、戦後の国道整理で欠番となっており、作品中で事故が起きるルートのため欠番を選んだとされている。

 しかし、自身が設定した「M87星雲」が誤植によって「M78星雲」になってしまった金城氏が“87”という数字へのこだわりから名付けた説もあるとか。





 なお、ヒドラの怪獣スーツは、高山良策氏ではなくエクスプロダクションによって製作された。

 また、夜にヒドラが山から現れるシーンでは、ハヤタが誤ってサボテンの上に座ってしまい、お尻にサボテンの針が歯ブラシのように刺さってしまうハプニングも。

 その後、ズボンを下げたハヤタのお尻に照明用のライトを当てて、アラシやスタッフの人たちが1本、1本抜くことになったという(笑)

 庵野秀明氏は「ヒドラに頭を殴られてクラクラしながら倒れるウルトラマンが凄くいい」「倒れている時のポーズも素晴らしい」と絶賛している。



 第21話「噴煙突破せよ」



 大武山で野鳥の謎の大量死が起こり、ハイキング中の人達からも噴煙の中から巨大な目玉が現れたとの通報が科特隊に寄せられた。

 さっそく小型ビートルで調査に向かったフジ隊員とホシノ少年だったが、火口から噴出してきた噴煙が機内に充満し、二人は意識を失ってしまう。

 ジェットビートルで救助に向かった科特隊一行の前に大武山の火口から毒ガス怪獣ケムラーが現れ、意識を失っているフジ隊員が乗る小型ビートルに迫る――。





【制作裏話】

 脚本の段階ではケムラーの弱点は口の中の光る器官となっていたが、造形に至る段階で甲羅の中に隠されている突起物に変更された。

 樋口祐三監督によると「口より背中の方が絵になるという判断だったと思います」とのことで、背中の器官は機電の倉方茂雄氏がゴムの氷嚢で作ったという。

 フジ隊員らが立ち寄るレストハウスは、伊豆スカイライン沿いにある国民宿舎中伊豆荘



 第22話「地上破壊工作」



 科特隊パリ本部からアンヌ隊員が日本支部に来日し、国際宇宙開発軍のロケット操縦技術指導の特別任務を向けたハヤタ隊員と共にジェットビートルでパリ本部へ戻った。

 その直後から、東京一円の電波が乱れる怪現象が起きてハヤタとも連絡がとれなくなり、調査の末に科特隊に置かれた磁力光波を発する小型機械が原因だと判明した。

 しかし、その小型機械の材料のゲルマタント鉱石は、地下4万mにあると推定されている物質で、地上世界では使われていないものだった――。





【制作裏話】

 脚本のクレジットは佐々木守監督だが、実際は実相寺昭雄監督によるもので、科特隊指令室の照明を落とす独特な演出が見られる。

 また、本作はSF的な意匠を使わずに近未来都市を描いた『アルファヴィル』の影響を受けており、ハヤタが監禁された地底世界は世田谷区立総合運動場体育館で撮影している。

 本作での映像実験は、文明批評のテーマも含めた本格的なオマージュとして、ウルトラセブン第43話「第四惑星の悪夢」として昇華されたという。

 成田氏によると、「重量感のある怪獣ではなく鋭い怪獣を作りたかった」とのこと。



 第23話「故郷は地球」



 東京で開催される国際平和会議の各国代表が乗った旅客機や船舶が相次いで原因不明の事故に見舞われ、パリ本部から隊員が派遣されてきた。

 調査の結果、目に見えないロケットとの衝突であることが判明し、イデ隊員が開発したスペクトル線により可視化され撃墜されたロケットは、奥多摩の森林に墜落。

 中から現れたのは、数十年前に打ち上げられた人間衛星が制御不能になって宇宙を漂流し、流れ着いた星で怪獣の姿に変わってしまった元宇宙飛行士のジャミラだった――。





【制作裏話】

 パリ本部員がジャミラの正体を明かすシーンは、実相寺昭雄監督によって河口湖畔で撮影された。

 しかし、夜間の撮影で周りが真っ暗だったため、円谷一監督から「美センの庭で撮影しても同じじゃないの」と言われたとか。

 さらに、「もうおまえには泊りがけのロケは許可しない」と怒られたとも明かしている。





 また、ウルトラマンを撮影していた1966年秋頃は新宿西口は淀橋浄水場が移転し、だだっ広い一面に広がる瓦礫の山で、怪獣に蹂躙された爪痕という印象だった。

 国際会議場に接近するジャミラを科特隊が攻撃できないまま追いかけるシーンが淀橋浄水場跡で撮影されたが、尺に収まりきらず全てカットされている。

 ジャミラを弔う墓碑は実相寺監督が持ち帰り、監督の逝去後は川崎市市民ミュージアムに保管されているという。

 なお、イデ隊員の台詞「犠牲者はいつもこうだ。文句だけは美しいけれど」は、実相寺監督が自ら書き加えたもの。


     



 第24話「海底科学基地」



 海底資源の開発を目的とした海底センターの運転開始日。科特隊は、科学公団総裁と会場への200人目の来訪者を案内する任務にあたることになった。

 フジ隊員の操縦で、総裁と200人目の来訪者を乗せた潜航艇S25号は海底センターへ到着したが、酸素供給用のパイプラインが破損し、センターの床下からは浸水が始まった。

 原因不明の事態にパニックに陥る一行だったが、それは深海怪獣グビラの仕業だった――。





【制作裏話】

 グビラガヴァドンBの改造を予定していたが、新規造形となった。冒頭の子供科学宇宙センターは横浜ドリームランドでのロケ。

 番組を海外にも売るため、ユニバーサルな作品にする目的で外国人の親子を出したという。

 海中のシーンはよみうりランドにあった水中バレエの水槽で撮っており、泳いでるシーンは水中バレエの人の吹き替えになっている。

 フジ隊員がウェットスーツを着ているが、本人はかなり恥ずかしかったとのこと。



 第25話「怪彗星ツイフォン」



 “ツイフォン”と名付けられた彗星が地球に接近し、彗星が発する宇宙線で地球上の水爆が自然爆発する可能性が出てきた。

 そんな中、以前、オホーツク海で行方不明になった水爆があり、イデが開発した水爆探知機によって日本アルプスに移動していることが判明する。

 ビートルで急行した科特隊の前に、冷凍怪獣ギガス、彗星怪獣ドラコが現れて格闘を始め、ついには水爆を飲み込んだどくろ怪獣レッドキングが登場した――。





【制作裏話】

 本作は1967年元旦の放送だったので、“怪獣祭り”をテーマに、『怪獣ショー』を縦糸に、横糸として『彗星の接近』を入れる大娯楽巨編となった。

 市民が避難するシーンは、丸の内仲通りビルの地下駐車場入り口付近で撮影されている。





 ちなみに、ホシノ少年役の津沢彰秀はこの回を最後に番組から姿を消す。

 プライベートで行ったよみうりランドで足を骨折して2カ月入院し、その後、2月に国立の中学高校を受験して合格したため休みようがなくなり、演技の仕事をやめたという。

 このことがきっかけで、ドラマのシチュエーションが変わってウルトラマンは大人のドラマになっていった。

 

 第26話「怪獣殿下 前編」



 怪獣好きのオサム少年は、怪獣の存在を否定するクラスメイトたちに“怪獣殿下”と呼ばれてバカにされていた。

 そんなある日、生物学者率いる学術調査隊がジョンスン島で古代怪獣ゴモラを発見した。そのニュースは大々的に報じられ、オサム少年も鼻高々だった。

 万国博古代館に出品するため、UNG麻酔弾を打たれて科特隊によって大阪へ空輸されることになったゴモラだったが、途中で麻酔が切れ、六甲山に落下した――。




【制作裏話】

 かつてTBSのネット局だったABCの要請を受けて大阪ロケが実現した作品。

 第8話「怪獣無法地帯」の吸血植物スフランが再び登場し、ここでもスパイダーショットから繰り出される本物の火炎放射によって焼き切られている。

 ちなみに、アラシ隊員のスパイダーのグリップの下の方をよく見ると、ガスを送る黒いコードのようなものが一瞬映る。

 ロケが行われた団地は調布市にある多摩川住宅で、子供が発する「シオシオのパー」は、当時流行っていたブースカ語。





 作品中で、ウルトラマンゴモラが繰り出す尻尾攻撃を顔に受けた後、オサム少年の前にベータカプセルが転がる。

 これは、「ウルトラマンが普段、ベータカプセルを孫悟空の如意棒のように耳の中に納めており、それが衝撃で外に飛び出した」とまことしやかに囁かれている。

 なお、ゴモラの頭部は、戦国武将である黒田長政の兜をモチーフにしてデザインしており、頭部のみ現存している。






 第27話「怪獣殿下 後編」



 ウルトラマンとの戦いで地中に消えたゴモラ大阪市街地に現れ、街を破壊し始めたため、科特隊が現場に急行した。

 ハヤタ隊員が発射したマルス113によって尻尾を焼き切られたゴモラは、再び地中に潜り始め、発信機を取り付けた追尾弾も命中させることにも成功。

 ビーコンを追跡するとゴモラ大阪城へ向かっていることがわかり、科特隊と自衛隊大阪城公園で迎え撃つことになった――。





【制作裏話】

 劇中で対策本部が置かれた大阪タワーは、朝日放送の放送局に併設されていたが、現在は解体されており現存していない。

 プロレスラーの前田日明は少年時代、番組視聴後に大阪城に行き、掃除のおじさんに「お城壊れなかったの?」と聞くと、「昨日、徹夜で直してん」と言われたとか 笑

 なお、上記画像の科特隊がゴモラに光線銃で攻撃しているシーンは、丸の内仲通りビルで撮影されている。






 第28話「人間標本5・6」



 奥多摩の日向峠で発生していた原因不明のバス転落事故の調査のため、科特隊のムラマツキャップとイデ隊員が調査に向かった。

 しかし、二人の乗ったバスもがけ下に転落したが、乗客は不思議と軽傷で済んだ。謎の女性の後をつけていったムラマツキャップは宇宙線研究所にたどり着く。

 その建物は6体の人間標本を採取する任務で地球を訪れた三面怪人ダダによって占拠されており、すでに4体の人間標本が捕えられていた――。





【制作裏話】

 宇宙線研究所は、第39話「さらばウルトラマン」のロケ地と同じ東レ基礎研究所

 ダダは、顔がパタパタと入れ替わる構造や、マスクが観音開きで開く構造も考えられていたが、顔面だけ外して取り換える仕組みになった。

 ダダという名前は、フランス語のダダイズムから採られている。





 この回では、古谷敏氏が「映画を観ていて辛かった」というウルトラマンのスーツ(Bタイプ)の劣化を確認できる。

 ダダのミクロ化器の光線を受けて人間サイズになったウルトラマンのシーンでは、肘の部分に大きな穴が開いてしまっている。

 また、タイプBのスーツは、黒いウェットスーツを銀色に塗って、その上から赤に塗り分けていますが、塗装が剥げて下地の黒色が見えている。

 このスーツの状態が、ウルトラマンと怪獣との戦いの激しさを物語っているといえる。




 なお、この回のウルトラマンは3分を超えて戦っており、四つ足怪獣の時と異なり、低空ドロップキックや回し蹴りなどの多彩な蹴り技を繰り出している。

 ちなみに、このシーンのロケ地は東宝会館(本館)の屋上で、現在はサミットストア成城店の敷地になっていて建物も解体されており、当時の面影は残っていない。





 第29話「地底への挑戦」



 日本一の埋蔵量を誇っていた山から急に金がとれなくなって廃坑になった金山から黄金怪獣ゴルドンが現れ、麓の町が全滅した。

 ゴルドンは現場に急行した科特隊の攻撃を避けるために地底に潜ってしまい、さらに坑内に取り残された男がいるという。

 ゴルドンへの追撃と男の捜索のため、ムラマツキャップとイデ隊員は地底戦車ベルシダーで地底へと潜入した――。





【制作裏話】

 ゴルドンはエキスプロで作られたが、東宝の怪獣造形でパートをしていたベテランの女性に手伝ってもらったという。

 ベルシダーは、池谷仙克氏のデザインによるもの。

 ウルトラマンゴルドンとの格闘シーンでは、美センのオープンセットで撮影されたと思われる映像が数カット差し込まれ、迫力を増している。



 第30話「まぼろしの雪山」



 雪山で遭難した漁師が救助され、その漁師は「伝説の怪獣ウーを見た」と怯えながら話した。

 村人から“雪ん子”と呼ばれている少女が猟の邪魔をするのを懲らしめていると、“まぼろしの雪山”と呼ばれている山付近に現れたという。

 そんな中、スキー場にウーが現れてスキー客がパニックになったため、スキー場の経営者は科特隊を呼び、ウーを退治してくれるよう依頼するが――。





【制作裏話】


 この回からウルトラマンのスーツが新調され、Cタイプとなっている。ウーという名前の命名者は金城氏で、怪獣スーツはエクスプロで製作。

 沖縄の代表的織物「芭蕉布」の原料となっている“苧(ウー)”と呼ばれる糸芭蕉の幹からとった繊維に由来するとされている。

 ウーの体毛は、ロープや石膏の補強材として使われるサイザルという植物繊維。

 東宝撮影所の表門の前にあった吉岡モータース(現・成城ホンダ)に頼んで、特別に長いものを用意してもらったとか。

 実際に撮影が行われたのは石打丸山スキー場で、 数年に一度の大雪で一歩歩くにも息が上がるありさまで大変だったという。

 科特隊でスキーが滑れる人間がおらず、止まるカットでもすぐに倒れてしまうため、監督は「2mでいいから滑って」とお願いして、後はスタンドインとなった。

 作品中で飯田山と呼称されている山は、新潟県・越後湯沢を代表する名峰「飯士山(いいじさん) 」。





 なお、このウーの回とヒドラの回は、毎回怪獣を殺すのが嫌になり、やりきれなくなってきた古谷氏の意向が反映されている。

 「たまには怪獣を殺さない優しいウルトラマンの話があってもいいんじゃないか」と古谷氏から頼まれた金城氏によって書かれたという。

 ゆきの母親の魂の化身であるウーが、ウルトラマンとの戦いの途中で消えたのは、ゆきが亡くなって守るべき存在が無くなったため。

 ゆきの魂とともに、天国へと旅立ったのでしょう。



 第31話「来たのは誰だ」



 科特隊南アメリカ支部から20年ぶりにゴトウ隊員が帰国した。10歳の頃、科特隊員だった父に連れられて、南米ボリビアに渡ったという。

 しかし、ゴトウ隊員が日本支部に来てから不可解な出来事が多発。彼の持ち物を二宮博士が検査したところ、吸血植物ケロニアの幼生態であると判明。

 また、20年前にアマゾンの奥地で移動する吸血植物を発見した人がいるという。発見者はゴトウ・ジロウといい、息子は熱病で亡くなっていた――。





【制作裏話】

 この回から、主題歌が第3バージョンになる。みすず児童合唱団のみの歌唱となり、歌い方も「われら~の」から「わ~れら~の」に変更になっている。

 二宮博士役の中山昭二氏は、のちに『ウルトラセブン』でキリヤマ隊長を演じることになる。





 この回では、ケロニアにはスペシウム光線が効かない設定のため、撮影日に古谷敏氏が新しい技のポーズを自分で考えたという。

 また、空中でケロニアの宇宙船をスペシウム光線で破壊するシーンは、跳び箱の上に寝そべって足をスタッフに押さえもらいながら撮影したそうです。

 なお、ゴトウが宿泊したレストルームは渋谷4丁目交差点付近にあった島根会館で、ウルトラマンが死闘を繰り広げた場所は晴海ふ頭とのこと。



 第32話「果てしなき逆襲」



 科特隊インド支部から女性隊員パティが来日観光案内していたところ、宮の森の開発工事現場で山火事が発生、ジェットビートルが消火に向かった。

 ハヤタ隊員とパティ隊員も現場に向かうと、火山帯ではないにも関わらず川の水がお湯の様に熱くなっており、突如地震も発生。

 さらに上流へ向かうと化学工場に灼熱怪獣ザンボラーが現れ、工場は火の海となった――。





【制作裏話】

 ザンボラーガヴァドンBの改造で、ザンボラーの前方をキッとにらむ顔は、自然破壊への怒りを表している。

 爆発と炎が凄すぎて、四つ足怪獣にも関わらず何度も立ち上がってしまったという。ザンボラーに火が燃え移っているシーンも見られ、非常に危険な撮影だった。

 機電の倉方茂雄氏によると、派手にやりすぎて美センから苦情が来たため、これ以降の撮影では火薬は控え目になってしまったとか。



 第33話「禁じられた言葉」



 フジ隊員は、飛行機好きの弟サトル君にせがまれて、科特隊専用車でハヤタ隊員を伴なって大空の祭典にやってきた。

 ジェット機による空中演技の見物中、突然サトル君の脳内に謎の声が響く。その直後、空に現れたタンカーが爆発し、飛行中のジェット機も上空に消えた。

 ジェット機群らしい電波が確認された宇宙空間へ科特隊が向かうと、残骸とともに無人の科特隊専用車の姿が。地上では、巨大化したフジ隊員が出現した――。





【制作裏話】

 科特隊が巨大化したフジ隊員を見つめるシーンの左側に映っているのは、丸の内仲通りビルで、今も現存している。

 巨大化したフジ隊員を銃撃するのは、初代ゴジラスーツアクター中島春雄氏。

 フジ隊員役の桜井浩子氏は、胸に仕込んでいた弾着が爆発した時、しばらく耳の底がジーンとして目の奥に火花が散っていたという。

 また、ビルを破壊した手の外側から腕にかけて、2~3cmのアザがついていたとか。






 第34話「空の贈り物」



 ある夜、東京晴海の埋め立て地に赤い火の玉が落下した。

 通報を受けた科特隊が現場へ急行すると、巨大な落下穴から怪獣が出現し、炎を吐きながら暴れ回った末、眠りについた。

 “スカイドン”と名付けられたその怪獣を宇宙へ還すために、「ワイヤーロック作戦」を実行する科特隊だったが――。





【制作裏話】

 スカイドンはガマクラジラの改造によって造られた。

 ハヤタ隊員がベータカプセルと間違えてスプーンを掲げてしまうシーンは台本には書かれておらず、実相寺監督のその場の思い付きだったという。

 常識破りのギャグ演出を許可なく行った実相寺監督は、TBSのプロデューサーの栫井氏から怒られ、飯島監督は「なんてことをしてくれたんだ」と頭を抱えたとか。

 この回はやり過ぎなくらいギャグ演出に振り切っているが、ちゃんと『ウルトラマン』になっているのが凄い(笑)



 第35話「怪獣墓場」



 宇宙のウルトラゾーンのパトロール中、怪獣墓場を発見した科特隊。そこでは、過去に地球で戦った怪獣たちが静かに眠っていた。

 そんなある日、ロケットセンターから日本最初の月ロケットが打ち上げられたが、怪獣墓場で眠っていたシーボーズにぶつかって怪獣とともに地球に落下してしまう。

 怪獣墓場に還りたがるシーボーズのために、科特隊、ロケットセンター、ウルトラマンが協力することになったが――。





【制作裏話】

 監督の実相寺昭雄氏と脚本の佐々木守氏が『空の贈り物』と同一のプロットを用いて生み出した双子作品。

 怪獣供養のシーンで一番左に立っている僧侶は光学撮影技師の中野稔氏だという。

 シーボーズ霞ヶ関のビルをよじ登っていくシーンは、美セン(東宝ビルト)のオープンセットで撮影された。



 第36話「射つな!アラシ」



 新しく出来た児童会館を視察に訪れた科特隊だったが、コンクリートで作られたという人工的な青空が突然崩れ、謎の強力な光が照射された。

 その光の明るさは6000万カンデラで、直接その光を見て角膜をやられて失明した人間が多数いたため、科特隊は警戒態勢をとることになった。

 その後、街中に変身怪獣ザラガスが出現。ジェットビートルで攻撃する科特隊だったが、その怪獣は攻撃すればするほど狂暴になる能力を持っていた――。





【制作裏話】

 ザラガスゴモラを改造して造形された。

 児童会館の外観、内部は2012年に閉館した東京都児童会館で、5階にあるという設定の屋外を模したフロアは2002年に閉園した横浜ドリームランド。





 なお、ザラガスウルトラマンを攻撃するための武器にした建物は、姫路の回転展望台がモチーフになっている。

 ハヤタが目に巻いていた包帯を解いてウルトラマンに変身するシーンは、東宝撮影所の正門付近にあった本館の屋上での撮影。



 第37話「小さな英雄」



 銀座のデパートにピグモンが出現したという通報があり、科特隊が保護することになった。

 そんな中、イデ隊員は科特隊の存在に疑問を感じ、アラシ隊員から頼まれた武器の修理を忘れ、ハヤタ隊員から頼まれた怪獣語翻訳機の開発も遅れていた。

 ようやく完成した翻訳機でピグモンの言葉を解析すると、怪獣曹長ジェロニモンウルトラマンに倒された怪獣を復活させ、総攻撃を仕掛けようとしていた――。





【制作裏話】

 ピグモンが出たデパートは銀座の松屋で、当時はデパートに週1回定休日があったので撮影可能だった。

 ピグモンの声は、3代目江戸家猫八が担当している。

 「俺は今まで、色んな動物を鳴いたことはあるけど、ついに怪獣までやったって寄席のネタになりそうだからやりましょう」と、快く引き受けてくれたという。

 また、ドラコの頭にツノが4本生えているが、これはスーツアクターだった鈴木邦夫氏が勝手に『快獣ブースカ』のイモラの角をドラコにくっつけたとのこと。



 第38話「宇宙船救助命令」



 謎の惑星「Q星」の探査機の映像を受信していた宇宙ステーションV2からの中継映像に、強力な閃光を放つ物体が現れ、V2と連絡がとれなくなった。

 V2に到着した科特隊が調査すると、謎の閃光でV2の操作盤のBMヒューズが切れて原子炉が熱を持ち始めており、24時間以内に修理しないと大爆発を起こすという。

 地球に戻る余裕も無く、探査機に使われているBMヒューズを取りに行くためにQ星に向かう科特隊だったが、その星は宇宙怪獣キーラとサイゴが暴れ回る危険地帯だった――。






【制作裏話】

 当初、登場する怪獣はキーラのみだったそうです。

 しかし、サイゴも登場することになり、キーラ、サイゴ、ゼットンの3体同時の造形となった高山良策氏は「俺を殺す気つもりか!」と怒ったとか。

 サイゴという名前は最後に造った怪獣ということで名付けられたという。



 第39話「さらばウルトラマン



 空飛ぶ円盤の群れが地球に向かって飛来してきたことを察知した各国の人工衛星が地球上にSOSの電波を発信した。

 科学特捜隊パリ総合本部やニューヨーク支部、ロンドン支部、モスクワ支部、日本支部でも情報をキャッチし、地球全体が恐怖のどん底に叩き込まれた。

 パリ本部からの緊急指令が入り、円盤らしき飛行物体群の地球侵入は日本時間午前9時24分で、岩本博士によると地球総攻撃が目的だという――。





【制作裏話】

 準備稿では、救出に来たゾフィーゼットンスペシウム光線で倒して勝利し、ウルトラマンがハヤタに命を託して自ら絶命する設定になっていた。

 しかし、“ウルトラマンが死ぬ”という情報が子供たちに伝わり、円谷プロやTBSに抗議が殺到したため、“負けるけど死なない”という設定に変更になったという。

 また、ゾフィー古谷敏氏が演じており、Aタイプのボディにトサカを黒く塗った新規造形のCタイプのマスクになっている。




 編集後記



 TBSから提示された『ウルトラマン』の予算は『ウルトラQ』と同じだったため、白黒からカラーになるという意味で実質的な予算減額でした。

 そのため、造形の経費削減が求められ、廃物利用による改造で怪獣を作ることが多く、ベムラーゴモラなどの人気怪獣のスーツが残っていないのが残念。

 ただ、1973年に二子玉川園にて行われた怪獣供養で焼かれる運命にあったので、いずれにしても残っていないんですが。。

 (ゴモラやバニラ、アボラスの頭部は残っているようですが、経年劣化によってミイラのような状態になっているようです)

 また、放送尺の関係でカットになったシーンやNGになったシーンのフィルムも保管スペースの関係で廃棄されていて残っていないのも残念。

 しかし、一番残念なのは、円谷プロダクション初代本社ウルトラシリーズの撮影所だった美セン(東宝ビルト)がすでにこの世に存在していないこと。

 さらに、日本人のDNAの一部になっていると言っても過言ではない国民的特撮作品を生み出した場所に、何の顕彰物も無いという寂しすぎる現実。

 クールジャパン戦略を国策として推し進めている国に住んでいる者として、無念でなりません。

 「卓越した功績を顕彰し、その栄誉を称え、歴史的遺産を後世に伝えていく」そんな当たり前のことが普通に行われる世の中になることを願います――。




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蔦重の墓碑(誠向山 正法寺)



 蔦重の菩提寺「誠向山 正法寺


 

 浅草にある蔦屋重三郎が眠る「誠向山 正法寺」。墓石と顕彰碑は戦災によって焼失しましたが、当時の資料を元に復元されています。

 大河ドラマ館を訪れたついでにお墓参りをしてきたので、紹介させて頂きます——。



 1582年開山


 

 「誠向山 正法寺 (じょうこうざん しょうぼうじ) 」は、本能寺の変が起こった1582 (天正10) 年に心壽院日位上人によって開山されたお寺で、1994年にビル型の寺院となりました。


 神楽坂の善國寺、芝の正傳寺とともに「江戸三大毘沙門天」の一角に数えられた毘沙門天をお祀りしています。

 

 

 建物の入り口を入って左手にあるドアを出た左側に、蔦重と蔦屋家の人たちが眠るお墓があります。

 

 

 

 顕彰碑と墓石


 

 左側にあるのが、蔦重と実母つよの碑文が書かれた顕彰碑で、右側にあるのが蔦屋家代々のお墓。

 火災や震災、空襲で顕彰碑と墓石は消失しましたが、当時の資料を元に復元されました。

 

 

 石川雅望 (狂名:宿屋飯盛) と大田南畝が碑文を寄せています。

 

 

 左から三番目に書かれている戒名が蔦屋重三郎で、一番右が蔦重の妻「てい」の戒名です。

 

 

 ベンチには、お線香とマッチ、チャッカマンが置いてあります。ミニお賽銭箱に気持ち程度のお金を収めて、使いましょう。

 (顕彰碑の足元に線香置き場があります)

 


 なお、正法寺の手前に公衆トイレがあり、男子トイレの入り口には写楽の「江戸兵衛」、女子トイレには歌麿の「ポッピンを吹く女」が描かれています。



・誠向山 正法寺
 東京都台東区東浅草1丁目1−15

 ※東京メトロ「浅草駅」から徒歩約15分
 9:00~17:00 (年中無休)、入館無料

 


【出典】「誠向山 正法寺

 

大河ドラマ館 『べらぼう 江戸たいとう』



 大河ドラマ館『べらぼう 江戸たいとう』



 大河ドラマべらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』の主人公・蔦屋重三郎ゆかりの地である台東区大河ドラマ館がオープン。

 台東区民会館9階にある館内は撮影自由ということで、展示されている衣装や小道具、パネルなどの写真を撮ってきました。

 4月とドラマ終了後の12月に行ったので、紹介します——。






 館内図


     















 エントランス















 べらぼう入門編


































































【12月】




 五十間ゾーン











































































 企画展示コーナー



















【12月】



 蔦重が見出した才能







 


 

【12月】



 仲ノ町ゾーン














































【12月】


























瀬川の白無垢の展示は5月11日(日)まで


【12月】



 江戸城ゾーン


 

















【12月】




べらぼう 江戸たいとう 大河ドラマ

 場所:台東区民会館9階 (台東区花川戸2-6-5)
    各線浅草駅下車徒歩5分
 
 期間:2025年2月1日 (土) ~2026年1月12日 (月・祝)
 開館時間:9:00~17:00 (最終入館時間 16:30)
 料金:大人 800円、子供 400円

 チケット
 ・券売機 (現金のみ) 、受付窓口 (現金、キャッシュレス) / 台東区民会館9階
 ・WEB販売 webket

 休館日:毎月第2月曜日、年末年始等
     ※第2月曜日が祝日の場合は翌日 、年末年始





 編集後記



 大河ドラマ館は台東区の区民会館が会場ということで、昭和館あふれるこじんまりとした建物で開催されていると思って訪れたら、近代的なビルだったのでびっくり。

 会場内も、撮影で使った衣装や小道具が惜しみなく展示されていて、見ごたえがありました。





 『べらぼう』が人気を博しているのは、主人公・蔦重が二枚目だけど三枚目的な人柄で多くの才能を見出しながら、夢に向かって邁進する姿に多く人が魅了されているからだと思います。

 周囲の反発や裏切りにあいながらも、自分が“正しい” “面白い”と思ったものに真っすぐ向かっていく生き様に勇気づけられているのかもしれません。

 そんな中、学生時代からお世話になっている「蔦谷書店」の店名が、蔦谷重三郎にあやかってつけられたという事実を知ってびっくり。

 しかも、喜多川歌麿東洲斎写楽という浮世絵の二大スターを生み出したのが蔦重だったということで、江戸のメディア王といわれるのもうなずけます。

 ヤスケンも、『水曜どうでしょう』に出演していた90年代半ば頃から知っているので、「いい役者になったな~」と感慨深いものがあります。

 ちなみに、大河ドラマ館のある浅草は、学生時代にこち亀サンバカーニバル出場者デザインコンテストで大賞を獲って、招待された時に泊まったホテルがあった場所。

 さらに、蔦重が逝去した年齢と同じ47歳の時に『べらぼう』に出会うのも何かの縁かと思うので、蔦重のように価値あるものをこの世に遺すべく精進していきたいものです——。



【出典】「べらぼう 江戸たいとう 大河ドラマ館
 

「べらぼう」パブリックビューイング&トークショー

 

「べらぼう」PV&トークショー

 

 12月14日(日)、東京・中央区銀座ブロッサムホールで、NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺』最終回のパブリックビューイング&トークショーを開催。

 

 

 主演・横浜流星をはじめ、染谷将太橋本愛中村蒼風間俊介高橋克実ら豪華な出演陣が顔を揃そろえ、撮影時のエピソードトークで盛り上がりました。




 銀座ブロッサム


 

 イベント当日、会場に向かってる最中もこれから横浜流星をはじめとした『べらぼう』の出演陣を生で観られるという実感がなく、いつもの外出のテンションのまま電車で銀座へ。

 最寄り駅の新富町に到着し、銀座ブロッサムの建物内にある電光掲示板を見て初めて実感が沸き、緊張してくる——。

 

 

 

 第1部


 定刻になりイベント開演。まずは、今回のイベント用の動画が流れる。しかし、後半はNHK ONEの告知が長々と続いてうんざり。

 次は、中央区長とNHKのお偉いさんの挨拶。多少お堅い挨拶と、またまたNHK ONEの告知で興覚め。

 お二人の挨拶で客席のテンション落ち気味になっていた矢先、突然のNHKの鈴木アナの登場。フライヤーの出演陣に記載がなかった著名人の突然の登場に、客席から拍手が起き、会場のテンションが一気に上がる。

 

 

 鈴木アナによる挨拶と今回のイベントの紹介が終わってステージ袖にはけた後、出囃子なしで、鶴屋喜右衛門役の風間俊介駿河屋市右衛門役の高橋克実、次郎兵衛役の中村蒼喜多川歌麿役の染谷将太の4人が上手からスタスタと壇上に現れて、客席からどよめきが起こる。

 

 

 スクリーンに表示されたお題に4人が答えるフリートークが始まり、途中から鈴木アナも加わって大盛り上がり。

 

 途中から、用意された椅子に座ってトークショーが始まり、次郎兵衛役の中村蒼の独特な世界観のトークに、話を振られただけで会場から笑いが起きるようになる(笑)

 

 

 第2部

 

 20分ほどの休憩の後、18:00からべらぼう最終回のパブリックビューイング

 「耕書堂っていう本屋に言っておいてくれ」「誰も来ねぇなぁ・・・」「戒名もできております」などのシーンで会場から笑いが起きる。

 その後のシーンから何度も泣きそうになり、かろうじて堪えていたけど、駿河屋のオヤジさんの「重三郎!」で涙腺が決壊。

 涙を拭うと泣いているのが周りにバレるので、涙垂れ流し状態で最後まで視聴。そして、拍子木からのエンドロールで会場から拍手が起きる。

 

 

 第3部

 

 パブリックビューイング後は休憩なしで、蔦屋重三郎役の横浜流星、てい役の橋本愛を交えたトークショー

 鈴木アナの紹介で、主人公とヒロインを演じた2人が上手から登場した時は、今日一のどよめきと歓声が上がる。

 

 

 毎週夢中になって観ていた『べらぼう』の出演陣が目の前のステージにいて、同じ空間を共有している現実に、蔦重ではないけど「夢ん中にいるみてぇだ~」という感じに。。

 平賀源内役の安田顕からビデオメッセージも寄せられ、べらぼうファンにはたまらない空間と時間でした——。
 

 

 

 編集後記

 

 今回のイベント、チケットの抽選にあっさり当選したので「応募が少なかったのかな?」と思ってたら、銀座ブロッサムの定員850人に対して応募総数は約28,600人だったとのこと。

 

 自分が約34倍という狭き門をくぐり抜けた超強運な「べらぼう」ファンの一人だったことを後から知ってびっくり。 




 べらぼう撮影時の思い出話に爆笑するというべらぼうの公開打ち上げ飲み会のようでもあり、べらぼうファンにはたまらない時間でした。

 

 最後は「屁!」による一本締めでイベントがお開きになり、ステージからはける時に出演陣と写楽ポーズや歌舞伎ポーズをしながらはしゃいでいた横浜流星 (笑)


 出演陣が横一列に並んで一礼する姿は、今思うと『べらぼう』という演劇のカーテンコールのようでした。

 終演後は懸念していたべらぼうロスも感じず、終始和気あいあいとした幸福感溢れる雰囲気のイベントでした——。

 

 



【出典】「ステラnet